話が飛ぶというのは、もう二枚目の推薦状入手しているという感じになります。
二枚目の推薦状を無事手に入れられた俺達は、フルスハイムと呼ばれる街へやってきた。
「ここから船に乗って行くんだよね?」
「えぇ、湖を超えたらライゼンベルグまでもう少しよ」
「それにしても何だかこの街おかしくないか?」
こういう港とかある街だったら、もっと活気があるはずなのに、今は全くそんな感じがしない。これは一体どういうことなのだろうか?
ふっと行商人達の話が聞こえてきた。
「アレがあっちゃ超えられないわな」
「やっぱ自然に収まるのを待つしかなさそうだな」
アレ?アレとは一体どういうことだろうか?
「とりあえず港に行ってみない?」
「うん」
リア姉の言うとおり港へ向かった。
その途中、前から歩いてくる見覚えのある二人がいた。
「あれ?イルちゃん」
「フィリス!?こんな所で会うなんて……まぁ、目指す場所が一緒なら珍しくないわね」
「二人は港に行ったのかしら?」
リア姉がそう聞いた瞬間、イルメリアは急に不機嫌そうになった。
「行ったけど……あッー!!もう!思い出しただけでもイライラしてきた!」
「ど、どうしたの?」
「何だ?何かあったのか?」
「あんたたちも行ってみればわかるわよ!私たちはもう宿に帰るから」
本当に何かあったんだな。
イルメリア達と別れた後、僕はエリスに渡すものがあったことを思い出した。
「ごめん、先行ってて」
「どうかしたの?」
「エリスに渡すものがあるんだ」
僕はイルメリアたちの後を追いかけるのであった。
「何かしら?渡したいものって?」
「う、うん、な、なんだろうね……」
「フィリスちゃん?」
何故か暗い表情するフィリス。リアーネはそんなフィリスを見て微笑んでいた。
(もしかして嫉妬してるのかな?まだ意識はしてないのに……)
「なるほどね~」
「何がなるほどなの?」
「ううん、別に~」
イルメリアが泊まっている宿まで行くと、宿の前で座りながら何かを書いているエリスを見つけた。
「エリス」
「ん?ハルカ、どうしたの?」
「いや、お前に渡したいものがあって……」
俺は前にオレリーさんからもらった時空の筆と対になる筆、境界の筆を渡した。
「これは?」
「境界の筆って言って、俺やアラヤ師匠が使ってる筆と同じものだよ。物語師として必要じゃないかと思ってな」
エリスは境界の筆を受け取ると……
「何だかしっくり来る。何だかずっと使っていたみたいな……」
「俺も時空の筆を手にした時と似た感じがした。もしかしたら境界の筆がエリスを使用者と選んだのかな?」
「使用者を選ぶ筆……」
それにしても何でこの筆は使用者を選んだりするんだろうか?俺やエリス、お爺ちゃん、師匠は普通に使えるのに、フィリスは使えなかった。何か違いでもあるのかな?
「ハルカ、ありがとう」
エリスが嬉しそうにしていた。喜んでもらえてよかった。
「ねぇ、人の妹をたぶらかすの止めてくれないかしら?」
とイルメリアが俺のことを睨んでいた。別に誑かしてるわけじゃないのに……
「別にそういう気はないけど……というかしばらく会わなかっただけで、何か妹大好きな奴になってないか?」
「べ、別に、エリスの事はずっと前から大好きに決まってるじゃない。何せ、私の大切な妹なんだから」
「姉様……」
エリスが恥ずかしそうにしていた。まぁ、この姉妹も前に比べたら素直になったのかな?
「そういえばあんた、フィリス達と一緒に港に行くんじゃなかったの?」
「あぁ、そうだった。そういえば何があったんだ?」
「………船乗りにバカにされたのよ!私達には無理だとか無駄だとか!?」
よく分からないけど、本当に何かあったのかな?ちょっと気になるし、港に行ってみるか
港へ行くとフィリス達が広場にいた。話を聞くとどうやら船乗りにイルメリアと同じことを言われたらしい。
「それで一体何が起きてるか調べようと思ってね」
「それじゃ港に行くんだな」
「ねぇ、ハルカ。エリスちゃんに何の用事があったの?」
「ん?前にオレリーさんから貰った筆を渡しに……」
「……そっか」
あれ?何だか急に明るくなった?いやでも、さっきでの様子の違いあったかな?
「ハルカも意外と鈍感だよね~」
何だかリア姉にそんなことを言われた。一体俺のどこが鈍感なんだろうか?
短めですみません。