真剣で一振りに恋しなさい!   作:火消の砂

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結構遅れた?


塚原拾弐番篇
初戦――努力対未熟――


 総一郎は自身の精神状態を危うんでいた。

 躁と鬱が入り乱れ、このままでは剣士として全てを失ってしまう。

 

 そこで彼はあるヒントからその答えを導きだした。

 

 塚原拾弐番――

 

 

 

 

「ま、つまり手練れ十二人と勝負して倒す、負けてもいいけど」

 

「お、じゃあ私から」

 

「モモちゃんは無しで」

 

 今年の体育祭が水上体育祭になったと発表された日、総一郎は川神院へお邪魔していた。今は百代の部屋で寛いでいるが彼は鉄心とルーの帰宅を待っていた。

 百代の口が曲がっているのは今の話のせい、そしてこの話を二人にする為ここ来ている。

 だが急な話だ――百代はよくよく考えてその思考に至った。夏からはたくさんのイベントがある、それに関係してるのかとも考えたが彼女は心の中で首を振った。彼に限ってそれはないだろう。

 その思考は正しい――ではなんだろうか、百代は問いただすことに決めた。

 

「急にどうしてだ?」

 

「このままじゃ俺は武士として全てを失うかもしれない、だから戦うんだ」

 

「……なるほど」

 

 彼女にしては早い理解――いや、だからこそか、彼女だからこそ総一郎の事を理解したのかもしれない。燕と比べ過ごした時間は少ないが交わした意志の質は相当なものだった。

 

「今の所戦ってみたいのはルー先生と釈迦堂さんと辰子さん――」

 

「まてまて、お前釈迦堂さんと知り合い……辰子ってだれだ」

 

「まあそれは置いておけ。あと弁慶と揚羽さん由紀江ちゃんと後は……鉄っさん」

 

「爺かぁ……というか私がやりたい奴らと大体一緒だな」

 

「モモちゃんは壁越えなら誰でもいいでしょ。他に戦えそうな人いない?」

 

「うーん……ヒュームさんは?」

 

「もうやった」

 

「なんだと!?」

 

 失言に気が付いたのは胸倉を百代に掴まれてからだった。

 わーわー百代が叫ぶのに比例して彼の脳みそもぐわんぐわん混ざられていく。

 

「うげえ、やめてー」

 

 と、呟く。そうすると最悪の形で手が離されて床に頭が打ちつけられた。クラクラして視点が定まらないなか、更に痛みが総一郎へ追い打ちをかけていた。

 そんな彼を他所に百代は改めて思い当たる人物を思い浮かべた。すると二人、一人は戦ったことがないが一人はかつて武道四天王だった者。

 

「橘天衣さんと鉄乙女さんか……」

 

「乙女さんはもう現役を退いてるから揚羽さんと違って戦ってくれるか分からないけど、橘さんなら……でも今は四天王の称号を剥奪されてどこに居るか分かんないけど」

 

「なるほど……じゃあ鉄さんに当たってみる。橘さんはヒュームさん辺りに聞けば何か知ってるだろう」

 

 総一郎が頭の中にメモをして頷いているといつの間にか六時、一子の元気な声と共に二人の気配が川神院へ入ってきた。

 総一郎はすぐに玄関へ向かう。心の奥底にある焦りからその足取りは殆ど走っている様だった。

 

「おや、総一郎」

 

「来ていたのかイ」

 

 一子も総一郎の元に寄っていくが、すぐに彼の様子がおかしいことに気が付き、話しかける寸前で停止した。遅れて百代もやってきた。

 

「ルー先生、鉄っさん、俺と本気で勝負して下さい」

 

 「お願いします」と小さく呟く彼はそれ以外の方法を知らない、そんな様にただ頭を深く下げていた。

 唐突、そして切実さ、そんな姿の総一郎を一子と百代は複雑な表情で見ていた。

 

 

 

 

 

♦  ♦  ♦

 

 

 

 

 

 

 

 塚原卜伝は一度も負けなかったという。決闘、戦、全て合わせ傷を負ったのは六つ度、刀傷はほぼなく、鏃が殆どだった。

 一度も傷を負うこと無く死ぬ間際、小刀で指を切ったあと直ぐに天に召したなんて逸話を持つ者もいたが、その二人が出会うことはなかった。

 塚原卜伝が臨終を迎えたのは当時ではあり得ないほど高齢の八十二歳、しかも死ぬまで現役。十七歳の時、清水寺で相手を斬り殺すとその後二百十二人もの相手を葬ってきた。そんな卜伝は慎重な人間でもあり、血気盛んな若者との戦いは頭を使い避けることもあった。

 塚原卜伝も一度も傷を負うことはなかった本多忠勝も結局は一度も負けなかった。

 それがかつての百代であり、今の総一郎だ。

 

 だが。

 百代はそれを楽しんだ上で自分を倒せるような者を望み、中々それに出会えなかったが総一郎と出会い彼女は変化した。

 総一郎はそれに何一つ感じず、自分を倒す者を望むこともしなかった。そして彼は変化したが意識と心が連動せず、精神的に壊れかかってしまった。

 自我を手に入れたかと、心を強くしたかと思った矢先、彼の精神を襲ったのは拭いきれない過去、息の詰まる重圧――塚原の呪いは最後の最後まで彼を苦しめた。

 しかも皮肉なことにそれを語らずに感じ、黙って了承できるのは武を極めた者のみであった。

 

「では明日来なさい」

 

 門の前で総一郎はそう言われると黙って頭を下げた。

 その足で彼は帰宅する前に大急ぎである場所へ向かった、考えてみれば会うのは何時振りだろうか。殺風景な工場地帯、東西交流戦とは違って碌な明かりもない、まだ七時半過ぎだというのに窓から洩れる光すらない。

 だからこそ総一郎はすぐにその家を見つけることが出来た。

 呼び鈴を鳴らす――出ない――呼び鈴を連打した。

 

「うるせぇぇぇ!何時だと――あれ、総一じゃねえか久しぶりだな!」

 

 赤毛のツインテール、前に会った時とちっとも変わらない彼女の名前は板垣天。総一郎は半年ぶり位にこの板垣家へ――もとい、釈迦堂と辰子へ挑戦状を叩きつけに来ていた。

 だが生憎二人とも留守であった為、取りあえず天にせがまれたので総一郎は晩飯を作ることになった。

 

「ええ!釈迦堂さん仕事してんの!しかも梅屋!」

 

「マジだぜ。ちょっと前に金髪の爺が来て師匠はなんかぶっとばされちまったんだ」

 

「……ああ、なるほどね」

 

 おたまを片手に納得する彼の表情は冴えない。

 

「そういえばなんで来たんだ?」

 

「ああ、それは――」

 

 と、卓袱台の所にいる天の方へ振り返る、そうするとタイミング良く板垣家の玄関に四人の姿。もっといえば彼が来た目的の二人が鼻をスンスンと鳴らし、甘い醤油の香りを放つ金目の煮付けに視線を向けると必然的に二人と総一郎は目があってしまう。

 近寄って抱き付く辰子とは裏腹に、釈迦堂は総一郎の意図を汲み取り、ただ獰猛な笑みそしてただ歓喜を噛みしめるかのように中指を鳴らした。

 

 

 

 

 

初戦――ルー・イー

 

弐戦――板垣辰子

 

参戦――武蔵坊弁慶

 

肆戦――黛由紀江

 

伍戦――釈迦堂刑部

 

陸戦――九鬼揚羽

 

漆戦――未定

 

捌戦――未定

 

玖戦――未定

 

拾戦――橘天衣(仮)

 

拾壱戦――謎の変態女X

 

終戦――川神鉄心

 

 

 

 その日の夜から朝にかけてまで総一郎は一切睡眠をとることが出来なかった。興奮――戦闘意欲――どれでもない、まだ遠足前の方がワクワクしていた。

 体が温まらない、布団をどんなに羽織ってもこの梅雨時期に体の冷えが治まらない。恐怖か、殺し合いの恐怖が彼を襲っているのだろうか。

 風呂に入ることも忘れ、食を拒み、彼特有の癖っ毛は弁慶が顔を顰める程酷いものであった。

 だがそれでも彼に声を掛ける者は一人もおらず、彼もこの日は全く何にも手が付かなかったのでそれはありがたかった。彼を陰から見ていた百代が計らったようだが、彼がそれに今気が付くわけもない。

 だが、そんな彼の事を気にも留めず、進んで声を掛けようともしない者が居た。百代から全員が不自然に思っているだろう。

 

「燕」

 

 納豆の唄を口ずさみ納豆を練り売り歩いている燕を見て、思わず百代は声をかけてしまった。怒りは覚えない、彼女だからこそ思うこと、知っていることがあるはずだ。

 

「ん?どうしたのモモちゃん」

 

「あ、いや……総一郎の事はいいのか?」

 

「え?何が?」

 

 知らないのか――という思考は直ぐに消えた。塚原拾弐番の話を聞いていなかったとしても彼の状態から何か感じ取るのは容易なはずだ。

 

「燕――」

 

 少し語気が強くなったかもしれない。百代はそんな思いを抱きながら名前を呼ぶが、燕はすぐそこの廊下、一瞬だけ通った総一郎に視線を合わせた。

 

「知ってるから」

 

 燕が彼になんとも思っていないわけがないのだ。今日一日中、彼女は彼を探しながら目に止まれば必ず見た。みすぼらしい彼の姿、それに嫌悪することもなくただ思いを彼に聞かせた、心の中で。

 

「最悪はもう総ちゃんには無い。多分寝てないのと風呂に入ってないのとご飯食べて無いんでしょ、あと夜朝の髪の手入れをしてない」

 

「それが最悪じゃないのか」

 

「うん。恐怖で寝て無かったら学校何て来てないよ。きっとあれだね――」

 

 燕はいつもの意地悪い笑みを溢した。

 

「楽しみで仕方ないんだよん♪」

 

 総一郎は生まれてこの方、遠足にいい思い出などないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

♦  ♦  ♦

 

 

 

 

 

 

 

時は戦国也――ルーと総一郎の決闘を見届けに来た大和はそんな思いを抱く。

 

 遡ること一時間前。放課後に呼び出された大和、モロ、京、ガクトは目的地の川神院へ来ていた。

 だが門前にて早々、ガクトの表情を曇りだし、震えていた。モロも少し小刻みに揺れている。

 

「……なんかすごいな」

 

「とんでもない気、総一郎だね」

 

 中には恐らく臨戦態勢の総一郎がいる。ずぶの素人ながら気に晒されてきた彼にすればまだまだ大丈夫であるが、右足が早くも引いている。どさくさで腕を絡め、胸を押し付けてきた京に縋るしかない。

 そんな大和はふと気が付く。この中に居る筈の百代の気が感じられない。すごい勢いで京を抱きしめ(抱き付いている)彼女の胸を触っていることに気が付いていない大和は恐らく彼女の悶絶具合も知らないだろう。それぐらい百代の気が感じられないのは奇妙だ。いくら成長したとは言え百代が――一切――気を発しないのはおかしい。

 その答えも武道場に着くとはっきりした。

 

 ルーと鉄心、総一郎と百代。それぞれが右端左端に別れ、当事者ではない二人はセコンドを兼ねているようだ。

 ルーの状態は非常に穏やか、だが鋭くその表情に笑みは一切ない。鉄心がセコンドであるがそれは殆ど形式上の問題だろう、ルーはベテランの武闘家、総一郎がどこまで力を出せるか分からないがただで勝つことも負けることもしない。教え子の為、ルーは本気を出すつもりだ。

 そして反対側の総一郎と百代。百代は大人しく、総一郎も大人しい――と勘違いはすぐに正される。総一郎の気は凄まじいほどに獰猛であった、いつもの彼ではない。

 百代はそれを刺激せず、いつもの彼に戻す努力をしていた。その為、彼女は気に呼応せず笑みを浮かべながら総一郎をリラックスさせていた。

 

「姉さん……」

 

「すごい成長具合」

 

 遠くで見ている四人は百代と総一郎が深呼吸をして気が落ち着いていくところを見ていた。

 少しずつ収まっていく獰猛な気、それに入れ替わる形で緩く鋭い静の気が彼を纏い出した。そして百代が頷くと彼から離れていく。

 それを察した鉄心も次第にルーから離れていった。

 少し遠巻き、大和一行も観戦体勢に入った。

 

「結界は既に張っておる、気にせず戦うといい。両者ともできる限りの力を出すように。どちらか一方が倒れるか降参するまで続ける、良いかくれぐれも忘れるでないぞ――致命傷でも止めぬ」

 

 四人は心構えが足りなかったと気が付いた。

 

「始め!」

 

 これは決闘だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総一郎は難なく精神の宮殿を発動していた。ここまで昂った闘気、百代にも宥められて体調万全だった。これならば負けることもない、ルー程度ならば本来は負ける筈もない。

 だが、そう上手くいかないのが決闘である。十分に理解している総一郎は――いや、経験則だ。だからこそルーが今の自分よりも強いと認識した上で対峙した。まだまだ伸びる実力、糧としながら迎撃を決める。

 ルーは川神院の人間であるから当然であるが川神流を使えるわけだが、彼ほどになれば自己流もあるし母国の物である中国拳法もお茶の子さいさいである。

 流れるような、そして日本ではあまりない動きの中国拳法。静の極みである精神の宮殿に引けを取らず彼は果敢に攻めてきた。真剣を使う総一郎も出してくる突きに合わせようとするが研磨と洗練された読みが彼の読みに被さってくる。

 

(技量……見てきた武術家の違いか)

 

(凄まじいネ!こうも容易く捌かれるとは……でも何も教えられずに終わるわけにはいかないヨ!)

 

 流れが変わったことに総一郎は気が付いた。一挙一動見逃さない、防戦になる故の弱みであるが極めれば弱みなど無くなっていく。

 感覚が危機を察知した――突き出された両拳から気を変化させた炎が殆ど零距離で彼を襲う。知らない技ではない、勿論総一郎も対処する。少し袖が焦げたがそれだけ、すぐさま反撃――右手の痺れがそれを遮った。反撃が遅れたということは追撃がある、総一郎は竜巻に飲まれた。

 

「総一!」

 

 大和は叫んだ。これでやられるような男でないと知っているが叫ばずには居られない。大和の心配を掻き消すかのようにルーは更なる追撃を止めはしない、竜巻に付加価値を与えるかのように先程と同じように炎を放つ、それが竜巻にはいるとまるで業火のように燃え上がった。合わせ技ともなれば中にいる総一郎は堪らない。

 すると竜巻を唐竹割にされた様に裂け、そこからは煤だらけで切り傷と少しばかりの火傷を負ったボロボロの総一郎が姿を現す。見た目とは裏腹に体はピンピンしている。

 ルーもすぐに次なる一撃、光線を目から放つもそれはいとも容易く避けられ総一郎は徐々に間合いを詰めていた。

 待ちの総一郎が攻勢に出た――だからといって一気に優勢を勝ち取れるほど甘い相手ではない。殆どの戦いで傷つかない総一郎にあろうこともかなりの傷をつけている。

 

(よく分かった、俺は弱い。少なくとも開祖爺さんと戦った時の実力は出せない、俺は弱くなった。感謝するぜモモちゃん)

 

 ルーとの決闘前、最後に掛けられた言葉が脳裏に焼き付いている。

 

「強いお前と戦いたい、交流戦のお前は今のお前よりは魅力的だったぞ」

 

 あろうことか、総一郎はルーの間合いに入った時点で息を吐いた。筋肉の緊張をこのような場所で抜く馬鹿がどこに居るというのか。

 

「それとな、多分お前は呪われてるぞ」

 

 罠でも何でもない、これは好機でしかない。ルーは全身全霊を以て総一郎へ攻撃を仕掛けた。終わらせるつもり、息の続く限りの近接戦を仕掛けた。

 年甲斐もなく高揚して自身の実力以上を総一郎にぶつけていた。

 

「お前はなあ、戦う相手の潜在能力引き出すんだ。多分手強いぞ」

 

 右手に持つ其我一振が地面に着くと総一郎は刹那にも満たないその時間――無――に意識を投じた。

 

王座の後ろに階段が見える、前には無かったはずだ。どうしてだろうか――そんな思考、知っている癖にと自分に悪態吐くとその道を駆けあがっていた――

 

 ――頑張れ――

 

 どこからともなく聞こえてくるその声、音はないというのに誰からの声かはすぐに分かる。

 だからわざわざ答えることもなく、ただ右手に力を入れた。

 あとでキスでもしてやろうと思いながら――

 

 

 

 

♦  ♦  ♦

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

「うん、私も久々に本気をだせたヨ!負けたのは悔しいけどまた得る物があっタ、総一郎にも教えられたならすごく良かったヨ!」

 

「はい、戦いの「た」の字を教えてもらいました。これからも精進します」

 

「そうかイ、私も精進してまたいつか戦いたイ!」

 

「喜んで。正直まだまだ心のシコリはありますけど夏までにはスッキリさせてみます」

 

「うん、頑張りなさイ」

 

 ルーと握手を交わす、総一郎もルーも傷だらけだ。だが双方とも年齢の垣根を超えた笑顔が眩しく、二人を照らす夕日がちんけに映える。

 

 決闘の行方は総一郎の勝利で幕を閉じた。

 最後の近接戦、互いに技の変容と数で凌ぎを削り、その時間は大凡三十分にもなっていた。一番激しく長い打ち合い。最後は総一郎の柄頭がルーの胸部分にある正中を捉えルーが膝を着いた。

 どちらとも息を上げて肩が上下して「参りましタ」とルーが降参した。

 激しい戦いを賛辞するように大和達は思わず拍手をしていた。あまり褒められた行為ではないが、腰を床に下ろした総一郎は笑っていた。

 

「いやあ凄かったな!」

 

「来れなかったキャップは怒りそうだよね!」

 

 疲労感に襲われる総一郎を他所にガクトとモロは少年心をくすぐられて興奮気味で河川敷を歩いている。モロは帰る家が違うのに何故か島津寮へ歩いている。

 一方総一郎は大和と京に肩を貸してもらい。

 

「あーつーかーれーたー」

 

「うるさいよ」

 

「うるさい」

 

 結局は邪険にされているがその顔は限りなく満足した顔だ。

 次は辰子、ルーとはタイプの違う相手、夕陽を見ていたら何故かクシャミがでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな日の川神院、武道場は門下生によって修繕されていくが被害がすごいので明日へ持ち越しとなった。

 だが、そんな日の夜。川神院のある他の武道場ではブンブンと空気を斬る音が何時間も鳴りやまなかった。

 

「―――――――め!」

 

「――――じゃあだめ!」

 

 月夜に照らされ、汗が滴る、床は汗で滑って仕方ないがそれでも彼女は薙刀を振らずには居られなかった。

 

「―――――これじゃあだめ!」

 

 どんなに声を張っているように見えても彼女の声は夜の静けさにかき消されるほどのものでしかなかった。

 




マジ恋プラスディスクのあれ、とうとうやりました……

あと、デジモンの小説を書くので出してほしいデジモンとか思い出深いデジモンとかが居ましたら活動報告にどうぞ!

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