魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~ 作:ビスマルク
レオン「お前たちの試合は素晴らしかった!戦闘力も策略も!だが、しかし、まるで全然!この俺を倒すには程遠いんだよねぇ!!」
ブラウ&クソゲー「!!?!?」
学校が終わり無限書庫の支所としての仕事もないある日、いつもしている特訓もせずに俺は時々アインハルトと行く喫茶店(外側の)で紅茶を飲んでいた。
ぶっちゃけコーヒーは苦くて飲めん。あんな胃に悪そうなものよく飲めるものだと昔から思っている。
そんなティータイムを楽しんでいた俺のもとに見たことのある赤毛の少女が歩いてきた。
「よぉ、待たせたな」
「そっちが呼び出したのに遅れてくるっていうのはケンカ売ってるって意味か?」
「何年も待たされたんだからこれくらいいいだろ」
ブラウとの試合が終わって数日後、二回戦目を終えた俺はヴィータと待ち合わせしていた。
試合の後ロストロギア不法所持で捕まったクザソゲーの話を聞くためだ。俺としては奴の話など話題に出すのも嫌なのだがヴィータが報告したいことがあると言われ来た。
しかし話を持ちかけてきた本人が遅れてくるのはどういう了見だろうか?
ジト目で見たのに気付いたのかヴィータは頭をかきながら謝ってきた。
「悪かったって。でもこっちにも理由があるんだ。そんでもってそれが今日の本題だ」
地味に嫌な予感がするのはなぜだろうか。
しかも気づけばヴィータの顔は真面目な顔になっている。
「なんなんだ、その理由っていうのは」
「お前に因縁吹っかけてたクザソゲーが更迭中に逃げ出しやがった」
「はぁ!?」
逃げ出しただと!あの力のちの字もない、悪知恵だけが取り柄みたいなやつが監理局から逃げ出したっていうのか!?
「おいおい、管理局っていうのはそこまで杜撰だったのか?」
「そう言われてもしかたねぇ結果だがそうじゃない。杜撰どころかあたしから見ても教育の行き届いてる手際だったよ」
「それなら尚更だ。どうやってあのクソゲー野郎は逃げ出したんだよ?」
「『
俺の質問に帰ってきたヴィータの言った単語はこの頃ミッドチルダで騒がれているとある怪人のコードネームみたいなものだ。
この前俺に襲いかかってきた奴と同一人だと俺はあたりをつけている。
実際うわさに聞いた姿恰好は俺が遭遇した奴とほとんど変わらなかった。
それでもなぜこの場でその名が出てくるのかと不思議に思っているとヴィータがさっそく答えてくれた。
「なぜかは知らんがそいつがクザソゲーを連れ出しやがった」
「……管理局員は?」
「一応命に別状はない。ただ精神に傷を負っているのが大半だ」
そもそもあのクソゲー野郎は親からして怪しかったそうだ。
そのため周りの人間はそいつに常に目を光らせていたわけだがこれがなかなか尻尾を出さない。やっと捕まえたと思ってたらトカゲのしっぽだったということが多かったようだ。
そのため今回のクソゲーの件は渡りに船だったようだ。
奴の持っていたロストロギアを材料に調査を進めようとしていたため管理局としても力を入れていたそうだ。
「今回更迭に参加した奴らは全員がBランク以上だった。発見された時にはそれが全員倒れていてあのクソガキは消えてたってわけだ」
「なるほどな。今回遅れたのはその件についてか?」
「ああ。昔からでかい組織っていうのは動くのに時間がかかるからな。いろいろと書かなきゃいけない書類とかもあるんだよ」
「それはご愁傷様だな」
いつもだったらヴィータの愚痴も聞いてやっていたかもしれんが今はほかに整理しなければいけないことがある。
「おいヴィータ。今回クソゲーを連れて行ったのは本当に『魔獣』だったのか?」
「それは間違いねぇ。比較的被害が少ないやつがそう証言してた。奇妙な触手を操っていたってな」
それなら間違いないだろう。
あんな独創的なものがポンポン出てきてもらっても困る。
一度見たら絶対に忘れられない形してたしな。
「そいつの目的については?」
「現在調査中、だとよ。愉快犯的みたいな奴の考えなんか少なくてもあたしには分からない」
「じゃあ今までの経験からして、今回の行動は計画的なものなのかどうかっていうのはわかるか?」
しばらくヴィータは考え込む。顎に口を当て俺の質問にきちんと答えようとしてくれている。こういうところが良い奴だって判断される所以なんだろうと関係ないことを考える。
「たぶん突発的な行動だったんじゃないかと思う」
「その理由は?」
「そいつがいつも張ってる結界が張られていなかった」
なるほど。
確かにそこは判断材料になるだろう。
「基本的に『魔獣』の犯行はいつも結界が張られて行われていた。そんな中今回に限って結界をはらなかったのはなぜか?」
「張らなかったんじゃなくて張れなかった、か」
「結構高度な術式が組まれてるっていう話だしな。準備に時間がかかるんだろうな」
確かにそれを考えれば奴の行動がうわさ程度にしか広がってないのもわかる。
おそらく実際に起きた事件が少ないのだろう。その結果様々な尾ひれがついたと。
だがそうすると今度は新しい問題に行き当たる。
「問題はなぜクソゲーを連れ去ったかだな」
奴に特別な何かがあるとは思えない。
あるとすれば奴の実家に対しての身代金目当てだとかそんなところだろうか。
しかし奴の実家は今まさにがさ入れの真っ最中だ。クソゲーが捕まったことを考えればこうなることはわかるだろう。
それなのにもかかわらずなぜ危険を冒してまでクソゲーをさらったのか。疑問は尽きない。
「情報が少なすぎるな」
「だからあたし等も困ってるんだよ」
二人同時にため息をつく。
なんだって一つの問題が片付いたと思ったらまた次の問題が出てくるんだよ。
クソゲーが狙われた以上俺も無関係ではないと思う。これは完全に勘だが。
「あー!やめだやめ!考えても仕方ねぇこと考えてても何にもならんわ!」
「相変わらず適当だなお前は……」
「そう簡単に人が変わってたまるかよ」
俺の言葉に納得したのかヴィータは頷いてる。
そして気のせいかどこか顔色が悪い。
…………………
「もしかして、シャマルの料理っていまだに食えたもんじゃないのか?」
「おかしいよな……。あれから何年もたってるのにほとんど変わらないって。はやてに教えてもらったりしてるのに……」
聞いたところによると今の夜天の所の主である八神はやてさんは料理、というか家事が得意らしい。
下手な料理人よりもうまい料理を作るって人と一緒にいてなぜあいつの料理の腕は変わらんのだ。
おそらくいまだにあいつの料理の実験に付き合わされているヴィータに合掌しておく。
「やめろよ、縁起でもない」
「す、すまん」
ネタに本気で反応された。こりゃマジでやばいのかもしれん。
そしてこのままいくとこいつの愚痴に発展しかねん。ここは話題をそらす方向で行くか。
「そういやシグナムが指導してる奴にアッシュっていただろ?」
「ん?ああいたよ。今度のお前の試合の相手だろ」
「そうなのか?」
「何で知らないんだよ」
「試合表見る暇がなかったんでな」
そうか次の相手はあいつか。
自分から喧嘩ふっかけたわけだからな。ある意味一番注目してるやつだ。
「つーか試合表見る暇がないって何してるんだよ」
「ダチの試合見てるんだよ。特にアインハルトの試合見逃すと悲しそうな目で見つめてくるから見逃せねぇし」
「そういうところも相変わらずだな。女、もとい親しい奴の涙に弱いところとか」
さっきも言ったが人の本質は簡単には変わらない。
オリヴィエなら優しさ、クラウスなら気高さ。俺の場合は繋がりへの執着ってところか。
我ながら自分の女々しさには嫌になる。
まぁそれでも魔女の奴のいたずらとか、男女エミリアの俺に対する嫌味らしさよりはマシだがな!
「思い出すだけでイライラしてくる……!」
「何思い出して怒りはじめてるんだよ」
「決まってんだろうが!あのエミリアの奴にだよ!」
こいつは俺とあいつの関係の悪さを忘れているんだろうか。
だとしたら単細胞の名を俺じきじきに渡してやらないといけなくなる。
「ああ、はいはい。エレミアエレミア(本当こいつってしつこいよなぁ)あ、ケーキひとつおかわり」
あいつに子孫とかいたらあいつのやってきたこと全部話してやる……!
せいぜい子孫にバカにされればいいんだ!
「あの堅物ばかめぇ……、なんでいつもいつも俺を……!」
「(そりゃお前からいつも喧嘩売ってたからだ。一度ボロボロにされただけでその後も付きまとわれたらそりゃ嫌味の一つや二つも言いたくなるだろ)この季節代わりのシャーベットひとつ」
そんな感じでずっとため込んできたエミリアへの不満を口にしていたいつの間にか時間が過ぎていき。
「あの、レオンさん?」
「大体あいつは……」
『マスター?呼んでますよー』
シルフィに呼ばれ気づけばヴィータは居なくなっており、その代わりにジャージ姿のアインハルトがいた。
「お前は何してんだ……って聞くまでもないか」
どうやらランニングの途中だったらしくよく見てみれば汗が額などに浮かんでいた。
「レオンさんはなぜここに?」
「知り合いとの話し合いのためだよ。折角の特訓の時間を削ってまで来たってのに途中で帰りやがって」
『(そりゃ後半ただの愚痴でしたからねー。あれそばで聞いてると結構苦痛だからやめてもらいんですけど)』
「そうなんですか。それでええと……」
何やら言いにくそうにしているアインハルト。よく観察してみるとその手には何やら紙を持ている。
どうやら俺の使っているテーブルに置いてあるものらしいそれは、見てはいけないようなものだとアインハルトの反応からわかる。そして同時に必ず見なければならないということも。
「聞きたくないんだが、それ、なんだ?」
「……このお店のレシートです。先ほど出て行かれたヴィータさんから預かって……」
やっぱりか。
恐る恐る手を伸ばし、アインハルトの手の中にあるそれを掴み中身を見てみると、俺が普段働いている無限書庫での給料の三分の一ほどが吹き飛ぶ金額が書かれていた。
「えと、その、わたしも少しは出しますから」
「……さすがに悪いからいい」
何の関係もないアインハルトに払わせるわけにもいかず結局自腹で払うことになった。
欲しいものとかは特にないが残りの給料はほとんどがシルフィの部品代で消えてしまうことを考えると少し納得がいかなかった。
あいつ、今度会ったとき必ず徴収してやる!
「次の試合はコロナだっけ」
「はい。でも、誰が相手でも負けません」
そう言うアインハルトからは確かな自信が感じられた。
それは今まで過ごしてきた毎日があるからこその自信、そこに俺が茶々を入れる必要はないだろう。
「ま、お前が実力を出し切れたなら勝てるだろ」
「頑張ります」
「た・だ・し」
ここは必要なことなので顔を近づけて強調するように言う。
「え、あ、あのちょっとその」
「お前たまにものすごく感情的になるからそこのところ気をつけろよ。いいな、絶対だぞ」
「は、はい」
「わかったならいい」
『マスター。そろそろアインハルト様の頭が沸騰しそうなので離れてあげた方がいいんじゃないですかねぇ』
シルフィに言われよく見ると、そこにはものすごく顔を赤くしているアインハルトがいた。
そうか。確かにこいつほど純情な奴なら異性が顔近づけさせたらこうなることは明白だったな。
「悪い。すこし近すぎたな」
「い、いえ、その、ありがとうございました……」
「何に対しての礼だよ……?」
「はっ!?いえあのそのなんというか……」
なんだかなぁ、この頃アインハルトがよくてんぱるようになってきた気がするんだが、気のせいか?
そんな感情を顔に出すことなくアインハルトの言葉を待つ。
「……普段から、いろいろ助けてもらっていますから」
顔を俯けながらそう言った。
しかしやはり恥ずかしいのかチラッと見てみるとやはり顔が赤い。
「そうか?俺の方が助けてもらってる気がするんだがなぁ」
大体毎回そうだ。
学園での生活で困ったら何かと頼ってしまうし、俺の宿題はアインハルトとクインの二人のおかげで終わっていると言っても過言ではない。
だけどアインハルトにとってはそうではなかったようで
「そんなことありません!」
大声で否定された。
「わたしがクラウスの記憶のことで悩んでいるときどうすればいいか、その道を指示してくれたのはレオンさんじゃないですか」
「そりゃ、親友が悩んでんだし、それも結構俺のせいってところもあると思うし」
「それでもちゃんとレオンさんはわたしに答えをくれたんです。他の人にはできない、レオンさんだからできたことなんです」
確かにそうかもしれないが、それでも俺にとっては当然という気持ちが大きい。
別に俺は困ってる人間全員を助けてやるような殊勝な人間じゃない。
ただそれが少しでも関係があるのだとしたら放っておけないというだけだ。しかもその時悩んでいたのは俺の今世での最初の友だったアインハルト。
助けなかったら昔の俺の関係者なら病院に行けと心配してくるだろ。
だからそれは俺にとっては当然なのだ。
しかしそれはアインハルトにとっては違うようだ。
こんなバカに対して本気で感謝している。
それならこれ以上否定するのは相手に対しても失礼だろう。
ただ俺も一方的に感謝されるのは嫌だ。だから
「じゃあこうしようぜ」
「?」
「俺とお前、どっちかが困ったり助けてほしいときには助ける、そう約束しよう。それなら立場も条件も対等だしな」
「わかりました。レオンさんが困ったときは必ず助けます」
「おう、助け合い精神で行こうぜ」
そんな話をしながら俺はいつものようにアインハルトと並んで帰った。
それにしても今日は濃い一日だったな。
ヴィータにあっていろいろ聞かされたり、エミリアのことを思い出してイライラしたり、アインハルトと新しい約束を交わしたり。
それでもこんな穏やかな日常がクラウスやオリヴィエが望んだものなのだろう。
彼らの残した日々を俺は今日も過ごす。
***
「さて、今日の試合をどう見る?」
アインハルトとコロナの試合が始まる直前に一緒に試合を見に来ていたクインが俺にそう聞いてきた。
目の前では着々と試合が進んでいる。
ちなみにクインも無事に二回戦を突破している。
「あの合宿の前だったら間違いなくアインハルトだったが、今はわからん。8:2でアインハルトが有利だとは思うがな」
「その理由は?」
「俺」
その答えにクインは呆れた顔を浮かべるがこれは冗談ではない。
アインハルトの能力は確かに高いがそれだけならそこそこまでしかいけないだろう。
しかし、そこに俺という要素が加わることになってその状況は一変する。
「俺は“覇王流”がどんなコンセプトでつくられたかを把握している。そんな俺がアインハルトが“覇王流”を使うと知ってから何もしてないと思うか?」
「……君は一体何をしたんだ?」
俺が何をしたかって?簡単な話だ。
「あいつの状況判断能力を上げまくった」
「それだけかい?それならそれほど脅威に感じる必要はないと思うが」
「正確に言うならそれしかできなかったんだよ。あいつは今までただただ愚直なまでに“覇王流”を究めようとしていた。それに俺が変なことを言っておかしくしたら目もあてられない」
ただし上がった判断能力で可能な限り失敗を避けられるようになった。
それさえできれば後は簡単だ。
正しい選択肢を選び続ける。
「言うだけなら簡単だが実際はそうはいかない。焦り、油断、緊張、様々な要因でそれはたやすく崩れる」
だからこそいつも冷静さを保つことが大切なのだ。
「ただなぁ、あいつ結構熱くなりやすいからなぁ。そこだけが心配なんだよ」
そこまで話して気づいたらアインハルトと戦っているコロナの様子がおかしいことに気付いた。
あいつのスキルは確か《ゴーレム創造》だったはずだが今はアインハルトと互角に打ち合っている。
そしてその姿はどこかで見たことのある、いや、間違いなく見たはずの技術。
ヴィヴィオの動きにノーヴェさんの技、リオの《春光拳》。
挙句の果てには前ほんの少し見せただけの俺の“獅脚”までも完璧にコピーしている。
「自分の知っている動きでの『
「だが当然穴がある」
そしてその穴はアインハルトにとっては狙いやすい的でしかない。
俺の予想通り自動反撃にたいしての更なるカウンターでコロナは倒れた。
自動反撃は一度動きを見切ってしまい、ある程度の実力があればそれに対して完璧なカウンターで沈めることができる。
だがまだ終わらない。
今までの攻撃で体に相当なダメージを負っている。それこそ心が折れてもおかしくないほどの。
それでもあいつは立った。
俺はコロナのことを見誤ったようだ。
コロナの高速突撃。技の形で言うなら俺の“獅子閃光”に似ているもの。
それをアインハルトは防御する。
「速いな」
「あの攻撃を防げたのはさすがとしか言いようがないね」
だが、俺の技に比べて遅いとはいえあそこまでの動きをコロナができるとは思えない。
だとすれば可能性は一つだけだろう。
完全な五体外部操作。
たとえ骨が折れようが腕が引きちぎれようが、命がある限り戦い続けることのできる状態。
しかし、それは諸刃の剣でしかない。
「なんつう危険な真似しやがるんだよ」
「コロナさんがアインハルトさんと互角に打ち合う……、あれが彼女の切り札と考えていいのかな」
「だろうな。それにしてもあそこに自力でたどり着くか」
オリヴィエと違って必要に駆られたわけでもないのに。
それがお前の意地か。
だがなコロナ、アインハルトの《覇王流》はそれを破るために研鑽されてきた。
だからそれじゃアインハルトは越えられない。
「コロナさんが体術をやめて魔法戦に切り替えたね」
「ま、当然だな」
あんな技をコーチであるノーヴェさんたちが教えるはずもない。だとすればあれはコロナ自身の発案だろう。
「自分一人で考えた奥義より、誰かと一緒につくった技の方が強い」
それがお前の答えか。
「少し、うらやましいか……」
まったく、本当に俺は女々しい奴だ。
過ぎた過去にばかり目を向けてしまう。それが俺だと割り切ってしまえばいいのにそれも出来ない。
だけど、今はどうでもいいことだ。
「どんな結果になろうと最後まで見届けるか」
「それじゃあ見てようか」
結局試合はアインハルトの勝利で終わった。
だが、それでも、コロナの試合をバカにするものなどいないとそう思えるほどの内容だった。
***
そして場面は数日後に移る。
「さて、準備は整ったな」
「はい。体調精神ともに良好です」
「先日のミウラの戦いを見ていたな」
「はい」
「後輩が先に勝ち上がっている」
「大丈夫です」
そう言ってアッシュ・ドラグラーは立ち上がる。
その目に静かな闘志を燃やしながら。
「負けるつもりは、ありませんから」
レオンのかつての騎士、ヴォルケンリッターシグナムの弟子。
その少年はこれから戦う少年のことを思い出す。
印象は前も今も変わらず変な奴だった。
だがその強さは認めざるを得ないものだ。
そんな男に戦いを申し込まれた、これほどまでに嬉しく燃えることはない。
自分が誘い、確かな強さを手に入れた少女がいる。その少女は確かに勝った。
自分を鍛えてくれた師がいる。教えを守れば勝てない相手はいないだろう。
これほどの好条件、燃えなければ男に生まれた意味はない。
だから
「絶対に、負けん」
「いけるね?」
「任せてください」
「僕ができるのは君のサポートだけ。相手のシグナム達みたいに指示を出したりは出来ない」
だけどと、レオンの目の前のユーノは言う。
絶対の信頼をその顔に浮かべて。
「僕の未熟なサポートだけで君は勝てると信じているよ」
目の前の人はこれまでお世話になりっぱなしだと思う。
初めて出会った時から本を紹介してもらったりしている。
単純な付き合いの長さだけで言ったらアインハルトを超えている。
その優秀さをずっと目にしてきた。
そんな人が自分を信じてくれている。
「はい」
敵はアッシュ・ドラグラー。シグナムの弟子。
シグナムにはいろいろ教えてもらってきた。
そんな奴の弟子、燃えない方がおかしい。
「ふぅ……」
アインハルトは勝った。
あいつは強くなっていた。
俺も、先に進んだということを見せなければいけない。
だから
「必ず、勝つ」
『さぁ、これから予選第三回戦が始まろうとしています!選手はともにルーキーながらここまで勝ち抜いた選手、片や剣、片や拳という勝負!どちらが勝つか予測できません!』
リングの中央まで歩き、剣と拳を合わせる。
互いにはもうすでに相手しか見えていない。
試合が始まるのを今か今かと待ち続けている。
『レオン選手は一回戦においてブラウ選手を破るという大金星。アッシュ選手はすべて第一ラウンドで決めるという底を見せない戦いを繰り広げてきました!』
観戦席では互いに近い少年を応援する少女たちがいた。
「アインハルトさんはどっちが勝つと思いますか?」
「レオンさんだと思います」
「か、勝つのは先輩ですよ!」
一瞬で答えたアインハルトにミウラも一瞬で言い返す。
その様子にヴィヴィオ、コロナ、リオの三人は苦笑いしかできない。
だが互いの意見が分かれても空気が悪くならないのは彼女たちのおかげだろう。
そして、ここで彼女らが何を言おうと勝者は数分後に決まる。
『さぁ、セコンドアウトしついに試合が始まります!』
互いに構えいつでも出れるようにする。
ゴングが鳴るのと同時に出れるようにするために。
そして
『さぁ!今ゴングが鳴りました!!』
「“牙砲・極”!」
「“紫電一閃”!」
開始と同時にぶつかり合った。
ここから《夜王》と《剣の騎士の弟子》の戦いが始まった。
燃え尽きた。
ヴィヴィオとかの試合を書こうと思ったがアインハルトVSコロナを書くのが限界だった。
かなり蛇足になったと思いますがこれで次回はレオンVSアッシュになります!
次回もできるだけ早く更新したいと思います!
それではまた次回!