再生と追憶の幻想郷   作:錫箱

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#17 イズ・イット・エニィ・ワンダー?

 

 事の発端は昨日の夕暮れ時であった。

 

 紅魔館の主人であるレミリア・スカーレットが、いつものように起きがけの朝食(時間は夕方だが、「起床して最初に口にする食事」という意味で、この表現は正しいと言える)を摂取し、食後のティータイムに入った時の事。

 

 

 「ふむ。これは良い香りね。何かいつもと違うモノを入れたのかしら」

 「はい。カモミールを……挑戦的な量混ぜた茶葉で淹れております」

 「挑戦的?最適な分量を私で試すなよ?」

 「お気に召しましたか?」

 「まぁね。微妙に酸っぱい香気が良い感じ」

 

 

 白磁のティーカップを片手に、側に控える従者との軽いやり取りを楽しむノクターナルデビル。会話している間にも、彼女の視線はテーブルクロスの上に広げられた紙束の表面を忙しなく往復している。

 一番上に乗っかっている質の悪い紙の右上には、「文々。新聞」の文字が踊っていた。内容の軽薄さ、それでいて飽きさせない文章の巧さなどの要素から、幻想郷の住人達が軽食を摂る際によく読んでいる。単に何かをこぼした時の保険に使っている可能性もあるが。

 

 レミリアが座っているのは、館の北側に張り出したテラスに設置されたティーテーブル。彼女が吸血鬼であるが故に、日傘などの遮光設備も完備されている。とはいえ、日は既に半分ほど没している。直接斜陽を見ることはできないが、門外に広がる湖の霧の間から、橙色の照り返しを垣間見ることができた。

 

 その輝きを鬱陶しそうに眺めながら、レミリアは呟いた。

 

 

 「さて。今日も今日とて暇ね。何か面白味のある出来事でも起こらないかしら。今ここで」

 「お嬢様。ティータイムにスリルを求めてはいけませんわ」

 「安らぎのひとときにさえ、それをぶち壊すエキサイティングな何かを望んでしまう……それほどまでに、今のレミリア・スカーレットは平穏な時間をもて余している、ということにしておいて頂戴な。なんか面白いことできない?咲夜」

 「そうですねぇ……巫女に喧嘩売ってみるとか如何ですか?」

 「あー、良いね……あ、駄目だ。今回はボロ負けする運命が見える。覆すのが面倒だから止めとこうか。咲夜、次。出来ればバトル以外がいいなぁ」

 「バトル以外……あ、そういえば」

 

 

 ピカーン、と何か思い出したような顔と仕草を決めた咲夜が、エプロンドレスの何処からか封書を取り出して、主人の前に恭しく差し出した。胡散臭げにそれをつまみ上げる主人。

 

 

 「手紙か。差出人は……貸本屋『鈴奈庵』本居小鈴……あぁ、いつぞやの」

 「今日のお昼、里に食材を仕入れに行った時に、彼女から直接受け取りまして……すっかり忘れておりました。申し訳ございません」

 「ほう?開けてみるかな……なになに?…はいてい…そのごは…いがいのごぶいん?なんだこれは。多分挨拶だろうが……読めないぞ?」

 

 

 ミミズがのたくったような草書体を眺めながら、レミリアは咲夜にそれを見せる。

 

 

 「……以前、チュパの件で手紙を送った時に、思いっきり英文筆記体で寄越したことの意趣返しではないでしょうか。お嬢様の御達筆は幻想郷の一般人には読めませんから」

 

 

 「チュパ」とは図書館に籠っているレミリアの友人の愛称ではなく、「チュパカブラ」の略である。別名ツパイ。鋭い歯牙、ギョロギョロと動く巨大な目、ゴブリンを極限まで鋭く研ぎ澄ませたような容貌が特徴の、非常に可愛らしい紅魔館のペットである。以前館から抜け出し、人里で酒樽を荒らしまくった事があり、その際捕獲に協力したのが稗田阿求。そしてもう一人、本居小鈴だった。

 

 事件解決後、レミリアは鈴奈庵へ「協力感謝致す」とのお礼の手紙を送ったのだが、レミリア本人の手によって書かれたそれは、当然英語で書かれていた。小鈴の能力の応用で、英語を「読む」分には読むことができたが、書くとなると話は全く別で。

 小鈴は返事を書くのに相当苦労したらしく、5日ほど後、所々文法の誤った、だが丁寧な返書が届いた次第である。咲夜は、この小難しい手紙はそれの意趣返しではないか、と言っているのだ。その推測は完璧に正しい。

 

 

 「ふーん、なかなかやるじゃあない。今度はラテン語で書いてやろうかしら」

 「報復でございますか。世に争いが絶えないわけですわ」

 「それが三千世界の真理だよ。さて、挨拶以外はマトモに書いてあるな。どれ……」

 

 

 レミリアは前書きの辺りを折り込んで見えないようにすると、本文を読み始めた。

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 【さて、前置きはここらで一旦置くとして、御手紙差し上げました理由――本題に入らせて頂きます】

 

 【三日前、人里の郊外で、とある事件が起こりました。作物の見回りをしていた一農夫が、畑に空いた巨大な窪みを発見したのです。さらにはその窪みの中に、半分地面に埋もれるようにして、瀕死の重傷を負った若い男が一人見つかりました。男の側頭部には錐で穿ったような傷があり、その他全身に深い傷がいくつも開いていました。それはもう、誰が見ても「これは助かるまい」と思うほどに】

 

 【男の身元は不明。出で立ちからして外来人、それも西洋の人間でした。事態が事態だけに、一刻を争うということで、現場から最も近距離にあった稗田屋敷に運び込まれ、竹林の医者による施術が行われることになりました】

 

 【結果は成功。しかし、ここで奇妙な事実が判明しました。まず、男の頭部の傷。これを造った原因が、「人間の爪」であったこと――「爪」ですよ?こんなことってあるものでしょうか?――さらに、男は下半身不随であり、治療が困難であること】

 

 【それら不可思議な状況に、私たちが困惑していると、さらに奇態なことが起こりました。突然、虫の形をした妖怪――妖怪であったかどうかも分かりません。現実の怪物であったのかも――が、千にも届こうかという数で稗田屋敷を襲撃してきたのです。護られているはずの里を集団で襲う妖怪なんて聞いたことも有りませんが、その上、虫たちは稗田屋敷「だけ」を目指して攻撃してきました。居合わせた方々が戦い、私や阿求、それに昏睡している男を守ってくれましたが、網を抜けた虫が一匹、私たち三人のいる部屋に侵入してきました】

 

 【人の頭より一回り大きい、非常にグロテスクな形の虫でした。怖くて逃げ出すことも出来ずに、私は半ば死を覚悟しました。阿求も同じだったと思います。ところが――】

 

 【阿求に虫が取り付こうとした、その刹那でした。部屋の奥で横たわっていた男が突然起き上がり、指先から何かを放って、虫を撃ち殺したのです。一瞬、何が起こったのか判りませんでした。その攻撃方法の不明もさることながら、男は意識不明の重体。医者の見立てでも、意識を取り戻すのに丸一日。動けるようになるまでは何週間もかかる、とのことでしたから】

 

 【虫は残らず退治され、男も再び意識を失いました。荒らされた屋敷をある程度片付けて、その日は皆帰って行きました。しかし、家に帰ってからも私は、あの男の正体について、考えを巡らせずには居られませんでした。彼は何処から、どのようにして、なぜここに来たのか。頭に食い込んでいた爪。死んでいて当然の負傷から、たった数時間で息を吹き返したその生命力。そして謎の能力。彼がただの外来人でないことは明白でした】

 

 【翌日以降になって分かった事なのですが、彼は記憶のほとんどを失っている、とのことです。意識を取り戻してからの彼に会ってみましたが、大人の見た目、大人のしゃべり方の癖に、まるで無邪気な子供のような印象を受けました。現在、彼は稗田屋敷に滞在しています】

 

 【霊夢さんや魔理沙さんは「心配ない」と仰っていましたが、私は不安でなりません。数々の異常な性質……もしかしたら、あの男は妖怪で、記憶喪失なんて言い訳で私たちを欺いているのかもしれない。そう考えると、里の住人、特に彼の一番近くにいる阿求が心配でたまりません。それに、最近妙な出来事が多いらしくって(詳しくは天狗の方々が詳しいのかも?)……気になります】

 

 【そこでお願いしたいのです。例の「男」に会ってみて貰えないでしょうか】

 

 【レミリア様の「運命を読む」能力で、彼の本質……そして、これから先に彼が為す事を、読み取って頂けないでしょうか。彼が嘘をついていて、里の平和を乱そうとする者であれば、危機を未然に防ぐ事が出来るでしょう。逆に彼が本当に記憶喪失で、悪意のない人間であったならば、記憶を取り戻す助けにもなりましょう】

 

 【厚かましいお願いだとは存じますが、なにとぞご一考頂きますよう、宜しくお願い申し上げます】

 

 【追伸 今後とも鈴奈庵をご贔屓に!】

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 「……ふーん」

 

 

 手紙を読み終わったレミリアは、大して興味もなさそうにそう唸ると、咲夜に渡して読むように促した。

 

 

 「里で変な人間を掘り出した話とかさ、妖怪の群れの話は新聞で読んだけど……意外と面白そうな事になってるじゃない?向こうはさ」

 「面白い、で片づけていいレベルですかね、これ」

 「面白いじゃない」

 

 

 手紙から目を上げた咲夜の視線の向こうで、レミリアは空になったティーカップをもてあそびながら、文字通り悪魔的な微笑を浮かべていた。

 

 

 「私が言ってるのは、虫の群れの件よ。ここまで直接的に、人里を襲った妖怪はそういないでしょう?この事件を仕組んだ奴が居るとしたら、そいつは十中八九、幻想郷の管理者に喧嘩売ってるわね……そうでなければ、『妖怪と人間』という名の糸が危ういバランスで織り成しているこの幻想郷のルールを何も知らない阿呆か」

 「お嬢様も一回やった気が……」

 「あれとは訳が違うね。私のはあくまでスペルカードルールに乗っ取ったヤツだし。私がやったのは『畏怖』をばら蒔くこと。紅い霧なんて手段を取ったのは、『幻想郷のルールに違反しない方法で、皆に私を恐れ、敬って貰うため』よ。吸血鬼の存在意義を強化するためにね……でも、今回の妖怪はやり過ぎている。不可侵の人里に大群で乗り込んで、本気で人を襲うなんて、明らかに『ルール違犯』よ……そうね、今頃はスキマ妖怪が躍起になって、犯人を探しているんじゃないかしら」

 

 

 そこまで言い終わると、幼い吸血鬼はおもむろに立ち上がった。

 そして従者を見据える。

 

 

 「俄然興味が湧いてきたよ。咲夜、この事件の当事者たちと話をしてみたい。だから……」

 

 

 従者は二回半ほどまばたきをして、問い返した。

 

 

 「ですから?」

 

 

 主人は胸を張って宣言した。

 

 

 「決まってるじゃないか。パーティーだよ」

 

 

 もう1セットまばたきを繰り返してから、咲夜は主人の言わんとするところを理解した。

 恒例の不定期開催パーティーにかこつけて、事件の真相を探る「探偵ごっこ」と、青年の運命を見る「小鈴からの依頼」、そして「暇潰し」を同時に行おうと言うのである。

 

 

 (ただ野郎を一人呼びつけても、面白味に欠けますものね)

 

 

 頭の中で自分なりの理由付けをして、咲夜は頷いた。何の気なしに、この事件の最重要人物を「野郎」で片付けてしまったことは、完全に意識の外である。

 

 

 

 パーティーの構想・準備は急速に進んだ。十六夜咲夜を始めとする紅魔館の住人にとっては、本来膨大になるはずの「準備に掛ける時間」などは無いに等しいのであった。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 全身に駆け巡る血の熱さ……心臓の跳ねる心地よさ……

 それを冷まし、皮膚を撫で続ける冷たい風の対流……

 触覚として感じなくとも、腰骨に響いて伝わってくる、馬の全身が躍動する感触……

 

 

 今、はっきりと分かった。

 「馬に乗り、駆ける」――これこそが、僕の「本領」だ。乗り方なんて分からなかった――何かを思い出したわけでもない――それでも、この身体はひとりでに動いた。「身体が覚えている」なんて、そんな間接的なモノじゃあない。

 

 血が覚えているんだ。

 上手くまとまらない頭の中で、そんなことを考えていた。

 この瞬間が永遠に続けばいいのに――

 

 

 「……ねぇ!おーい、戻っていらっしゃいなー!」

 

 

 と、どこかから聞き慣れた声がして、僕を違う世界から呼び戻した。

 手綱を引っ張ってやると、速度が緩まる。早足ぐらいのスピードに戻してから、声のした方を振り返って見ると、牧場の向こうで阿求が手を振っていた。その奥の方では、さっきの馬丁さんがぽかん、と呆けたようにこちらを見ている。そんな顔をしないでくれ……こっちだって知りたいくらいだ。どうしてこうも上手く行ったのかを。

 

 

 「やってしまいましたねぇ」

 

 

 阿求の元へ帰って、馬から転がり降りた(背に登るときと、全く逆の要領だ)後の僕に投げ掛けられた、それが阿求の第一声だった。

 

 

 「あぁ……なんとかなってしまった」

 「あら。『必然』のことではなかったの?」

 「偶然ではない……けど、かなり勝手に身体が動いた感じだった」

 

 

 僕が正直にそう言うと、阿求はいつものようにくすりと笑った。

 

 

 「この間、私と小鈴を助けてくれた時もそうでしたね。貴方らしいと言えば、そうなのかも……でも、私は何となく『何だかんだ、結局乗っちゃうんじゃないかなぁ』なんて思ってたわ……あぁ、怪我とかしてない?」

 

 

 大丈夫だ、と返答しながら、僕は車椅子に這い上る。なんだか、馬に乗るよりもこっちのほうが面倒なように思えてきた。我ながらおかしな事だと思う。

 僕は車輪を少しだけ進めて、こちらに背を向けたまま佇んでいる馬丁の男に声を掛けた。

 

 

 「なぁ……あの馬、譲ってくれないか?……やっと見つけたんだ」

 

 

 男は少し身を震わせたが、こちらを向くことはしなかった。しばしの沈黙が流れる。

 

 

 「……死んだ旦那様に、退職金代わりに頂いたモンだ。タダで譲るわけにゃいかねぇ」

 「そうか……じゃあ、『対価』を用意できれば、譲って貰えるんだな?」

 「現金なら考えてやらんこともねぇ……全く、滅茶苦茶な野郎だ……」

 

 

 半ば諦めたような声。でも、今は好意として受け取っておこう。そうと割り切ってでもいないと、正直やっていられない。

 決めた。あの馬は、自分の力で僕のモノにしてみせる。なんとかして金を稼いで買い取るんだ……持ち主が金を要求してくるなら、それでいい。金銭での取引なのだから、安いものだ。

 

 

 【――命を懸けた取引に比べれば――】

 

 

 急に、頭の奥の方を不吉な言葉が横切った。命を懸けた取引……?失敗もリセットも許されない、一度きりの賭け……魂のチップを賭けて、「運命」とか、そんな感じの大仰な名前が付いたルーレットを回す――殺し合い。

 

 もし、僕がそういう「取引」を経験してきた人間だとしたら?

 僕が今立っているサイドは……「生」か?「死」か?どちらだ……それさえはっきり――

 

 

 「さて、そろそろおいとましましょうか。冷えますし……ほら、帰りますよ」

 

 

 阿求の声で、再び思考の海から引き出される。いけない、この間からどうも「ありもしないこと」に囚われすぎているようだ。さっさと現実を直視しなくては。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 さっきの女中さんに見送られて、塩屋敷の門を出る。僕が馬に乗っていた一瞬の間止んでいた雪が、また降り始めている。冬はこれだから嫌だ、早く春になってくれないかしらねぇ……などとぼやいている阿求。ふと、その手に封筒のような物体が握られている事に気がついた。

 

 

 「阿求……それ、何だい?」

 「あぁ、これ。とあるお屋敷から来た、『宴会招待状』です」

 

 

 宴会……パーティーへの招待状?

 そんなもの、いつの間に貰ったのだろうか。

 

 

 「貴方が夢中になって馬を乗り回している間に、ね。お屋敷のメイドさんが……」

 

 

 なるほど、それは気づかないわけだ。

 

 

 「どんな屋敷なんだ?」

 「大きくて紅い、窓の少ないお屋敷ですよ。人里から少し離れた、湖のほとりに建ってます。幻想郷で一番大きな建物の一つなんじゃないかしら?」

 

 

 紅くて窓が少ない?何だそれは?住んでる人は感性がどうかしちゃってるんじゃあないだろうか。第一、赤い壁の豪邸を見たことがない(と思うだけだが)。その上窓が少ないとなると、その屋敷は、相当異様な雰囲気に包まれているんじゃあないだろうか?そんなところに行くのか、阿求は?

 

 

 「何を言ってるんですか?貴方も行くのですよ」

 

 

 ……どういうことだ?

 

 

 「お屋敷の主人が『話をしたい』とかで……いえ、彼処の主人は珍しい物が大好きですから、貴方の噂を聞いて、単純に興味を抱いたんじゃないかしら……ま、何にせよ妖怪の考える事はよくわからないけれど」

 「待てよ……アンタ今『妖怪』って言った?」

 「ええ、それはもう飛びっきりの上位種です」

 

 

 僕の反応を楽しむかのように、阿求はころころと笑っている。

 

 

 「彼女、吸血鬼なのよ……ふふっ、貴方、アレを見たらびっくりするかもしれませんね、色々と」

 「吸……血鬼?」

 「そう。ヴァンパイアでもドラキュラでも何でも良いけれどね」

 「危なくないのか?だって……吸血鬼だろ?」

 「無礼を働いた人間やら侵入者はいざ知らず、パーティーに呼んだ客人を喰い殺すような無粋な真似を、彼女はしないわ。吸血鬼は礼節とか契約の類いには敏感だし……何より、カリスマを失うことは同時に、吸血鬼の存在意義の喪失に直結してるから。あ、いくら安全だからと言っても、あんまり目を合わせないようにね。魅入られちゃうから」

 

 

 いや……それ、どうしても行かなくちゃあいけないんだろうか。正直、腰が退けるんだけど。

 

 

 「ふー、歩きながら話すのもアレですし、詳しいことは家に帰ってからですね。でも、私の話が終わる頃にはきっと、『行こう』って気になっていると思いますよ?」

 

 

 さっぱり訳がわからない。僕が自分から吸血鬼の元を訪れたくなる?

 彼女が冗談を言わない質なのは知ってる。じゃあ……

 

 

 その館に……その吸血鬼に……一体何が有るというんだろうか?

 疑問符だらけの僕を置いて、阿求は足取りも軽く先を歩いていく。

 

 

 

 

 







 タイトルはUKのロックバンド、「KEANE」が2006年にリリースしたアルバムの楽曲「Is it any wonder?」より。ギターレスの鋭いメロディーがアレな名曲です。

 駄文につぐ駄文。作者も成長したい。


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