魔法少女リリカルなのはvivid~四人目の王~   作:ビスマルク

4 / 25
第四話

現在、無限書庫では司書長であるユーノ・スクライアさんが一人に男性と通信していた。

どうやら仕事の依頼のようだ。

 

「後こっちも調べておいてくれ」

 

「……こっちも色々と立て込んでるし、その資料集めるだけで何時間もかかるんだけど」

 

「こっちも緊急なんだ。悪いが頑張ってくれ」

 

「そういうセリフは腕に抱いてる子供を下ろしてから言って欲しいね」

 

「おっと、エイミィが呼んでる、それじゃあ後は頼んだ」

 

「待て僕の話はまだ、ってもう切りやがった!!」

 

「ユーノさん、また口調がおかしくなってますよ」

 

いつも丁寧な口調をしているユーノさん、しかし今は度重なる暴挙のせいで完全に暴走してしまっている。

 

「まただ!またアイツの仕事の依頼で帰りが遅くなる!」

 

ダメだな。この状態になったユーノさんには何言っても無駄だ。

それにこのままだとまた残業に付き合わされる。

そうなる前に早く逃げ出さなきゃいけねぇ。

 

「それじゃ俺はもう帰りますね。お疲れさ――」

 

ガシッ

 

「レオン、ちょっと待とうか」

 

「……いやだ。いやだ!いやだ!!もう残業は嫌だ!家に帰らせてくれ!昼食を抜かされて働いたんだ!夕食くらい食わせてくれ!!」

 

「僕は昨日の朝食から水以外何も口に入れてないよ。さぁ、君も誇りある無限書庫の司書ならちゃんと働こうか」

 

かつてこれほどまでに絶望的な戦いがあっただろうか?いやない!

夜王であった前世であっても戦いから逃げたことの無い俺がこんなにも逃げたいと思ったのはシャマルの料理以外だったらこの時だけだろう。

それほどまでにここの仕事はきついのだ。

あんなに嫌だった兄貴の顔がこんなにも見たくなったことはなかった。

今の俺はいわゆる末期というものだった。

 

「逃げないのが誇り(しごと)だっていうのなら俺は誇り(しごと)を捨てる!俺には誇り(しごと)より大切なもの(夕食)があるんだ!!」

 

「この世に誇り(しごと)以上に大切なものなどはない!さぁ一緒に仕事に励もうか生贄(レオン)!!」

 

瞬間両脇を無限書庫の司書が抱えて俺を運び出した。

 

「いやだ!はなせっ!!いやだぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」

 

この日俺は地獄を見た。

……しばらく文字は見たくない。

 

 

***

 

 

無限書庫に向かう道を一人の少女が歩いていた。

彼女の名前はアインハルト・ストラトス、断じて女性しか乗れない兵器などではない。

彼女が向かう先である無限書庫。そこには彼女のクラスメイトであり友人であるレオンが居た。

 

数か月前彼に助けられてからの交友だが彼は本当に極端な少年だった。

デバイスについての知恵は大人顔負けの部分もあるが、魔法学などの授業などには全く関心を抱かずテストの点数が最近本当にひどいことになっている。

 

そんな彼を先日偶然助けたアインハルトは彼の家で夕食の時間を一度過ごして居た。

その時に知り合ったレオンの母、ミーツ・G・トエーラが朝いきなり連絡してしてきたのだ。

曰く昨日行った司書の仕事から帰って来ていない。今日は仕事があって探せないから無限書庫まで見てくれないかということだった。

 

アインハルトにとってもレオンはいろいろと気になる人物だった。

いつもは子供らしいが時に子供が見せないような顔をする。

それに何より彼女の中にあるある人物の記憶の中で出て来る名前と全く同じ名前、そういう意味ではこれ以上に興味深い少年はいないだろう。

 

(ですからこれはふだん学校では見れないレオンさんを見に行くとかいうものではありません。絶対にミーツさんやお母さんの言うような感じではありません!)

 

と、彼女が脳内で誰にしているか分からないような言い訳をして気が付くと目の前に無限書庫の扉があった。

無限書庫の中はまさに本に囲まれた世界だった。

底が見えない長い縦穴型の施設で、壁は全てが本棚となっている。

内部は無重力で移動に不便はないが見てるだけで本が嫌いな人物は卒倒するであろう光景だった。

 

「レオンさん、ここにいらっしゃいますか?」

 

呼びかけてみるが全く反応はない。

ここにはいないのかとアインハルトが元来た道をたどりかえろうとすると後ろから大きな物音がたった。

下を覗いても底が見えないだけで何も見えない。

しかしだんだんと物音は大きくなってくる。

そうしてしばらくすると物音の発生原因が下から見えてきた。

 

「あああああああーーーーーーーーーッ!!」

 

「待てーーーッ!」

 

「捕まえろ!必ず暴走した生贄(レオンくん)を捕まえるんだ!!」

 

「待てよーーー!!一緒に仕事しようぜーーー!!」

 

「…………レオンさん?」

 

物音の原因は司書としての仕事から逃げだしたレオンとそれを追いかけてきた司書たちだった。

レオンの顔にはかなりの疲労とそれ以上の恐怖が混じっていた。

端的に言うともの凄いホラーっぽい。

その形相はアインハルトが思わず本当にレオンかどうか二度見したほどだった。

そんな風にある意味普段見ないレオンの様子にアインハルトが少しの間思考停止しているとレオンが希望を見つけたとばかりにレオンがアインハルトの元に向かってくる。

 

「あっ!アインハルトーーー!!助けてくれっ!もう嫌だ、ここにいるのは嫌なんだッ!!!」

 

「あの、一体どうしたのか説明してほしんですが…」

 

「そんなことしてる暇はないんだよ!あっ!もうきやがった!!」

 

その言葉通りレオンとアインハルトの目の前には無限書庫の司書たちが移動していた。

その手には各々網などの捕獲用と思われる武器を握っていた。

 

「えっと……」

 

「お前らなんてもう怖くなんてないからなッ!なんたってこちらには武術をかじってる美少女が居るんだ!さぁ先生、お願いします!!」

 

「どういう状況ですか…?」

 

未だに混乱して状況を理解できないアインハルト。

そんな彼女に一人の司書が前に出て来る。

 

「すまないがきみの後ろにいるレオン君の身柄を私たちに渡してくれないか。ひどいようにはしない、約束しよう」

 

「そんな約束守られるわきゃねぇんだ!惑わされるなアインハルト!」

 

「レオン君!もう少ししたら仕事が終わる。それまで私たちと一緒に頑張ろうじゃないか!」

 

「じゃっかしいわ!初等部の幼気な少年に徹夜させるとかお前ら血も涙もねぇな!!」

 

「幼気な少年?私たちの目の前にいるのは可憐な美少女と生意気なクソガキだけだが」

 

「とうとう本音が出やがったな!さぁアインハルト!こんな辛気臭い場所速く出ようぜ!!」

 

そう呼びかけるが当のアインハルトはレオンや司書の口から出て来る美少女というのが自分の事だと分かり顔を真っ赤にして俯いていた。

それにこりゃダメだと見切りをつけたレオンはすぐに無限書庫の出口に全速力で向かった。

司書たちが気付いた時にはもう遅い、レオンは出口から飛び出している。

 

「ぐげっ!?」

 

はずだった。

しかし出口の前に何やら見えない壁のようなものが立ちふさがりレオンの脱出を阻んでいた。

そしてレオンにはこのようなことが出来る人物をたった一人しか知らなかった。

 

「とうとう出てきやがったな……。無限書庫司書長!!」

 

「君を逃がすわけにはいかない」

 

そしてレオンの前に立ちふさがったのは「エースオブエース」「誰もが認める無敵のエース」「管理局の白い魔王」の幼馴染、ユーノ・スクライアだった。

しかしその綺麗だったはずの翡翠色の目は今はすでに充血しており見る影もなくなっていた。

その目の下にはレオン以上の隈が出来ており既に何日も眠っていないことが分かるほどだった。

 

「君が居れば三時間で済むのが君が居なくなれば終わるのがあと六時間になる。そんな時間の無駄にするようなことは出来ない」

 

「時間無駄にしたくないならまず俺を追いかけるのをやめようぜ!そして俺が居なくてもあんたなら絶対にあと六時間もかけないだろ!!」

 

「問答無用!!」

 

「そこは問答しようぜ!?」

 

しかしレオンの叫びもむなしくユーノは距離を詰めてきた。

相手は子供、故にその動きを止めてしまえば大したことは出来ないと考えたのだろう。

しかし、見た目は子供だがその実態は歴戦の戦士であるレオンは恐れず慌てずその勢いを利用してユーノを本棚に投げ飛ばす。

本来の実力だったらそのような失態は起こさないだろうが度重なる仕事のせいで何日も不眠している付けが響いたのかそのまま本棚にぶつかってしまう。

ユーノが本棚にぶつかった際いくつかの本が本棚から飛び出してしまう。

その中の一つを見た時ユーノの顔色が変わった。

 

「あった!!」

 

その本がユーノ達無限書庫の司書が捜していた資料の最後の本だった。

それを聞いた時司書たちは全員脱力しレオンに至ってはユーノを投げ飛ばした後に襲いかかってきた疲労と眠気のせいでその場で丸くなって眠ってしまった。

こうしてレオンVS無限書庫の司書による「第一回チキチキ逃げるよ獅子が~捕まったら残業です~」は幸運の元終わったのであった。

 

 

この事件の後、無限書庫の司書たちは全員仕事を増やしてくれたとある管理局の黒い提督に向けて憎悪を放っていたことは誰もが知ることになる。

 

ちなみに余談だがとある初等部の少年に至っては寝てる間も怨念を放っていたという。

 

 

***

 

 

「畜生、まだ眠いぞ…」

 

「どうしてあんなところで働いてるんですか」

 

「ユーノさん、あそこの司書長が暇な時にデバイスの資料を分かりやすく解説してくれるんだよ。おかげで後は資金をためるだけで作れそうだ」

 

「そうですか。ところでレオンさんはどこの魔法体系を使うおつもりなんですか?」

 

「俺?俺はそうだな……古代ベルカ式でも搭載してみるか」

 

その言葉にアインハルトは軽く反応するがそれはすぐに消えていった。

いつもこいつ俺が何か言うたびに反応してるよな…。

ああ、でも反応しないときもあったな。

反応するときと反応しないとき、何が違うんだろ?

 

「できたデバイスはすぐに見せてもらえますか?」

 

「え?別に構わんけどなんで?」

 

「ちょっと気になることがあって」

 

「ふーん、別に構わないけど」

 

「ありがとうございます」

 

「だからいいって。友達なんだからそれくらいの頼みは聞いてやる」

 

「…………」

 

いつもなんか急に無言になるし。

本当に何考えているのか分からなくなる時があるな。

 

「レオンさんは」

 

「ん?」

 

「レオンさんは本当に後悔した時ってありますか?」

 

また真剣な顔して。

そういえばアインハルトが笑ってるのってみたことないな。

ま、それは置いておいて。

なんだっけ、本当に後悔した時?

 

「そんなんいつもしてるよ」

 

あるに決まっている。

 

「今だってしてるし、昔だってしてた。俺はいつも後悔を背負って生きてるよ」

 

「強いん…ですね…。わたしにもその強さがあれば…」

 

「欲しがるなよそんな強さ(もの)。あっても無駄に生きにくいだけだし笑えなくなるだけだからな」

 

「…………」

 

「昔俺の友達にそんな風に全部全部自分で背負って、後悔していった奴がいるんだけどな。本当に馬鹿で間抜けでさ、でもとっても優しい奴だったんだよ」

 

本当にアイツは背負わなくてもいいものまで背負っていった。

あの調子じゃ俺が死ぬ前に行ったことも守られているか分からないな。

 

「でもさ、周りから見てるとそいつの生き方なんて苦しそうだったんだよ。だからさ」

 

「……だから?」

 

「思いっきりぶん殴って喧嘩して仲直りして少しはマシにした」

 

アイツ、自分は国を背負っているんだーって留学した時に明らかに無理してたの丸わかりだったからな、ああでもしなきゃ全く変わらなかっただろうな。

 

「ご、豪快ですね…」

 

「だろ?んでその後は少しづつ笑えるようになってったんだよ」

 

「それでもわたしは…」

 

こりゃアイツ(クラウス)並みに頑固だな。

でもこういう奴を俺は放っておけないんだよな。

 

「無理に今の自分を捨てろとは言わねぇよ。それだって今のお前を構成してる大切なものだからな。でも…」

 

「でも?」

 

「背負いすぎて潰れちまったらしょうがねぇ。だから潰れないように少しずつでいいから笑っていこうぜ」

 

「…レオンさんは」

 

「なんだ?」

 

「レオンさんはなにがあってもわたしの友達でいてくれますか?」

 

「おう、もちのろんだ」

 

その時、少しだけ、ほんの少しだけだけど

 

「ありがとうございます」

 

アインハルトが笑った気がしたんだ。

 

 

***

 

 

アインハルトにデバイスが出来たらすぐさま連絡すると約束して別れ家に着いた後すぐにベッドに入り惰眠をむさぼった。

その日以来無限書庫に入ってくる仕事は減って(それも一時の事だろうけど)デバイスの勉強に時間を費やすことが出来た。

 

そしてついに司書としての給料が出たおかげですぐに材料を集めることが出来、それから数日間デバイスを作る作業に没頭した。

 

そしてついに、ついに

 

「ついにできたぞコンチクショ―!!」

 

俺専用デバイスが出来たのだった。

待機状態はベルカ式の魔法陣である正三角形に剣十字の紋章の形をしたネックレス。

使う術式が古代ベルカだからいいよな的な感じで適当に考えたがまぁまぁいい外見だと思う。

まぁ大事なのは中身だよ、中身。

 

「首にかけてっと、マスター認証、レオン・G・トエーラ」

 

古代ベルカ式の翡翠色の魔法陣が展開される。

 

「術式は古代ベルカ式」

 

魔力の流れが緩やかになる。

 

「デバイス個体名称、愛称は『シルフィ』。正式名称は『シルフィード』」

 

これで作業終了。

もうこれで金欠生活から解放される。

 

「さてとデバイス作りも終わったことだし、寝るか」

 

『寝ないでくださいよ!』

 

「うるさい、もう二日間寝てないんだ。俺の惰眠は誰にも妨げられない!」

 

『変なところに自信ありますねぇ』

 

「というかすっかり失念してたけど、しゃべってるのってお前?」

 

『お前って…、さっきマスターが名前を付けてくれたばっかじゃありませんか』

 

「忘れた」

 

『我がマスターながら適当ですねぇ』

 

「ていうか俺はこんなコミカルなAIにした覚えがないんだが」

 

『そこはほら、突然変異とかそんなふうに適当でいいんですよ』

 

「お前もずいぶん適当じゃねぇか」

 

『それはほら、作った人が作った人ですから』

 

ポンッ

 

「それもそうか」

 

『納得した!?』

 

「で、コントにも付き合ったしもう寝てもいいか?」

 

『ダメな人ですね、マスター』

 

「いやいやいやいや、駄目なのはお前だからな。まぁいい、俺は眠いんだ。お休みシルフィ」

 

『何か忘れてることはないんですかねぇ。あ、もう寝てますね。まぁマスターがどうなっても私的に面白そうなんでいいんですが』

 

ベッドの中はぬくぬくしてていいなぁ。

なんか忘れてる気がしてるがまぁいいや。

それじゃあお休み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、デバイスが出来たことを話すことを忘れたせいで怒ったアインハルトのご機嫌取りに苦労するなんて、俺は全く気付いてなかった。

 

 




またデータが吹っ飛びました。
何回目だよ!いい加減学べよ!!
ということで次回以降きちんと対策をとりたいと思います。

今回の話ですが一度書いた内容ということで筆が進むかと思いましたが全く進まず途中で投げ出しそうになりました、いやマジで。

まぁ愚痴もこの辺にしておいて中身の話に入りましょうか。
思った以上の駄文です。
時間があれば書き直したくなるほどの駄文ですが楽しんでいただければ幸運です。

ああ、作者もレオン君同様そろそろ限界なのでここでお別れにしたいと思います。
それではまた次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。