遊戯王ARC-V アンサングビジター   作:名も無きパラサイト

8 / 10
本作の遊矢君は原作から大分性格が変わっています。
後暴力表現がありますので、そちらもご注意ください。
後、沢渡さんもデッキが違いますのでご注意を。
今後もデッキが違うキャラが出る予定ですので、よろしくお願いします。


スタンダード次元編
遊勝塾 榊遊矢


舞網市、それは質量を持ったソリッドビジョンによって進化した決闘、アクションデュエルが盛んな都市で、最大手であるレオ・デュエル・スクール、通称LDSを筆頭に様々な決闘塾があることでも有名な街である。

そんな舞網市にあるLDSのセンターコート。

LDSでも最大のアクションデュエル用のコートで、二人の決闘者が相対していた。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」

 

「モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」

 

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

 

「「デュエル!」」

 

二人の決闘者、榊遊矢と沢渡シンゴの決闘は始まる前から暗雲立ち込める展開となっていた。

榊遊矢は先日行われたチャンピオン、ストロング石島との決闘で全く新しい召喚方法、ペンデュラム召喚を行った決闘者で、かつてアクションデュエルの第1人者と言われた榊遊勝の息子である。そしてその父親の名を冠した決闘塾、遊勝塾の生徒だ。

そしてLDS所属の沢渡シンゴはそのペンデュラム召喚を生で見てみたいと言って呼び出し、ペンデュラムカードを遊矢から奪い取った挙句、遊勝塾の仲間である柊柚子、フトシ、タツヤ、アユを、取り巻きたちを使って人質に取った。

何故か予定していたアクションフィールドである《ダークタウンの幽閉塔》ではなく、《荒野の決闘タウン》が発動したために、沢渡の思惑からはズレてしまったものの、ペンデュラムカードさえ手に入れれば問題はないと沢渡は深くは考えなかった。

 

「沢渡、今すぐペンデュラムカードを返せば、冗談ってことにしておくぞ」

 

「あん?何言ってんだ。状況わかってんのかね、こいつ」

 

取り巻きたちが遊矢を指さして嗤う。

遊矢はそれに対し、静かに「そうか」とだけ言った。

 

「先行は貰うぜ。俺のターン!やっぱ俺、カードに選ばれてるぅ。俺は手札の《星読みの魔術師》と《時読みの魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング!ペンデュラム召喚!現れろ!俺のモンスター共!《氷帝メビウス》《炎帝テスタロス》《雷帝ザボルグ》!スゲェ…!まじスゲェ…!ペンデュラム召喚…サイコーだぜぇ!!」

 

《氷帝メビウス》《炎帝テスタロス》《雷帝ザボルグ》

ATK/2400 DEF/1000

 

1ターン目からペンデュラム召喚を決められた沢渡は非常にテンションが上がっていた。

それに対し、遊矢は冷めた眼差しを向けるだけだった。

 

「お前はわかってない」

 

「あん?」

 

「そんなつまらない戦術で喜ばれちゃ、ペンデュラムの持ち腐れってもんだよ。猫に小判、豚に真珠、沢渡にペンデュラム、ってね」

 

あからさまに挑発する遊矢に対して、沢渡は憤った。

 

「テメェ……。次のターンでボコボコにしてその減らず口、二度と叩けなくしてやるから覚悟しろ!」

 

しかし、その怒りに対して遊矢は再び、やれやれと言った様子で肩をすくめる。

そしてデッキに指をかけ、カードをドローした。

 

「俺のターン、ドロー!俺は《EMドクロバット・ジョーカー》を召喚!効果でデッキから《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を手札に加える。そして、俺は手札からスケール4の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とスケール5の《EMファイア・マフライオ》でペンデュラムスケールをセッティング!おおっとぉ、しまった!このスケールじゃあ何も召喚できないぞ!」

 

遊矢は大げさに慌て始め、走り回りながら頭を抱え始める。

その様子に沢渡と取り巻きたちが笑い声をあげた。

 

「おいおい、宝の持ち腐れはお前の方だったみたいだなぁ」

 

「ええ?!遊矢兄ちゃん何やってんだよぉ!痺れるくらいダサイぜ……」

 

あれだけの大口をたたいた後での失態にフトシが失望したような声を上げた。

しかし、遊矢はすぐににやりと笑った。

 

「なんてね。手札から速攻魔法カード《揺れる眼差し》を発動!Pゾーンのカードを全て破壊!4枚のPカードが破壊されたことで、相手に500ダメージを与え、デッキからPモンスター1体を手札に加える事ができる。俺は《EMオッドアイズ・ユニコーン》を手札に加える。更にフィールドのカード1枚を選んで除外できる。俺は《氷帝メビウス》を除外する。最後にデッキから「揺れる眼差し」1枚を手札に加える」

 

沢渡LP4000→3500

 

「ぐうッ!こ、こいつ、やってくれるじゃねえか!だが、俺のフィールドにはまだ2体の帝が残ってるぜ!」

 

「残念ながら、もうチェックメイトなんだよね。これで終幕とさせていただきましょう!俺は手札からスケール2の《EMペンデュラム・マジシャン》とスケール8の《EMオッドアイズ・ユニコーン》でペンデュラムスケールをセッティング!揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスターたち!《EMウィップ・バイパー》《EMファイア・マフライオ》そして、雄々しくも美しく輝く二色のまなこ!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!」

 

「来やがったか!ペンデュラム召喚!だが、お前のオッドアイズの攻撃力は2500!俺のライフを削り切るには全然足りないぜ!」

 

「ノンノン。焦るなよ?俺は《EMウィップ・バイパー》の効果発動!《雷帝ザボルグ》の攻撃力と守備力を入れ替える!コンフュージョン・ベノム!」

 

《雷帝ザボルグ》

ATK/2400 DEF/1000→ATK/1000 DEF/2400

 

「バトル!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》で雷帝ザボルグを攻撃!螺旋の、ストライクバースト!更にオッドアイズのモンスター効果発動!オッドアイズとの戦闘で発生する戦闘ダメージは2倍になる!リアクション・フォース!更に、《EMファイア・マフライオ》の効果発動!1ターンに1度、自分のPモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した時、攻撃力を200アップし、もう1度攻撃できる!行けオッドアイズ!」

 

沢渡LP3500→700

 

「ま、まずい!こうなったら!」

 

沢渡は走り始め、アクションカードを探す。

慣れないフィールドに若干てこずりながらも、なんとかアクションカードをゲットし、発動した。

 

「来たぜ!アクションマジック《回避》!」

 

「残念賞!アクションマジック《ノーアクション》!アクションマジックを無効にする!」

 

「んなっ?!アクションマジックなんていつの間に拾いやがった!」

 

沢渡と取り巻きが驚く中で、柚子ははっと気が付いた。

 

「そっか!さっき慌てたふりして走り回ってた時に!」

 

「ご名答!さあ、今度こそフィニッシュだ。オッドアイズ!そのふた色の眼でとらえたすべてを焼き払え!螺旋のストライクバースト!!」

 

「うわあぁ!!」

 

沢渡LP700→0

 

沢渡のライフがゼロになり、決闘が終了する。

取り巻きたちが慌てて沢渡に駆け寄る。

 

「さ、沢渡さん大丈夫っすか?!」

 

「いや、お前ら。全員こっち来たら人質意味ねーだろ!!」

 

「「「あ」」」

 

そう、全員沢渡に駆け寄ったために、人質に取られていた遊勝塾の面々は解放され、さっさと遊矢の後ろに逃げていた。

 

「こうなったら……お前ら!やっちまえ!このままペンデュラムカードは頂くぜ!」

 

「残念ながらそうはいかないんだよね」

 

遊矢は懐からクラッカーを取り出して取り巻きの一人の目の前で炸裂させる。そして怯んだところですかさず腹を蹴り飛ばした。そして突然のことに驚いている二人の取り巻きの頭を掴んでぶつける。そして沢渡まで一気に距離を詰め、足を踏み抜いた。

 

「があ!」

 

足を押さえようとかがんだ瞬間に頭を両手で掴んで膝を上げた。

そして、鈍い音と共に床に倒れ伏し、動くなった沢渡の決闘盤からデッキを抜き取った。

 

「そんじゃ、返してもらうぞ」

 

そう言ってデッキから《星読みの魔術師》と《時読みの魔術師》を抜き取り、自身のデッキに戻した。すると柚子が慌てた様子で近づいてきた。

 

「ちょ、ちょっと遊矢、やりすぎよ!」

 

「大丈夫、結構手加減したからさ。それよりも、怪我はない?変なところ触られたりしてない?」

 

先ほどの容赦のない暴力に恐怖すら覚えていた子供たちだったが、遊矢が普段と変わらない優し気な様子に戻ったことに安堵した。

 

「わ、私は大丈夫。でも、どうするのよ。この惨状……」

 

柚子は沢渡らが倒れている方を見てため息をついた。

 

「ああ、さっきまでの会話、録音してあるから正当防衛で通るよ。放置でいいって」

 

「そういう問題じゃないと思うんだけど……」

 

遊矢のズレた回答にアユが突っ込みを入れる。柚子も子供たちもその回答に呆れを覚えつつも、これ以上はどうしようもないのは確かなので立ち去ることにした。

そこへ、唐突に拍手が鳴り響いた。

 

「すごいすごい!さっきの決闘、すっごい格好良かったよ」

 

そう言って観客席から飛び降りて来たのは、髪を後ろで縛った小柄な少年だった。

 

「君は、LDSの生徒?」

 

「に、なろうと思ってたんだけど、やめた。僕の名前は紫雲院素良。僕、君の決闘にビビッときちゃったんだよね。だからさ、僕の師匠になってよ」

 

唐突な弟子入り宣言に困惑する遊矢だったが、何はともあれここに長居はしたくない。

 

「とりあえず、遊勝塾で話そうか。ここだと、落ち着かないし」

 

倒れ伏してうめく沢渡と取り巻きを放置し、一行は遊勝塾へと向かった。

 

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