Armored Core farbeyond Aleph   作:K-Knot

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___サーダナも…いつかはいなくなる…だから、ウォーキートーキー…___

 

___ハイ、スミカ様___

 

__私に光をくれた…あの子を…守ってあげて…__

 

__了解デス__

 

 

 

 

ガロアも9歳になった。今年で10歳になる。

つまりもう拾って9年になるわけだ。

自分も年をとるわけだな、と45歳、立派な中年となったアジェイはナイフを研ぐガロアを見ながら岩の上に座って感慨深げに息を吐いた。

 

懸念が何度も何度もアジェイの頭を巡る。

かつて伝説のレイヴンとまで恐れられノーマルに乗りながら旧国家側で何年も戦い何機ものネクストを叩き伏せてきた男が生きておりリンクスになった。

アジェイには先見の明があった。

その男、金の為に依頼を受けて昨日の味方すらも殺しており、その腕も超一級。

このまま行けばいずれ世界を巻き込むような戦争が起きる。ただの戦争ならばまだいいが、ネクストはコジマ粒子を巻き散らかす動く汚染源であり、

そんなものが主役になって暴れ回ればどうなるかなんてことは実に分かりやすい。地球が壊れてしまうだろう。

そんなことは誰だって分かっているのかもしれないがあちらがネクストを使うのならばこちらも使わざるを得ない。

汚染でいずれ死ぬにしても、今日死ぬのは誰だって嫌なのだから仕方がないと言えば仕方がない。

 

「……」

ネクストが格納してある倉庫の方を何となく見つめる。

誰もいない場所に身を隠すか重たく冷たい武装に身を包むことでしかリンクスはその身を守れない。

唯一の友、ロランは住処を襲撃(恐らくはネクストによって)されその姿を消してしまった。

いずれこの場所もネクストに襲撃されるのだろうか。

それとも汚染が届くのが先か。

ナイフを砥いでいるガロアの顔は平和そのもので、そんな未来を考えるのは馬鹿馬鹿しいことなのかもしれないが。

 

「……?」

寒風に震えながら倉庫のある南の空を見つめていると何か輝く物がこちらに向かってきているのを見つけた。

 

「まさか…」

まさかもう来たというのか。

噂をすれば影、とは言うがただ考えただけなのに。

 

「くっ!」

最悪だ。

ネクストのある倉庫の方から飛んできている。

そちらに走っても100%見つかる。

 

「いや、もう見つかって…………?…なんだ…?」

ネクスト…いや、ノーマルにしては随分小さい。

速度もACとは思えない。

 

「……!」

 

「どうした?」

ガロアも空の彼方に浮かぶ光に気づいていたが、光の中の物体が点となって見えた瞬間にその形が分かったらしい。

 

「……」

 

「なんなんだ?」

敵ではないらしい。

ガロアは大きさ的に敵わない動物や肉食動物を見つけたら一目散に逃げる。

そしてその見つける速さときたら森で長い事暮らすアジェイよりも余程速い。

視力検査をしたことは無いが、恐らく桁外れの視力を持っているのだろう。

 

「…………?」

 

「……なんだあれは…」

ロボットだった。

青と白が基調の…戦闘を意識した。

 

「……」

赤い目がこちらを捉えたが逃げるべきか撃つべきか。

戦闘を意識した形にしては小さすぎる気がする。

 

(なんだこれは…)

流線型の動きを意識した、ネクストにも似た造形のロボットが雪を溶かしながら自分とガロアの眼の前に着陸した。

武器は手にしていない…が、明らかに戦闘用の形ではないか。

手にしたショットガンで仕留められるだろうか。

それよりも背中に結んである唐草模様の風呂敷の方が気になる。

何が何の目的でここに来たのかがわからない。

分からないことの方が多くてどうしていいのかわからない。

 

「は?」

ガシャン、と音を立てていきなり頭がコアの内部に引っ込んでいった。

 

ガシャン!ガシャン!

 

「!?」

腕脚頭全てがコアに引っ込んでいき、最後は戦闘向きの形に見えたコアまでもが四角い箱になってしまった。

なんだか見た事がある様な形になっていく。

 

「フゥ、空の長旅は疲れマシタ。もちろんロボットなので疲れなどアリマセンがこう言うようにプログラムされていマス」

 

(やっぱりこいつかぁあーーーー!!!)

 

「コーヒーいただけマスカ?冗談デス」

 

「……」

 

(明らかに体積以上の物が引っ込んでいった…)

 

「ワタクシの食事はこれデス」

風呂敷を紐解き中からどさりと何かを乗せる台のような物が落ちた。

 

「…?…??」

 

(いや…そんなことより…何故この場所が分かった!?企業の襲撃か!?)

 

「この上に乗るだけで充電デキマス!便利デスネ!」

 

「……」

研いでいる途中のナイフを持ったままただ茫然としているガロアの前でしゃべり倒しているポンコツロボット。

企業の差し金にしても間抜けすぎる。百歩譲ってそうだとしても、いきなりネクストで襲撃をした方がいいに決まってる。

 

「お前…」

 

「何デスカ?」

 

「何しに来た?」

なんだか霞の所に初めて押しかけたときに同じやり取りをした気がする。

ああ、こんな気分だったのか。なんてのんきなことを考えていたのは後になって思えば間抜けだった。

 

 

 

 

「The end of energy.スミカ様が機能停止シマシタ」

 

「……」

 

「…!そうか…」

唐突に死の報せが届いた。

覚悟をしていたのだろうか、ガロアは驚いたりはしなかったが一瞬だけ髪が逆立った。

だがそんなガロアもナイフを見ているうちに治まっていった。

 

「…逝ったか…霞…」

少々驚いたが困惑はしない。

死なんてそんなものだ。あっけない。自分達が毎日していることだし、仮にも戦争屋だったのだから、なんでどうしてと喚いたりはしない。

きっと墓は無いだろう。研究対象として死んだ後も切り刻まれてホルマリン漬けといったところか。

ちゃんとした礼すら言えなかった。だが正直なところ、あまり感想は無い。悲しんでも悲しまなくても人は死ぬし、強くても美しくてもリンクスでも霞は人だった。それだけだ。

やはり礼くらいは言いたかった、と少しだけ後悔はしている。

まぁ…自分の事はいい。自分がまともな人としての感性を持っていないなんてことはとっくの昔に自覚している。

 

「……」

 

(子供はこういう時…泣くものではないのか)

ガロアは瞼を薄く開いて灰色の眼でナイフを見つめている。

その眼に悲しみや悔いは浮かんでおらずただ灰色だ。

厳しい自然の中で常に死と隣り合ってきたからなのだろうか。

それともあの10日間で心にケリをつけることが出来たのだろうか。

 

(何て眼だ…本当の本当に人の中以外で成長した人間というのはこういう眼をするのか…?)

アジェイは人の中で生まれ人の中で育ち、人から逃げた。自分というピースが世間のパズルにかみ合わないとよく分かったからだ。

ガロアの知る人間は三人しかいない。自分、霞、ロランだけだ。その一人が完全にこの世界から消えたという事を理解しているのだろうか。少ない分喪失は大きいはずなのに。

ガロアは感情の起伏が少ない。物心ついた頃から笑うにせよ泣くにせよ、腕を上げて喜ぶことも無く、悲しみに暮れて暴れることも無い。

赤ん坊の頃はとても感情豊かだったのに、環境のせいだろうか。

 

何度も何度も繰り返し思うことだ。自分はガロアを拾って育ててよかった。それは間違いない。だがガロアは自分に育てられて本当によかったのだろうかと。

純粋だとは思う。ただ、完全に純粋な水が人体にとって有毒なように、その最初から変わらない透明さが本当に少しだけ恐ろしいこともある。

自分の汚れた部分が浮き彫りにされるような怖さ、いずれこの純粋も汚れていくのかという想像の恐怖。

 

「……」

 

「ハイ。それだけではアリマセン」

 

「…?」

ぱくぱくとガロアが口を動かすと空の彼方から突然やってきた機械はさも当然のように反応を返す。

どういうことなのか。

 

「スミカ様からの最後の命令デス」

 

「…?」

 

(ガロアの言いたいことがわかるのか?ポンコツだと思ったが随分高性能な…)

目の前のやりとり一回だけで気が付いたアジェイは流石だが、今更気が付くのは遅すぎると言わざるを得ない。

 

「今日からガロア様がワタクシのご主人デス」

 

「……」

 

「………霞が?」

待て待て、と言いそうなのをガロアの手前ぐっと抑える。

つまりさっき風呂敷から出てきた充電器はあの家にこのクソやかましい機械も入れろという事なのか。

 

「そうデス。ガロア様を守れ、というご命令デス」

 

「…!」

 

「突然来て何を…」

 

「サーダナ様もいつかは機能停止シマス」

 

「……は…」

先ほどの懸念が形となって言葉を発しているようだった。

殺されるかもしれない。動物に襲われて動けなくなるかもしれない。何よりも、若くない。

ガロアをいずれ普通にコロニーに住ませて普通に学校に行かせるためには働かねばならず、

ネクストに乗って戦う以外にそんな金を稼ぐ方法を知らない。

 

「ワタクシは自分で自分を直せマス。シカシ人は機能停止したら終わりデス」

 

「……」

 

(ガロア…お前は何を考えている?)

ナイフに映る瞳が一瞬だけ揺れたのをサーダナは見逃さなかった。

自分はガロアによく語りかけていると思う。だがやはり、仕方のない事だなのだが、ガロアが自分の心の内をさらけ出して教えてくれることはほとんど無い。

なまじ賢いが故に何かを感じても内側で処理してしまうのだろう。

 

「スミカ様は言いマシタ」

 

「……」

 

「ガロア様は私に光をくれたト。だからお守りするのデス」

 

「……、…」

 

(ガロア…)

ようやく一滴だけ、ガロアの眼から涙が零れたのをアジェイは見逃さなかったが気づいていないフリをした。

きっとあれは十分理解して当然だと思っていることをそれでも受け入れきれない涙なのだろう。

だが身近な人間が死んだ経験が、悲しんだ経験が無いアジェイにはどう声をかけるべきか分からなかった。

 

 

 

ガロアが寝静まった夜、アジェイはガロアがいなかったころからそうしていたように川べりの岩に膝を抱えて座っていた。

長くなった髭をナイフで剃り落しながら川の音を聞く。この場所に来た時から何一つ変わらないと言うのに、自分は随分と変わった。

嫌いで仕方なかった人間に気が付けばなっていて、しかもそれを喜んでいる自分がいる。そんな自分を霞は笑っているのだろうか。

 

 

「……」

善悪を決めれば歪みが生まれる。

歪みが生まれれば憎しみが作られる。

 

(私は…それでも善悪を決めずにはいられない人間が怖くて怖くて…捨ててきたんだ…)

何よりもその理由が分からなかった。善だ悪だと飽きもせずに何千年も言い続ける人間。

だが、ようやく分かった。その原因はどうやら愛と呼ばれる物にあるらしい。

昔読んだ哲学者の著書の『愛からなされることは、いつも善悪の彼岸におこる』という一節を今、真に理解する。

例えば今ガロアに刃を突きつける者がいたら、その者を憎まずにはいられず、悪だと断じるのは間違いない。

例えどんな理由…それこそガロアの両親に恨みを持つ者が殺しに来たとしても、どんなに正当な理由を主張したとしても絶対に自分は許さないだろう。

ガロアを愛するが故に。

 

(お前は…優しい子だ…それに賢い…。光…か。霞…よく分かる…)

弱る霞の心を見抜いた聡さ、ただ傍にいようとした優しさ。

そんなガロアが理不尽に死ぬなんて事が許されてたまるか。

あの子がいなくなれば今度こそ自分は人間ではなくなる。

 

(黒い鳥…伝説のレイヴン…マグナス・バッティ・カーチスか…)

暴れ続けるその男は既に何人ものリンクスを殺害しており、かつて自分が対峙してとうとう殺すことが出来なかったアマジーグすらも屠ったと聞く。

このままいけば自分がかつて望んだように世界を巻き込む戦争が起きて汚染が加速度的に進んで世界は砂に包まれて終わりを迎えるだろう。

 

(ただここで震えていては…ガロアはいずれ汚染で死んでしまう…私はそれより早く寿命が来るかもしれん。だがガロア…お前は生きるべきなんだ)

もうガロアは自分がいなくても生きていける。

あの機械が言う通り、自分が死んで朽ち果ててもガロアを守り続けるだろう。

しかし汚染からは守れない。ある日やってくるコジマ汚染はガロアの未来を緩やかに鎖すだろう。ただでさえ既にいくらか汚染されてしまっているというのに。

 

このままここでガロアが成長していくのを見守る未来という想像は耐えがたい誘惑の手をアジェイに伸ばす。

だが、いざ汚染や戦火がここまで届いた時、自分はどうするのだろうか。

ただ悔いるのだろう。何故戦って止めようとしなかったのか、と。

 

 

嫌なら逃げだしてしまえ、という考えは大切な者がいるとき、一番あり得ない選択肢となる。

 

 

「……」

気が付けば、今日はそこまで寒くも無いのに歯の根が合わぬ程ガタガタと震えている。

そんな未来は許さない。なんとしても止めなければならない。他の誰でもなく、今、力を持つ自分が。

 

(そうか…私は…そのためにリンクスになったのか…)

AMS適性を当然の物として疑問にも思っていなかった。何故自分はリンクスという存在なのか…突き詰めていけば、何故生きているのか。

この力でガロアを守るため。本当はそうでないとしても、そうだと信じたい。そうであるのならば自分は…リンクスでよかった。

 

(今の私にとってはお前が全てだ…ガロア…正義でも悪でも構わん。私はお前を守る)

勝つのだ。正義でなくて構わないとするのならば、卑怯でもなんでもいいからどんな手段を使ってでも叩き潰す。

 

(数だ。数で潰す。だが…誰が私のサポートになる?ベルリオーズか?ダメだ、あの男は勝てる戦いしかしない。何よりも敵対的な私を信用するとは思えない。…アンジェか?いや、それも有り得ん。

奴は単独行動しかしない…最悪お互いの足を引っぱり合うことになりかねん。それにあの女は一度…)

 

(結局…バーラッド部隊か。ならばプライマルアーマーが使えない状況で襲撃をするか…。ノーマルに乗ったままオルレアと相打つような化け物だ。それでも五分とはいかぬか…)

最初は何かの冗談なのではないかと思えた、アンジェの駆るオルレアがただのノーマルに撃破されたという噂。

よくよく調べていけばあの伝説のレイヴンが相手だと言うではないか。そんな相手に策をいくら弄したところで虚しく響く。

戦闘スタイルの違いで戦果的にNo.3に落ち着いているが、自分の見立てでは奴は単騎ではベルリオーズよりも強かったように感じた。

出来ることなら今までのように戦いから生きて帰ってまたガロアの成長を見守りながら一緒に暮らしたい。

だが、万が一…いや、順当に考えて死ぬかもしれない。ならばその時のことを考えてするべきなのは。

 

(やはり…ロランを探して連絡を取る。あいつは恐らく裏世界に潜んでいるだけで、生きているだろう。共闘は出来ぬかもしれん。だが…)

きっとこのミッションの報酬は高くなる。そして…恐らくその危険性を考慮して少なくとも半分は前金で受け取れるだろう。

その金を全て使えば…例え自分がどうなったとしてもガロアはコロニーの寮に入ってまともに学生として生きていけるはずだ。

例えガロアの両親や自分自身は救いようのない咎人だとしても、ガロアは何の罪もない子供なのだ。

共闘はしてくれなくてもいい。ガロアを育てろとも言わない。ただ、自分が戻ってこれなかったときにその金をガロアの為に正しく使ってくれる人間が必要だった。

 

 

運命の日、9月7日。

アジェイは戦う覚悟を決めてから以降半年の間も努めて普通に過ごしていた。

全ての準備は整った。後はもうこの家を出るのみだった。

 

「こうして巨大な文明は大河の傍に出来上がっていったのデス!ハイ、よーく覚えておいてクダサイ!先生は厳しくいきマス!そういう風にプログラムされているのデス!!」

 

「……」

 

(なんだかんだ…私といるよりも余程教育にいい)

ウォーキートーキーと呼ばれた機械は料理をして洗濯をし、教育までもしっかりとガロアにしてくれている。

頭が痛くなるほど喧しいという点を除けば、ガロアの話し相手にもなってくれているようなので霞があの機械をよこしてくれてよかった。

 

(……私に戦えと。そういうことだったのかもしれんな…)

キャーキャー騒ぐウォーキートーキーに暖炉の前の椅子に座り少々気怠そうな眼を向けるガロアを見て少しだけ笑う。

この子が来なければ一生使うことの無かったであろうほうれい線周りの筋肉をさする。

もう何も思い残すことは無い。可能ならばまた戻ってくる。ただそれだけだ。戻って来たら、また一緒に静かに暮らしてガロアが大人になっていくのを見よう。

 

「さて…そろそろだ」

いつものように立ち、いつものように荷物を持ち、いつものように玄関に向かう。

暖炉の前の二人(?)に背を向けてアジェイは最後にもう一度笑った。

 

 

 

「……」

なぜか、ガロアは歩いてゆくアジェイの裾をぐいっと掴んでいた。

 

「……」

 

「ガロア?」

 

「……」

いつもと同じ背中だった。

その姿を見て咄嗟に裾を掴んだのはどうしてだろうか。

 

「ガロア様?どうしたのデス?」

 

「……」

 

「行ってくる」

 

「…、……」

伸び始めた癖のある赤毛がぼさぼさと生えたガロアの頭を撫でて再び背を向けるアジェイ。

 

「……」

きょとんとしているガロアはその背に何かを思い出そうとしていたが結局何も思い出せない。

何かをウォーキートーキーに話して伝えてもらうかとも思ったが何も思いつかない。

結局そのままアジェイは振り返ることなく出て行ってしまった。

 

最後の背中、最後の言葉。

 

 

あんまりにも滑らかに流れていったそれは、ガロアの頭に、心にどんな記憶よりも深く食い込んでいた。




アジェイ・ガーレ  (サーダナ)

身長 189cm  体重 71kg

出身 ネパール

この世の何もかもが信じられないおじさん。
作中の登場人物の中でもかなり有能かつ優秀だといえる人物だが人を信じるという当たり前のことがどうしても出来ずに内心常に周りに怯えていた。

ガロアを拾い育てたことでかろうじて人間らしい信じる心を取り戻したが、本人なりに必死になってもやっぱり人とは噛みあわず、自分勝手だと思われていたりなどと、やはり根本的に人としてのバランスを著しく欠いていたのだろう。作中で描写されている通り、霞に感謝していたりロランを友と思ってはいるが基本的に自己完結しているアジェイの世界は彼らがどうなってもあまり感想を抱かなかったことからもそのことが分かる。彼の関心はガロアに愛情を注ぐことしか無かった。しかしその深い愛情はガロアにもしっかり伝わっており、ガロアも真っ直ぐに愛を返してくれているが、後々にそれがガロアの人生を強烈に縛る鎖となる。

もう少しだけアジェイが人間として成熟して人に弱みを見せられる強さがあったのなら、彼がガロアを失うのが何よりも嫌だと考えていたのと同じく、ガロアもアジェイがいなくなるのが何よりも嫌だと、全く同じことを考えていたはずだということに気が付けただろう。
結果として、自分にとって大切なものが次々と消えていったガロアは次第に壊れていくことになる。

自分と一緒に過ごさなければガロアはもっと感情豊かな子になっていたのではと思っていた。
実はそれは間違っていない…が、アジェイが拾っていなければガロアは死んでいたので無駄な仮定である。


趣味
瞑想
武器の手入れ

好きなもの
紅茶
川のせせらぎ






心を動かさないように、って言っても幼い子供だから無理です。結局泣いてしまいました。
で、また大切な人が消えていくと。


サーダナが受けたミッションは、前金だけでもただの子供が大人に成長するまでに十分なお金でした。
それがガロアに直接行くようにしても意味がありませんでした。子供の上ガロアはお金の使い方を知らなかったからです。
必要なのはそのお金をちゃんとガロアの為に使ってくれる人でした。しかし…

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