お試し小説置き場   作:混沌の魔法使い

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今回は宵闇の使者の先行版です。

久しぶりの完全オリジナルなので……少々不安な仕上がりです。
ですので改善点やアドバイス等頂けると嬉しいです

これの反響を見て、正規投稿のタイミングを考えようと思っていますので。どう思ったか教えて頂けると嬉しいです。

前のフェイトゼロみたいな失敗はしたくないので、どうか宜しくお願いします

それとEX-9の2の後書きにて簡単な応募をしていますので、そちらもどうか宜しくお願いします




EX-9

EX-9

 

「……仮眠。終了」

 

そう呟き身体を起こす小柄な少女、見た所14~17歳前後といった所だろう。解いていた紅い髪を腰元で結びフード付きのローブを身に纏った少女の名は「リーエ」と言った。彼女の目は美しい蒼い目だったが。左目の瞳孔だけは縦に割れ普通の人間ではないと言うのが判る。彼女は後天的にネクロと人間と中間の存在となった魔導師だ。自分が居るべき世界を捜し求め長い時間旅を続けてきた。見かけ以上の月日を生きていた彼女は冷静に戦況を分析し始めた

 

「……追っ手は今のところ無いようですね」

 

そう呟き、近くの切り株に腰掛ける

 

「……世界移動後。6時間が経過……魔力を遮断しているため追っ手には気付かれていないが。それも時間の問題」

 

かつて貰い受けた結界を展開する機械の魔力は減ったまま、暫くは使用できないので発見されるのも時間の問題だ

 

「……転移できれば良いのだけど」

 

1番早いのは転移して別の世界に逃げ込む事だが、その際に発生する魔力で必ず発見される。しかも追っては私と同じく半ネクロ、間違いなく私を追って転移してくる

そう判っているのでどう動くかと考えないわけには行かない

 

(……幸いなのはここが無人の世界と言うこと)

 

人の気配が何一つない、この世界は間違いなく無人の世界。生き物の気配はする物の人間の物では無い。かと言ってこの世界に生きる生き物を殺して良い訳ではない

 

(……気配を殺しながら移動、こういう世界での戦闘および逃走の基本は魔力を使わないこと)

 

何年月日が経とうとも教わった技術は絶対に忘れない。しっかりと教わった事を思い出し森の中を移動し始める

 

(……魔力の気配はなし……下級ネクロの魔力も無い)

 

私も半分はネクロだ。互いの気配の察知くらいはできる。周囲にネクロの気配が無いことに安心し、周囲を警戒しながら進む

 

(……魔道生物とかが居る危険性がある、警戒は怠らない事)

 

生き物の気配! しゃがみ込みローブで身を隠し様子を見る

 

「グルルル」

 

唸り声と共に歩いて行く2本の牙を持つ獣。 一見普通の生き物のようだが、身体の各所に機械で出来た鎧を身に纏っている。それにこの辺りの魔力は異常に濃い。

 

(魔力炉の暴走で滅んだ世界?)

 

色々と推察は出来るが今はこの森を抜けることが先決だ。気配を殺しながら森を抜けると

 

「……やっぱり滅んだ世界だ……」

 

荒廃した赤い大地と崩れ落ちた廃墟。一瞬自分がいた世界かと思うが

 

「……あの人が居る世界は簡単に滅びはしない」

 

世界最強の騎士である、あの人が負ける訳が無い。それにこの世界はどう見てもクラナガンではない、つまりはまったく別の世界と言うわけだ。しかし1つの世界では無いようだ。地平線まで見渡せる高台で見ると良く判る。無数の文明が無理やり1つになった様に見える。

 

「……街に何かあるかもしれない」

 

崖の下は滅んだ都市になっている。そろそろ所持している食品や薬品も底を付く。期待は薄いが道具を補充するチャンスだ。私はそう考え残り僅かな遮断用の結界発生装置を起動させると同時にローブを翼に変化させ、都市の方へと向かった……

 

「……魔力切れ……次に使用可能になるには10時間後か」

 

1日使用していたんだ、これは当然とも言える……気配を殺しながら滅んだ街並みを歩く。

 

「……皆逃げたのかな?」

 

荒廃しているものの死体や骨といったものは何一つ無いし。それに建物を見る限りかなり発達した文明がここにあったようだ。 何らかの事件がありこの世界から逃げ出したと言うのは妥当だろう。そう考えた所で

 

「……新しい服があるかも……」

 

ボロボロの自分の着ている服を見る。流石にただの人間では無いと判っているが、女の子としては何時までもこんな格好で居るのは嫌だ、ワンピースの裾は破けスリットの様になってるし、右の袖は肩元まで破けているし、それに何より背中が丸出しになっているのが嫌だ。恥かしいし下着が見えているのも恥かしい事この上ない。ローブで隠しているが。それでも気になる物は気になる

 

「……あの女の敵め」

 

この世界から2つ前に転移した世界で遭遇した、獣型のネクロの引っかきでボロボロになったワンピース。気に入っていたのに……まぁそのネクロは串刺しにしたうえで焼き払ったがまだ許しているわけではない。とはいえもう殺してしまったネクロなので復讐も出来ない。そんな事を考えながら歩いていると服屋らしい店を見つけ中に入る

 

「……うん。大丈夫みたい」

 

大分時間こそ経っている様子だが。何かの機械で保護されているのか服は綺麗なまま展示されていた

 

「……ロックを解除して」

 

お金を払わないと言うのは気が引けるが、そう言う相手もいないし別に良いだろう。操作用のコンソールを操作し服を守っている機械の機能を停止させる

 

「……ワンピースは……良いのが無い」

 

がっくりと肩を落すワンピースが1番好きなのに、可愛いって言ってもらった服だしやっぱりワンピースが一番なのだが無い以上、無い物ねだりはやめておこう

 

「……えーと綺麗なブラウス」

 

見た感じシルクだろうか? 綺麗な光沢を放つブラウスを見つけそれを手に取る。中のインナーが見えるデザインになっているので黒のインナーを5・6着選び。ブラウスの他にも色々服を選んで畳んで置いておく。

 

「……こういう時このローブは役に立つ」

 

あの人の4次元コートを真似て、魔力を編んで作ったこのローブは中が異次元と繋がっているので、色々としまって置けるのが良い所。防具としての性能もいいしねとか思いながら今度はスカートを見に行く

 

「……ズボンとか色々持って行こう」

 

人が居ないから好き勝手持って行ける、こんなのは滅多に無いことなので今の内に色々と溜め込んでおこう

 

「……サイズ合わない」

 

可愛いと言うか綺麗な服を見つけ身体に当ててみるがサイズが合わない。

 

「……まっいっか。その内育つから、何年掛かるか判らないけど……」

 

怪我をしても直ぐ治るし、あんまり寝なくてもいいと言うのは良いが、年を取るのが余りに遅い。多分100年ちょっとで6歳前後だと思う。何年で何歳年を取るのか判らないし何時着れる様になるか判らないが。いずれ育つと考えそれも収納しておく

 

「……これは駄目」

 

可愛いスカートだが、駄目。疑似騎士甲冑を展開するまでは生身で戦うわけで普通のスカートでは恥かしいので駄目、ネクロ相手とはいえ下着を見せる様な趣味は無い

結局丈の長いロングスカートと足を上げても構造的に中の見えないキュロットスカートを選んで畳む。後は……

 

「……ドレスだ」

 

ドレスタイプの服を見つけその前に立つ。そう言えば前にドレスで踊ったっけ……絶対に忘れたく無い輝かしい思い出の1つ。 

 

「……着る事無いだろうけど持って行こう」

 

十字架の様な刺繍が施された黒いドレスを手に取る。サイズも合っているようだし問題なく着れる。着る事は無いだろうけど……それでも持っていこう。これで一通りは揃った……後は

 

「サイズの合わない下着をと……」

 

緩やかに成長してるおかげで直ぐにサイズが合わなくなるという事は無いが。そろそろ胸元とかがきついので変えておこう。幾つか下着を選びローブの中にしまい、服を着替える

 

「……気に入ってたのにな」

 

黒いワンピース、脱いで見ると結構ボロボロになっている。焼け焦げた痕とか切り裂かれた跡とか色々ある、はぁと溜め息を吐き選んだ服に着替える。黒のキュロットスカートに黒のインナーの上からブラウスを着てボタンを閉める

「……似合っていると思いたいのですが。どうでしょうか?」

 

紅い髪を束ねていたリボンもボロボロなので新しいリボンを選び結び直す。リボンのほかにカチーシャとかも気に入った物をローブに仕舞う

 

「……良しッと」

 

最後に新しい黒いブーツを履いて紐を結んでローブを着込む。

 

「……食料と薬品も補充しておきましょう」

 

傷は治るが、当然傷が深ければ治るのに時間が掛かる。なので包帯や絆創膏、それに消毒液とかも必要だし。魔力で身体を維持してるとは言えお腹は空くし、自分が人間だった頃の事を忘れない為にも食事はちゃんとしたい。服屋があるという事は近くに薬局やスーパーとかもある筈だ。

 

「……ただ食品があるかどうかは不安ですね」

 

避難したのなら食料があるかは不安だが……一応見ておこう。結論から言うと私の不安は的中し碌な食料は残っていなかったが。缶詰等を見つけたのでとりあえず片っ端からローブに収納しておく。

 

「……良し、これで一通りは備えが出来た」

 

何時人の居る世界に行けるか判らないし。出来る限りの備えはしておいて損は無い。店を出て街の中心に向かう。そこにはやはりこの都市に起きた惨劇の名残があった

 

「……やはりネクロ。いえ……デクスですか?」

 

無数の機械の残骸に隠れているが、機械の骨格が幾つかも見える。それはデクスシリーズの骨格だ

 

「……幻想種型が多いですね。となるとセカンドシリーズ」

 

デクスには2通りのバリエーションがある。1つは通常のネクロに過剰な魔力を与え2体を1体にする方法で作られた合成獣型。こっちは再生能力に長けるぶん知性が低く。まず指示には従わない、それに動く者全てに襲い掛かるのでただのネクロにも襲い掛かる。用は殲滅や追っ手としてしか使えない、そしてセカンドシリーズは機械の骨格にデクスの細胞を植え付け変化させた者、得意な能力と制御のし易さが特徴だ。その分再生能力が劣るが数で襲い掛かるので厄介な相手だ

 

「……通常体と……砲撃特化……つまりここがこの世界の拠点だったと言うわけですか」

 

背中に砲門や身体の横に砲塔を持つという事はセカンドシリーズの砲撃型。しかも装備の数が多いと言う事は拠点制圧用だろう

 

「……よく機械でここまで粘りましたね」

 

ミサイルの残骸や壊れた砲台の数々、それに乾いて黒くなった血痕。ここで相当激しい戦闘があったのは一目で判る、そんな事を考えながら道を曲がると

 

「……なるほど、これが主力だったのですね」

 

数こそ少ないがそこには機械の巨人がボロボロの装甲のまま鎮座していた。

 

「……科学が発達した世界ですか」

 

バイザーの様な頭部にアンテナ、全体的に丸みを帯びた機体の数々。その中で比較的無事でリーダー機に見える。角を持った真紅の機体に近付く、バンカーとマシンアームだろうか?

肩のパーツは左が吹き飛んでいるが右には何かを射出するような機構が見て取れる。それに周辺にはデバイスに良く似た機械も落ちている。やはりなんらかの現象で複数の世界が1つになった世界なのだろう

 

「……ゲシュペンスト……MK-Ⅲですか」

 

機体の操縦室にはそう書かれていた。コックピットには血痕が残されており操縦者が負傷しながらも戦ったと言うのが判る

 

「……この先に何があるのでしょう?」

 

機体は何かを背に守ってるような姿で全て機能を停止していた。その先に何があるのか? 私はそれが気になり廃墟を進んでいった……

 

「……これは」

 

それは基地のようだった、何かが飛び立ったまま放置されたハッチを機能を停止している巨人の数々。全員がこの場所を守ろうとしたのが良く判る

 

「……戦艦か何かに全員を収容して宇宙へ……」

 

きっとこの世界の住人はこのままでは全滅すると悟ったのだろう、だから世界を捨てて宇宙へ逃げたんだ……そして生き物が居なくなった世界からネクロは撤退したのだろう

 

「……暫く休ませていただきましょう」

 

ボロボロだが基地と言うからには多少の防衛機能があるだろう。仮眠だけで動いてきたので流石に疲れが出て来る。私はゆっくりとその基地の中に足を踏み入れた

 

EX-9の2に続く

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