ポケットモンスター 冒険の地図を広げて 作:名無しのポケモントレーナー
【5話】
ミカンに言われた最近の流行りに乗ってコドラのドラッチをボールから出して39番道路を北上すること2日半。ちなみにモココのわたあめは勝手に出てきてドラッチの上で睡眠中。長く続く上り坂の39番道路もそろそろ終わる。39番道路から38番道路への接続の目印、モーモー牧場が見えてきた。
「一度、モーモー牧場で休憩かな」
「ミルタンク、いっぱいいるんですよね」
「モーモーミルクはポケモンも回復出来るから、ポケモン達も休めるだろうし」
と言っても、ここまで戦闘を行っていたのはレベルを上げたいモココのわたあめとコドラのドラッチだけなんだけど・・・。まあ、ゴンタとペンデもリフレッシュしたいだろうからみんなで昼飯も兼ねて休憩を取って38番道路を抜けるための英気を養って貰おう。
足早にモーモー牧場に向かった。
~~〜
モーモー牧場に近づくにつれて、中から声が聞こえてくる。
「・・・やく、・・・・・・モー・・・めろ!」
「だか・・・・・・こ・・・は・・・・・・せん!」
これは言い争っているのか?少し急いだ方が良さそうだ。
「くそ、・・・・・・が・・・ねぇ」
「アニキ・・・・・・は・・・モンで」
「誰・・・!・・・・・・助けて!」
今、ハッキリと聞こえた。誰かの「助けて」の声。行ったら確実に面倒なことに巻き込まれる。そんなことは百も承知だ。そこで見捨てる程人間として腐ってしまっているつもりは無い。
「ミカン、行くぞ!」
「そうですね。ゆっくりはしていられなそうです!」
その時だった、黒い煙がモーモー牧場の建物から吹き出し、その中から全身黒の服を着た2人組の男が大荷物を持って走って逃げていく。
「強盗だ!ソイツを捕まえてくれ!」
モーモー牧場の関係者と思われるおじさんが煙の中から出てきて叫んでいる。
「OK!ゴンタ!Here we go!」
森に逃げ込んだ強盗団を探せる上に移動速度の早いゴンタならきっと見つけられるだろう。
『マスター、出番?出番?』
「黒い服を着た強盗が森の中を使って逃げた、索敵を頼む」
『りょーかい!』
「来て!レイル!」
ミカンはレアコイルのレイルを繰り出した。レイルなら素早さも高いし、索敵に向いているだろう。
『姉御!あっしに何の用で?』
「ゴンタちゃんと協力して敵を探して。発見しても私達の到着を待つんだからね!」
~〜~
キィィィィィン!
森の中を響き渡る甲高い音。レイルの【金属音】だ。敵を発見したのだろう。音の大きさから言ってそう遠くは無いはず。
「急ごう」
「う、うん」
レイルが【金属音】を放ったあたりに行くと、全身黒い服装の2人組の男がトラックに荷物を積み込もうとしているのをゴンタが牽制していた。
コンタクトを図るため、ゴンタとレイルをボールに戻しながら彼らに近づくと、ミカンが思わぬ行動に出た。
「そ、そこ・・・まで、です!」
まさか最初にミカンが発言をするとは思わなかった。相手をあまりヒートアップさせないように抗戦意思が無いことを簡単にアピールするためにボールにポケモンをしまったのに、神経を逆撫でするようなことをしてしまっては意味がない・・・
こうなったらどうにもならないだろうなと、内心思いつつコンタクトをとる。
「ミカン、緊張してるなら言わなくていいから。そこのお兄さん達、何やってるのかな?」
「ここはガキ共が来るような場所じゃねぇんだ」
「痛い目見たいのか、ガキ!」
大方、その大荷物をモーモー牧場がら強奪して帰る所なのだろう。こうなった以上引くことも出来なそうだ。
「コッチもそういう訳に行かないんだよね!・・・行け!わたあめ!」
『んぅ・・・なんなのん?』
寝起きだったらしい。
「俺達ロケット団とやろうってのか?だが俺たちゃワルだぜ?ルール無用!やれ、ヘルガー!」
『アオーン!』
ヘルガーは遠吠えをするとこちらを睨みつけている。
「大方、女の前でカッコイイとこ見せたかったのか?残念だったな!アリアドス、ぶっ倒せ!」
アリアドスもアゴをカチカチと鳴らしてこちらを威嚇している。
2対1かかなりキツイ展開になってきた。ここまで啖呵切った以上後には引けない。
「2対1で勝てると思うなよ?」
「卑怯とは言わせねぇぜ?俺らはワルだからよォ!」
「わ、私を忘れない・・・でください!行って、アカリちゃん!」
『バトルする!』
「その女、ポケモンを持っていたのか!?」
「いい加減始めんぞ。わたあめ【放電】!」『えいっ!』
バリバリバリ!わたあめの周りに青白い光が迸る。かなりの威力が出そうだ。
「ヘルガー、かわして【噛み付く】!」『ガアァ!』
あのヘルガーかなり速い。しっかり鍛えられていそうだ。だが、負けていいバトルじゃない!
「よそ見してんなよ!アリアドス!【糸を吐く】であの女を吊るし上げろ!」
アリアドスが一気にミカンの方に迫り糸でグルグル巻きにした。
「え?キャアアア!」
「ミカン!」
迂闊だった。ポケモンで人を攻撃するのはマナー違反。そのマナーの上に胡座をかいて全く警戒をしていなかった。奴らは悪党、そんなモノを守るはずが無かった。
「数的有利に立たなきゃバトルなんてする訳ねぇだろ?ヒャハハハ」
「オマケにこれでも食らいな!ヘルガー【泥棒】!」
「アリアドス【泥棒】!」
「クソッ、モンスターボールが・・・」
運動神経は悪いほうじゃないが、流石にポケモンより運動神経は良くない。ポケモンの技を人間の自分がかわせるわけが無かった。
だが、奴らはタブーを犯した。
一つ、友達であるミカンへ危害を加えたこと。
二つ、相棒達であるモンスターボールを奪った。
自分の身体の奥底が熱く沸き上がっているような感覚。これは怒り。自分は怒りを覚えているんだ。
「ヘヘッ、後はテメェとそのクズポケモン2体だけだ」
スリーアウト、俺のポケモンを馬鹿にした。これでチェンジだ。外道には外道のやり方で。
「土下座してポケモンを差し出せば、お前とその女だけは返してやるよ」
「OK、OK。分かった」
そう言って地面に膝を付いた。
「オレンジ君、ダメ!私のことはいいから」
「お?土下座する気になったか?」
完全に勝ったつもりでいるのか1人がこちらに近づいてきたので、すかさず
「スリーアウトだボケェ!」
立ち上がりながら頭頂部で鼻に【頭突き】を御見舞いしてやった。ポケモンバトルにおいてリアルファイトをするなんて外道のやり方だろう。
ワンダウン。ガキの筋力でも大人を倒す方法。弱点を攻撃すること、そして一番力が加わる方法で相手を攻撃すること。今回は立ち上がりながらなので足の筋肉だけでなく、全身の筋肉を使って攻撃できた。上手く行った、やったぜ。
「わたあめ、アカリちゃん!ヘルガーに【突進】」
ヘルガーは自分のトレーナーが倒れたことに動揺している。
「アカリちゃんはそのままヘルガーに【電磁波】を撒いて機動をつぶせ。わたあめはアリアドスに抱きついて【放電】」『オレンジ、わかったー』『やってみるのん』
「おい、アリアドスどこへ逃げる!」
アリアドスは危険を察知したのか逃げ出してしまった、この状況で一番落ち着いた判断ができているのは人間ではなく、ポケモンのアリアドスかもしれない。実に現実的な判断をするポケモンだ。懐いていなかったのか?
わたあめとアカリちゃんが攻撃している隙に倒れている男の両手をアウトドア用のロープで縛り、次の指示を出す。
「わたあめは自分と一緒にもう一人を捕まえるぞ!アカリちゃんは【充電】をしながらヘルガーの反撃に備えて」
トレーナーにポケモンをけしかけるのはマナー違反だけど、場合が場合ってことで。
「クソっ、来るな!」
「わたあめ、抱きついて離すなよ!」
モココが素早さの遅いポケモンとは言え、流石に人間より遅くは無いし、子供の自分が大人に身体的に勝てる武器『若さ』を生かしてダッシュで後ろから膝の後ろにラグビーのタックルを決める。ジョウトはカントーに比べラグビーが盛んだから体育の授業も全力だぜ?
ポケモンと人間のタックルを食らったロケット団員は派手にすっ転んだので、そのまままたしてもアウトドア用のロープで手足を縛った。ロープワークはアウトドアの技術の中で普段の生活に役に立つことが多いと言うがそれは本当みたいだ。
『仏の顔も三度まで』とは言うけれど、自分は人間だし、三回もあんなことされなくても一回で激怒すると思う。今回は怒るタイミングが無かっただけ。
「ったく、とんだ災難だったぜ」
外法には外法で
書いててめっちゃ楽しかったです。