不思議な錬金術師と物語師   作:水甲

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第13話 設計図を探せ

僕とディン、ソフィーとプラフタの四人は墜ちた宮殿と呼ばれる場所に来ていた。

 

そこは逆さまの宮殿。どうやら昔にあった宮殿が何らかの影響で、こんな風になったらしい。

 

「それにしてもこんな所にエスカさんが言ってた設計図があるのか?」

 

「あぁ俺の記憶が正しければ、この先の社交場にあったはずだ」

 

「でも、設計図ってなんのだろう?」

 

ソフィーの言うとおり、僕も設計図を探せとしか言われていない。

 

一体エスカさんは何の設計図を探してほしいのやら……

 

「設計図……もしかすると彼の……いえ言うなれば彼らの武器のですか?」

 

プラフタは何か思い当たったのか、設計図が何のかわかったらしい

 

「あぁ、アラヤ、ソフィーも覚えているだろう。三種の武器について」

 

三種の武器って確か、シオンさんが使っているあの腕輪のことだよな。

 

「覚えているけど、でもあっちにしかない武器の設計図がこっちにあるのか?」

 

「あちら側とこちら側は繋がっている。あちら側で失ったものがこちら側で存在する。俺達の身体であるオートマターの設計もあちら側では失った技術だ」

 

失ったものがある可能性か

 

というか少し気になることがあった。

 

「ディン、つながっているってどういうことだ?」

 

「………それは」

 

ディンが何かをいいかけた瞬間、大きな扉の前にたどり着いた。

 

その扉を開けるとそこには一角のドラゴンがいた。

 

「どうやらここの主らしいな」

 

ディンが剣を構えた。

 

というかあのドラゴンと戦うのか

 

僕は夢想の筆を取り出した。

 

「ソフィーは後ろで援護を頼む」

 

「う、うん」

 

「ここで貰った武器がどんな感じかわかりますね」

 

プラフタはガントレットを取り出すと、ガントレットがプラフタの周りに浮かんでいた。

 

どういう原理なんだろう?

 

って気にしている場合じゃないか

 

「アラヤ!俺とプラフタがこいつを足止めしている間に!」

 

「このドラゴンを倒せるものを描いて下さい!!」

 

「わ、分かった」

 

僕はドラゴンを倒せる武器を考え始めた。

 

ドラゴンが大きく右腕を振り上げた。

 

その瞬間、ディンがドラゴンの懐に入り込んだ

 

「ふん!」

 

ドラゴンの腹に剣が当たると同時に爆発した。

 

「ほう、爆発する剣か」

 

「炎とか出ないけど、代わりのものが出せるようにしてある」

 

正直筆で炎を作り出すのが難しくって、簡易的なものになった。

 

「ソフィー、前に頼んだもので来てるか?」

 

「うん、完成したよ」

 

「それをディンに渡してやれ」

 

ソフィーは何個かの小さな筒をディンに投げ渡した。

 

ディンはそれを受け取る。

 

「これは……」

 

「あっちのロジーさんが使ってた装備品をヒントにしたものだよ。それぞれの色は属性付きの爆弾だ」

 

ディンは柄に開いている穴に気がついた。

 

「なるほどな。この穴にこれを装填させるんだな」

 

赤の筒を装填させると、襲いかかるドラゴンにもう一撃食らわせた瞬間、また爆発した。

 

「こいつはいいな。名前は何だ?」

 

「考えてないけど」

 

「ならばこいつは装填剣プロトだな」

 

プロトって試作品だからか?というか何の試作品だよ

 

「いい剣ですね。ですが」

 

プラフタはガントレットをドラゴンの顔面に当てた。

 

「自由自在に動かせるのはいいですね」

 

「そんな風に作った覚えがないんだけど……」

 

ガントレットが浮いているのは仕様じゃなかったのか。

 

というかそろそろ書き終えそうだな

 

「ソフィー、一瞬でいいからこいつの動きを止めてくれ」

 

「分かった!シュタルレヘルン!」

 

変わった形の爆弾を取り出し、ドラゴンに投げつけた瞬間、ドラゴンが凍りついた。

 

凍りついていれば外れる心配はない。

 

「打ち砕け!!ハンマー!」

 

巨大なハンマーが氷漬けのドラゴンを砕き、ドラゴンはバラバラになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴンを倒し終え、設計図を探すが……

 

「見つからないね」

 

「本当にここなのか?」

 

「うむ、記憶が正しければ……」

 

「………ふむ、アラヤ。ちょっといいですか?」

 

「何だよ。プラフタ」

 

「装填剣は貴方が描いたのでしょう。設計は?」

 

「あぁ、普通の剣の絵に、色々と書き加えたんだよ。筒はあっちのロジーさんからレシピを貰ったから……」

 

「それならば……貴方が新たな錬魔剣を作ればいいのでは?」

 

「はい?」

 

「装填剣を作れるんですから、可能でしょう」

 

いやいや、無理だから。

 

「かなり複雑そうだったぞ。おまけに特殊な機能とか……」

 

「きっとアラヤとソフィーが力を合わせれば可能でしょう。私も手伝います」

 

かなり無理難題を押し付けられたんだが、ソフィーは反対してくれないかな?

 

「……そっか、四属性を扱えればいいんだね」

 

「ソフィー?」

 

「やってみよう。私も協力するから」

 

「………はぁ、仕方ない」

 

これは引き受けるしかなさそうだな。

 

 

 

 

 

 

墜ちた宮殿から街に戻る時、ディンは何かを考え込んでいた。

 

(設計図は厳重に封印したはずだ。彼女が……だが、なぜないのだ?)

 

そんなディンを見つめる二人組がいた。

 

「この設計図、面白いのが書かれているね」

 

「本当だね。もしかしたら大釜と同じくらい素晴らしいものが作れるかもしれないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アトリエに戻り、ソフィーは四属性を宿した結晶を作り上げた。

 

僕は錬魔剣の設計を初めた。

 

「四属性を装填させる場所は柄の中で良いか。あとはその人の型だな。ディン、エスカさんに連絡取ってくれたのか?」

 

「あれは彼女がこちらに聞きたいことがなければ作動しないようにしてある。お前がどうしたいか考えればいいんじゃないのか?」

 

僕がどうしたいか……

 

四属性の斬撃をどう出したい?

 

………居合とかで出したら格好良いかな?

 

それでいいか。

 

「あとは………」

 

四属性の他になにか大技的なものをつけたいな……

 

「そういえば……」

 

シオンさんやウィルベルさんが言うには、2つほど隠された力があるとか……

 

浄化とすべてを飲み込む……

 

そんなもの描けるかな?

 

それだったら………

 

「コレで完成。名前はどうしよう?錬魔剣?」

 

「いいや、これは錬魔剣ではない。新たな名をつけてやれ」

 

「それなら、夢想の筆と錬金術の剣。名前は…………」

 

僕の頼まれごとはこうして、終わりを告げた。

 

そしてこの剣は確実に届くように送るのであった。

 




次回はプラフタの記憶が大きく思い出します。


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