――私の日常。――
騒動から一週間位が経ちいつも通りの日常に戻っていた。あの場にいなかったファミリーや源さんにも総一郎は自身の過去を話し、それでも友達でいてくれるファミリー達や源さんに感謝した。燕以外に心を開いたのは初めてと言える、京にとやかく言えない程に総一郎は闇を誰にも打ち明けていなかった。実際京にはかなり怒られた、正直意外とも言えたが珍しく眉間に皺を寄せ誰もいないところで色々言われた時、総一郎は本当に申し訳ないという気持ちと少し――かなり嬉しかった。大和に京の閉心傾向の酷さを聞いていたため、心を開いてもらうためにどうにか頑張っていたが、まさかここまで心を開いてくれるとは思ってもいなかった。
詫びの為に更なる後方支援を確約した契約が、二人の悪だくみをする時に交わされる笑みによって行われたことを知るものはいない。
実感する者はいたが、それはまた後の話。
何故なら明々後日には学生生活最大の鬼門――期末考査がある。
川神学園は文武両道以上に競争心を重きに置いている。だからなのか学力試験の数は少なく、前期後期で一度ずつしかない。つまり「己を磨き、一度で決めろ」という理由で前期後期一回ずつなのだろう、これを聞いた時総一郎を含め川神鉄心という人物を知っている者はその言葉に納得してしまった。
試験が少なければ喜ぶものも多い。実際、範囲は多いが少しずつやっていけば平均点以上は取れる、それは大和も言っていたが実践できるかと言えばそう簡単には行かない。
期末考査を明後日に控えた金曜日、金曜集会ではファミリー一同による勉強会――ガクトと一子が赤点を取らないために詰め込み作業を行っていた。
「じゃあワン子は俺と京が」
「分かった、ガクトは俺が見る。モロも分からなかったら聞いてくれ」
大和と京は一子担当。ガクトとその他は総一郎が担当となった。ファミリー内の学力格付は大和がトップでその次が京、無難なモロ、百代、キャップは試験中に寝る、そしてガクトと一子が同率で最下位だった。
「皆大変そうだなー」
「そうだなー」
勉強しないキャップとする気もなく教えてくれる奴がいない百代はソファで寝転び何度読んだか分からない漫画を読み漁ってまるで他人事だった。キャップは進学する気はなく、赤点をギリギリ取らないのでファミリー内では放置されている。
百代もいつもはそう言う立場だったが、総一郎がそれを許すわけもなく、百代が両手で持っていた漫画が視界から消えていた。
「……おい総一返せ、私はやることが無い」
「漫画がないなら勉強すればいいじゃない」
「……いや、誰も教えてくれる奴いないし」
その時百代の前に出されたものはシャーペンと二年用の薄い問題集が十冊ほど、呆気に取られていた百代が視線を総一郎に移すと総一郎は口角が異常に吊り上がった笑顔で百代を見ていた。
「え、いや、私わからない――」
「大丈夫、俺が教える」
「教えるって――」
「俺、二年生の授業分かるから」
一歩引けば一歩詰め寄る、二歩引けば三歩詰め寄る。百代に逃げ場はなく、何故総一郎が二年生の授業内容を知っているのか疑問を持つことすら考えなかった。
「……なるほど」
「よし、二十分後に答え合わせ――はい、始め!」
「ちょ!」
百代が問題集と格闘してから三十分程、総一郎の指導は思ったよりも的確で、勉強をするという好奇心を生み出すことは出来なくとも、分からないという苛立ちを覚えることなく百代は予想以上に勉強がはかどっていた。
「お姉さまが勉強してる……」
「すごい光景だね」
「すごい光景だ。だからワン子も頑張るぞ、ほら飴だ」
渡された飴を荒々しい音を立てながら噛んで一子は姉に負けじと集中力をできるだけ勉学に向けた。大和と京は感心していた、百代に勉強を指せている総一郎と一子が勉強に集中力を裂いていることに。一子はどうしても勉強に集中力を転換させることが今までできなかった、鍛錬はあれほど精をかけてやっていても好きなことではない勉強に時間を割きたくなかったのだ。
「わかんねえよ!」
「なんでだ……」
そんな二人の後ろでガクトが叫んだ、その隣で総一郎は膝を着いている。
「どうしたの?」
京が誰に発した言葉でもない、この場にいる者で事情を知っている者に聞いた。答えたのはモロだった。
「えーと……ガクトが馬鹿過ぎて総一郎が教えても分からないって言うんだ」
集中している百代と一子は反応を示さなかったが大和と京は明らかにガクトを蔑んでいた。
「なあ、大和」
総一郎が言った。
「ガクトが裏口入学って話――」
「違げえよ! それは只の噂であってな……」
ガクトが狼狽して誰かに助けを求めるも大和、京、モロの三人はガクトの視線から目を逸らした。
「誰か否定しろよ!」
悲痛な叫びが部屋に鳴り響く
♦ ♦ ♦
月曜日、期末考査当日。
「ガクト、三十点以下だと赤点で補習を受けることになるって知ってるか?」
「当たり前だ!」
結果だけ言えば悲惨である。
百代と一子はなかなかの成果が期待できるだろうが、ガクトはそうもいかない。これは大和、京、総一郎で下した結論だった。
決して裏口入学ではないが、ファミリー総出でガクト―― 一子もそうだが受験勉強を手伝ったおかげでガクトはこの川神学園に入学できた。そして今回の期末考査はこの学園に入って一番初めの試験、それまでに勉強をしていればいいが入ってから浮かれているのか全く勉強をしていない、そのせいで総一郎の指導も甲斐なくガクトの試験勉強は悲惨無残な結果になってしまった。
「どうすればいいんだ総一……!」
総一郎の隣の席でガクトは狼狽えていた。
「頼む……! なんかいい案出してくれ、何でもするから!」
恐らくネタではないだろう、この状況で冗談でも言えたならガクトは相当なできる人間だったはずだ。だが、そんなガクトはこの世に存在しない。きっとガクトは赤点を取って補習となれば夏に女の子をナンパする時間が無くなる、と本気で言う奴だ。
「補修があると女の子をナンパして水着姿を拝むことも出来ない!」
いい意味でも悪い意味でも総一郎は清々しい気持ちだった。
「しょうがない」
「……! ほんとか!?」
「ああ、待ってろ」
筆箱から総一郎は「9H」と書かれた鉛筆を取り出した。一回も使われていないようでかなり長い、鉛筆削りではなく何かの刃物で丁寧に削られたようでかなり尖っていた。そうして総一郎は右斜め後ろにいたキャップのところへ。
「キャップ、気の成果を見るからこの鉛筆を握って気を集中させてみろ」
「お、いいぜ! 見せてやる!」
キャップは「うおおおおお」と言いながら鉛筆を折る覚悟で右手に意識を集中させた。
「どうだ!」
「すごいすごい、天才だ。直ぐに使えるようになるかもね」
「ほんとか!」なんてキャップが言っているうちに鉛筆を貰った総一郎は席に戻った。そして隣にいるガクトへそれを渡した。
「なんだこれ」
鉛筆だけ渡されたらそういう反応をするだろう、しかも今まで見ていた行動自体不可思議だった。
「困ったら転がせ」
「て、てめえ」
「英語の時だけだ、それ以外は使うな。わかったな?」
抗議の声を上げたいけれども総一郎の顔が何故か怖かった。
試験が始まり各々が敵に立ち向かう。川神学園全校生徒が共通の敵を持つのはこの時間だけだろう。
一時限目の数学が終わり英語へと移る。ガクトは一問目から頭を悩ませてその時諦めかけていた。
(くっそう……! どうすればいいってんだ――鉛筆……ええい! 分からないならやるしかねえ!)
隣で小刻みに音が鳴ることに気が付いた総一郎はカンニングと疑われない程度に視線を向けてすぐに戻す。たとえ横を向いたとしても音に反応したとでもいえばなんとでもなる、それはガクトも同じで仮に点数が取れたとしても鉛筆が優秀だったといえば何の問題もないのだ。
その週の終わり、金曜集会――そして試験最終日。
「試験終了を祝して乾杯!」
秘密基地で期末考査終了の宴会が行われている。学生生活で最も厳しい一週間が終了すれば安堵して宴会も開きたくなる、テーブルにはジュースやお菓子、オードブルなどが盛大に振る舞われている、金は勿論全員から徴収してある。
「いやー今回はちょっと点数いいかもな」
「お姉さまも? 私も思ったよりできたわ」
ファミリー内学力格付けワーストスリーの二人は何時もならば意気消沈しているはずだが今回ばかりは余裕があった。それには大和も同意している。
それも意外だが、今回一番意外だったのは紛れもなくガクト。頭を抱えているかと思えばどこか意味ありげに腕を組んで目を閉じている。
「……ガクトはどうだったの?」
そんなガクトに恐る恐る聞いたのはモロだった。しかししばらくガクトから返事は帰ってこない、総一郎以外の全員が普段からは想像できないガクトの姿に息を飲んでいた。
「……大丈夫かもしれない」
「え?」
「赤点は免れているかもしれない」
「え!?」
「え!? ってなんだよ!」
正反対の答えに驚いたのは一子とモロ。それ以外の者も声には出さないが驚きを隠せていなかった。
ガクトは赤点確定――それが全員の予想だったからだ。
「まあ、わからんが。取りあえず月曜日が怖いのは確かだ」
「一体どんな手を使ったの総一!?」
一人総一郎は紙コップを片手にトッポを咥えていた。
「……秘密」
試験疲れを癒すためファミリー一同は秘密基地近くの原っぱでその名も「川神式キックベース」に興じている最中だ。特に体を動かすことが好きなファミリーにとっては家で寝ているよりもスッキリすることだった。
して、「川神式キックベース」とは。
「こりゃ一体どういうこっちゃ」
そう不満げに呟いたのは仁王立ちで外野に一人立っている総一郎、内野には百代一人。
つまり総一郎、百代VSその他モロ以外の風間ファミリーである。
「楽しくねえ!」
「まあ、そういうな」
ピッチャー無し、総一郎、百代ペアは目隠し、ファミリーチームは何時でも蹴ってよい、制限時間は一時間、五点取れればファミリーチームの勝利、一時間耐えきれれば総一郎、百代ペアの勝利。
明らかに労力に差がある遊びに不満がないはずがない。しかし百代が乗り気なのはその勝利特典にある。
「勝てばみんなが奢ってくれるらしいからなー」
「大和覚悟しとけよ!」
「なんで俺だけ……」
珍しく総一郎が不満げな中モロの掛け声でプレイボール――
「じゃあ俺様が一発かますぜ!」
「お、ガクトか。モモちゃん任せろー」
「……そう簡単にいかないぞー」
「え?」
「行くぜ!」とガクトがボールを蹴る音が聞こえる、予想がつけ辛いが空気の音や発射時の音でどうにか着弾地点を――
「な!?」
ガクトの蹴ったボールの着弾地点を予測した段階で総一郎は一つの失念に気付かされた。それは先程百代が言っていたように簡単にはいかないこと、この勝負には百代と総一郎に奢らなければならないという賭けがあるのだ。
ならば大和が本気にならないわけがない。
「悪いが総一、勝たせてもらうぞ」
ガクトの強力なシュートとは別にかなり緩い山なりボール、さらには総一郎自身を狙ったような弾丸ボールが不規則に外野へ襲い掛かってきた。百代は内野で総一郎から送られるボールを待っている、総一郎は一人でこの無数のボールを対処しなければならなかった。
「決めた」
そう呟いた言葉はきっと誰にも聞こえなかったが、その行動で今総一郎がどんな心境であるのかが把握できた者は多いだろう。
ガクトのボールと弾丸ボールをキャッチして地面に落ちてしまった山なりのボールを総一郎は本気で蹴ったのだ、そのボールは一塁に居た百代の右手に轟音を鳴り響かせてすっぽりはまっていた。
「さーて、五つ星位で勘弁してやるよ」
頭に血管を浮き出させて清々しいほどにその表情は引き攣っていた。
♦ ♦ ♦
川神学園月曜日、試験の結果が現在廊下に張り出されていようとしていた。不安げに見つめる者もいれば単純に確かめたいという好奇心で張り紙を待つものもいた。成績優秀者五十位までしか張り出されないので一子やガクトモロなどはあまり関係のないことだったが、実力を確かめたい大和や大和の隣に名前が並びたい京は、無理やり連れてきた総一郎とともに廊下で梅子が手に持っている鞭で張り出されるのを待ち望んでいた。
「いいか皆の者、よく聞け! 今から試験結果を張り出す、だがよく覚えおけ、ここでは守ってほしいことがある。それは押さない、駆けない――正気を保つだ!」
試験結果程度で、と思うかも知れないが、実際Sクラスの人間は五十位以下になるとSクラスから除名処分となる。その意味での正気を保つだった。
そして試験結果が張り出される。
「えーと、俺は……三十二位か、まあ妥当か」
「私は四十位だね、もうちょっと頑張ればよかった」
Fクラスの人間が五十位の中に入っていること自体がすごいともいえる。集団の中にはどうやら正気を保てずに倒れ込んでいる者もいた。そんな中一際目立つものが三人ほどいる。
「フハハハハハ! やはりわが友トーマにはまだ勝てんな!」
「ふふ、英雄もさすがですよ」
「いきなりSクラス落ちとはなさけないのう、ほほほほ」
額にバッテンの傷がある金色の男、褐色でメガネのイケメン、着物を着た傲慢知己にみえる少女。
「あれが九鬼財閥の長男、九鬼英雄。葵紋病院の跡取り息子、葵冬馬。日本三大名家不死川家の不死川心か」
どこかの奴そう呟いたのが聞こえた。入ってまだ三カ月ほど、しかもSクラスはかなり選民的な所があるので他クラスとの交流があまり盛んではない、遠目に見ることはあっても間近で声を聞くのは初めてといえた。
「む? この三位の者は誰だ、Sクラスにこんな人物がいたか?」
「塚原? どこかで聞いた名じゃのう」
「ああ、私と同じエレガント・チンクエの一人である塚原総一郎君ですね――ほらそこにいますよ」
冬馬の言葉で生徒の視線が総一郎に集中した。
「え、俺三位!?」
そんな間抜けなことを言っているとその三人が総一郎の前に現れる。
「お前が塚原か?」
如何にもな態度で英雄は総一郎に名を訪ねている、しかしその隣にいる心とは違ってそこまでの不快に思うことは無かった。俗に言われている九鬼家の王属性と言う奴だろう、と勝手に総一郎は納得した。
「ああ、京都の塚原家嫡男、塚原総一郎だ。よろしく」
そこで総一郎は右手を差し出して握手を求めたが英雄はそれを返そうとはしなかった。その前に心が口を挟んだからだ。
「どこかで聞いた名前だと思ったら、なんじゃ塚原君か」
「どうも不死川――いや、ここちゃん」
どこかで誰かが吹きだす音が聞こえる、後ろにいた大和も背を総一郎に向けて小刻みに肩を揺らしていた。冬馬はただ笑みを浮かべるだけだったが英雄は豪快に笑い飛ばしている。
勿論、当の本人は顔を真っ赤にして総一郎に掴みかかっている。
「どうしたここちゃん? 顔が赤い」
「お、お主、止めぬか!」
「えーだって昔ここちゃんって呼べって言ったのはそっちだろ」
「にょ、にょわーーーー」
耐え切れなくなった心はそのまま総一郎を放り投げて走り去る。投げられた総一郎は軽々と着地して改めて英雄の前に右手を差し出した。
「生前は師匠の雲林院村雨がお世話になったそうで」
「何? 村雨殿の弟子であったか! 挨拶が遅れたな、我は九鬼英雄! 村雨殿に世話になったのは九鬼の方よ」
村雨が九鬼と関わりがあった程度のことしか本当は知らないが師が人の役に立っていたということが少しだけ嬉しいと思う総一郎だった。
「こっちも挨拶が遅れた、よろしくな九鬼」
「他人行儀なのはよせ、我のことは英雄と呼ぶがいい!」
そこでようやく英雄と総一郎は握手を交わした。
「おやおや、私とはよろしくしてくれないのですか? 妬いてしまいます」
冬馬が総一郎の前に立つ周囲の女子が歓声を上げて急に色めきだした。勉学に興味がないエレガント・チンクエのキャップや源さんは冬馬と会合することが余りない、二年の京極彦一は学年が違うため居る筈もない。冬馬とエレガント・チンクエの一人が会合するのは初めてのことだった。
褐色メガネの甘いマスクと少し女っぽいワカメのような癖っ毛爽やか系。
そして冬馬はバイだった。
「それ以上近づくんじゃあない、冬馬」
「酷いですね、英雄とは積極的に関わろうとしているのに。不死川さんとも何かあるようですし」
酷いですね――と言っているのに表情は妖美な笑みを浮かべて少しずつ総一郎に近づいて行っている。どうにか逃げようと後退する総一郎だったが後ろに運悪く壁があり追い詰められ、接近している顔を見ないように目を逸らして両手で壁を作っていた。
「い、いや、英雄とは間接的に――間接キスじゃない……師匠が九鬼に関わりがあってだな、ここちゃんは――とうちゃんは勘弁してくれ……不死川とは家同士の繋がりがあったりして――ち、近い!」
総一郎の耳には一切入ってこないが周囲の生暖かい歓声と渇望のまなざしは勢いを増していた。特に京。
「おーい若、それぐらいにしとけー」
「チョコマシュが困ってるのだ―」
総一郎にとって天からの救いとも言える手を差し伸べたのは髪が白く肌も白い少女とハゲだった。
「おや、準にユキ」
二人が現れたことで冬馬はようやく総一郎から離れて二人の元へ歩いて行った。どうやら二人が来るまでの遊びだったようだ、半分ほど。
「た、助かったぞ。ユキにハゲ……」
「お前絶対感謝してないだろ」
「お礼にマシュマロを寄越すのだー」
ハゲの名前は井上準、冬馬の幼馴染で父親が葵紋病院の副院長をしている。ユキと呼ばれる少女は榊原小雪、かなり天然だがそれが愛嬌とも言える。
「あれ、総一は三人と知り合いだったのか?」
「ああ、少し前にな……」
小雪は大和に「大和、あげるー」と言い、京とも「どう?」「ぼちぼちでんなー」とらしい会話をしている。後から聞いた話によればどうやら一時期一緒に遊んでいた時があったらしい。
「ええ、少し前にあんなことやこんなことがありましたね」
「変な言い方をするんじゃない!」
いつもはもっとまったりとしている総一郎がここまで動揺している姿も珍しい(怒り狂った姿は見たことがあるが)少しからかってやろうかと思った大和だったが、先日の川神式キックベースで迎えた恐ろしい結末を思い出して言葉が喉から出る寸前でどうにか止めることができた。
「エレガント・チンクエが決まった時に若と俺とユキで会いに行ったんだ」
「そしたらチョコマシュマロをくれたのだー」
「私は総一郎君が欲しいです」
「もう……やめてくれ……」
怒涛の攻撃に総一郎はここにいる誰よりも意気消沈していた。
「フハハハハ! トーマよそれぐらいにしておけ、もうすぐ授業が始まるぞ」
「それもそうですね。では総一郎君、デート楽しみにしています」
「ではな総一郎!」
「じゃあな総一、正気を保て」
「マシュマロはー?」
押しに圧され、駆け足で物事は去り、総一郎に正気は残っていなかった。
かなり遅れました。
他の話とか色々読み漁っていたら結構時間が経ってましたすんません。
アンケートでやった奴ですが、取りあえず一話だけ全部上げようかなって思います、ほぼできてるので。
流石に勢いもなくなってきたので多分更新遅れます。初めの頃あんだけの更新が良くできたよなあ。
次も頑張ります。