このすばのめぐみんが大好きな俺がアルヴヘイムオンラインをプレイしたら、取り敢えず爆裂魔法を鍛えるに決まっている 作:楠木 蓮華
「我が名はえるるん、爆裂魔法をこよなく愛し、操る者!」
「帰れ」
俺が決めゼリフを言った瞬間に辛辣な言葉が飛んでくる。辛辣な言葉を言った赤髪褐色の男は他の人達とゲラゲラ笑いながら何処かへと言ってしまった。そんな姿を見ながら俺は木の椅子に座り込む。
「はぁ……また断られたぜ。 ふふふ……これがめぐみんもされていた断わられ地獄というやつか」
俺は額に手を当て、参ったねこれは……とつぶやく。
俺がいる場所は木造で出来た小さな酒場。特にこれといって変わったところの無い、趣のある酒場だ。しかし、そんな酒場も今の現実からしたら珍しい建物なのかも知れないとしみじみ思った。
ちなみに、俺がこんなところにいる理由を語るとするならば……今から時間を遡ることになる。
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芸術は爆発だ、なんて言葉を誰かが言っていた気がする。誰が言っていたかは忘れてしまったが、俺からすれば……萌えは爆発だ。という言葉の方がしっくりくる。
なぜかというのも、「この素晴らしい世界に祝福を」という作品にはめぐみんという黒髪で赤目の美少女ロリっ子がいるのだが、そのその子のキャラクター性に惹かれた俺は、ついにはそのめぐみんが愛する爆裂魔法をも愛してしまったのだ。
だから、巡り巡って萌えは爆発だ……という、名言が生まれた。
「あ~……可愛い、可愛いよめぐみん、愛してる、愛してるよ爆裂魔法」
そんなこんなで俺は爆裂魔法をこよなく愛する男になってしまったわけだが、世の中そう簡単にそういう人を認めてくれはしない。友達にも幾度となく言っているのだが、完全にイカレた人を見るような目で見てくるだけだった。
めぐみんを参考にしてかっこいい眼帯を探しに行ったこともあったのだが、どこを探しても白い普通の眼帯しか見つからなかったのだ。しかも、なんの怪我もしていないのにも関わらず眼帯をつけようとしている俺を、周りの奴はさらにおかしな奴だと言うばかりだった。俺からしたら失礼極まりないのだが……
そんな中、俺は運命的な出会いをした。その運命的な出会いとは、ある一つのゲームとの出会いだった。そのゲームの名前はアルヴヘイムオンライン……通称ALOという名前だった。
妖精がいる世界が舞台で、その世界では魔法も存在しているということだった。もしかしたら爆裂魔法もあるかもしれないし、合法的にカッコイイ格好や眼帯もつけることが出来るかもしれない。
それを思い立った後はあっという間だったように感じる。直ぐにアルヴヘイムオンラインのことを調べ回り、何に使うか決めていない頃から貯金をしていたお金でそのゲームのソフトやアミュスフィアというハードを買った。
アルヴヘイムオンラインを調べていく内に、とあるゲームの名前にたどり着いて、驚愕したのは記憶に新しい。
アルヴヘイムオンラインとは、元々ソードアートオンライン、通称SAOというゲームの後に作られたゲームらしく、そのソードアートオンラインというゲームは一時期、ニュースにも引っ張りだこになった名前だった。
茅場晶彦という人物が作ったゲームで、一万人という人々をゲームの中に閉じ込め、ゲームで死ぬと現実でも死ぬというデスゲームに豹変した恐ろしいゲームだった。つい最近、そのゲームがクリアされたというニュースも流れていた気がする。
そんなことがあったVRMMOというジャンルのアルヴヘイムオンラインだったのだが、やはりやってみたいという好奇心が勝り、俺はすぐにアルヴヘイムオンラインをプレイし始めたのだった。
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「はぁ……それまではよかったんだけどなぁ」
そう……ゲームを初めてすぐに、俺はサラマンダーという爆裂魔法を使えそうな種族にし、キャラメイキングは理想の体にしようとしたのだが、めぐみんを好きなものとしても、やはりしっくりくるリアルに近いキャラにしたのだ。
予想通り、サラマンダーは爆裂魔法を使えたのでほぼ休むこともせずにソロでモンスターを倒して回り、クエストをこなし、爆裂魔法を全部習得するまでにいたったのだった。その後の俺は今まで使っていた近接武器を全て売り、自分が持っている中で一番性能のよい杖に装備を変えて、爆裂魔法を操る者として、パーティーを組んでくれないかと話して回ったのだ。
が……結果は最初のように、門前払いされるだけであった。
「まぁ……確かに、冷静に考えれば味方諸共ぶっ殺しちまう爆裂魔法しか使えずに、しかも一度使ったらMPが全部持ってかれるようなメイジ使いを誰が好き好んでパーティーに入れるかって話だよな」
そう……爆裂魔法はこのすばの世界と同じく消費するMPが凄く高く、連続して打つにはMPを回復するポーションをがぶ飲みしながらするしかなかったのだ。
「そんな非効率な奴、俺が他の奴でもパーティーに入れねぇよ……はぁ」
そんな感じで、最初のように項垂れていたわけである。かっこいい眼帯とも巡り会えてないし、何だかで俺のALO人生は踏んだり蹴ったりだ。
そんな中、他のサラマンダーの人達がなにかこそこそと話しているのが聞こえてきた。
「なぁなぁ聞いたか? ユージーン将軍がシルフとケットシーの会談を軍団を引き連れて襲撃するんだってよ」
「マジかよ? こりゃあまたサラマンダーが他の種族より強くなっちまうな」
ギャハハっと下品な笑い方をしながら酒場を出ていくサラマンダー二人組。
アルヴヘイムオンラインにはいくつかの種族があることはさっきも言ったが……その中でも最も勢力を伸ばしているのが実はサラマンダーだったりする。
そのせいか、サラマンダーは他の種族を見下すようなことをする者が多く、俺としては少し居心地が悪い。
「このままじゃ今以上にサラマンダーが幅を利かす窮屈なゲームになりそうだな……それはあまりよろしくない……」
そう思った俺は、パーティーを断られた始めたあたりからなんとなく考えていたことをついに行動するべきかと考えた。
「まぁ……そろそろ潮時かと思ってたし、丁度いいだろ」
とある決心をした俺は、酒場を飛び出し、シルフとケットシーの会談が行われているという中立地域へと飛んで行った。
この行動が後に、俺の名前がALO中に広まるきっかけになる事など、俺は知らない。