Armored Core farbeyond Aleph   作:K-Knot

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Verdict Day

二人の出会いから約四年。

オッツダルヴァと名付けられた実験体28号はAMS適性、心身共に極めて健康に育っていた。

二人のオッツダルヴァへの態度が伝播したのか、最初は実験道具を扱うように慎重に接するくらいでしかなかった所員もなんだかんだ子供らしく笑い泣くオッツダルヴァを可愛がるようになっていた。

そして。

 

「おとうと?」

 

「そう…あと八か月もしたら生まれてくるのよ」

ソフィーがまだ目立たないお腹にオッツダルヴァの手をよせて触らせる。

 

「そうしたらオッツダルヴァはお兄さんだな」

ガブリエルは四捨五入したら40になる年になったというのに相も変わらずあまり老けていない。

同僚の誰それがソフィーにアタックしてフラれた、という話を耳にしていてもたってもいられなくなった。犯罪的だし変態的かもしれないが構いやしない。この少女が好きになってしまっていたのだ。

玉砕覚悟、100回はフラれるぞと意気込んで交際を申し込んだのが三年前。

元々が美人だし、同僚も普通にフったとなっては自分みたいなウドの大木ではまず上手くいかないだろうと思っていたがあっさりと「こちらこそよろしくお願いします」、と言われてひっくり返った。

ソフィーを連れて超が付くほど久しぶりに実家のある故郷に帰り、16も年が離れた女性を「嫁です」、と紹介したら両親も泡を吹いてひっくり返った。

現在は国境を越え、ガブリエルの祖国でもあるアルメニアで二人で暮らしている。

国境を越える、と言ってもこの研究所がグルジアの最南端のど田舎にあることもあって、車で一時間半も飛ばせばつく距離だ。

両親に子供が出来たことを伝えたら多いに喜んで二日に一回はソフィーの体調はどうなのか、と連絡してくる始末だ。

 

 

「へー…?八か月って…240日?」

 

「そうだ。賢いな」

 

「…そろそろ時間ね。行かなくちゃ」

三歳になってから本格的な教育を開始することが決定されたオッツダルヴァは朝早くから車に乗せられ別の基地に移動し、

日が暮れてから帰ってくる。まだ三歳の子供には大分ハードなのでは、と思うが少なくともオッツダルヴァの家であるこの研究所では幸せそうにしており、

夫婦となったガブリエルもソフィーもその笑顔には罪悪感から救われる気持ちだ。

 

「…うん」

 

「どうしたんだい?」

 

「ほんとうはね、あっちの先生むずかしいことばかり言うしやさしくないからきらい」

 

「……」

その言葉を聞いて顔に影が差すソフィー。

自分達に出来ることは何もないのが情けないし、罪の意識がより一層心に食い込む。

 

「でもね…おとうとを守れるくらいつよくなりたいから、がんばる」

 

「!」

 

「!…そうだな。お兄さんだもんな。頑張ってきなさい」

 

「うん!」

健気に笑い駆けていくその背を見る二人の表情は非常に複雑だ。

せめてここでは幸せに、という思いは実現できている。

しかし二人は戦場に送りたくない、そんな危険な場所に行ってほしくないとずっと思っている。

特に前線で戦った経験のあるガブリエルは尚更だ。

死なないように強くなってもらう。しかしその訓練は辛く厳しい。

たった三歳の子にそこまでする必要があるのかと怒鳴り込みたい気持ちをもう何度も飲み込んで、あの子と人類の未来の為だと言い聞かせている。

いずれ戦場に出る運命ならば、せめて死なぬように強くなるしかない。

戦場では中途半端に強い者から死んでいく。

 

「あなた…ちゃんと用意しておきましたか?」

 

「もちろん」

と言った瞬間に、数少ない同僚もにやっと笑い声をかけてくる。

 

「実は」

 

「私たちも」

 

「用意してきたんです」

その手には色とりどりの包装がなされた箱。ケーキとオモチャか何かだろうか。

今日はクリスマス。こちらでのオッツダルヴァの管理は一任されているため、クリスマスプレゼントをあげてケーキを一緒に食べることくらいは許されるはずだ。

 

「あら…」

 

「はっは。君たちも強制残業かな。ところでもうケーキは買ってあるよ?」

 

「……え?」

 

都合4ホールあるケーキに固まる研究者一同を遠巻きに眺めている男がいた。

 

 

 

 

 

 

「……いずれ戦場に送る子供に情をかけるなど…」

陰からその様子をつぶさに観察する男はソフィーが配属された日に声をかけた男である。

 

(あの二人が男女の仲になるとは…未だに信じられん)

ちなみに三年ほど前ソフィーにフラれたのもこの男である。

 

「……ちっ」

何故こんな遠巻きから眺めているのか。それはあの輪に入れないから…という事ではなく、

この研究所の成果を盗み他の企業に横流しにしているのがこの男だからである。

どちらにせよ時期が来ればいずれここからは離れるつもりなので必要以上に馴染む必要ない、というのは男の言い訳で本当はソフィーに未練たらたらであった。

だが、急成長したためにネクスト以外の産業が覚束ないレイレナードと、長い間腰を据えて発展してきた他の企業ではいざ戦争が起こった時に危いのはレイレナードだろう、と踏んでいたというのもある。

果たして男の予感は当たっており、そう遠くない未来、彼はこの研究所を離れることになる。

 

 

 

 

 

 

その頃。

旧ロシア、北極圏最大の街、ムルマンスク…からさらに東に40km。

さらさらと流れる川の傍でしんしんと降る雪を頭に積もらせながら、アジェイは半ば以上枯れ木と化していた。

 

ち~ん。ご臨終です…。

と、テロップが流れても不思議ではない程動きがない。

 

既に川べりの平らな石の上に座って18時間。

雪とも森とも川ともオーロラともつかずにぼけーっと眺めながら無精髭が伸び放題伸びた顔をたき火で暖める姿は正しく世を離る世捨て人そのものだった。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

(……死のう)

 

(死んで…ここの土に還ろう。もう…この世は…いい…)

何もかもがつまらない。

何もかもがくだらない。

たかが人間に馴染めなかっただけでこれだ。

もうあの家で本を読み動物を狩って生きていく生活にも飽いた。

これ以上生きても…いや、これまでも何一つ楽しいことなど無かった。

誰もが畏れる自分を演じ続けるうちに自分が何なのかすら分からなくなり、ここ半年は誰とも会話していない。

自分が分からなければ、誰とも交わらなければ自分がはっきり浮かぶだろう、という考えだったが逆だ。

川の流れを眺めてオーロラの輝きを見ているうちに自分というちっぽけな存在を捉えることすら難しくなってきた。

もうそろそろこの自然に戻ろう。

 

ピピピッ

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「…?」

もう三か月以上振動すらしていなかった連絡用携帯電子機器が音を上げる。

バーラッド部隊もロランにほとんど任せ、もうミッション受けたくないです、と言ってからイクバールからもミッションの連絡は来ていない。

今更誰が自分に連絡してくるというのだろうか。

 

「…うぅ…」

急に機械的な光を放つ画面に焦点を合わせたため目が痛い。

暫く画面を眺めてそこに表示されているのが文字だという事にようやく気が付く。

 

『ミッション連絡

 

レイレナードの極秘研究施設を破壊してください

 

この研究所では人を人とも思わない極悪非道な実験をしており、人類の未来の為、企業の正義の為、関係者を生かしておくわけには行きません。

 

ランク1、ベルリオーズが出てくる可能性があるため、ランク2、サーダナ様にも出撃していただかなければなりません。

 

さらにもう一機、ネクストが乱入してくる可能性がありますが、そちらは作戦決行のタイミング次第で抑えられます。

 

作戦決行はまだ数か月先になる予定ですが、いつでも出撃できるように備えておいてください』

 

 

 

「……?」

場所も日時も内容も書いておらずにただ備えておけ、と書いてある。

久々に来たミッション連絡がこうだと早速やる気が無くなってくる。(元から無い)

 

(ベルリオーズ…嫌だな…)

かつて二度ほど共同作戦に当たったことがある。

彼自身も極めて優秀なリンクスにも関わらず、不利な戦いは決してせず、多数で小数を潰すやり方で多大な戦果をあげてきた。

もしバーラッド部隊を動かすとなったらその辺の紛争が尻尾を巻いて逃げ出すような激しい戦争になるだろう。

一対一ならばあまり負ける気はしないのだが、恐らく指揮官としての能力は彼の方が上だ。

扇動も上手く、それなのに自分は戦場の熱に中てられることなく常に冷静。

ランク3のアンジェもそれはもう恐ろしい女性だったが、ベルリオーズも決して戦いたい部類の人間では無い。

 

(嫌だな…もうほっといてくれないか…死んだことにして…他のリンクスに任せればいいだろう…)

企業の正義というからにはレイレナード以外の企業にとっては完全に不利益となる研究でもしているのか。

 

(そういえば霞は…?あれほどの腕でランク16…?未だに信じられん…)

自分がランク2にいることについては不満も文句も無く、まぁこんなもんだろう、もう放っておいてくれ、としか思わなかったが、

あの霞スミカが国家解体戦争が終わってみればランク16というのが信じられない。しかも同社のリンクスにランクを抜かれているとはどういうことだ。

正直霞にはネクスト戦になったら勝てないかも、と思ったのにランク16で、霞以上の腕があるはずのレオーネメカニカのリンクスは自分よりずっと下のランクにいる。

 

(…途中で戦いが嫌になったか…それとも病気かなにかで戦線離脱したか…)

俗世への関心はそのまま生きる欲求に代わる。

アジェイはせめて次のミッションまでは生きてみるか…と頭に雪を積もらせながら頼りない決心をした。

 

 

 

 

 

六月五日、夜。

かなり大きくなったお腹に耳を当て、オッツダルヴァは眠たい目をこすりながら尋ねる。

 

「名前は?なににするの?」

 

「顔を見てからだねえ」

性別は妊娠が発覚した時点で分かったが、顔についてはまだ分からない。

出来れば自分の様なでくの坊ではなく妻に似てほしいものだと願っている。

男の子は母親に似るものだから、と自分に何度言い聞かせたか。

 

「あなたの名前も生まれた後に決めたから…」

 

「おとうさん」

 

「ん?」

 

「弟も…リンクスになるの?」

 

「……」

 

「いや…それは、まだ分からないな。…オッツダルヴァみたいに強い子じゃないかもしれないしね…それになれる人となれない人は決まっているんだ」

その無垢な質問に夫妻は心臓を締め上げるような罪悪感に襲われる。

オッツダルヴァですらリンクスにしたくないと思っているのにどうしてこの子をわざわざ戦場に送る様な真似をするというのか。

 

「ふーん…でもどっちでもいいよ」

 

「……」

 

「どうして?」

 

「僕が守るから!もうお父さんより強いかも!」

 

「はっはっは。言うなぁ!」

 

「……」

 

「本当だよ!もう機械の中のお父さんには負けなく…お母さん?」

 

「……うっ…」

 

「どうしたんだい?」

先ほどからソフィーは押し黙っており、ふとガブリエルがそちらに目をやるとダラダラと汗をかきながら小さく震えていた。

 

 

 

「痛っ…」

先ほど不意にきたお腹へのズウンとした痛み。

一度波は引いたが30秒も経たないうちにまた痛みが襲いその場にしゃがみ込む。

 

(これは…)

寄せては返す痛みの波。

痛い痛いと話には聞いていたがこれは。

 

「まさか…?」

 

「お母さん?」

 

「どうしたんですか?」

誰もが心配そうな目で見てくる。

信じがたい。まだ八か月しか経っていないのに。

 

 

 

『弟も…リンクスになるの?』

 

 

 

(そんな…ことって…まさか…?)

と、ゆっくり思う暇も強烈な痛みが襲ってくる。

まるで強烈な意志によってさっさとこの世界に出せと催促しているかのようだった。

 

「すまない、後は任せる」

ガブリエルが滅多に見せない真面目な表情で同僚に手早く引継ぎの連絡をする。

 

「任せてください。早く行って!」

 

「お母さん?お母さん?どうしたの!?」

 

「オッツダルヴァ…」

大丈夫、心配しないでと答えたいが、この痛みではまともに言葉を紡ぐことも難しいし、

そもそも大丈夫な顔を作れない。

 

「弟が生まれるんだよ。オッツダルヴァ。次に会うときは弟を連れてくる。それまで…」

 

「うん。まっている。一人でもがんばるから…」

 

「…いい子ね、オッツダルヴァ。愛している」

オッツダルヴァの額にキスをするソフィーを急かしたい気持ちを必死に抑えてガブリエルは荷物を纏める。

 

「早く!ここから病院までかなりかかりますよ!!」

 

「分かっている!」

 

 

 

蜂の巣を突いたような大騒ぎだ。

近くに行って確かめるまでも無い。

もう産まれそうなのだろう。

 

(作戦開始だな…じゃあな、お人よし研究者共)

そうして男は短くどこかと通信をした後研究所から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かつて…人類は核兵器を求め…際限なく作り…非常に危うい状況に立たされた」

久々に姿を現した隊長の前で隊員は直立不動のまま話を聞いている。

 

「……」

 

「リンクスを量産する…そんな同じ道を辿ろうというのか」

 

「……」

 

「いや…リンクスには人としての意志がある分さらに危うい」

痩せこけ目がぎょろつき、髭が伸び放題伸びているその様には隊員たちも震え上がっている。

今までどこへ行っていたのか、と誰もが思ったがその様子から察するに恐らくは自分達が日夜励んでいる訓練よりも余程厳しい日々を過ごしてきたのだろう。

 

「……」

 

「それに加え、人クローンの生成など人間に許された領域では無い」

 

「……」

 

「最重要ターゲットは4人、この4人には確実に死んでもらう。それ以外の人物の安全も確保する義務は我々にはない」

 

「……」

 

「やるなら徹底的にだ。よいな」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

 

 

バーラッド部隊の三分の一を動かし、さらには他の部隊からも多数のノーマルが投入される予定だという。

 

(人クローン…リンクスの量産…馬鹿げている。歴史から全く学ばんとは…)

正直な話、ミッションの詳細を受けるまではやる気は全くなかった。

だがミッション説明で受けたのはレイレナードがリンクス量産の理論の確立に躍起になり、既に何体もの実験体を作っては「処分」しているという揺るがぬ証拠の数々。

誰も信じてはいないし、命を尊いと思っているような人間では無いアジェイだが、レイレナードの行為は人の尊厳を踏みにじるばかりではなく、

自分達が勝ち取ったバランスをまた壊そうとしている愚昧な行動だと思えた。

 

それにこれ以上人を増やす?しかもリンクスを?

ただの人でさえ何を考えているか分からない厄介な生き物なのに、その上地上最悪の力を持った者達を…それも元は同じ人間を量産するなど、一体どんな混沌とした世界を作るつもりなのか。

普通にどの企業も手を付けている食用動物のクローンでさえもかなり疑問が残っているが、人間をこれ以上増やしたところで百害あって一利なしなのは間違いない。

 

(これが悪でなくて何だというのだ…)

最重要ターゲット4人。

二人は学者で、残りの二人はレイレナードでも重要なポストについているエリートらしい。

後者には特に興味は無いが、学者の片割れには見覚えがある。

 

(学者だったのか?なんとも似合わない…いや、私も人のことは言えないか)

一度だけ共同で戦ったことのある、常識外れの巨躯のせいでネクストの中に入るのにも随分と難儀していた。

腕もそこまででは無かった。一応リンクスネームを記憶していたつもりだったが、端末の画面に表示される顔写真の下の本名を見た途端にその記憶が煙のようにどこかに行ってしまった。

まぁリンクスとしての名前はそこまで重要ではない。それよりも引っかかるのは。

 

(タイミングを見計らえば…?どういうことだ…?)

ベルリオーズに加え、乱入の可能性があったネクスト、とは間違いなくこの男の駆るネクストの事だろう。

それがタイミング次第では抑えられるとはどういうことなのだろう。

まさか飯や風呂の瞬間を狙って襲うなどとそんな幼稚な作戦ではあるまい。

今日…いや、もう昨日の夜遅くという事になるが、そこで突然作戦開始を告げられたからには何か理由があるのだろう。

 

(まぁいい…余計な事は考えるな…集中しろ集中…)

 

相変わらずぶつぶつとアジェイことサーダナが独り言ちている中、この世界に一人の赤子が産声をあげて生まれていた。

 

 

 

 

早朝4時。

普段ならオッツダルヴァは当然の事、泊まり込みの職員もぐっすり寝こけている時間である。

職員の一人に電話がかかってきたのをオッツダルヴァは察知して、起き上がり傍に駆け寄った。

 

「だれ!?」

 

「生まれたようですよ……、…弟さんが」

 

「ほんと!やっ…!!」

 

喜ぶ暇もなく、ズズゥン、と直下型地震のような振動に続いて警報音が鳴り響き施設は赤い非常灯に染められた。

 

 

 

 

 

4時30分。

増援に来たレイレナードのノーマル部隊をバーラッド部隊に任せ、警戒しながらレーダーを注視していると、

ノーマルではありえない速度で向かってくる物体を感知し、アジェイはすぐに迎え撃つためにその場へと急行した。

 

悪い予感というのは大体当たってしまうからタチが悪い。

 

最悪の相手、ベルリオーズのネクスト、シュープリスがその場にいた。

 

『やはり来たか。潰させてもらう』

 

「…!」

何もこんな朝早くからそんな熱心に仕事しなくてもいいだろう、と自分の事は棚に上げて毒づいた瞬間にシュープリスは攻撃をしかけてきた。

 

 

 

 

 

 

確かに今まで戦った敵の中でも最も強かった。

だが、幸運だったのが機体構成がこちらに有利に働いたことだろうか。

まずベルリオーズの機体、シュープリスは地上ではこれ以上ない程の速度で動くが、空中…つまり三次元的な動きに向く機体では無い。

上空の死角からの攻撃を得手とするアートマンとは実に相性が悪い上に、全ての武装をアリーヤの苦手な実弾に寄せていたのは幸運だった。

フレアの使いどころが非常にうまく、背部のミサイルはほとんど意味を成していなかったが、それは向こうの背部に装着されたグレネードも同じこと。

少なくとも鈍亀ではないアートマンが空中にいる間にグレネードを直撃させるのはほぼ不可能な上、発射角度の関係上爆風に巻き込むという選択肢も無い。

 

覚えている。

奴は空中の敵は素直に味方のネクストやノーマルに任せていた。

いや、確か自分の見た限りではラフカットという名の逆間接ネクストが傍で補佐に着いていたはずだ。

この男はやはり一人で戦う様な無茶をする男では無い。

 

実弾飛び交う壮絶な削り合いの末、先にAPが尽きたのはシュープリスの方だった。

有利な条件の内一つでも無かったのならば敗北していたのはアートマンの方だっただろう。

 

 

 

『なるほど…優秀なリンクスだ』

 

「ここは私の勝利だ」

強がってはいるもののAPは20%を切っている。

このまま玉砕覚悟で突っ込まれたら死ぬのは自分かもしれない…が、ベルリオーズがそういう男ではないことは分かっている。

 

『またの機会に勝負は預けよう。だが覚えておくがいい。世界は私達が変える』

 

「……」

素直に飛び去っていってくれるのはありがたいが、どうもその背中には不吉な気配を感じる。

ノーマル部隊を任せた方はとりあえずそのままにしておき、研究所に向かわせたバーラッド部隊の三番隊の長に通信を入れる。

 

「イルビス、状況を報告せよ」

ザーッ、と一瞬混線したのちに返答が返ってくる。

 

『レイレナードのノーマル多数!さらに他企業のノーマル・MTが闖入しています!中でもGAのノーマルは明らかに敵対的、その上ネクスト・プリミティブライトとラフカットが戦闘を行っており戦死者が多数出ています!』

 

「…!ターゲットは!?」

研究所にシュープリスを行かせないように足止めしていたつもりがされていたとは。

やけにあっさり退くな、とは思ったが。

 

『最重要ターゲット内二名の死亡が報告されています!しかし、残りの二名が見当たりません!』

 

「誰だ!」

 

『ソフィー・スティルチェスとガブリエル・A・ヴェデットの二名です!既に敵に拿捕された可能性もあります!』

 

「私は周囲の探索を開始する!引き続き研究所の探索を続けろ。妨害する者には容赦するな!」

 

『了解!』

 

「くっ…」

やられた。

最重要ターゲットの内この二人こそがこの悪魔の研究の中核なのだ。

あの二人をレイレナードが確保していたらそれだけで作戦は失敗したようなものだし、敵対企業に確保されていても結果は同じだ。

 

 

 

 

 

同時刻。

砂の大地に足跡を残して走る大男の姿があった。

その腕には女性を抱えており、その女性の顔は憔悴しきっている。

 

 

「あなた…もう私はおろしてください…この子を連れて…行って…ください…」

 

「何を言うんだ!こっちに…この方向に行けばレイレナードの基地があるから…耐えてくれ!」

ただでさえ出産直後だというのに水分すらとる暇もなく外に転がるように逃げて逃走を始めた。

電話の向こうから異常な音が聞こえたのは不幸中の幸いだった。

それが無ければ妻もろとも病院で殺されていたに違いない。

 

走れるはずがない妻を抱えて走る。初めて自分が並はずれた体格をしていてよかったと思う。

妻と生まれたばかりの息子を抱えて走っても重たいと思うことは無い。

既に車にはエンジンを入れた瞬間に吹き飛ぶ爆弾が付けられていた。

気が付けたのは良かったが解除の仕方も分からなかったのでひたすら走っている。

後ろから追われているような気配は纏わりついて消えない。

 

「えぅ…えええ…」

 

「ああ…泣かないでくれ…」

 

「あなたには…強いお兄ちゃんがいるのよ…きっと生きているから…泣かないで…」

至って健康な状態で生まれ、願いどおりに妻に良く似た息子が泣きじゃくる。

当然だ。まだ乳すらもあげていないというのだから。

オッツダルヴァがどうなったか気になる。こんな時の為に逃走用ルートはあったはずだが、あの子の手を引いて誰かが連れて行ってくれただろうか。

罪悪感に苛まれながら、いつかはこんな裁きの日が来るのではないかと思っていたがとうとう来てしまった。

よりによってこんな日に!息子が産声をあげた日にそんな日が訪れなくてもいいじゃないか。

自分が十分に罪深い存在だというのは分かっているし、妻もその業からは逃れられないだろう。だがせめてこの子だけは。

 

(何故…この日に…しかも出産の時間に被って…。!!…まさか…裏切り者が…)

 

ドドドドッ、と背中に熱い衝撃がはしった。

 

「ぶっ…ぐっ…」

 

「痛っ…!あなた…血が…」

やられた。こんな見晴らしのいい砂漠だというのにスナイパーとは。どれだけの距離から撃たれたのか、視認すらできない。

背中から貫通した弾がソフィーの肩をも掠め、二人の鮮血が赤子の顔を濡らす。

 

「…い…行きなさい…」

 

「あなた!」

 

「い…いいから…必ず追いつくから…」

激痛に膝を折り、その場に落としてしまいそうになったのを必死に抑えてソフィーをそっと地面に降ろす。

 

「でも…」

 

「早く行くんだ!!その子まで死なせたいのか!!…大丈夫…あっちに行けばレイレナードの基地がある…助けを呼んでくれれば…」

出会ってから初めて妻に怒鳴りつけてしまった。

その助けが来る頃には出血で死んでいるだろう。

ああ、良かった。こんな身体に生まれたおかげで、妻と息子に大した怪我も無い。

ガブリエルは顔にある穴という穴から血を噴き出しながら笑っていた。

 

「か…必ず…助けを呼んできますから…」

『死なせたいのか』、ってどういうこと?誰のこと?

聞きたいことは山ほどあるが行かなければならないことはソフィーには理解できていた。

 

「うん…頼むよ…」

辛いだろうに、息子を抱えておかしなバランスで走る妻を見て涙が溢れた。

こんな時になって手放してしまったあの悪魔の力が惜しい。

 

 

 

 

 

「どうだ?」

血だまりを広げていくガブリエルから後方2500m地点、三人の男が伏せて構えた超長射程のスナイパーライフルから硝煙が上がっていた。

内一つのライフルは他のそれとは異なる、松葉づえのような奇妙なデザインをしている。

 

「グッド。二人ともヒットしています。それにターゲットBが走って行った方は…」

双眼鏡を手にした男が尋ねた男に答える。

 

「コジマ汚染地域か」

 

「そうです」

 

「とことんついていない一家だったな。引き上げよう」

力を求める時代の中で生まれたレオーネメカニカ製特殊スナイパーライフル。

そのライフルは射程もさることながら、他のライフルとは一線を画すある特徴があった。

 

 

 

 

 

「う…ぐっ…」

体内に残るホローポイント弾じゃなかったのが幸いだ。

四つ身体に空いた穴からは全て弾が外に出ている。

 

研究所からそのまま着ていた白衣を引き千切り、ポケットから大型のホッチキスを取り出す。

 

「ふっ…ふう…」

自分の体格ならば2Lまでの出血はなんとか耐えられるだろう。重要な臓器に損傷が無いように感じられるのも救いだ。激痛には変わりないが。

 

「あ…っ!!?」

大型のホッチキスを傷口に当て、雑ながらも傷口を閉じようとした時、急に眩暈がしてその場に倒れる。

 

「う…あ…?」

だくだくと血が流れていく感覚だけがやけに鮮明な中、手足が急速に痺れて動かなくなってくる。

さらに眩暈は続き目の前が見えなくなってきた。

 

(神経毒!!?テトロドトキシン…いや…ボツリヌストキシンか!?だが…作用が速すぎる…)

レオーネメカニカの開発したその銃は髪よりも細い針を弾丸と同時にマッハ4で発射することができる。逆にその針だけを発射すれば例え当たっても外れても対象に気づかれることは無い。

身体の一部に命中すればそこから蚊が唾液を注入するように、対象に気づかれずに致命的な神経毒を確実な致死量分注ぎ込んでいく。

スナイパーの安全も確保され、ライフルとしての殺傷能力も暗殺能力も申し分ないそのライフルはレオーネメカニカをして傑作と呼ばれていた。

 

(…ソフィー……オッツダルヴァ………息子を…)

そして急速に意識を失ったガブリエルの目が開かれることはもう無かった。

 

 

 

 

 

 

…あああぁん…

 

「……?」

砂漠に風の跡を残しながら飛ぶアートマンが奇妙な音を捉えた。

 

…ふやぁあああ…

 

「赤子の…泣き声…?」

一端戦闘モードは解除し、音源を探る。

ここから5.5km東、となっているがあり得ない。

 

(人の…それも赤子の声がそんなに届くものか…それに…)

ここから5.5km東と言われてもそちらはコジマ汚染地域だ。

マップを見ればくっきりと色分けされている。

まだ戦争で死んだ者の声だと言われた方が現実味がある。

 

…ほぇあぁああああ…

 

「……耳がおかしくなったのか?」

確かに乳飲み子が大泣きする声だ。それに耳がおかしくなったというのならば先にアートマンの不調を疑わなければならない。

 

「……5km程度なら…」

ネクストの速度なら往復でも1分かからない。

さっさとターゲットを探さなければ、と頭では分かっていてもアジェイはどうしてもそれが気になってしまった。

気が付けば声のする方向へと舵をとり飛んでいた。

 

「!」

そしてすぐに砂だらけの大地に似合わぬ物を見つけた。

 

「死体……」

ネクストの高さから見ても分かる並はずれた巨躯と明らかに致死量の血だまり。

 

「……」

僅かだがコジマ汚染がある。

通常モードに切り替えてジャックを外し、画一的な耐コジマ装備に着替える。

 

「……ふぅ…」

捕まるところの多いアートマンでも降りるのには気を使う。

さらに息のしにくいガスマスクなんてしているから尚更だ。

 

「……馬鹿な奴だ…」

巨岩のような身体を思い切り転がして顔を確認する。

確かに昔一度会い、今回の作戦の最重要ターゲットとされていたガブリエル・A・ヴェデットだった。

ただただリンクスをやって企業の庇護の下にいればよかっただろうに何故わざわざどの企業からも反感を買う様な真似をしたのか。

そんなに頭の切れない男だったのだろうか。

 

(……?何故……?)

幾つもの穴は銃弾によるものだろう。

だが、必ず殺せと命令しているバーラッド部隊が発見したり、戦場のどさくさに紛れて死んでしまったのならまだしも、どうしてこんなところでポツンと死んでいるのだろう。

建前などクソ食らえだ。

リンクスをクローン、量産する術を知るこの男をどの企業も喉から手が出る程欲しがるはずだ。殺して何の得がある?何故連れて行かずに殺した?

 

「!…足跡!」

地に足をつけて初めて気が付いたが、足跡がさらに続いている。

 

(どういうことだ…?)

だが、ここまで続いた足跡は一つ、さらに奥へと進む足跡も一つ。

 

(…これは…?)

死体から靴を脱がし、ここまで続いていた足跡に重ねるとぴったりと大きさがあったが、

ここから去っていく足跡とは比べる必要もないくらいにサイズが違う。

 

(…この大きさ…深さ…体重は60kg前後と言ったところ…女か?だが…足跡が一つだったのは…)

 

(抱えていた?…何故?抱えて移動せねばならない程の怪我をしていたとでも?…とりあえず、追うか…)

幸運なことに無風であるため、この足跡は暫く消えないだろう。喉の奥に突っ掛る様な違和感を一度無視して、ホルスターから拳銃を取り出して足跡を辿る。

 

「……?」

足跡からも獲物の情報はかなり得られる、というのは幼い頃から動物を狩って生きていたアジェイの経験だった。

足取りは覚束ないし、だんだんと歩幅も小さくなってくる。

 

(やはり怪我を…?…!)

と考えいたとき、足跡は無くなり、代わりに人間が芋虫のように這いずったような跡になった。

そしてそこから100mも行った緩やかな丘の先で動かなくなっている女を見つけた。

 

(死んでいる…?そこまでの深手だったのか?それとも…)

コジマ汚染計測器を見れば既に生身の人間が一時間と生きていけないような汚染レベルの場所だ。

いくら耐コジマ用の装備をしているとはいえあまりこの場に長居したくはない。

 

「……?」

近づいてもピクリとも動かない赤毛の女は間違いなくソフィー・スティルチェスの死体だろう。

不思議なのが俯せになって倒れているのではなく、前かがみに何か大切な物でも抱えるようにして死んでいる事だ。

 

「…一体…、うっ!?」

 

「……」

 

「…な、な…」

顔を確認するために死体に手を触れ首を回した瞬間、最重要ターゲットの一人の顔と腕の隙間から何かが見えた。

 

「なん…だと…」

固く結ばれた腕をほどくとまだ生まれて間もないと見える赤子が出てきた。

その肌は赤ん坊という名の通りほんのりと赤い。

顔は血に染まり瞼は力なく閉じられている。

 

「夫婦だったのか…?いや…それよりも…」

このターゲットの男女が夫婦だったとは知らなかった。

散りばめられた違和感の点が線となり急速に答へと繋がる。

 

「タイミング…って…出産…か…?は、はは…」

それはつまり…この生まれたばかりの赤子から住む場所も両親も奪い去ったという事か。

 

「……」

まだ生きてはいるのだろう。弱弱しく呼吸をしているが、この場所ではそう長くはあるまい。

 

 

 

 

 

『これが悪でなくて何だというのだ…』

 

 

 

 

 

「ひっ…うっ…ふっ…あ…」

先刻自分が心の中で呟いた言葉が頭で反響し、身体を小さく震わせていく。

これが悪でないならなんだ、と言うのならば。

生まれたその日に両親も何もかも奪った自分達が悪でなくて何だと言うのだろう。

 

「う、う、…わああああああ!!」

やってしまった。

世俗にはびこる概念の共有錯覚劇。

一方的な視点からの正義・悪の決めつけ。

悪も正義も無いと分かっていたはずなのに、一方的に悪と決めてしまった。

本当に憎むべき悪だったのか?ただ我が子を守ろうとその腕にきつく抱きながら死んだあの女が、

子を産んだばかりの妻を抱えて砂漠を走ったあの男が、本当に憎むべき悪であると今でも言えるか?

 

自分は悪ではないのか?

 

「……」

弱弱しく息をするばかりだった赤子の瞼が開かれ、

幾つもの円を浮かべる眼が狼狽するアジェイを射抜く。

 

「うあああああああ!!…!ぶっ、げええぇええ!!」

大の男が女のような悲鳴を上げながら赤子に拳銃を突きつけるが、その手は震え照準は定まらない。

急激なストレスが頭蓋内を暴れ回り、吐しゃ物がガスマスクの隙間から漏れて砂漠の砂に染み込んだ。

 

正義だと、悪だと、世界が勝手に決めていたルールに従い裁き合う人々、そして果ては戦争。

物心ついたころからそれが怖くて堪らなくて、そんなものにうんざりして飽き飽きして、

なるべく人と関わらないように、この年になってはそれから逃げるようにして生きてきたというのに。

気が付けば正義と悪が簡単に入れ替わる世界。

その感覚は国家解体戦争で極まり、世を離れた。

だというのに。

 

戻ってきた途端にこれだ。

 

「……」

 

この赤子が何をした?

ただ生まれてきただけなのに、両親を殺され汚染された砂漠に放られ挙句に自分のような訳の分からない世捨て人に撃ち殺されるのか? 

 

「……」

ほとんど身体を動かすことも無い赤子の眼から静かに一粒、透明な滴が零れる。

まるで今終わろうとしている自分の命を理解しているかのようだ。

 

「う、はっ…、だ、大丈夫だ!!!撃たない!!撃たない!!」

 

「……」

無垢な瞳はただアジェイを問いかける様に見つめる。もう泣き声すらも無かった。

 

「こ、こいつか!?こんなもの!!こんなもの!!」

半分正気を失いながらアジェイは手にしていた拳銃を赤子とは逆方向に放り投げた。

 

「……」

 

「う、う…お…おお…だ、だい!大丈夫だ!!大丈夫だ!!お前は悪くない、悪くないから!」

ざくざくとみっともない音をたてながら赤子の元へと駆け寄り、母親の手から引きはがしにかかる。

 

「すまない…すまない…おお、うっ…」

その手は死してなお離すことを拒むように赤子の身体を掴んでいたが、

今この瞬間もコジマ粒子が赤子の身体を蝕み続けている事を知るアジェイは加減もクソもなく思い切り引っ張り、無様に尻餅をつく。

 

「……」

 

「う…わ、…あ、わああああああ!!」

狂乱しながらアートマンの待つ場所へと赤子を抱えて駆けるアジェイ。

その途中で先ほどまでこの赤子に突き付けていた拳銃を踏みつけていたがそれに気が付くことは無かった。

 

 

 

 

 

 

アジェイはこれから人生を振り返って何度も思うことになる。

 

自分の人生が変わった日とは

家族に追いだされて留学したときでもない

イクバールに入ったときでもない

AMS適性を持つと知ったときでもない

今日この日だったと

 

 

 

この出会いは世界を………

 

少なくともアジェイの頑なに鎖されていた世界を変えた。




ガブリエル・アルメニア・ヴェデット


身長221cm 体重109kg 

出身 アルメニア


世界一美人の多い国、アルメニアの大牧場の一人息子。
両親が割と高齢になってからの待望の息子だったので大層可愛がられどんどん食べたい物を食べさせたら何故か縦に大きくなった。
12歳時点で190cmあった。
可愛がられ、ワガママほうだいに育てられたが粗暴な性格にはならずのんびりとした性格になった。
手が大きく綺麗だったのでピアノを習わされ、才能もあったが飽きっぽかったのでやめてしまった。
滅多に怒ることは無く、学校でも異様な背の高さのせいで悪目立ちして面倒な仕事などを押し付けられたが普通に引き受けていた。
彼のことを間の抜けた人間だと思う者もいたが、実際は平和の存在を感じ取りのんびりできる幸福を知っている人間だった。
その性格のよさもあって友人は多かったが見た目と性格のギャップがあり過ぎた事、さらにスポーツを一切やらなかったことからか女性とは縁が無かった。
アナトリアン・シェパードのエルという名の巨大な牧羊犬を飼っており、体の大きいガブリエルには特に懐いていた。
エルの死を境にふらふらと遊ぶのをやめて勉強しアメリカの大学へと入学した。だがのんきな性格は直らず留年はした。
もともと優秀な頭脳を持っていたのでレイレナードに就職した。
戦いは好まない性格だが、世界を見てきた彼はAMS適性を責任の伴う力と考えリンクスになった。
戦いは好まないと言っても純粋に強さの頂点を見てみたいという願望はあった。だが純粋な強さの頂点などはなく、現実はひたすら残酷だった。
彼は戦いがトラウマになりリンクスをやめた。

名前の発音はゲイブリエルの方が近い。

実は両親はCE23年時点でも高齢ながら生きていたが、天敵ルートで獣になったガロアに殺されている、という作中で描かれなかったストーリーがある。
しかも孫が生まれるのを楽しみにしていたというのに。
ガロアが自分達の孫だと知らなかったのがせめてもの救いか。


趣味
つまらない映画を上映している映画館で寝ること
美人の胸の谷間を上から覗き込むこと(滅多にばれない)

好きな物
アップルパイにバニラアイスをたっぷり乗せたもの
モッツアレラ



ソフィー・スティルチェス

身長180cm 体重61kg

出身 オランダ


オランダの孤児院で育つ。
ソフィーという名は孤児院の院長が幼い頃から際立っていたその賢さから名付けた。
頭もよく、優しく、おまけに美人とほぼ完ぺきな人物で孤児院の子供たちからもとても親しまれていた。
誰が親なのか、どうして自分がここにいるのかは分からないし興味もあまりないが与えられた才能をしっかりと育てようと考え勉強に励んだ。
その考えは院長からの教えの影響もかなり大きい。
14歳から奨学金でアメリカの大学に通い遺伝子工学を学んだ。
孤児院の院長が亡くなった時に一度だけ帰国したが、その頃には孤児院に自分の知る顔はもういなくなっており、その時初めて自分には家族がいないことを実感した。
バスケをやっていたが身長が高いからというだけでスポーツが得意という訳では無い。
ガブリエルの性格に心地よい温かさを感じて惹かれていたが、その好感には自分が携わってしまったことに対する後ろめたさと、その苦しみを共有できる人が欲しかったという気持ちが混じっていたことは否めない。それでもそんな『甘え』をガブリエルが許してくれる存在だったのは彼女の救いだった。


趣味
子供をあやすこと
耳かき(少々強くかなり奥まで掃除するのが好きだが、本人は恥ずかしい趣味だと思っており人に話したことは無い)

好きな物
歯ごたえがあって甘いお菓子
ラ・カンパネラ








オッツダルヴァとガロアは本当は兄弟として育つはずだったのです。
それがどういう運命の悪戯か、三つのルート全てで殺し合う羽目に…


ガロアは生まれた瞬間に全てを失った不幸な子なのか。
それとも生まれた瞬間に周りを戦火に包んだ生きる災害なのか。

悩むところです。


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