突然こっちにやってきたエスカさんをアトリエに連れて行く事になった僕達。
アトリエに戻り、留守番をしていたプラフタに事情を話すのであった。
『なるほど、事故ですか』
「はい、ついうっかり……」
「何だかついてないんですね。エスカさん」
「あれ?でもアラヤ、渡航の玉って行く世界はランダムって聞いたよ。それで上手くこっちに来れたんだからついてるんじゃないの?」
確かにソフィーの言うとおりかもしれない。考え方次第だけど……
「それで私は元の世界に戻れるの?」
『……難しいですね。元の世界に戻る分には再度この渡航の玉を使えば戻れますが……エスカの場合は元の世界+あまり時が進んでいない世界ですからね……』
「そ、そんな~」
プラフタの言うとおりかもしれない。こことあちらでは時の進む時間がまるで違う、下手をすれば10年位経ってるかもしれない。
「ねぇ、プラフタ。どうすればいいの?」
ソフィーはどうにかしてエスカさんを帰してあげたいと願っているみたいだ。その気持は僕もだ。どうにかできないものか……
『……私の記憶が戻れば何とか出来るのですが、今までどおりレシピを書いているだけじゃ無理なのかもしれませんね』
「それってこう一気に記憶がよみがえるようになればいいのかな?なにかいい方法は……」
そんな方法がすぐに思いつくわけは……
僕がそう思いかけた瞬間、エスカさんはプラフタを見てあることを言い出した。
「そういえばプラフタって、大昔の人間なんだよね?」
『はい、そうですが……』
「それだったらプラフタを人間にすれば一気に記憶が戻ったり出来ないかな?」
「人間にするって……そんな方法あるわけないじゃないですか」
いくら錬金術が凄くても、人間に戻す方法なんてそれこそソフィーが欲しがってる大釜が必要になるだろう。
「人間に戻すって言っても、ほら会ったことあるでしょ。クローネに」
クローネって確かオートマタでエスカさんの育ての親の……そうか……
「オートマタにプラフタの魂を移せば何とか出来るのかもしれないな」
『なるほど、その方法なら何とか出来るかもしれませんね』
「それだったらどうにか出来るんだね。よぉーし、頑張ってプラフタの体を作ってみるよ!」
ソフィーもノリノリみたいだし、何とか出来そうだな。
だけど数日後のこと。僕はアトリエに訪れるとソフィーとエスカさんが悩みに悩みまくっていた
「どうかしたんですか?」
「あ、アラヤ。実はプラフタを乗り移る人形ってどういう風に作ればいいのかなって?エスカさんの世界ではその方法はもう失われてるって話だし……」
「思いつきで言うものじゃなかったのかもね。ごめんね。ソフィーちゃん」
「いえ、エスカさんが悪いわけじゃ……」
「………いやソフィーが一人で作ろうと思わなければ簡単なんじゃないのか?」
「って言うと?」
「他の人に事情を説明して協力してもらえば……例えばプラフタの身体に関して作れそうな人がいるし…」
「身体を作れる人……あっ!?」
ソフィーも同じ人物を思い浮かべたみたいだな。僕らは早速その場所へ向かった。僕としても丁度あることを頼みたかったし……
街外れの一軒家を尋ねた僕とソフィーとエスカさん。その家には以前出会った人形作りの達人であるフリッツさんが住んでいた。
僕らはフリッツさんに事情を説明した。
「なるほど、喋る本の身体をか……作れるには作れるが……今は必要な部品が足りないんだ」
「それだったらな、」
「はい、あたしが用意しますから。お願いします」
「ふむ、ではお願いしようか」
フリッツさんはソフィーにその必要な部品が書かれているレシピを受け取り、早速作りに行こうとした時、僕はあることを頼んだ。
「それともう一つお願いしたいことがあるんですが」
「というと?」
「できればプラフタの身体と一緒にディンの身体も作って欲しいかなって?あいつもずっと本のままっていうのは可哀想だからな」
「アラヤ……うん、あたしからもお願いします」
「ふむ、良かろう。材料のほうが倍になるがそれでも良ければ……」
「ソフィー、頼むぞ」
「うん、任せて」
アトリエに戻り、人形に必要な部品である『錬金粘土』をソフィーはエスカさんと一緒に作っている中、プラフタは僕にあることを聞いた。
『そういえばこの件はディンには?』
「一応は伝えてある。あいつは記憶が戻りたいというか人としての肉体がほしいみたいだけどな」
『あの人らしい考えですね』
「まぁ、そうだな。それにソフィーも頑張ってるし、僕も頑張らないと」
『頑張るというのは?』
「ちょっとな……」