違う、違うのだぁ……ワシは……ワシは……こんな事を望んでいたのではないのだぁ……目を閉じる事も許されない、耳を塞ぐ事も許されない。止めろと叫ぼうとも、その声は誰にも届く事はない。今まさに自分の息子が死ぬと言うのに、それをみ続けることを強制された男は声にならない声で叫び続けた……
(これがワシへの罰だと言うのか……)
シャルル・ジ・ブリタニア……神聖ブリタニア帝国98代皇帝。弱肉強食を唄い武力を持ってその領地を拡大し続けた男……そして神殺しを目論み、後少しで悲願が叶う。その歩みを止めさせたのは己が最も愛した息子だった……愛していた、心から、何よりも大切に思っていた。だからこそブリタニアから日本へと送った、己の目的を果たす為には日本を侵略する必要がある。だが己の目的が叶えば、例え死んだとしても判り合う事が出来る。そうすれば自分の深い愛を息子は……ルルーシュは受け入れてくれる。そう信じ、疑う事無く進んで来た……だが……ルルーシュは受け入れる事は無く、そして長い年月をかけて成し遂げようとした神殺しもまたルルーシュによって阻まれた――……
「現実を見ることもなく、高みに立ってオレたちを楽しげに観察して……!ふざけるな!!事実は1つだけだ……お前たち親は、オレとナナリーを捨てたんだよ!!!!」
涙を流しながら叫ぶルルーシュに否定され、考え直せとワシが死ねばシュナイゼルの支配する世界が待っているだけだと口で叫びながら
(何故だぁ、何故コードが移せない……)
……このままワシが消えれば、代々ブリタニアに伝わって来たコードは消えてしまう。それにもしルルーシュがシュナイゼルと戦うのならば最悪の可能性を考えなくてはいけない、ラグナレクの接続が途絶えた今。死ねば2度と会う事は出来ない……ならばっとコードを渡そうとしたのに、それすらも出来ない
「そうだとしてもお前の世界は俺が否定する!消えうせろッ!!!」
「ぬ、ぬぐあああああああ!!」
力強いルルーシュのその一喝と共にワシはマリアンヌと共にCの世界に飲み込まれて消えた……しかしワシの意識は残っていた。そしてずっと見続けていたルルーシュが皇帝となり、世界を変えていく……その手腕に感心し、そしてルルーシュが皇帝になった事を喜んだ……だが、それは長くは続かない
(何をしているのだあ!シュナイゼル!コーネリア!ナナリー!)
ルルーシュは確かにギアスを持っていた。だからルルーシュが皇帝になったのはギアスだと決めつけペンドラゴンにフレイヤを落とした息子に娘、そしてルルーシュを悪逆皇帝と呼び、ルルーシュがワシを倒す為に1から作り上げた黒の騎士団でさえもルルーシュと敵対した。だがルルーシュは勝った、良かったと安心した。だがその後に知った事実に叫ばずに入られなかった……
(ゼロレクイエムだと!止めろ!止めるのだ!ルルーシュ!!)
……届かない、そう判っていても叫ばずには入られなかった。元ワシの騎士、ナイトオブセブン枢木スザクにゼロの仮面を渡すルルーシュに止めろと声が枯れん限りに叫び続ける。だがその声は届かない、そして始まった……ルルーシュが計画した、世界を平和にするための儀式が……ワシの行った悪行。ナナリーが行った虐殺、黒の騎士団の裏切り……その全てを闇の中へと消し去り、己が悪となり作り上げた正義の味方であるゼロに殺される。ルルーシュが考え出した世界の破壊と創造……
(止めるのだ!枢木スザク!!止めろ!!)
目の前を駆けていくゼロに扮した枢木スザク。そしてルルーシュに忠誠を誓ったジェレミア・ゴットバルト……余りにずさんとしか言いようの警備体制を走りぬけ、枢木スザクがルルーシュの前と立つ
「痴れ物がッ!!!」
銃を取り出そうとするが、知っている。あの銃には弾は装填されていないのだ。銃を弾いた枢木スザクがその剣を構えなおし……
「や、止めろおおオオオオオオオッ!!!」
ワシの叫びは届かず、その剣がルルーシュの胸を貫く……涙を流しながら叫ぶ。だがワシの声は届く訳も無く、剣で刺し貫かれたルルーシュの空虚な瞳と目が合った……これが……これが!!!神殺しなどを企んだワシの罪だと言うのか!!!愛した息子が目の前で死ぬのを見るこれが……これがッ!!!ワシの罪だと言うのか!!!
「る、ルルーシュウウゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!」
その名を叫びながらワシは届かないと判っていても、その手を伸ばさずには居られなかった……
「はっ!……はっ……はっ……ゆ、夢……」
薄暗い部屋の中で目を覚ました。夢と言う言葉で終わらせる事ができない深い絶望と悲しみが今もなお、ワシを襲っている。あれは夢ではないのか……?
「皇帝陛下!……ええい邪魔だ!どけ!!シャルル様!どうなさいましたか!!!」
「……セバス?」
衛兵を押しのけて部屋の中に飛び込んできた男を見て、思わずその名を呟く。かつてのワシの教育係であり、アリエスの悲劇の時に共に死んだはずの壮年の執事の姿にワシは更に深い混乱に陥ってしまった
「はい!セバスでございます。どうなさいましたか?シャルル様?」
心配そうに尋ねて来るセバス。ワシの教育係としての任を終え隠居したはずの執事……オデュッセウスやシュナイゼル、クロヴィスにもつけず、ルルーシュの教育係としてもう1度呼び寄せた
「セバス……今日は何日だった?」
「?■日……ですが?」
……アリエスの悲劇の前……まさかまさかまさか……ワシはぁ……戻って来たとでも言うのか?
「ルルーシュの教育係に任命はしただろうかあ?」
「?どうなさったのですか?本日その任を拝命し、明日よりルルーシュ殿下の教育係権執事としてアリエスの離宮に上がりますが?本当にどうなさったのですか?」
怪訝そうなセバスにワシは思わず笑ってしまった。何故、ワシが若くなっているのか?アリエスの惨劇の前で意識を取り戻したのか?その理由はワシには判らない。だがワシはやり直す機会を得たのだ、あの結末を知った今。ラグナレクの接続をやろうとは思えない、ワシの今の願いは唯1つ……
「セバス……お前にだけは告げよう。ワシの後継者はルルーシュとする、頼むぞ」
「……!!!……畏まりました。そのお言葉このセバスの胸の中にしまっておきます」
「うむ。頼んだぞ、セバス……では……ワシは休む。少しばかり夢見が悪かっただけだ、心配をかけてすまなかった」
もう大丈夫だとセバスに言うと、失礼しますと頭を下げて出て行くセバスの背中を見つめながらワシはこれからの事を考えていた
(セバスを任命する前と言うと……戦略戦争は始めているまえだったか……だがエリア11……いや日本にはまだ侵攻していない。それに……待て待て、思い出せ、思い出すのだ)
この時代ワシは何をしていたぁ?……ラグナレクの接続はやめる。アリエスの惨劇も回避する、侵略戦争も行わない。ルルーシュを殺した馬鹿が居る日本は正直侵略してもいいと思うが、ルルーシュがブリタニアに居れば会う事もない。ならば無視だ。皇族と庶民本来なら出会うことも無いのだから、今重要なのはルルーシュがゼロにならない事、そしてアリエスの悲劇の回避だ
(兄さんを説得しなければ……それにマリアンヌも……)
兄さんとマリアンヌにラグナレクの接続を止める事を告げ、そして計画を中断させる。それが今ワシがやらなければならないことだ、どれだけ難しい事だとしても成し遂げて見せる。ルルーシュやナナリー、そしてマリアンヌと幸せに暮らすために!!!まずは兄さんからの説得だ。これはきっと難航する、そう思っていたのだが
「シャールル♪いやあ、シャルルから話をしようなんて随分久しぶりだね!凄く嬉しいよ」
小柄な少年であるが、間違いなくワシの兄であるV.V.だ。幼い時にコードを継承し、不老不死となったワシの兄弟……の筈なのだが……
「に、兄さん?何故スカートを?」
「兄さん?何を言っているんだい?ボクは姉さんじゃないか?」
スカートを穿くのは当たり前じゃないか?と笑う姉さんを見て、ワシは完全に混乱していた……どういうことだぁ?兄さんが姉さんになっている……へんな夢でも見たのかい?と尋ねて来る兄……姉さんにそうかもしれませぬと返事を返しながらその姿を見る。長い金髪もそのまま、着ている服もスカートである事を除けば同じ……しかし性別が……いやいや、兄さんが姉さんになっていたとしてもアリエスの悲劇の前なのだ。前のように憎むような事は無い
「姉さんにお願いがあって」
「お願い?丁度いいね!ボクもあったんだ」
姉さんがワシに?それは初めての事かもしれない。ワシの願いを口にする前に姉さんの話を聞こうと思った、姉さんは何時もワシの我侭を聞いてくれた、ならば今回はワシが聞こうと思ったのだ
「では姉さんからどうぞ」
「良いのかい?じゃあ遠慮なく、シャルルなら難しい事じゃないしただうんって言ってくれれば良いんだ」
弾ける笑顔の姉さんはワシの顔をじっと見つめて。真剣な表情で
「ルルーシュをボクの夫にして欲しいな!」
「はい?」
はいじゃないよ!うんだよ!シャルル!!っと怒る姉さん。しかしワシは何を言われたのか理解出来なかった。ルルーシュを夫?夫……
「姉さん……それはルルーシュと結婚したいっと言う事でしょうか?」
聞き違いであって欲しい、そんな淡い期待を持ちながら姉さんに問いかけると姉さんは心底嬉しそうに笑いながら
「そうなんだ!最初はボクからシャルルを奪ったにくい女の子供! って思っていたんだけど……可愛い! ルルーシュは可愛すぎる! 子供の時にコードを継承したのはきっとルルーシュに巡り合う為だったんだと! だからシャルル、ボクとルルーシュを婚約者にしておくれよ」
……兄さんの言葉を聞いて、眉を揉み解しながら深呼吸を数回繰り返す。兄さんがルルーシュを憎んでいないのは良かった、それは何よりも嬉しい事だ。だがまさかルルーシュと婚約者にしてくれなんて言い出すなんて思っても居なかった
「姉さん、ラグナレクの接続はどうするのですか?」
「ラグナレクの接続? 何それ?美味しいの?それよりもルルーシュだよ!」
……ね、姉さんの悲願だったはずなのに……まさか美味しいの? なんて言葉が出てくるなんて思っても居なかった。
「そういうのは本人の同意も必要なのでなんとも……」
「判った! じゃあルルーシュに会って来るよ! ルルーシュがうんって言ってくれたら婚約者ね!」
じゃっと手を上げてシュタタタっと走っていく姉さん。その余りに綺麗な動きに、何もいえなかったが、これで問題は1つ解決したと言えるのではないだろうか? ルルーシュと姉さんが結婚するのは流石にどうかと思うが、憎む事がないだけでもそれは十分と言えるのではないだろうか? などと考えていると
「おいシャルル」
「C.C.? どうしたのだ?」
何時の間にか現れた緑色の髪をした少女……姉さんと同じくコードを持つ少女は普段無表情なその顔に明確な怒りの色を浮かべ
「貴様、どういうことだ! 何故V.V.がルルーシュの婚約者になる事を認めた! お前はルルーシュは私にくれると言っていただろうが!!」
……確かに、確かに言った記憶がある。だがそれはラグナレクの接続あり気の問題で……
「ラグナレクの接続は止めにしたのだ。ゆえにお前の願いは……「私の願い? ルルーシュと共にあることだ! 何故それをV.V.にするんだ!」
……おかしい、C.C.の願いは死ぬ事だったはずだが……何故ルルーシュと添い遂げる事になっているのだ?
「良いか! 絶対にルルーシュとV.V.の婚約を認めるなよ!! 良いな! やったらお前を殺すからな!!! 待ってろルルーシュ!!!」
砂煙を上げん勢いで走っていくC.C.。ワシはその背中を見つめながら
「まさか、単純に戻ったわけではないと言うのかぁ?」
兄さんが姉さんになっていて、C.C.がルルーシュは自分の物だと言う。まさか神の罰は続いている?……この逆行も神の罰の続きだと言うのならば
「こうしてはおられぬう!!!」
公務をしている場合ではない!ワシは慌てて王座から立ち上がりアリエスの離宮へと向かった。そしてそこでは信じられないモノがワシを待っているのだった……
穏やかな日差しが差し込む庭で優雅な素振りでカップを口へと運ぶ1人の女性。日本人でも滅多に居ない艶のある美しい黒髪と青いドレスを着たその女性は庭で走っている子供達を見て穏やかな笑みを浮かべる。彼女の名は「マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア」12人の皇帝の騎士ラウンズの元NO.6であり、その実力から閃光のマリアンヌと呼ばれた女傑であり。そして庶民の生まれながら皇帝の皇妃となり、皇妃の中でも数少ない2人の子供を持つことになった女性はとても優しい笑みを浮かべながら
「お兄様♪こっち!こっちですわ!!」
柔かな茶色の髪を翻しながら楽しくて仕方ないと言う表情でこっちこっちと兄を呼ぶ妹「ナナリー・ヴィ・ブリタニア」とは対照的に
「ま……待って……な、ナナリー……そ、そんなに……はぁ……はぁ……走ったら……危ない……」
息も絶え絶えに妹に追いつこうと頑張る黒髪の少年「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」の2人の自分の子供を見て楽しくて仕方ないと言う感じで笑みを浮かべる。ただその理由は……
(ふふふ、ルルーシュったら……そんなに悲しそうに……可愛くて仕方ないわ♪)
涙目の自分の息子を見て喜ぶ。Sっ気溢れる物だったが、表面上は穏やかなので、それに気付く者は居ない。
(本当ルルーシュって運動神経を私の中に全部置いて来た感じね)
私もシャルルも運動神経は良い方なのに、ここまで運動音痴となるとナナリーの為に運動神経を全て私の胎内に残して来たとしか思えない。その代わりシャルルからは美しいインペリアルパープルと呼ばれる紫の瞳と私からは美しい黒髪を引き継ぎ、その齢からは想像も出来ない優秀な頭脳を持って生まれ来た。惜しむらくは……男で生まれて来た事だと思うけれど
「お兄様♪早く早く!」
「い、今行くよ……ナナリー……」
ナナリーの追いつこうと洋服で涙を拭い、再び歩き出す姿に愛しさとそして……もっと苛めたいという欲求が生まれてくる。マリアンヌと言う女性は見た目は穏やかだがその気質は激しく、そしてドSと呼ばれる性質をしていた。故に息子であるルルーシュを愛しているからこそ、その泣き顔を見たいという倒錯的な愛し方をしていた
「ル!ルルーシュッ♪」
「ほ、ほわあああああ!?だ、誰!?」
「お兄様!?だ、誰ですか!お兄様は私のお兄様なんですよ!」
突然ナナリーとルルーシュの間に割り込んで来た金髪の少女を見て驚く。今までは隠れてルルーシュを見ていることが多かった義理の姉「V.V.」だったからだ。夫であるシャルル、義理の姉であるV.V.の悲願である全人類の意識の「ラグナレクの接続」は……正直あんまり興味は無いが、私が死んだ後もルルーシュを見ることが出来るならと思って協力しようかなあーっとか思っていたが……V.V.の突然の行動が理解出来ず椅子から立ち上がり
「V.V.どうしたの?」
「やあマリアンヌ。ボクは君は大っ嫌いだけど!ルルーシュは可愛くて好きなんだ。シャルルにルルーシュと婚約させてもらおうと思ったら本人の意思が大切って言うからこうして会いに来たのさ!」
弾ける笑顔のV.V.はルルーシュを抱しめてご満悦と言う表情で、婚約者と聞いたナナリーがV.V.からルルーシュを取り返そうとするが……
「お兄様は私のお兄様なんです!返して!」
「やーだよ♪べーっだ!」
「返してーッ!!!」
「ほわあああ!?め、目が!目が回るうう……は、母上……た、助けええ……」
ルルーシュを取り返そうとするナナリーと、そうはさせないと回転するV.V.。目を回して助けてぇと呟くルルーシュの困った顔が可愛いと見つめていると
「違う!ルルーシュは私のだ!」
「あわわわわわ!だ、誰ですか!?」
今度はC.C.が割り込んできて、V.V.の腕からルルーシュを奪って大事そうに抱き抱えながら
「私か?私はC.C.。お前の両親公認の婚約者だ」
「はい?」
「ふっふふ、もう少し大きくなれば判るだろう。今はまだ良い」
「「返せッ!!!」」
C.C.が抱き抱えているルルーシュを奪い返そうとするナナリーとV.V.を見て私はこれから面白い事になる。それを本能的に感じ取り、再び椅子に腰掛けてそのやり取りを見つめるのだった……
お、遅かった……ワシがアリエスの離宮に着いた頃、そこは凄まじい惨劇の後が広がっていた
「私のお兄様を返して!」
「C.C.。ルルーシュはボクの物だ。早く返すんだ」
「だが断る!」
「……」
気絶してぐったりとしているルルーシュを抱き抱えているC.C.とそんなC.C.からルルーシュを取り返そうとしている姉さんとナナリーの姿。そして奪い合う過程で荒れ果てたであろう庭と
「あらあら♪もう……楽しくて仕方ないわ♪」
この惨劇を見て心底楽しいと言う表情をしているマリアンヌ……ワシは激しい頭痛を感じ、このまま意識を失ってしまえればと本気で思った
「ふふふ、ルルーシュは甘くて、とても良い匂いをしている」
挑発するようにルルーシュの首元に顔を近づけるC.C.。それを見て身体を振るわせるナナリー……マリアンヌの運動神経とワシの運動神経を全て引き継いだと言えるナナリーの運動神経はとても6歳とは思えないほどに高い。そして姉さんも同じく姿は10歳前後で止まっているがその戦闘技術は凄まじい物がある事をワシはよく知っている。だから
「止めんか!ルルーシュがぐったりしているだろう!」
このまま戦闘が始まれば大変な事になる。主にルルーシュにとって大変な事になる、ワシはそう判断し、一喝すると同時にC.C.へと駆け寄りルルーシュを奪い返すのだった
「ね……こほん、ヴィーあまり迷惑をかけてはならぬと念を押したではないか」
ナナリーがいるので姉さんと呼べず、ヴィーと言う愛称で姉さんの名前を呼ぶ
「迷惑と言うか、ほら。ルルーシュに自己紹介をしようと思ってね」
悪びれず笑顔で言う姉さんに頭痛だけではなく、胃痛も感じながらどういうことですか?と言う表情をしているナナリーに
「ヴィーはワシの姪になる。今日から皇室で暮らす事になったのだが……そのだな。ルルーシュを大層気に入っていてな」
嘘は大嫌いなのだが、嘘をつかなければナナリーを説得出来ないと思い、嘘を交えながら姉さんの事を説明する。
「それでどうして婚約者って話になるのですか?お父様」
「……それはワシもわからん」
口調は丁寧だが、その目と口調に込められた力にやはりマリアンヌの気質は全部ナナリーに行ったのだなと思いながら
「ルルーシュの本人の意思が何よりも大事であり、何よりもまだルルーシュは9歳。その様な話に飛躍するのはおかしい、ルルーシュが適齢期になるまではその話をすることを禁ずる」
えーっと不服そうにする姉さんとC.C.に深く溜息を吐きながら
「今日は顔合わせと言う事もある。全員で夕食としよう。その場で改めてルルーシュと自己紹介をする機会を……早い」
ワシの言葉を最後まで聞く事無く、走り出した姉さんとC.Cに感嘆の溜息を吐きながら、マリアンヌの膝に頭を預け眠っているルルーシュを見て、あのような結末は必ず回避すると言う意思を固めながら
「ナナリー。お前がルルーシュを慕っているのはよく判っている……当面はこれで大丈夫だと思うが……何かあればビスマルクか、先日ルルーシュ付けにしたセバスに話をしておけ、そうすればワシの下に来るからな。では公務があるので戻る」
「お父様。お仕事頑張ってください」
「シャルル。頑張ってね」
ナナリーとマリアンヌの言葉にありがとうと返事を返し、アリエスの離宮を後にしワシの執務室に戻るとビスマルクが膝を着いて待っており
「皇帝陛下。無礼を承知で進言いたします、どうか日本への侵攻計画の中止および、アリエスの離宮の警護を私の配下の騎士へと変えて頂けるように進言いたします」
その言葉を聞いて、ワシは人払いを指示してからビスマルクを見据え
「ビスマルク。お前は何処まで覚えている?」
「皇帝陛下!?まさか……」
「そうだ。ワシも覚えている、故に……ラグナレクの接続は止めた。愛するルルーシュとマリアンヌとナナリーと共に生きる為に全力を尽くそうと思う」
皇帝陛下っとその目に涙を浮かべるビスマルクを見て、どうしてビスマルクは記憶を?と疑問を抱き、共通点は何だ?と思い思い当たったのは1つ
「ギアスが逆行の鍵なのか?いや、しかしそれではルルーシュとマリアンヌは……」
ギアスが逆行の鍵となるのならば、ルルーシュとマリアンヌも記憶を持っているはずだが……それが無いと言うことは他に何か条件があるのだろうか……
「ビスマルクよ……ルルーシュに付き従っていたあの軍人の名は何だったか?」
「……ジェレミア・ゴットバルトでしょうか?」
ああ。そうだ。確かそんな名前だった。ギアス教団の実験台として人造ギアスを与えた男……その忠節の高さはワシもCの世界で見ていてよく知っている。もし、もしもジェレミアが記憶を持っているのならば
「ビスマルク。お前から見てジェレミアはどう映る?」
「良き忠義の男と言えます。もし記憶を持っているのならばルルーシュ殿下の護衛に最適かと」
なんせあの男は最後まで殿下を裏切りませんでしたからと言うビスマルクの言葉を聞いて、ワシもCの世界で見ていたこともあり
「ふむ、ビスマルクよ、ジェレミア・ゴットバルトをペンドラゴンに呼び出せ、ワシが直々に判断する」
「イエス・ユア・マジェスティッ!」
敬礼し出て行くビスマルクを見送り、ギアス持ちが逆行の記憶を持っているとするのならば……アーニャ・アールストレイムとロロだったか?ギアス教団でナナリーに似ていた少年も記憶を持っているかもしれない。それにギアス持ち以外にも記憶を持っているものがいるかもしれない、それを確かめる必要があるな
「暫くは逆行の記憶の有無を確かめてみる必要があるかも知れんな」
ルルーシュ達には敵が多い。ならば味方を多くする必要がある、暫くはその為に動くべきだと判断し、机に備え付けられた通信機に手を伸ばし
「オデュッセウスを呼べ、今日から1日1時間子供との面会時間を取る、翌日はギネヴィアだ。その様にスケジュールを組め」
『イエス・ユア・マジェスティッ!』
秘書にそう指示を出し、羽ペンに手を伸ばす。オデュッセウスが来るまでの間に少しでも書類整理を済ませる事にするのだった……
私は何故……ある朝目覚めた私は完全に混乱していた。見慣れた部屋ではなく、ずっと前に暮らしていた部屋で目を覚ましたからだ
「どういう……事だ」
まだ機械に覆われる前の身体を見て完全に混乱し、まさかと思いつつ部屋を見渡すと軍の養成所を卒業証が飾られ、主席卒業の証のメダルが飾られていた
「戻って……来たのか……」
まだあの方はゼロになっていない
まだあの方は皇族としてブリタニアにいる
今ならばあのような悲劇を回避する事が出来る……
「ジェレミア様。当主様がお呼びです」
「判った直ぐに向かう」
戻って来たその喜びに身を震わせていると、外からメイドの私の呼ぶ声が聞こえる。知らずに流れていた涙を拭い、寝巻きから着替え部屋を後にする
「ジェレミアよ、先日。ナイトオブワンビスマルク様より通達があった。至急ペンドラゴンへ赴くようにと」
父の言葉に思わず目を見開く。ナイトオブワンと言うことはそれは皇帝陛下からの命令とも取れる
「何用にて呼ばれるかは知らぬが、ゴットバルトの名を傷つけるなよ」
「心得ております。では出立の準備をするので失礼します」
父に深く頭を下げてから自室に戻る。何故ペンドラゴンに呼ばれたのかは知らぬがこれは好機
「例え反逆者となろうとも……」
ルルーシュ様。私が永遠の忠義を誓ったお方……アリエスの悲劇から始まった負の連鎖。それを断ち切るためならば……その為には……
「皇帝……シャルル・ジ・ブリタニアの命を……奪うしか……」
やるしかない、こうして私が戻って来たのはきっとルルーシュ様に起こる悲劇を回避するために違いない。その為に私は戻って来たのだと悟り、罪を犯し、ゴットバルトの名を地に落とす事になろうとも成し遂げる、2度と戻ってくる事はないだろうと思いほんの少しだけの荷物を手にゴットバルトの領地を後にするのだった……
エイプリルフールネタ 胃痛のシャルル 完
エイプリルフールなので考えてみたネタです。ルルーシュに幸せな世界で、シャルルには胃痛との闘いな世界
誰か胃薬もーって来て!とか面白いかなと思います