不思議な錬金術師と物語師   作:水甲

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ついに最終決戦です。


第17話 残してくれたもの

ようやくディンが残してくれたものを自分用に作り変えた。

 

そして僕らはルアードがいるらしい場所、万物の書庫にたどり着いた。

 

「ここにいるんだな」

 

「えぇ、きっとルアードはここにいるはずです」

 

「プラフタ。きっと通じるはずだから」

 

「……はい」

 

プラフタはきっと心配なんだろうな。

 

ルアードと話せるかどうか。

 

でもソフィーは信じている。

 

きっと二人が元の関係に戻れるって……

 

「僕も信じてるから……きっとディンも信じているはずだから」

 

「……はい」

 

僕らはそのまま進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

書庫の奥へと進んでいくとそこには錬金術を行っているルアードがいた。

 

「プラフタ。私を討ちにきたか」

 

「いいえ、違います。説得しに来ました」

 

「説得?」

 

「はい、貴方がやろうとしていることはソフィーの未来やアラヤの未来を滅ぼすことになります。これを見て下さい」

 

プラフタはソフィーが作った思い出の品を見せた。

 

それを見たルアードは動揺した。

 

「それは……」

 

「ソフィーが作ってくれたものです。思い出して下さい!あの頃を……村のために錬金術をしていた頃の思いを……」

 

「…………」

 

「もうやめましょう。私達の問題はもう終わっているんです」

 

「………それは出来ない。一度初めたことだ。そう簡単にやめられる訳にはいかない」

 

「ルアード」

 

説得は失敗か……

 

それなら……

 

「ソフィー、アラヤ。ルアードを討ちましょう。もうそれしか……」

 

「諦めるのは早いぞ。プラフタ」

 

「そうだよ。まだ止められるはずだよ」

 

「ですが………」

 

「僕に考えがある。そのために二人共力を貸してくれ」

 

「………アラヤ。信じていいんですか?」

 

「あぁ」

 

「行こうアラヤ、プラフタ」

 

「来い!」

 

ルアードが何本もの触手を伸ばし、光線を放ってきた。

 

僕は筆盾を作り攻撃を防いでいく

 

「はあああ!!」

 

プラフタはガントレットでルアードを殴る。

 

だがルアードには攻撃が通じていない。

 

それでもまだ諦めない。

 

「夢想の筆よ!!彼の者を貫け!」

 

何本もの槍を描き、ルアードに突き刺さった。

 

ルアードにダメージが入ったけど、それでもルアードは槍を抜き、

 

「夢想の筆……この世界で言う三種の武器のひとつ……ならば」

 

ルアードは黒い剣を取り出した。

 

あれはディンを殺した剣。

 

「この剣にはすべてを切り裂く力が宿っている!」

 

剣を大きく振り落とした瞬間、僕は盾で防ぐが、盾が真っ二つにされた。

 

「くそ!?」

 

「無駄だ。これを防ぐすべはない」

 

僕は距離をおいた。

 

「大丈夫?アラヤ」

 

「何とかな。でもかなりやばいな……だけど」

 

「うん、アラヤがこれぐらいで諦めないって知ってるから……だから」

 

ソフィーは大量のフラムをルアードに投げつけた。

 

「このような玩具で倒せると思っているのか!」

 

「玩具なんかじゃない。これはソフィーが作った爆弾だ!!夢想の筆よ!」

 

僕は鎖を描き、ルアードの身体を縛り上げた。

 

だけどルアードは鎖を切り裂いていく。

 

「この程度で止められると思うな!」

 

今度はルアードがどこからともなく巨大な怪物を作り出した。

 

「こいつは王の眷属!お前に止められるわけは……」

 

「僕には止められないけど………だけどな」

 

怪物が僕に向かってきた瞬間、どこからともなく2つの影が現れ、怪物の攻撃を止めた。

 

「待たせて悪かったな。三人とも」

 

「こいつは我々が止めよう」

 

それはジュリオさんとフリッツさんの二人だった。

 

「ジュリオさん、フリッツさん。どうしてここに」

 

驚くソフィー、そういえばソフィーに伝えてなかったな。

 

「みんなに頼んでおいたんだよ。来てくれるように……」

 

「みんなって?もしかして……」

 

怪物が二人を吹き飛ばすと、ソフィーに襲いかかる。

 

だがソフィーの後ろから銃弾が一発怪物に撃ち込まれ、怯んだ怪物に槍が突き刺さった。

 

さらにルアードに攻撃を仕掛ける三人の姿があった。

 

「やれやれ、来てみれば厄介なことになってるな」

 

「ハロルさん!?」

 

「でも見捨てられないわよね」

 

「レオンさんも……」

 

「こいつが植物を台無しにしたやつなんだな」

 

「もう落ち着きなさい。ソフィーはこいつを止めたいって思ってるんだから……」

 

「………大昔の錬金術師でも考え方は違うけど、私はソフィーの錬金術が好き」

 

「モニカ、オスカー、コルちゃんも……」

 

「みんな、頼んだら来てくれたんだよ。見ているかルアード。これはソフィーの錬金術が繋げた絆だ!!」

 

「絆………そんなもの……」

 

「いい加減認めろよ。お前のやっていることは間違っていることに………」

 

「認めて………たまるか!!」

 

「そうか……なら思いっきり痛い思いをして……気が付かせてやる」

 

僕は描き始めた。

 

ルアードを止められるものを……

 

「喰らえよ!!」

 

巨大な拳を描き終え、ルアードに向けて放たれた。

 

「王の眷属よ!」

 

だが、ルアードの前に怪物が立ちふさがり、ルアードを守るように拳に殴られ、消えていく

 

「これで終わりだ!!」

 

ルアードが黒い剣を大きく振り上げた瞬間、僕は既にルアードの懐に入り込んでいた。

 

「何!?」

 

「これはディンが残してくれた思いだ!!」

 

僕の手に握られていたのは装填剣だった。だけどこれはディンが使っていたものと違う。

 

「消えてなくなれ!!」

 

放たれた斬撃が黒い剣と知識の大釜を切り裂いた。

 

その瞬間、ルアードの姿はメクレットとアトミナに戻った。

 

「馬鹿な……まがい物の剣が……」

 

「どうして……それにそんな力が……」

 

「こいつは僕が作り上げた新たな可能性のひとつ。間違った錬金術を消し去る剣メークリヒカイト!!」

 

「こんなことって……」

 

「まさか物語師にやられるなんてね」

 

「………さてプラフタ。どうする?」

 

「………」

 

「どうするって、許してあげようよ。誰だって間違ったことはするんだよ。もしかしたらプラフタも逆になっていたかもしれないし」

 

「そうですね。ですが、アラヤ。貴方はどうするんですか?彼らを許すんですか?ディンを殺した……」

 

「そうだな。とりあえずお前ら二人にはディンの墓参りをしてもらえばいいかな?それで許してやる」

 

僕がそう言った瞬間、みんなが驚いていた。

 

「いや、アラヤくん。そんなことで許すのかい?」

 

ジュリオさんがそう言うけど、許すも何も……

 

「別に僕はこいつらを殺したいって思ってないし、きっとそんなことしたらディンも怒るだろうし……僕はそれでいいかなって」

 

「何だか本当に変わった人だよ。君は……」

 

「そうだね。もう私たちには根絶の錬金術を行える力はないし、知識の大釜もない」

 

「そんなものなくっても錬金術には無限の可能性があるから……ずるい方法でしか手に入らないものは僕には必要ない」

 

「これが今の世界の物語師なんだね」

 

「私達の完敗ね」

 

こうして僕たちはルアードの野望を止めることに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど一つだけ問題があった

 

それは数日後

 

ソフィーのアトリエに遊びに行ったときのことだった。

 

「そういえば……アラヤ」

 

「何だよ?ソフィー?」

 

「よくよく思い出したら、私……知識の大釜がほしかったような……」

 

「そういえばそうだったな。忘れてた」

 

「うぅ~」

 

「まぁソフィー、いいじゃないですか。知識の大釜も間違ったものだったんですから」

 

「それはそうだけど……」

 

「間違ったものを消し去る可能性を秘めた剣メークリヒカイト。いい名前ですね」

 

「もしかしたら世界中にあるのかもしれないからな。そういうものが……」

 

きっとどこかでそう言った物があるのかもしれない。

 

無くてももしかしたらあの世界に流れ着いているかもしれない。

 

だからこそかな?

 

僕はあの時……

 

「そういえばアラヤ」

 

「何だ?」

 

「あの時なんて言おうとしたの?」

 

「あの時?」

 

「ほら、だき……」

 

やばい。思い出した。僕はあの時告白しようとしてたんだった。

 

でもこの場所にはプラフタが……

 

そう思ったら、いつの間にかプラフタの姿がなかった。

 

気を使ったな

 

「それでなんて言おうとしたの?」

 

「えっと……」

 

ここは覚悟を決めるしか無いな

 

「ソフィー、僕はお前のことが」

 




次回でソフィー編終了!

フィリス編の予告的なものをやったりもします

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