不思議な錬金術師と物語師   作:水甲

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第2話 幼馴染は錬金術師

ある日僕は不思議な喋る本と出会った。

 

本は僕にある頼み事をした。

 

それは最高の物語を書いて欲しいとの事だった。

 

その本は大昔に生きていた物語師のディン。

 

ディンはある錬金術師の少女に恋をして、その少女の物語を書こうとしていたのだが、何らかの理由でその夢を叶えられなくなった。

 

僕はその夢をかなえる手伝いをすることにしたのだった。

 

 

 

筆を置き、一息をつく僕。すると物語を書かれたディンは眩い光を放っていた。

 

「どうしたんだ?」

 

『おぉ、早速書いてくれたのか。にしてもこの物語は……』

 

「いきなり物語を書けって言われても分からないからさ。さっき起きたことを書いたんだよ」

 

『ふむ、アラヤの物語か。確かにコレはいいかもしれないな』

 

ディンは満足そうにしていた。そういえばちょっと気になったことがあった。さっきの光は何なんだろうか?

 

「さっき光ったのは何だったんだ?」

 

『ふむ、よく分からないがどうやらお前が物語を書くたびに記憶が蘇っていくみたいだ』

 

「それじゃ記憶が蘇ったから光ったのか。本当に変わった本だな」

 

こんな本、どこを探してもコレぐらいだよな。

 

「それで何を思い出したんだ?」

 

『ふむ、どうやら俺は物語を書き切ったみたいだ。だが何かの理由で俺は命を落としたみたいだ。そこまでは思い出せる』

 

「書き切ったのにその本は残ってないのか……一体どこに行ったんだろうね?」

 

『知らん。とりあえずもっと記憶を取り戻せばいいのだが……』

 

「物語を書く以外に記憶を取り戻す方法はなさそうだな……あれ?そういえばディンが恋していた女の子って錬金術師だよな」

 

『あぁそうだが……』

 

「ちょっと幼馴染の所に行ってみるか?会えば記憶とか戻るんじゃないのか?」

 

『待て!?さっきの話とどう繋がるんだ?』

 

「僕の幼馴染は錬金術師なんだよ」

 

 

 

 

僕は街の高台にある家、それは僕の幼馴染が住んでいるアトリエだった。そういえばモニカもさっきソフィーに会いに行くって言ってたからいるのかな?

 

「ソフィー、入るよ」

 

僕はアトリエに入ると中には赤髪の少女ソフィーとモニカ、もう一人太って………体つきのいいもう一人の幼馴染のオスカーがいた。こうして幼馴染四人が揃うの珍しいな……

 

「あっ、アラヤ久しぶりだね」

 

「珍しいじゃん。お前がここに来るなんて」

 

「ちょっと用事があってね」

 

「あらさっき一緒に来ればよかったじゃない?」

 

「その時は用事がなかったんだよ。所でソフィー……」

 

「何?アラヤ」

 

僕はさっきから気になっていることがあった。普通だったら驚いたりするんだろうけど、似たようなことがあったからかな?

 

「なんか本が飛んでないか?」

 

『おや、驚かないんですね』

 

「私とオスカーも最初は見た時はビックリしたのに……」

 

「あはは、私もだよ」

 

『私の名前はプラフタです。少し事情があってこのような姿になったんです』

 

「僕はアラヤだよ。よろしくプラフタ」

 

まさかソフィーも同じような体験をしていたなんて。でも、ちょっとした手間が省けたかな?僕は早速彼を紹介するのであった。

 

「僕の方で紹介したい奴がいるんだ」

 

『ふむ、まさか俺以外にもいるものだな』

 

「ってアラヤも喋る本を!?」

 

「そんな偶然あるのかよ」

 

モニカとオスカーの二人は驚いていた。ソフィーの場合はというと……

 

「すごい、プラフタの他にもいるんだね」

 

『このような偶然があるとは思ってもいませんでしたが……』

 

『俺はディン。この姿になる前は物語師だったんだ』

 

『物語師?おや、何だか馴染み深い言葉のような……』

 

『俺もお前の名前に聞き覚えがあるんだが、思い出せない』

 

「ディンも記憶がないの?」

 

「どうやらプラフタもみたいだな。とりあえず僕らの情報でも交換してみるか」

 

僕とソフィーは互いに何があったのか話した。

 

ソフィーはというと山師の薬のレシピを探している中でプラフタを見つけたらしい。プラフタにレシピを書いてみて、ホルストさんの所に行ったらしい。そして帰ってみるとプラフタが目をさましたということだ。

 

プラフタは大昔の錬金術師で、どうしてこのような姿になったのか記憶をなくしたらしい。ソフィーはプラフタの記憶を取り戻すためにプラフタの錬金術を教えてもらいながら、レシピを書いていくというのであった。

 

「それでプラフタが記憶を取り戻したら知識の大釜っていう誰でも錬金術が使える釜のありかも教えてもらえるんだって」

 

そんなものがあるんだな。というか話を聞く限りどこの喋る本も似たような事情を抱えているみたいだな。

 

「何だか二人して似たような出来事が起きていて、ここから何かはじまりそうね」

 

「まるで世界の終末的なものだったりしてな」

 

「もう、オスカーはそんなことないよ。でも、アラヤ。こうして似たような出来事に巻き込まれたんだから、折角だから一緒にこれから行動しない?」

 

「なんでそうなるんだよ?」

 

「だって昔は一緒にいる時間が多かったのに、今じゃ何だかアラヤ余所余所しくって……これをきっかけにって思ったの」

 

確かに昔と比べたら一緒にいる時間が少なくなったけど、それはソフィーの夢が眩しかったからってすごく言いたいけど、もっと他の事情があることは言えないな

 

(ソフィーが可愛くなったから、何だか会いづらくなったなんて言えないよ)

 

 

 


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