EX5-2です!多少流れを変えましたので、EX5の内容も変わっています
もし良ければ5から見直してもらえると嬉しいですそれではEX5-2始まります
第2話
「…ぱい?…先輩」
誰かに呼ばれる声に導かれ目を覚ます
「この声が聞こえますか?落ち着いてゆっくり瞼を開けてください」
その声に従いゆっくりと目を開ける、視界に飛び込んできたのは白いカーテンにベッド…どうやら保健室のようだ
「大丈夫ですか。先輩」
ベッドの横に立つ白衣の女生徒…確か彼女の名前は桜、保健室に配置された、マスターの健康管理担当のAIだ。事情はまだ良く判らないが、彼女が看病をしてくれていたようだ
「ありがとう」
ベッドから身を起こしながら挨拶をすると
「…」
ジーとこちらをみる桜に
「何か顔をに付いてる?」
顔に手を置きながら尋ねると桜は首を振りながら
「あ、いえなんでもないです。岸波さんには何の問題もありませんよ」
そう笑った桜は首を傾げながら
「自分でも判らないんですけど…岸波さんの声を聞いたらホッとしてしまって…きっと他の皆さんより昏睡状態が長かったからですね。目覚めてくれて嬉しいです」
にっこりと笑いながら言う桜…それに吊られて自分の頬も緩んでしまう…だが今は桜に聞かないといけないことがある。何時までも和んでいるわけには行かない
「ここは…それに私は…」
「質問は最もです、では岸波白野さん、貴方は自分が何者なのか判りますか?」
「私は…聖杯を手に入れるために月に進入した魔術師」
そう言うと桜は
「ではその魔術師と言うのは?」
「電子ネットワークに、精神・人格ごと潜入できるハッカーの事」
私が即答すると桜は
「そうです、魔術が途絶えた現代において、唯一魔術理論を継承する人々の事です。ところで今は西暦何年で、ここはどこですか?」
桜はさっきから何を言っているんだろうか?
「今は西暦2030年でしょ?…場所は…月だよね?」
「はい、正解です。貴方達は聖杯を求めて、このムーンセルにやってきました。これを聖杯戦争といいます。弱きものに聖杯は与えられません。貴方達は自分は生命として優れている事を証明しないといけないのです。その方法としてムーンセルが貴方達に与えた物があります・それは何ですか?」
聖杯戦争を共に戦うパートナー…すなわちサーヴァント…そうだ私はムーンセルが用意した予選を突破して、令呪と共に聖杯戦争に参加する権利を与えられたのだ
「そこまでは問題ないようですね?じゃあこれは一番大事なことなんですけど」
桜は言いにくそうに黙り込んでから
「岸波さんは聖杯戦争の内容の事を憶えていますか?」
「そんなの当りま…あたり…あれ?」
自分が魔術師である事は覚えている、だがそれ以前の自分の事が何一つ思い出せない!なぜ聖杯戦争に参加したのか?それさえも判らない…私が絶句していると
「皆さんと同じですね。自分が何者かは憶えているけど、聖杯戦争の記憶は思い出せない。岸波さんは今。自分がマスターである事しか思い出せない、記憶障害状態なんです」
記憶障害…実感はないが、何も思い出せないと言うことはきっとそうなんだろう…覚えているのは黄金の鎧と炎の翼を持つ男に助けられたと言うことだけ…
「今の岸波さんは。聖杯戦争開始時の初期状態にリセットされたようなものなんです。貴方は昏睡状態は長かったから。もしかすると自分の名前しか覚えてないのかも…」
そこまで言ったところで桜は不安そうに
「あの…私の名前。判りますか?」
「間桐桜でしょ?」
私が即答すると桜は嬉しそうに笑い
「はい、間桐桜です。改めてよろしくお願いしますね?」
桜はそう言うと立ち上がり、部屋の隅に行き
「もしもし?こちら保健室です。岸波さんが目を覚ましました。精神・肉体共に異常はありません」
「それは良かった。では早速こちらに来てくれるように伝言を伝えてください」
スピーカーから声がする、その声を聞いた桜は
「あの…岸波さんは目覚めたばかりですし、今は挨拶だけのほうが…」
私の体調を心配してくれる桜に対して、スピーカーの声は
「残念ですがその時間はありません。自体は一刻を争います。それに。彼女ならボクが言わなくても勝手に歩き回ると思いますが?」
「それは…そうですけど…」
「まぁそう言うわけです。この校舎を調べ終わったら生徒会室に来るように言ってください」
桜と何者かの通信は終った。どうやら生徒会室に来いとのことだが
「あの…今の通信聞こえてましたか?」
「うん」
頷きながら答えると桜は
「判りました。生徒会室は2階に上がって左手側の教室です。それと岸波さんのサーヴァントは2階の右側の教室で待ってます。忘れずに顔を出してくださいね?」
言われて左手の甲を見ると何もなかった…たしか龍也さんは全てを破棄しろと言った。きっとそれのせいだろう。まぁ今はとりあえず龍也さんと合流しよう。桜に言われたとおり階段を昇り。空き教室に入る…窓から差込む茜色の光…木造の机にタイル…レトロな窓枠…妙な懐かしさを感じる…しかしそんな感傷に浸る前に私の視線はただ1人の男に支配された
「目覚めたか、随分と遅い目覚めだな」
あの星空での会話と違い。冷酷な響きを伴った声に思わず硬直する。窓の外を見つめたまま言う龍也さんはひどく寂しそうで悲しそうな顔をしていた…
「えっと…龍也さん。貴方は本当に私のサーヴァントですか?」
「ああ。俺はお前のサーヴァントだ。ちゃんと契約しただろう?忘れたのか?」
睨みつけるように私を見てくる龍也さんに
「いえ…ちゃんと憶えてます」
「そうか、所で1つ聞きたい」
龍也さんはそう言うと立ち上がり私の前に立った…身長さがかなりあるので見上げる形になってしまう。
「龍也と言うのは俺の名か?」
「えっ?」
その言葉に思わず首を傾げると龍也さんは
「俺は何も思い出せん。お前と契約した事は憶えている。だがクラス・真名が思い出せない。俺は何のサーヴァントで、真名はなんと言うんだ?白野」
記憶喪失?私と同じ?どことなく不安げな表情の龍也さんを見ながら
「えっとパーソナルデータ確認してみますね?」
龍也さんのデータを確認する
クラス ?
真名 ?
属性 混沌・悪
筋力 B+
魔力 C+
耐久 B+
幸運 D-
敏捷 C+
宝具 ?
クラスと真名が?になってる…なんで?
「俺のクラスは判ったか?」
「すいません…判らないです」
私がそう言うと龍也さんはそうかと言って黙り込んだ…スキルから推測できないかな?と思い今度はスキルを見る
スキル
凶化 B
本来の凶化とは違い、理性を保った凶化のスキル。戦闘時における凶暴性の発露。筋力と耐力に若干の+補正がかかっている
失われし記憶 B
自分のクラス・真名・記憶を失っている。戦闘におけるスキルと家庭系のスキルは健在
狂気の刃 A
耐力がC以下の相手におけるダメージが倍加するが、自分が受けるダメージも多少増加する
心眼(偽) B
数え切れないほどの修練・戦闘によって培われた戦闘理論。窮地によっても自分が生き残る為の方法を導き出す
??? EX
狂化を妨げているスキル。呪いや状態異常を無効化する、天上の加護
??? EX
かつてこの男が紡ぎし絆、現在は男の意思によって封印されている。
スキルを見ても良く判らないな…
「どうやら、スキルを見ても判らないようだな、まぁ良い生徒会室に向かうぞ」
そう言って差し伸べられた手を思わず凝視していると
「あ…ああ…何となく手を出してしまった…何でだろうか?」
しきりに首を傾げる龍也さんに頷き。私達は空き教室を後にした
龍也さんと共に生徒会室に足を踏み入れる、そこには黒いコートの男と白い甲冑の男…甲冑の方は龍也さんと同じサーヴァントだろう。その2人の前に椅子に越しかけた金髪の少年が居る。
「あ、来た来た!はい!おはようございまーす!!!」
元気よく挨拶して来るレオ
「はい?」
とぼけた返事をする私を見ずにレオは後ろを向いて
「もう!ちゃんと打ち合わせ通りにしてください。朝の挨拶は元気良く快活にです!」
それには同意しよう、朝の…と言うか夕暮れだが、言ってる事は正しい。コートの男と甲冑の男は顔を見合わせて溜め息を吐いてから
「グ、グッドモーニング」
「お…おはようございます」
ぎこちなく挨拶してきた、ここは返事をするのが当然だろうか?私はそう判断し
「おはようございまーす!」
と返事をしたレオは満足気に頷き
「はい!大変結構でした。学生に相応しいテンションですね。ところで…隣の人はサーヴァントですよね?おかしいですね?僕の記憶では白野さんのサーヴァントはアーチャーだったと思うのですが…失礼ですが。貴方はなんのサーヴァントなんですか?」
レオがそう尋ねると龍也さんは
「知らん。俺も知りたいところだ。俺が何のサーヴァントで真名はなんと言うのかと言う事をな」
そう言いながら椅子に座る龍也さんを見ながら
「えっと…多分、龍也さんって言うと思うんだけど…クラスも名前も良く判らないんだ」
私が龍也さんの事を説明しながら椅子に座ると
「なるほど、僕達と同じ記憶喪失と言うやつですね。僕はレオナルド・B・ハーウェイ、今更自己紹介なんてと思いましたが、一応念のために、兄さん達も自己紹介を」
レオに促されコートの男と甲冑の男も自己紹介をしてくれた
「ユリウスだ」
「サーヴァント、ガウェインです」
一通り自己紹介を終えたところでレオに
「えっとスキルに「凶化」があるんだけど…クラスは何だと思うレオ」
「凶化を持つのはバーサーカーだけの筈です。つまり龍也さんはバーサーカーのサーヴァントと言うわけですね」
バーサーカー…?でもあの星空では深い知性と慈悲を感じた、それなのにバーサーカーと言うのは若干違和感があるが…
そんな話をしていると保健室の桜が姿を見せる
「校内の全スキャン完了しました。校舎にはもう未発見のマスターはいないようですね」
その報告を聞いたレオは
「そうですか…彼女達もいるかと思ったんですけど…いないのなら仕方ないですね。それでは岸波白野さん。そして龍也さん。貴方達に来てもらったのは他でもありません。この旧校舎…いえ月の裏側からの脱出作戦に参加してもらえませんか?」
「えっと…どういうこと?」
白野が首を傾げるとレオが説明をしてくれた、ここが何処なのか?や白野やレオが置かれた状況を丁寧に説明してくれた
「これで状況は理解できましたね。さてそこで僕からの質問です。月の裏側・失われた記憶・謎の旧校舎・出口のない世界。この状況で僕らがするべきことは何でしょう?」
そう尋ねられた私は少し与えられた情報を整理してから
「ここから脱出して、聖杯戦争に復帰する?」
「期待以上の返答です、これで共同戦線の開始ですね。月の裏側から脱出するまで僕達は仲間です。では改めてレオナルド・B・ハーウェイの名の元に、ここに月海原生徒会の発足を宣言します!!」
強い意思の込められた宣言だった…生まれながらにして人の上に立つ者がもつカリスマ性、それを感じさせるそんな力強い宣言だった
「ではまず最初に人数が足りないのです、ですので勧誘をお願いします」
「はい?」
首を傾げる私にレオは
「会長の僕・秘書の兄さん・じいやのガウェイン。そして恐らく名誉顧問の龍也さん、庶務の白野さんしかいないじゃないですか!。これでは僕が夢見た生徒会とは呼べません、いえ呼んで良い筈がない!!」
名誉顧問?…龍也さんが?私が龍也さんを見ると龍也さんは
「俺を見るな。俺に言われても困る」
「とういわけで。生徒会メンバーを見繕ってきてください、少なくとも会計と書記の2人は必須です…校舎には僕たちと同じ境遇のマスターがいます、有能そうな人をスカウトしてきてください」
レオはそう言うと笑いながら椅子に腰掛けた、話は終わりみたいだね
「じゃあ行きましょうか?」
「了解した」
龍也さんは短くそう言うと立ち上がり、霊体化した…私は霊体化した龍也さんと共に生徒会室を後にした