ポケットモンスター 冒険の地図を広げて 作:名無しのポケモントレーナー
【4話】
「仰げば尊し、我が師の恩」
今日という日を最後に短かった学生生活も終わりを迎える。
「教えの庭にも、早や幾年」
数多くの友達と出会った。数多くのモノを学んだ。思い出を全て青春の本に記していったら、きっと百科事典ほどの厚さも遥かに超えるだろう。
「思えばいと疾し、この年月」
出会いがあれば、その分だけ別れがある。なんてよく言われるけど、そりゃもっともだ。学生は別れの日が統一されているだけ、それが今日ってだけだ。
「今こそ別れめ、いざさらば」
今こそ別れめ、いざさらば。
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「ツェルトよし、シュラフよし。トレーナーズカードの記入もOK。これで全部揃ったな」
旅立ちの日。今日からは家に帰れない。父さんと母さんと約束したことだ。これは自分の見聞を広める旅。今の少ない経験と知識だけで将来は判断出来ない。モノは試しって言うだろ?
「行ってきます」
この時間には母も仕事に行ってるだろう。父?研究はいつもフィールドワークが基本とか言ってるバリバリの野外派研究員なのでたまにしか帰ってこない。
自分としては誰もいない家に向かって言ったつもりだったが、所詮はつもりだったようだ。
「待って待って」
母が呼び止めて来た。
「あれ?仕事は?」
「息子の旅立ちの日の朝だからポケモンセンターに無理言って出勤遅らせて貰ったわ」
「ふーん、じゃあ行ってくるよ」
「だから待ちなさいってば!これ、父さんからプレゼントよ」
そう言って2枚の羽を渡してきた。
虹色の輝きを放つ羽と銀色に輝く羽。なんだろう、何かに呼び寄せられるような気がする。不思議な感覚だ。
「何かのポケモンの羽でいつか必要になるんじゃないかってお父さん言ってたけど、まあお守りみたいなモノだと思うわ。あと、私からプレゼントは、はいコレ。欲しがってたでしょ?」
そう言って渡してきたのは、前々から欲しがっていたトレイルランニング用のシューズだ。
「ありがとう」
「お金に困ったらポケギアに電話してきていいからね。お父さん前の研究で成功したから腐る程お金握ってるはずだから。行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
素直に親からの支援が嬉しかった。旅の始まり。キャンプのために1人で出かけることは何度もあったけど、その時の感覚とは違う。いつもと違う高揚感が自分の体を支配していた。
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家を出ると隣の家から見慣れた顔が出てきた。
「オレンジ君も今日から旅?」
「そうなるかな」
「一緒ですね。私もです」
正直、一人旅というのは結構不安がある。だが、ここでミカンを誘えればかなり安心して旅ができるのでは?バトルの腕、知識共に申し分無いレベルだ。「旅は道連れ、世は情け」とも言うしな。別に、ミカンと一緒にいたいからとかそういうものは決して無いと思いたい。
「なぁ」「ねぇ」
声が重なる。
「先に言っていいぞ、レディファーストってやつ」
「えっと、旅、一緒に行きませんか?」
「自分も同じこと考えてた」
「じゃあ、大丈夫?」
以心伝心ってきっとこんな感じなのだろう。たまたまで片付けることは簡単だけど、一つ一つの体験を大事にしていきたい。今回のは以心伝心だったということにしておこう。
「でも、オレには目的地が無いんだ。それでも?」
「いいですよ、私も特に行きたい場所はありませんから。それに、友達ですから」
自分はどうやら友達という言葉に弱いらしい。
「そうと決まれば早く行こうよ!」
「ああ、そうだな!」
『しゅっぱーつ!』
「アカリちゃん!勝手に出てきちゃダメだってば!」
こうして、自分達の旅は第一歩を踏み出すこととなったのである。
~~〜
アサギを出るルートは2つある。1つは40番、41番水道を通ってタンバシティへ向かうルート。もう1つは39番、38番道路を通ってエンジュシティへ向かうルートだ。勿論、タンバに向かうルートは水路になる訳で、【波乗り】を覚えているポケモンがいなければ行けないので、ムリだ。手持ちにいるコドラのドラッチが進化してボスゴドラになれば覚えられるが、なにより秘伝マシンが必要となるので、どの道今の状態でタンバへは行けない。そうと決まれば道は一つ、エンジュだ。
そんな訳で39番道路を北上中。でも、しばらくしたら疲れたので休憩。
「そうだ!灯台守のオジサンにお守りもらったんだ!1個はオレンジ君に渡してって」
ミカンが渡してきたのは、小さな石だった。黄色く丸い石。だが、確かに力を感じる。可能性を感じさせるそんな石だった。
『それ、欲しいのん!』
「わたあめ、勝手に出てきちゃダメだって言ってるだろ」
『それ、くれたら帰るのん』
ミカンからの貰い物だから大切にしないといけないんだけどな。でもわたあめは絶対聞かないし・・・
「つけてあげたら?」
そう言いながらミカンが紐を渡してきた。確かに紐を繋げばつけられそうだ。
「じっとしとけよ」
その石を紐で繋いでわたあめの首にかけてあげた。
『ん、じゃあ帰るのん』
どうして自分のポケモンは勝手にモンスターボールを出入りするのだろうか。アカリちゃんもさっき勝手に出てきたから自分だけじゃないか。
『つけてつけて!』
「アカリちゃんも?しょうがないなぁ」
『お揃いだね!』
「あっ!自分もお守り二つ貰ったからどっちかあげるよ」
そう言いながらバッグの中から朝、母さんに貰った二枚の羽を取り出した。
「え!?本当にいいの?」
「母さんもお守りみたいなものって言ってたから、お守りを2個一緒にすると神様が喧嘩するってフエンの長老が言ってた」
「そ、そう。虹色の方、貰っていくね」
『きれい』
手元に残った銀色の羽、羽なのだからきっと飛行タイプのポケモンなのだろう。でも銀色の羽を落とすようなポケモンなどいるのだろうか・・・可能性があるとすればエアームド当たりだろうか、しかし、エアームド
ならもっと色が濁っているような気もする。さらに言えば、先程手渡した虹色の羽に関しては皆目検討も付かない。着色の可能性も捨てきれないが、だとしたら誰が何のために?謎が謎を呼ぶ二枚の羽根。きっと誰も知らないポケモンがいるのだろう。
「ミカン、旅の目標が決まった」
「どんな目標?」
「この虹色の羽と銀色の羽を持つポケモンが絶対にいると思うんだ。だからソイツらを発見する!あわよくばゲットする!」
早くも旅の目標が決まった。
3000届かない非力な私を許してくれ。
私事ですが、先日諏訪へ旅行に行ってきました。それがポケモンに関係あるのかと聞かれると全くないんですけど、なんとなくその体験を文章に生かせるといいなぁ、と思ってます。