~守りたいものがある~  東方自衛隊   作:アークバード

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この回から話が少し変わってきます。
読んでいて「なにこれぇ?」と思った方はPCのコンセントを抜きましょう。
「大丈夫だ、問題ない。」と言う方はとうぞごゆっくり。


第十一話 忘れられていた過去

紅魔館の廊下内~

 

そこには血まみれの迷彩服の男が傷だらけのメイドを担いでいた。

 

ザアアア……

    ザアアア……

 

ボロボロになった左足を引きずりながら歩く。

出発してから数分しか経ってないと思うが、俺には数時間と思えた。

出血の量は多くなり、垂れる量は多くなってきた。

 

はあ、こんなことになるんだったら異変解決になんか来なきゃよかったぜ。

今思うと俺ってお人好し過ぎるのかねぇ?

まあそうしないと気が済まないんだけどね。

……ていうことより咲夜さんの胸がちょっと硬いのだが何故?

追及はしないが。いやしたくない。

 

咲「貴方本当に大丈夫なの? 無理なら自分で歩くわよ?」

 

真「大丈夫ですって。俺の底力なめないでください。」

 

咲「でも底力なのね。」

 

真「はい、底力です。」

 

実際にはもう底力も使い切りましたよ。

 

咲「そういえば貴方の名……聞いてなかっ…わ。私の名前は……もう知って…わね。」

 

ん? なんだ今の。聴覚障害か?

まあ何言ってるかは大体分かったし答える。

 

真「陸上自衛隊普通科所属、真田正。年齢は18で階級は陸士長だ。」

 

こう喋ったつもりだが、ちょっと聞こえなかったな。

 

咲「あら、私と同じ…ら……のね。」

 

へえ、年齢は同じぐらいなのか。

まあそんなもんだろうな。

 

咲「そういえ…貴方…さっき言っ……守…べきも……失いや………に………る奴ってどうい…事よ。」

 

真「え? なんて言いました?」

 

咲「だから…………(以下全然聞こえない。)。」

 

あれー? 全然聞こえねーぞ?

そこまで俺やばくなってるのか? 

とりあえず何とか聞き取らないと。

 

?「おーい!! 悪い遅れたー!!」

 

いきなり男の声が聞こえてきた。

聞いたことはない声だな……いや、前に聞いたことがあるようななつかしい声だ。

と言うよりかなり聞いた声だ。

 

後ろに首を回す。

だが誰もいない、見えたのは咲夜さんの顔だけ。

咲夜さんに不審に思われるのも嫌なので前へ向く。

 

 

 

 

 

……あれ? 

俺が居たのって紅魔館だよな?

なんで? どうして?

 

 

 

 

なんで都会の街並みが見えてるんだ?

そしてー

 

 

 

 

ーなんで私服の伊達が立っているんだ?

 

 

?「悪い悪い! 寝坊しちまったぜ!」

 

さっきの声の奴だ。こちらに走ってくる。

ん? あの服に帽子……俺じゃねえか!?

 

伊?「お前なあ、なんでこんな日に限って寝坊なんかすんだよ? さんざん遅れるなっつといて

  お前が遅れてどうすんだよ。」

 

真?「すまんすまん。寝坊した上に服選んでたら遅くなったわw。」

 

伊?「そんな理由かよ……まあいいか、さっさと行こうぜ。お前待たせたらいけない人がいるだろ?

  全くうらやましいぜ。」

 

あ、分かったこれ。多分走馬燈だわ。

死ぬ時ってこんな感じなのか。

 

真?「へへ、全くだ。」

 

伊?「じゃあさっさと行こうぜ。」

 

昔の俺と伊達は歩き始めた。

 

 

 

 

 

真?「そういや伊達って何買うんだ? 俺たちは服とかそういうの買に行くんだが?」

 

伊?「DSILLでも買おうかな? それに新機種が出るとか聞いたしそれも知りたい。」

 

二年ぐらい前の事だったけ?

俺と伊達は違う所に行ったのか?

うーむ、思い出せん。

 

真?「へーそうなのか。まあ今の俺には関係ないが。」

 

伊?「たしかにデートでds買うのは変か。てかお前デート何回目だ?」

 

真?「それ聞くか? 言わせんなよ恥ずかしい。」

 

伊?「おい顔赤くなってぞ。結構やってんだなw。」

 

真?「え? 今馬鹿にした? 馬鹿にしたよね? 殴るよ? 自衛隊目指してる俺が本気で殴ると

  どうなるか分かるよね?」

 

このころから俺は自衛隊員目指してたのか。

てかデート? したっけ俺?

クソッ、全然思い出せねえ。どうなってんだ?

 

伊?「怒るな怒るなって。ほら、そろそろデパート着くぞ。」

 

デパートらしき建物の入り口が見えた。

サラリーマンから子供連れの親子まで結構な人の数だ。

 

ん? 入口あたりにこっちに手を振っている女の子がいる。

女子高生ぐらいか。可愛いな。

やっぱり見たことはあるんだが……思い出せない。

 

?「おーい真田くーん! こっちこっちー!!」

 

 

口の周りに手を当てて叫んでいる。

 

伊?「ほら、行って来いよ。」

 

真?「あ、ああ。おーい美香ー!!」

 

美香?

ええと……え!!?

 

 

 

 

 

 

 

美香って二年前死んだ俺の……!!?

 

 

なにもかも思い出した!! いや思い出しちまった!!

 

たしかこの後……クソッ!! ふざけんな!!

 

伊?「おい真田。美香の近くにいる黒尽くめの服の男……なんか怪しくないか?」

 

真?「え? いやまあそうだが……あーゆうのが好きなんじゃない?」

 

美「どうしたのー!? ほらこっちこっ『ドスッ』……え?……あ……」

 

美香の腹に刃が突き出ているのが見えた。

 

 

 

 

バタッ

 

 

 

「きゃああああ人殺しーーーー!!!!」

 

          「みんな逃げろーーーー!!!!」

 

  「誰か警察!! 警察を呼ぶんだーー!!!!」

 

 

 

ただでさえ賑やかだった入口がさらに騒がしくなる。悲鳴で。

 

男「アハハハハハハハハハハ!!!! 死ねばいい!! みんな死ねばいいんだアアアアア!!!!

  あははは、ハハハハハはあハハハハハは!!!!」

 

黒尽くめの男がナイフを振り回し、逃げ遅れた人たちを切りつける。

コンクリートの地面が真っ赤に染まっていく。

聞こえる断末魔、狂気の叫び声。次々と倒れていく老若男女。

……美香ももうすでに倒れている。

 

伊?「……!!? ま、まじかよ……!!?」

 

真?「う……うわああああああ!!」

 

昔の俺が黒尽くめの男に突っ走っていく。

 

伊?「おい馬鹿!! こっちに戻ってこい!! 殺されっぞ!!?」

 

真?「うわああああああ!! てめえ、美香を、美香をーーーー!!!!」

 

伊達の声も聞こえてない。相当錯乱してる。いやしてた。

倒れてうずくまっている人を飛び越え、男に飛びかかる。

 

真?「クソッたれがあああああああ!!!!」

 

だが……

 

男「なんだてめえお前も死にたいのかいいよいいよ殺してやるよ殺す殺す殺す殺してやるよ!!」

 

 

 

 

ザシュ!

 

 

 

 

 

 

美香「あ……ああ……」

 

俺の目の前には美香が居た。

刺されたのは俺じゃなかった。美香だった。

腹を刺されていたのにどこにそんな力があったのだろうか。

 

男「チ、邪魔しやがってこのくそが!! 邪魔だどけ!!」

 

男はささったナイフを抜こうとする。だが抜けない。

美香が握っているからだ。

 

美「いや……真田……君は……ダメ……」

 

男「く……はなせ!! はなせクソが!!」

 

男は強引にナイフを抜く。その時だった。

 

パアン! パアン!

 

男「ゲフッ!」

 

男は頭を二か所撃ち抜かれる。警官が発砲したようだ。

美香に大量の血がかかる。俺にも少しかかった。

 

そして男は倒れる。美香も。

俺は正気に戻る。

 

真?「おい美香!! 大丈夫か!?」

 

体を揺さぶる。

だが返事はなく、反応もない。

首に手を当てて見る。

 

 

……信じたくはなかった。だが現実は辛いもんだ。

脈なんかはもうなかったよ。

 

伊?「おい!!? 大丈夫なのか!!?」

 

伊達がこっちに走ってきた。

 

 

 

真?「……れなかった。」

 

伊?「……え?」

 

 

 

 

 

 

真「守れなかったよ……美香……」

 

 

 

 

 

 

 

咲「……えい。」

 

真「あたたたたた!!? 痛い! 痛いって!?」

 

襟足が熱い!? あ、でもよかった正気に戻れた!!

 

咲「何を言っても聞かなかったからよ。まったく……。」

 

後ろを向けば口に少しだけ血の付いたナイフを銜え、ハンカチを持った右手で血の付いた部分を拭いている

咲夜さんが居ました。 器用ですね咲夜さん。

 

真「すみませんね。視覚障害と聴覚障害が同時に起きたもんで。意識があっただけよかったと

 思ってください。」

 

咲「……さすが自衛隊員と言ったとこかしら。」

 

ナイフをしまった咲夜さんにそう言われた。

 

真「まあそうですね……敬語は疲れた、この口調でいいか?」

 

咲「別にいいわよ。そういえば私が刺す前になんかぶつぶつ言ってたけどどうしたのよ?」

 

真「……さあ、ただおかしくなっただけじゃないのか?」

 

咲「あら、そうかしら?」

 

真「…………そうだよ。」

 

咲「……?」

 

おそらく、俺が喋らなかったこの間を咲夜さんは不思議に思ったろう。

ま、話しても変な空気になるだけか。

 

真「ん? なんだあのここが館の主の部屋ですよと言わんばかりの大きい扉は?」

 

何あの高さ扉3mはあるぞ? もはや扉じゃなくて門だな。 

 

咲「まさにそのとうりよ。あそこがお嬢様のお部屋よ。」

 

あ、やっぱりそうですか。

 

真「でも扉は開いてるぞ? 弾幕ごっこらしき音も聞こえない。

 となると決着はついた後のようだな。」

 

咲「……お嬢様は勝てたのかしら。」

 

真「悪けど負けは確実だろうな。勝てたとしても魔法使いと俺の部下が居ますし。

 ま、どんな状況になっていてもお嬢様の力になるのが咲夜さん、あんたの仕事だよ。」

 

咲「そうね。負けているのならそれは仕方のない事よね。まあ、最善を尽くすわ。」

 

真「それじゃ……入りますか。」

 

俺は大きな扉がある部屋に入っていった。

 

 

 

 

部屋の中はまさにラスボスが居ますよ臭が漂っている部屋だった。

大きな空間にでかい玉座。豪華なシャンデリアに……ぼっこぼこの部屋。

 

真「ん……?」

 

俺は目を細めた。赤っぽい服を着ている人が二人。

一人は立っていてもう一人は片膝をついている。

視覚がぼやけているので誰か誰だかは分からないがおそらく立っているのが霊夢、

片膝をついているのがレミリアだろう。

……てか、

 

 

真(修羅場だな……)

 

霊夢から見て咲夜さんは敵。レミリアから見て俺は敵。けどレミリアのメイド咲夜さんは助けた。

何この状況? 顔見えてないのに視線が痛いんだけど。第一声なんて言えばいいんだよ。

ちわーっす、三河屋でーす。とでも言えばいいのか?

いやいやいやいや何を考えているんだ俺は。修羅場がもっとひどいことになるわ。

とりあえず咲夜さんを下ろしてレミリアの所に行かせよう。

 

真「さ、どうぞ。」

 

咲「……ええ。」

 

腰を下ろし、咲夜さんを立たせる。

そうすると咲夜さんはゆっくりとレミリアの所に歩いて行った。

 

夢「あんたどうしたのよその体? それになんであいつに手当てを?」

 

真「仕事なんだよ。怪我人救助は俺らの義務だし。」

 

夢「はあ……そのうち命を落とすわよ。」

 

真「大丈夫この怪我でまだ生きているんだから。あ、レミリアとの勝負には勝ったのか?」

 

夢「楽勝よ。てかなんであいつの名前を……聞くだけ野暮ね。」

 

こいつらにパソコン見せたらなんと言うだろうか。

とりあえず今後は見せないことにしよう。

 

咲「お嬢様、お怪我の方は大丈夫ですか?」

 

レ「ええ、大丈夫よ。それよりアイツに話がね。」

 

そんな話が聞こえるとレミリアは片膝から立ち上がった。

 

真「……俺の事ですか?」

 

レ「ええ、あんたよ。なぜ咲夜を助けた?」

 

真「……仕事ですから。」

 

レ「あんた外来人よね? なぜこの異変を解決しようと此処へ来た?」

 

真「……仕事ですから。」

 

レ「最後。自衛隊とはなによ?」

 

真「……仕事です。」

 

レ「そうじゃなくって、何をする仕事よ?」

 

えー言わなきゃだめですか?

咲夜さんに話しといたから聞いてくれ、って言いたいが……

それで満足するレミリアじゃなさそうだしな。

しょうがない、日ごろのストレスもあるしガツンといってやろうか。

 

真「……馬鹿なのかお前は?」

 

レ「え? あんたいまなんて「バカかって聞いてんだ。」

 

真「まあいい教えてやるよ。本来国と言うものは治安が良く誰もが安心して暮らせるような土地の事を言う。

 争いが起きている国なんて国じゃねえ。ただの荒野だ。まあ、食うもんに困って犯罪を犯した奴は

 はっきり言ってしょうがない。だがなんだお前ら? 別にそんなんじゃねえのに異変起こすだあ? 

 ふざけんな。お前ら数人のせいで何百何千と言う人間に迷惑掛かってんだ。こんなん許せるか。

 お前らの都合で踊らされてたまるか! そんな馬鹿どもを駆逐し国を守る、これが俺らの仕事だ!!」

 

レ「…………」

 

真「……けどな、そんな馬鹿どもも一応守る。これが自衛隊です。」

 

戦争で負けたあと配備された組織ですなんて言えねぇ、言えねぇよ。

まあ大体あってるからいいよね? いいよね?

でも結構スッキリしたわ。レミリアたちポカーンとしてるよ。

そして喉めっちゃ痛い。

 

レ「……あんた名前は?」

 

真「陸上自衛隊所属、真田正陸士長だ!! 勇気あった諸君らの行動に敬礼!!」

 

俺は少し笑みを浮かべながら敬礼した。

多分今までで一番きれいな形だったと思う。

もうやるべき事はやったな……そろそろ限界か。

 

真「……ごふっ。」

 

口から大量に血を吐き、前のめりに倒れる。

薄れていく意識の中、声が聞こえる。

 

「真田ー!! 大丈夫かーー!!?」

 

 

……どうやら俺の悪運は強いらしい。

そう思った時、俺の意識は途絶えた。




こんなかんじっす。
うまくやっていけるか微妙です……
今後は一週間に一話ぐらいのペースですかね。
読んで頂きありがとうございました。
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