エイプリルフール その2
子煩悩GSとマスコット軍団がアライグマ街に迷い込んだようです
どこまでも続く道路をとぼとぼと歩く額に赤いバンダナを巻きGパン、Gジャン姿の少年の姿。雨に打たれながら肩を落として歩く少年のそばには同じく雨に打たれながら歩く大型犬ほどの大きさの小さな牙を持つ猪と、小型犬ほどのモグラの姿があった。彼は灰色の雲を恨めしそうに見つめながら
「心眼。俺の間違いって何処だったと思う?ルイさんを家に招き入れたのが駄目だった?」
少年の言葉に返事を返すものはいない……と思ったのだが、バンダナに目が浮かび
【あの愉快犯に目をつけられた段階で終わりだったんだ。お前は運が悪かったんだよ】
慰めるような言葉に少年はそうかぁと呟くと、Gジャンのポケットからハムスターのような生き物が顔を出し
「みむう!」
「うん、ありがとなー」
少年を慰めるように鳴く、少年はその鳴き声にありがとなーと返事を返し
「ここどこだろう?ルイさんの落とし穴で俺どこにいるのかな?魔界とか?」
【電話が通じないから異世界という線が濃いな。横島】
少年……横島はもう1度深い溜息を吐き。灰色の雲から降り注ぐ雨に身体を冷やしながら
「車が来たらハイジャックだっけ?」
【それを言うならヒッチハイクだな。だがうりぼー達がいて大丈夫かな?】
心眼というバンダナが疲れたように言う。その視線の先には
「ぴぐう♪」
「うきゅう♪」
元々は野生の生き物。雨などなんの影響も無い猪……うりぼーと、モグラのモグラちゃんがはしゃぎ回っていて2匹がまず問題だろう
「掃除するから乗せてくださいって頼んでみるよ。まずここがどこで何処の国なのか知りたいから」
そんな話をしていると横島が歩いてきた道路の背後から光が来る。それは車のヘッドライトの光で横島は慌ててうりぼーとモグラちゃんを呼んで街灯の下に立つ、夜道で雨の中傘も差さずに動物と共にいると言う一種異様な光景は良いも悪いも良く目立つ、自分達の前に止ったジープ・ラングラーの窓が開き、茶髪の青年が顔を出す。だがその青年の顔を見て横島の顔は引き攣った、どう見ても日本人の顔ではなかったから横島はGパンのポケットに右拳を入れ、暫くしてから流暢な英語で青年と言葉を交わし、しょうがないという表情で車の中を指差す青年に感謝を告げ、うりぼーとモグラちゃんを後部座席に乗せ、自身は助手席に乗り込むのだった……
俺の名前は「レオン・ケネディ」。ラクーンシティに着任する予定の新米警官だ、本来なら1週間前に着任するはずが待機命令が出て連絡を待っていたのだが、何時までも連絡が来ないので自らラクーンシティに向かう事にしたのだが、その道中で奇妙な少年を愛車であるジープに乗せることになった。青のGジャン、Gパンにバンダナ姿の日本人だ、雨が振っているのに傘も刺さずに街灯の下で猪と遠目では犬と思ったのだが大型のモグラを連れた、奇妙すぎる少年だった。だが俺も警官だ、不思議には思ったがどうしたのか?と尋ねた
「あーっとすいません、ここはどこですかね?ちょっと悪戯好きな人に寝てる間にこの近くの廃墟に寝かされてて」
それは悪戯と済ませていい物なのかと思った。寝てる間に違う場所に放置、どう考えても誘拐にしか思えないのだが
「ここはアメリカだ」
流暢な英語で話しかけて来たからアメリカくらいは知っていると思ったのだが、驚いた顔をするのでどうも俺の顔を見て英語で話しかけて来たようだ
「えーっと凄く申し訳ないんですけど「乗れよ。一緒に連れている猪も構わない」良いんですか?」
そりゃ正直愛車に猪を乗せるのは抵抗があるが、見て見ぬ振りも出来ないので一緒に乗って良いぞと言うと少年はありがとうございますと笑い。後部座席を開ける
「良いか?悪戯とかしたら駄目だぞ?大人しく良い子にしてるんだ」
どうも猪に声を掛けているようだ。猪はぷぎゅっと元気良く鳴いて車に乗り込む、その重さで車が揺れるが心配してた暴れると言う事はなく、大人しく座席の下で伏せてくれた
「すいません。近くの街までよろしくお願いします」
「ああ。1人と言うのも飽きてた所だからな」
長時間運転してきて、持って来ていた音楽のカセットテープも聞き飽きたし、話相手もいない。奇妙ではあるが、話相手が出来た事は素直にありがたい。少年が乗り込み、シートベルトをしたのを確認してから車を走らせる
「俺はレオン・ケネディ、警官だ。で?お前は?」
「横島。横島忠夫って言います、一応学生ですね。猪がうりぼーでモグラがモグラちゃんです。んで、これがチビ」
ぷぎー、うきゅー、みーむーと言う鳴き声が車に満ちる。静か過ぎると思っていただが、一気に騒がしくなったな。と言うかGジャンのポケットから顔を出した生き物はなんだ?ハムスターか?それにしてはやけに大きいようだが……
「そうか、忠夫。よろしくな、それでお前さんを近くの廃墟に置いてったのはどんな奴なんだ?」
「すっごい美人で優しい人なんですけど、退屈が嫌いで、暇を持て余すととんでもないことをし始めるんですよ。前は家で寝たと思ったら、いきなり上空2000mからのスカイダイビングとかでしたね……」
遠い目をしてる忠夫にそ、そうかと返事を返すのがやっとだった。かなりの危険人物と言う事は間違いない
「ラクーンシティについたら電話を借りて、迎えに来て貰うと良いだろう。それまでは俺が面倒を見てやるよ」
「すいません、お世話になります。車はちゃんと後で掃除しますから」
忠夫にそんなことを気にしなくて良いぜと笑う。見た所ハイティーンと言う所だろう、大方我侭お嬢様に振り回されて観光旅行の道中で置いていかれたのだろう。
「お、ガソリンスタンドだ。ガソリンも少ないし、給油を兼ねて停まるか。忠夫腹減ってないか?」
コンビニがあるのでそこで何か買うか?と尋ねると忠夫は手を振って悪いですよと言う
「そんなの気にしなくて良い。俺も何か食べたいし、お前も食べたい物を選べよ」
「……重ね重ねすみません」
深く頭を下げる忠夫。これが日本人の謙虚さって奴かと思いながらガソリンスタンドにジープを止めて給油する
「うりぼー達は留守番しててな?何か見てくるから」
「うきゅ!」
「ぷぎゅ!」
うりぼーとモグラに声を掛けて駆け寄ってくる忠夫
「なぁ。誰か見たか?」
「いえ、見てないですけど、こんなものなんじゃないですか?」
ラクーンシティに続くガソリンスタンドはかなり繁盛しているはずなんだが、妙に静まり返ってるな。周囲を見るとエンジンがかかりっぱなしのパトカーが見える
「気味が悪いな」
静まり返ったガソリンスタンドに無人のパトカー。まるでホラーの冒頭だなと小さく笑い、ふと足元を見ると血痕が視界に入った
(どうするか)
強盗か何かが来て、あのパトカーの警官が対応に当たっているのか?忠夫をこの場に残すか一瞬悩んだが、人質にされても困る
「忠夫。何か起きているかもしれない、怖いと思うがついてきてくれ」
「は、はい!判りました」
この場に残す事の危険性と、事件現場に連れて行くことの危険性を秤にかけ。血痕があることから、ジープに残す方が危険だと判断し忠夫を連れて店の中に入る
「……誰かいないのか?」
OPENの看板こそ掛かっているが人の気配がなく、そして明かりも消えている。強盗がいるのならもう少し騒ぎになっているはずだが……余りに静まり返っている事に不気味さと共に不信感を覚える。足元に懐中電灯が落ちていたのでそれを拾い店内を照らす
「妙ですね。何も盗られてない」
「そうだな」
俺の背後から店内を見ている忠夫の言葉に頷く、血痕こそあるが店内に暴れた後などの痕跡は無い。忠夫の言うとおり妙すぎる
「いいか、俺から離れるなよ」
「はい……判りました」
何か買おうと思っていたんだが、それ所じゃないな。忠夫を連れて店内を調べる。レジはしまったまま……商品は物色された痕跡が無い
(……何なんだ……)
警官である俺が不安そうに振舞えば、忠夫もパニックになってしまうと判断し、その言葉は飲み込む。だがこれは明らかに妙だ。懐中電灯で商品棚の間などを照らしているとリュックが視界に止る
「忠夫、これを持っていてくれ」
何か嫌な予感がするのでリュックを忠夫に手渡し、消毒液や包帯、それにペットボトルや缶の飲み物をそこにつめるように指示を出す
「食べ物は?」
「……普通の物は止めておいたほうがいいな。そこにある缶のパンとか果物の缶詰とかを拾っておいてくれ」
冷房も止っている。食べ物は恐らく腐っているか痛んでいるであろう……缶やペットボトルの飲み物ならばある程度は大丈夫だろう
「良いんですか?警官なのに」
「……念の為だ。金はちゃんと払う」
忠夫にはそうは言ったがおかしい、冷房の止っている商品棚に冷蔵庫。それもこの感じは1日や2日の騒ぎでは無い
(胸騒ぎがする)
考え過ごしで済めばいいが、念には念を入れるべきだ。俺1人では物資を集めている余裕など無いが、忠夫がいるので忠夫に運んで貰おう。忠夫がリュックに物資を詰めて背負ったところでバックヤードから大きな音がする
「忠夫。離れるなよ」
懐中電灯で照らしながら忠夫と共にゆっくりとバックヤードへ向かう。
「……大丈夫か!」
バックヤードに続く扉の前で男が蹲っているのを見て慌てて駆け寄る。男は血まみれで青いシャツを自身の鮮血で真紅に染めていた。傷口を手で押さえながらバックヤードを指差す
「動かないで、すぐに戻る。忠夫はついてきてくれ」
犯人がトイレなどに隠れていても人質か死人が増えるだけだ。忠夫を連れてバックヤードに足を踏み入れた瞬間。音を立てて扉が閉まる
「おい!なにをする!」
扉を叩くが何の反応も無い、ドアノブに手を伸ばすがガチャガチャと音を立てるだけで開く気配も無い。嫌な予感がするが前に進むしかないようだ。半開きの扉を開き奥へと進む
「ジッとしていろ!」
男の怒声が聞こえてくるやはりただ事では無い、念の為に携帯していた「H&K VP70」の出番があるかもしれないな
「どうかしましたか?」
懐中電灯で照らすと外のパトカーの持ち主なのだろう。警官の後姿が見える、服装から恐らく保安官だと当りをつける
「大丈夫だ、下がってろ!」
暴漢を取り押さえていた警官が振り返り、俺と忠夫に来るなと言った瞬間。警官に取り押さえられていた男が凄まじい力で保安官の腕を捩じ上げ保安官を地面に叩きつける
「う、うわあああああああ!」
「おい!止めろ!離れるんだ!!!」
男が警官の首筋に噛み付く、鮮血があふれるのを見て止めろと叫ぶが、懐中電灯で照らしているからかその惨劇は一部始終見えてしまった。男が警官の頚動脈を噛み千切り、警官が力なく助けてと呟く声までも聞こえた。警官を食い殺した男がゆっくりと顔を上げる、その顔は青白く、目は白濁に濁っていた
「うおああああ」
唸り声を上げながら近づいてくる男から忠夫を庇い、片手で懐中電灯を手にしながら「H&K VP70」を構え
「止れ!……撃つぞ!」
銃を向けているのに一切躊躇せず近づいてくる男。忠夫の前で撃ち殺していいものかと一瞬悩んだ時
「レオンさん。撃って!あれは生きてない!!!」
その怒声に反射的に引き金を引く、銃弾は胸元に命中し血が溢れるが男は苦悶の声すら上げず足を引き摺って近づいてくる。その異様な光景に思わず息を呑む
「頭!頭を狙って!!俺には判る!あれはもう生きてないから!躊躇わないで!!」
ええい!どうなっているんだ!だがこのままでは俺も忠夫をも死ぬと思い、銃口を頭に向け引き金を引く。男の頭が吹っ飛び、スローモーションのように倒れる。殺してしまった……と言う罪悪感を感じながら、男に近寄ろうとすると忠夫が俺の服を掴む。そう言えば、忠夫は生きていないって何度も叫んだな
「忠夫。どういう事だ?」
動いていたのに生きていないと何故断言出来た。それに明らかに普通じゃない少年だ、動く死体というあり得ない物を見たからか、忠夫に対する不信感も生まれた
「……多分。あれと同じなのを見た事があって」
忠夫は怪訝そうにしている俺に目もくれず、壁に立てかけてあったモップを手に取り、死体の服を捲る
「やっぱり……」
「何?」
男の腸が警官と同じく噛み千切られた跡から零れていた。どう見てもショック死していてもおかしくない有様だ。その血が固まっていることから間違いなく死後数日は経っている。死人が動いていた、その事にショックを受けながらも俺は如何しても問いたださなければならない事があった
「忠夫……お前は何者だ?」
なんで死んでいたことに気付いた?と尋ねると忠夫は周囲を窺いながら
「信じられないと思いますけど、俺霊能者でして……えっとシャーマン?見たいな物です。だから相手が生きてるか、死んでるかは判るんです」
信じるべきか、戯言かと一蹴するべきなのか悩んだが、倒れていた男が呻き声を上げながら立ち上がる。どう見ても死んでいたあの警官がだ!
「信じるしかないみたいだな!!」
どう見ても死んでいた男が立ち上がる。それはゾンビ映画の定番の光景だった、それが目の前で繰り広げられるのは正に悪夢としか言いようの無い光景だった……だが俺は幸運だったのかもしれない。このガソリンスタンドに来る前に忠夫に出会えたこと……俺がこれから巻き込まれる悪夢のような事件の中で、それが素晴らしい幸運だったと知るのはそう遠くない出来事だった……
起き上がってきた保安官の姿にごめんなさいと小さく呟き、右手に栄光の手を作り出し、そこから霊波刀を伸ばして頭を切り飛ばす。レオンさんが周囲を警戒しながら
「シャーマンって言うのはそんな攻撃的な能力もあるのか?」
シャーマンって言うたとえが悪かったか、俺は栄光の手を消しながら
「えーっと俺はシャーマンではあるんですけど、ゴーストハンターもやってて、悪霊とかゾンビ退治の専門家みたいな感じで。まぁ、俺はまだ見習いなんですけど……」
「……日本は地獄なのか?」
レオンさんの言葉にどうなんでしょう?と返事を返し、ルイさんが俺をここに放置したのは絶対あれだ。ゾンビパニックの真っ只中に俺を落として、慌てふためく姿を見るために違いない。周囲を警戒していると脳裏に心眼の言葉が響く
「レオンさん良い知らせと悪い知らせ、その2つがあるんですけど、どっちから聞きたいですか?」
霊力を少し感じるなーとは思っていたけど、それがどんどん近づいてくる。しかしその霊力が濁っているので間違いなくゾンビだろう
「とりあえず良い方から頼む」
ゾンビに警戒して進み倉庫の中を確認しながら尋ねてくるレオンさん。俺も倉庫の中を調べながら
「とりあえず生きてる人が近づいて来てるみたいです」
「……それはゴーストハンター的な能力なのか?」
正確には心眼の補助だけど、心眼の説明も難しいのでそうですと返事を返す
「生存者と合流できるのは確かにいい知らせだ。で、悪い知らせは?」
「めっちゃゾンビ近づいてきます」
俺の言葉に顔を引き攣らせるレオンさんは泣けるぜと小さく呟き。壁に掛けられていた鍵を手にする
「ならさっさと生存者と合流して店を出るぞ。車の中で勿論お前の事は詳しく聞かせて貰うからな?」
判ってますと返事を返し、俺達が入ってきた扉ではなく、店員が出入りする扉を見つける。間違いなく、今見つけた鍵で開けられる扉だろう。早速鍵を開けようとするレオンさんの腕を掴んで
「……外に出るとゾンビがいます。今は動いているので気配が判りますけど……多分4体くらい。変えの銃弾ってあります?」
「……手持ちには無い、ジープの中にはあるが……」
うりぼーとモグラちゃんとも合流しないといけないので、これでジープに戻るのは必須か……
「こんな狭い中じゃ戦えない、一気に店の外に出るぞ」
「……了解です」
1、2の3!とタイミングを合わせて扉を蹴り開ける。
「うぼおおあああ」
蹴り開けた扉でゾンビが吹き飛び、暗い店内をレオンさんと共に走り出す。あちこちから呻き声と綺麗に並んでいた棚が倒れる音がする
「くそ!さっきまで動かなかったのに!」
「どうせなら俺達が店を出てから動いてくれれば良いんですけどね!!」
動き出したゾンビになんて間の悪いと叫びながら出口へと走る。そして扉を開けようとした時、外から扉が開き赤いジャケット姿の女性が飛び出してくる。銃を構えているレオンさんを見て両手を上げて
「撃たないで!」
心眼が感じていた生存者は彼女か、レオンさんと俺は女性の後ろにゾンビが近づいているのを見て声を揃えて
「「しゃがめ!!」」
俺とレオンさんの言葉に女性がしゃがんだ瞬間。レオンさんが引き金を引き、近づいて来たゾンビの頭を吹き飛ばす。レオンさんが顎で合図を出すので、俺も店の外に出る
「大丈夫か?」
「ええ。なんとか、ありがとう。君もね」
俺に笑みを浮かべて礼を言ってくれるのでどうもと頭を下げながら
「でもお礼を言うのはまだ早いみたいです」
あちこちからゾンビが姿を見せる。それを見て安心するのはまだ早いと呟き、周囲を確認する。ゾンビの数は多いが、ジープの回りは特に酷いな……とても強行突破するには厳しい数だ。Gパンに手を入れて、その中に入っていた精霊石のイヤリングを手にする。
(……3つか、心もとないな)
精霊石の手持ちは純石が1つ、擬似石が2つ……純度の高い方は残すべきだと判断する
「……忠夫。駄目だ、ジープには戻れない。あっちのパトカーに」
エンジンの掛かっているパトカーの方が近い、普通ならばジープに戻るのは無理と判断するのは当然だ。でもここには俺がいる、霊能者である俺がいればそれは不可能では無い
「今からゾンビを一掃しますから、2人ともジープに走ってください」
精霊石に霊力を込めてゾンビの方に投げつける。霊力の光がガソリンスタンドに満ち、近づいてきていたゾンビが霊力によって大きくよろめき、動きを硬直させる
「走って!!」
感じていたがこの世界は霊力が薄い、普通なら精霊石の直撃を受ければゾンビは消滅する。だがよろめき、動きを硬直させるのが限界と見るとの、やはりかなり霊力の密度が薄いようだ。一瞬驚いた顔をしていた2人だが、俺が走り出したのを見て我に返ったのか俺の後を追ってジープへと駆け寄る。俺は後部座席に乗り込み、女性は助手席、レオンさんは運転席へと乗り込み、麻痺から回復したゾンビを蹴散らしながらガソリンスタンドを飛び出すのだった……
「ねえ、今何が起きてるの?」
兄でありラクーンシティの警官でもある「クリス・レッドフィールド」と連絡がつかず、ラクーンシティに向かっている途中での動く死体の襲撃……助手席の窓から外を見ながら運転している男性に何が起きているのかと尋ねる
「判らない、だけど署に行けば……何か判るかもな」
「貴方警官なの?」
険しい顔で車を走らせている男性にそう尋ねる。もしかしたらクリスの事を知っているかもしれないという期待もしながら
「ああ、レオン・ケネディ。君は?」
生存者がいると言う事で笑みを浮かべるレオンに私も笑みを浮かべながら
「クレア……クレア・レッドフィールド。それで貴方は?」
先ほどの不思議な光を放った少年に声を掛ける。少年は後部座席の猪の頭を撫でながら
「横島。横島忠夫って言います。この猪はうりぼー、こっちはモグラのモグラちゃんで、この子はチビです」
様々な動物の鳴き声が後部座席から響く、緊急事態のはずなのに、その鳴き声を聞くと不思議と気分が落ち着いた
「それで忠夫。お前はゴーストハンターと言っていたが、あれはゾンビなのか?」
ゴーストハンター!?そんなのありえないと思ったのだが、先ほどの光景を見る限りでは信じるしかないのかもしれないけど……
「俺の知ってるゾンビとは少し違いますけど、概ね一緒だと思います」
忠夫の知っているゾンビとは少し違うという言葉は少し気になったけど、この異常事態に専門家と一緒なのは心強いかもしれない
(普通ならありえないんだろうけどね)
私よりも年下でしかもゴーストハンターを自称する。普通なら頭のおかしい子と思うが、先ほどの光景を見ると信じるしかない
「それでお前はどんな事が出来るんだ?見習いと言っていたが……」
「えーっと霊力を集めて篭手にして殴るとか、見たと思いますけど剣みたいにするって言うのと……今は生憎手持ちが数枚しかないですけど、陰陽術……レオンさんとクレアさんには魔法って言えば良いかな?それを使う為の触媒がひーふー……5枚ですね」
魔法使い……それを言われるとさっき見た緑色の光を思い出した。凄まじい数のゾンビの動きを止めた優しい緑の光
「あの緑の光が魔法なの?」
「あ、いえ。違います、あれは精霊石って奴で……後2個しかないですけど、さっきみたいに広範囲に攻撃したり、バリアみたいに使えます」
2個しかないのは残念だけど非常に強力な武器だと思う……だが流れで告げられた言葉に私もレオンも絶句した
「うりぼーは増えたり、ビームが出ます。モグラちゃんは火炎放射、チビは電撃が使えますよ」
……どうもただの動物ではなく、ゲームやアニメで言う……それとも魔法使いの使い魔のような生き物だったようだ……
「ビーム……いや、まぁそれは良い。こうして一緒に行動できているのは力強いよ。所で忠夫、ゾンビに噛まれたりするとやっぱりゾンビになるのか?」
「……一概には言えないですね。その人の抵抗力とかによると思いますけど……極力組み付かれたり、噛みつかれないほうが安全だとは思います。応急処置くらいは俺も出来ますけど……うん、やっぱり極力避けてください。リスクは避けるべきだと思います」
忠夫に言われるまでもなく、誰が好き好んでゾンビに噛まれたいと思う物か
「それでクレアはラクーンシティに住んでるのか?」
心配そうに尋ねてくるレオン。家族のことを考えてくれているのが良く判った
「ううん、でも兄がラクーンシティの警官で……レオンは知らないかしら?クリス・レッドフィールドって」
「俺は一週間前に着任する予定だったんだが、連絡がなくて確認に向かってる道中なんだ」
彼も条件的には私と同じってことね……もしかしたらクリスを知っているかもしれないと思ったんだけど
「でもまぁ、なんにせよ、こうして出会えたって言うのは凄い幸運ですよね」
「みむう」
忠夫とチビの声がする。本当にその通りだ、ゾンビが溢れ。正気を失いそうなこの地獄でこうして3人出会えたことが凄い幸運だと思う
「今は良いが、この先どうなるか……」
「レオンさん、悪い風に考えているとその通りになりますよ。難しいと思いますけど、明るく行きましょう」
私達よりも年下であろう忠夫に励まされるように言われ、私もレオンも少し恥ずかしいと思った
「そうね、まずは安全な場所を探す。どうするかはそこから考えましょう」
まずは安全な拠点と生存者を探す。ラクーンシティの看板を見ながら私はそう笑うのだった
『市民の皆様、大規模な暴動が発生した為、ラクーンシティ警察署へと避難する事をお勧めします』
ラクーンシティの中に入ると録音されていた避難誘導の声が聞こえてきた
「警察署が避難所になってるなら、生存者がいるかもしれないですね」
忠夫が明るい口調で言うが、忠夫も理解しているに違いない。立ち往生している車の数々、状況はかなり悪いと
『必要な方には衣料品や食べ物を無料で支給します』
「署に行けば、なにか判るさ。まずはそこからだ、忠夫悪いんだが、後に工具ケースがある。それを取ってくれないか?予備のハンドガンの弾があるんだ」
レオンが瓦礫や立ち往生している車を避けながら言う。忠夫は了解ですと返事を返し、後部座席から後に身を乗り出す
「ありましたよ」
差し出されたハンドガンの弾のケースは2つ。レオンは片方を受け取り、もう片方を私に差し出す
「念の為だ。持っておいてくれ」
「……ありがとう」
この状況で弾薬の稀少さは言うまでも無い、それなのに分けてくれたレオンに感謝の言葉を口にするが、どうしても不安の言葉が口から零れてしまう
「もし生き残っているが私達だけだったら……」
「いや他にもいるさ、これだけデカイ街なんだから……いるに決まっている」
励ますようなレオンの言葉に返事を返そうとした時
【ああ。心配ないさ、クレア。あちこちに生きてる反応はある、合流できるとは言いがたいが生存者はいるよ】
「誰だ!」
突如聞こえてきた女の声にレオンが怒鳴ると忠夫がすいませんと謝りながら、頭に巻いているバンダナを指差す
「目?」
忠夫のバンダナには目が浮かんでいた。その異常な光景に一瞬困惑する
「心眼って言います。おれの助言者とか、アドバイスをしてくれる精霊なんです」
せ、精霊……ますます魔法使いとかファンタジーの世界になってきたわねと苦笑する
「っと、車ではここまでみたいだ」
「そうみたいですね」
警察署はすぐ近くに見えているが、バリケードで進む事が出来ない。レオンが車を停め、自身の銃に弾丸を装填しながら
「歩くしかないみたいだな」
「……走るの間違いでしょ?」
「……いや、走るのも無理そうですね……心眼よぉ、もう少し警戒してくれない?」
【……そういうな。ここのゾンビは気配が弱いんだ】
どういう意味?と尋ねようとした時、ゾンビが窓ガラスをバンバンと叩く。囲まれている
「レオン!早くバックして!」
このままでは危ないと思いレオンにバックするように言う……だが後を見ていた忠夫が引き攣った声で
「それより思いっきり何かにしがみ付いた方が良さそうですよ?」
背後から強い光を感じ、振り返ると蛇行しながらトレーラーが近づいてくるのが見えた
「マジかよ!?」
咄嗟に扉に手を伸ばすが、それは心眼の声に制された
【あれはトレーラーだ。爆発炎上する危険性がある!このまま中にいたほうが安全だ、逃げるよりも何かに掴まり身構えろ!】
その言葉にダッシュボードを掴んだ瞬間。背後から凄まじい衝撃を感じるのだった……
「ぐっ……」
【ぼんやりしてる暇は無いぞ!早く車の外に出るんだ!】
心眼の言葉に反射的に車のドアを開けて外に飛び出る。その直後ジープが爆発する
「泣けるぜ……」
「レオンさん、ドンマイ」
どうも声の感じから忠夫とレオンは一緒みたいね
「うきゅ?」
「ぷぎ?」
「……モグラちゃんとうりぼーで良いのかしら?」
うきゅっと鳴く大型犬くらいのモグラと猪。その澄んだ円らな目を見ていると何か判らないけどホッとする。だがホッとしたのも束の間、突っ込んできたトレーラーが爆発し、大きく吹き飛ばされる
「クレア!クレアー!大丈夫か!」
レオンの声に呻きながら立ち上がる。ふらついた私をモグラちゃんが支えてくれた
「ええ!大丈夫よ!忠夫は!?」
「俺も大丈夫ッすよー!!モグラちゃーん!!うりぼー!!クレアさんをよろしく頼むぞー」
「うっきゅうううー!!!」
「ぴっぎいーー!!」
忠夫の声にモグラちゃんが勇ましく返事を返すが、辺り一面火の海でゾンビの群がってきているだ。レオン達と合流するのは不可能に近い
「先に行って!警察署であいましょう!」
「判った!」
そして私は猪とモグラと言う奇妙な組み合わせで警察署に向かって走り出すのだった……
バイオハザードRE2のプレイ動画を見て、エイプリルフール企画にぴったりと思い書かせて頂きました。エイプリルフールねたなので続きは考えておりませんが、バイオの世界に横島がいたら難易度イージーだろうなあと思います
変更点
クレアに「うりぼー」「モグラちゃん」の参戦
組み付かれた時に、自動的にビームOR火炎放射で迎撃(正しインターバルあり)
横島編の追加
横島 文珠習得後 モグラちゃんの帰還後の時間軸。セカンド終了後でルイ様の遊び道具にされている状態
レオンとクレアのルートの複合ルートになる
近接武器の栄光の手・霊波刀が武器になる変わりに、ショットガン、マグナム、グレネードランチャー、火炎放射、スパークガンなどの追加武器の使用不可
組み付かれた時に「心眼ビーム」または「チビサンダー」による迎撃(インターバルあり)
ダッシュで足音が出ない
一部の死亡キャラを生存させる事が可能
とかですかね、続きは考えてないので完全にネタですけどねー。エイプリルフールはこんな感じでネタで書いてみようと思います
ではでは~