魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~   作:ビスマルク

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注意を受け書き直しました。

クイント・フェン・ヴォテックス→クイン・フェン・ヴォテックス

それでは久しぶりの更新です。


第二十四話

『避けるレオン!追い回すブラウ!試合が始まってすでに一分、この状況が崩れることはありません!』

 

 本当に厄介なことになった。

 十中八九間違いだろうがあの屑がアインハルトとヴィヴィオの誘拐を手引きしたのだろう。

 狙いは俺の敗北、そしてその後“絶対遵守の誓約書(ギアススクロール)”で俺を操るってところか。

 俺を操って何をしたいかはわからんが素直に負けてやる気はない。

 と言っても現状俺に出来ることはない。

 アインハルト達が捕まっている状態で反撃でもしようものならあのクゾゲーが何するか分かったもんじゃないからな。

 

「アイツ等の無事が確認できるまではこのまま逃げさせてもらう」

 

 幸いスピードなら俺の方が勝っている為この状況を続けることは出来るだろう。

 だけどこのまま逃げ切るなんてことを許してくれそうな相手じゃないんだよなぁ。

 

「だいたい、わかった」

 

 なんだ?なんかものすごい嫌な予感がする。

 今すぐこの場を離れるべきだと、俺の勘が叫んでる!

 《獅脚》ですぐさま移動する。それとほぼ同時にさっきまで俺が居た場所に巨大な拳が打ち下ろされていた。

 巨大な手の持ち主はもちろん目の前の対戦者である、ブラウ・デュークライしかいないだろう。

 先程まで俺を追いかけまわしていた男の腕は話に聞く巨人のようになっていた。

 その腕が俺目がけて振り下ろされる。

 

「ぐっ……!」

 

 移動する間もなく叩きつけられたソレを踏ん張り堪える。

 この威力、受けるもんじゃないな。

 こんなモノ連続して受けたら再起不能になるまで潰されかねん。

 受け流して威力逃がすのにも限界があるし、さっさと反撃したいところなんだが。

 

「ッ!」

 

 クソゲー野郎がアインハルト達に何するか分からない以上下手なことは出来ない。 

 あのにやけ面からして俺が反撃に出れないことを間違いなく把握してやがる。

 やはりここは逃げの一手しかない。状況が変わるまで時間稼ぎに徹するしかないな。

 幸いにして今この会場に逆転するための手札は揃っている。

 後はクインとアイツが上手くやってくれることを祈るしかないか。

 

 

***

 

 

(なんか可笑しいんだよなぁ)

 

 客席でレオンの試合を見ていたヴィータはその戦いに少しの疑問を持っていた。

 あの、レオンがあそこまで簡単に追い詰められるだろうかという疑問だ。

 

「どうしたヴィータ?」

 

「いや、なんでもない」

 

 近くで同じ試合を見ていたザフィーラにそう答えながらもやはり違和感は消えない。

 いっそのことザフィーラに意見を聞いた方がいいような気もするがレオンの事情を知っているのは自分だけ、相談しても意味はないだろう。

 律儀にレオンの言葉を守っているところからヴィータの面倒見の良さがうかがえる。

 

(体調でも悪いのか……?いや、それでもあれはねぇな。アイツどんな体調でも戦場に出たらいつでも同じような動きしてたし)

 

  過去に自分が見てきたのはどんな時でも変わらず戦い続けた姿、今の姿とは似ても似つかない。さらに今のレオンの顔は焦燥感に満ち溢れ焦っているようにも見える。

 まるで悪ふざけで女子風呂を除いていたところをオリヴィエに見つかった時と同じようだ。

 

「あの」

 

 レオンが聞いていたら間違いなく怒るであろう内容を考えていたヴィータはその声に急に現実に戻される。

 そこに立っていたのは今のレオンと同じ年頃の少年だった。

 

(確かヴォテックス少将の息子だったか……。それが何でアタシのところに?)

 

 たまたま仕事場である管理局で見かけた少年のことを思い出しながらヴィータはクインと向い合う。

 

 

***

 

 

 振り下ろされる一撃を避けることなく腕を重ねて受け止める。それだけで足場が悲鳴を上げるという有り様、通常なら絶対に受けない攻撃だ。

 しかし先ほどまでのようにレオンが避けようとするとアインハルト達を誘拐しているクザソゲーがこれ見よがしに合図を出してくる。アインハルトやヴィヴィオに危害を加えられる可能性がある以上無視することはレオンにはできなかった。 

 今やレオンのライフポイントは初期の三分の一にまでおちていた。

 そしてこの状況をほくそ笑んで見ているのはクザソゲーだけではなかった。

 

「ざまぁ見やがれ!俺たちの邪魔するからこんなことになるんだよ!」

 

「いい気味ってやつだNEー!」

 

 以前路地裏でミイカに突っかかり、結果レオンにつぶされた不良二人だった。

 レオンは性格上あまり敵を作らない。

 確かに歯を絹を着せない等の問題点はあるがきちんと目上と判断した人間にはそれ相応の態度で接するなどしてきた。

 また学園でもその行動力や言動で友人を増やしたり、意外といい面倒見の良さで後輩からの人気も高い。

 クザソゲーはレオンのそういう部分も気に入らずアインハルト達を誘拐するなどといった暴挙に出たのだった。

 そこで使ったのがこの二人だった。

 レオンに憎しみを抱いておりそれ相応の金を出せばいうことを聞く順応さを持ち、なおかつ頭の悪い駒を探しているうちに見つけたのがこの二人だった。

 二人はまずトイレに行って一人になったヴィヴィオをさらうことから始めた。

 それをクインにしたようにアインハルトに知らせ隙をついて捕縛、気絶させた。

 そのあとは以前から準備していた会場の倉庫を利用するだけだった。

 

「それにしてもこの程度の仕事であんだけの金を貰えるなんてぼろ儲けってやつだな!」

 

「ほんとラッキーだったYOー!」

 

 そんな風に上機嫌な二人を見て歯を食いしばるアインハルト。

 その体は縄で縛られ口には猿ぐつわをされている。

 しかし、しばれられていても自由にできる手のひらをきつく握りしめ捕えられた自分を恨む。自分の尊敬している、好きな少年が好き勝手に言われ今にも負けそうになっている。

 しかもその原因が自分のせい、これで自分に怒りを覚えずいつ覚えろというのだろうか。

 

(何とかここを抜け出さなければ、レオンさんが……!)

 

 幸い目の届く場所にヴィヴィオは居る。 

 縛り付けている縄さえなんとかすれば自由になれる。そうなればこの二人なら何とかなるだろう。

 少しでも縄を緩めようと腕を動かす。

 不良二人は今にも潰されそうになっているレオンを見て笑っている。

 そうして何とか縄を外すことに成功する。

 

(よし、これであの二人を倒せば……)

 

 そうして立ち上がった瞬間仕掛けが作動し設置型バインドが発動、アインハルトの動きを止めた。

 アインハルトが縄を解いたことに気付いた二人はアインハルトを見ながら嘲笑った。

 

「おうおう、嬢ちゃん!俺達がなんでわざわざ縄なんて面倒なもん使ったかわかるか?それなら解けるって思っただろ!そこからまたバインドで動けなくなっていろいろと台無しになった時の顔が見たかったからだよ!」

 

「ッ……!」

 

「ち・な・みに!あそこに転がっている金髪の小娘とさっきまでいた相棒だけどな!ありゃ映像だ!残念ながらここにゃ居ないんだよ!つまり、ここで俺達を何とかしても結局あのクソガキは負けるってことだ!!」

 

 怒りで唇を軽く切ってし合うアインハルト。

 このままでは自分のせいでレオンが負けてしまう。そう思っていても体は動かせない。

 何も出来ない現状とあまりの悔しさに目から涙が流れそうになる。

 

「あ!?なんだ、泣くのか!こりゃいいな!これ撮ってあのガキに見せりゃもっと面白いもんが見れるかもしれねぇな!」

 

「その前にテメェが泣け」

 

 不良の言葉が終わるとその言葉は聞こえ同時に倉庫のドアが吹き飛び不良にぶち当たる。

 音を立てて壊されたドアの元あった場所には赤いドレスのような服を着た少女が立っていた。

 その手には物々しい凶器が握られておりそれが現状を生み出したことは一目瞭然だ。その姿をアインハルトは知っていた。

 

「なんだテメェは!」

 

「お前みたいな屑になのる名前は持ち合わせちゃいないんだよ。とっとと沈んどけ」

 

「はっ!知らないんだったら教えておいてやるけどな!もう一人の小娘は別の場所にいるんだよ!そいつを痛めに合わせられたくないんだったら大人しくしとけや!」

 

「そんなに言うんだったらそこの場所の映像でも見せてみろ」

 

「ッ!!見せてやろうじゃねぇか!」

 

 ヴィータの余裕ある言葉にバカにされたと考えた不良はすぐに手元のリモコンを操作し別の場所の映像を流した。

 

「な、なんじゃこりゃ!」

 

 出てきた映像はひどいものだった。

 不良の相方と思われる人物は床に突っ伏しピクピクとなっている。

 その部屋には大したものが置いてなかったのが不幸中の幸いだということを人目にわからせる様だった。 

 あったはずの机や椅子は粉々に砕かれており元の形を予想するのが難しいほどになっていた。

 その状況を作り出したであろう少年は物騒な杖を不良に向けながらヴィヴィオの拘束を解いていた。

 

「な、な、な、な、な、な」

 

「わかったか?お前らはもうゲームオーバーなんだよ」

 

「ふ、ふざけんじゃねええええええええ!!」

 

 破れかぶれという風にヴィータに襲い掛かる不良。 

 それに対し一つも慌てることなくグラーフアイゼンで対処し、腹に一撃加えて気絶させる。

 不良は地面に顔から倒れることになり悲惨な音を立てた。

 

「大丈夫だったかアインハルト」

 

「は、はい。ありがとうございました」

 

「礼ならいいから速く行ってやれよ。レオンはお前のこと待ってるぜ?」

 

 バインドから解放されたアインハルトはその言葉を聞くと急いで走り出した。

 もうすでに第一ラウンドが終わってしまっている。

 今レオンがどんな状況なのかはわからないが攻められているのは間違いないだろう。

 その後ろ姿を見ながらヴィータは先ほどまで見ていた元主のことを考える。

 結論は、「やっぱ変わってないな、あいつ」だった。

 

 

***

 

 

 

レオン RECOVERY1200 →LIFE1800

 

 

 第一ラウンド終了し今はセコンドのユーノさんに回復してもらっている。

 ここまで追い詰められるとは。何もできないことを考えても大ダメージすぎるだろう。

 こりゃ相手が強いってことがよくわかるな。

 

「いけるかい、レオン?」

 

「大丈夫っす。うまく受け流してたんで骨折とかはないですよ」

 

 目の前のユーノさんは今の俺の状況をなんとなく察していながら黙って俺の治療をしてくれる。

 こういったところがすごく大人なのだと思う。

 俺じゃ意識しなきゃできないことを当然のようにやるからな。

 

 まぁ、それより問題は試合だ。

 アインハルト達の無事が確認されるまで下手に反撃できないこの状況。

 さすがにこのままいったら次のラウンドで間違いなく倒される。

 うまいことクインとヴィータがやってくれればいいんだがな。

 ちなみに今回ヴィータを巻き込んだのは手紙に書いてあった『大人には知らせるな』という条件をクリアするためだ。

 監視されている可能性もあったため大人に知らせるようなことはできないが見た目子供のヴィータなら大丈夫だろうと判断した。

 そしてその判断はあっていたと確信した。

 なぜなら

 

「レオンさん!!」

 

 あいつの声が聞こえてきたからだ。

 さすがは元俺の騎士だ。期待に応えてくれるぜ。

 クインもうまくやったみたいだ。

 

 アインハルトの呼びかけに手を上げてこたえ、リングに上がる。

 目の前には先ほど俺のライフをかなり削ってくれた男がいる。

 そのさらに先には屑野郎が顔を驚きの表情でゆがめながら突っ立ている。

 

 

レオン LIFE2000

 

 

 残りライフはわずか六分の一。しかし状況は俺に味方した。

 もうすでにこの身を縛る枷はなし、ってところか。

 

『先ほどまで防戦一方だったレオンに勝ち目はあるのか!それともこのままブラウがおしきるのか!注目の第二ラウンドが始まります!』

 

 解説者はそう言っているが恐らく俺が勝つなんて思っているやつはいないだろう。

 それはそうだ。さっきまでの状況を見てそう思っているとしたらそいつは真正のバカかなんかだろう。

 だけど残念ながらその予想は破らせてもらうぞ。

 

 試合開始の合図と同時に右腕を巨大化させながら真正面から殴りつけてくるブラウ。

 その拳を静かに眺めながら重心を移動させ体を傾ける。そのまま一回転しながら腕の一部を掴み、その勢いのまま投げ飛ばす。

 

 

ブラウ DAMAGE1300 →LIFE10700

 

 

 体の一部を巨大化させる魔法。

 確かに威力という点を考えるならこれほどシンプルで強力なものはない。

 しかしそれは同時に体の重心やバランスを崩しやすいという弱点を生み出す。

 それなら投げ飛ばすのはたやすい。

 だが相手も馬鹿じゃない。一度投げられたのなら二度目は内容に対処してくるのは当然。

 

 今度は振り下ろされるように拳を叩き付けてくる。

 先ほどまでの俺だったらダメージを少しでも少なくするために受けてただろう。

 しかし、今の俺にそんな必要はない!

 逃げも隠れもせず、真正面から押し通る!

 

「“クラッシュハンマー”!」

 

「“牙砲”!」 

 

 俺の打ち込んだ“牙砲”は腕を通しブラウの体全体にダメージを与える。

 こちらもダメージを受けるが相手ほどじゃない。

 

 

レオン DAMAGE300 →LIFE1700

 

ブラウ DAMAGE2700 →LIFE8000

 

 

 こちらは先ほどまで攻撃を受け続けたため攻撃をうまく受け流すことができたが、俺の攻撃を今日初めて受けた相手にはできない。

 それがこのダメージ量の差だろう。

 それでもいまだに完璧に受けきることは出来ていない。

 それほどまでにこのブラウという相手が強いということがわかる。逆にあの屑になんで協力しているのかが分からなくなってきた。

 だが気にするのは後でいい。

 今はこの男を倒すことだけを考えろ!

 

 

***

 

 

 もう一度レオンを押しつぶそうと叩きつけられる拳。

 レオンは落ち着きながらその拳を素早く躱し、その巨大化した腕の上を走り抜けブラウの顔に“牙天”を叩き込む。

 しかしブラウは怯むことなく蹴りを放った後の滞空時間を狙ってレオンを狙い巨大化させた腕で殴りつける。 

 その腕を体に取り付けている風力装置を全力で稼働させうまく躱す。

 

 

ブラウ DAMAGE850 →LIFE6500 

 

 

 息をつく間もなく二人は同時に動き出す。

 全力の“獅脚”を使い縦横無尽に移動し続けるレオン。

 それを見失わないように無駄な攻撃をしないで目で追い続けるブラウ。

 第一ラウンドとは全く違う戦いに観客席にいる全員が食い入るように戦いの行方を見守る。

 そして戦況は動いた。

 

 レオンは“獅脚”でブラウの懐に潜り込みその体に拳を叩き付ける。

 体が大きい分近くに寄られるとブラウの方が不利なのだろう。

 そう考えたブラウはすぐに後ろに下がろうとするがすぐに回り込まれる。

 それならばと攻撃を繰り出すがどの攻撃も紙一重で躱され一撃も当たることはなかった。

 

 

ブラウ DAMAGE1150 →LIFE5350

 

 

 だがこのままで終わるようだったらブラウは都市本戦で6位という記録は残していない。

 一瞬レオンの攻撃が緩む瞬間を狙い全身を巨大化させる。

 全長5メートルにも及ぶその姿は見る者すべてに威圧感与えるようだった。

 そんな相手にレオンは笑った。

 

「ふぅ、それがお前の切り札か?」

 

「…………」 

 

「ああ。答えなくてもいいぜ、これからは独り言みたいなもんだからな」

 

 構えながら話し続けるその顔は油断のない状態とは裏腹に明るい笑顔になっていた。

 ブラウにとって初めての経験。

 いつもこの姿を見せれば必ず相手は畏怖してきた。

 中には化け物と罵る者もいた。

 そんな姿なのにもかかわらず目の前の少年の楽しそうな顔。

 不思議と嬉しく思った。

 そんなブラウの心中も知らずレオンは笑顔で話す。

 

「お前が何であのクソゲーと居るのかはわからないが、お前のその拳は本物だった。強さもだ。だから俺もお前の強さに敬意を払う」

 

 そうしてレオンがとったのは奇妙な構えだった。

 左半身を相手に向け右半身を相手から見えないようにした上で完全に腕を脱力させる。

 どこから見ても隙だらけなのにもかかわらずブラウは食いついたように目が離せくなっていた。

 そのまま十秒ほど経ち、耐えきれないとばかりにブラウは全力の拳を放つ。

 その全力の攻撃がレオンのいた場所に届くよりも前にレオンの拳はブラウの体に突き刺さっていた。

 

「“夜王流奥義一・獅子閃光”」

 

 

ブラウ DAMAGE32800 →LIFE0

 

 

 音すら置き去りにした一撃、そして音が追いついたと同時にブラウは壁に叩きつけられそのライフは0となり勝者と敗者が決まった。

 

 




大変お待たせしました!
無事就職先が決まりようやく書き始めることができました。
これからもボチボチ書いていこうと思います。
これからもよろしくお願いします!

それではまた次回!
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