不思議な錬金術師と物語師   作:水甲

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第15話 行方

俺たちはリア姉を探しに旅に出た。とりあえず最初の目的地としてはライゼンベルグを目指すことになったのだが……

 

「どう?ひとっ飛びだったでしょ」

 

「いや、何というか錬金術すごすぎだろ」

 

フィリスが錬金術で作り上げた魔法のほうきで空を飛びながら、俺達はライゼンベルグにたどり着いた。何というか試験に合格した後、フィリスの腕も上がっている気がする

 

「それでライゼンベルグに来たけど、どう探すんだ?」

 

「うん、実はね」

 

フィリスは俺を有る場所に案内するとそこには師匠とソフィーさん、プラフタさんの姿があった。

 

「フィリスちゃん、早かったね」

 

「先生、ごめんなさい。協力してもらって」

 

「ううん、私達も心配だから……」

 

「それでフィリスに言われて私達なりに情報を集めましたが、全然です」

 

フィリス、いつの間に頼んでおいたんだよ。もしかして錬金術でどうにかしたのか?

 

「ハルカ、大丈夫か?」

 

「あ、はい……」

 

師匠たちもリア姉のことが気になってしょうがないんだろうけど、俺は嫌な予感がしてならなかった。

何でこんなに嫌な予感がするのであろうか……

 

「行方については情報は入らなかったけど、どうにも気になることがあってな」

 

「実はリアーネさんに似た女性の人が一ヶ月前にあることを聞いたんだって」

 

「「あること?」」

 

「その女性は身につけていたイヤリングの石を見せて、見覚えがないか聞いて回ったそうです」

 

それって……でも何でまた……

 

「イヤリングって……」

 

「石って……」

 

何故か急に頭の片隅にある映像が浮かんだ。それは黒髪の少女が心配そうに俺のことを見ていた。

少女は俺に何かを言って、笑顔を見せた。

 

「……今のは」

 

「どうかしたの?ハルカ」

 

「いや、何だか………」

 

もしかして俺の幼い頃の記憶?それにあの少女は……リア姉……

 

「ソフィーさん、幼い頃の記憶を思い出す薬とかってあります?」

 

「えっと……流石にそれは……」

 

「何か気になることが有るんですね」

 

「プラフタさん、そうなんです。でも小さい頃だったからなのかうまく思い出せなくって……」

 

「……少しなにか思い出したことはなんだ?」

 

「……俺は見覚えのない女の子と一緒にいたんだけど……そこが何だかどこかの荒野で……」

 

あの時見えた映像を思い出した。一体あの場所はどこなんだろうか?

 

「……荒野か……」

 

「もしかしたらあそこかもしれないね。ちょっと行ってみよう」

 

ソフィーさんはどこか心あたりがあるのか、ある場所へ俺たちを案内してくれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソフィーさん達の案内でたどり着いた場所、そこは在りし楽園と呼ばれる場所に来ていた。しばらく先へと進んでいくとボロボロになった村があった。

 

「ここは……」

 

「前にアラヤと一緒に来た時に気になってたんだ」

 

「一体何があったのか気になってたけど……ハルカ、ここに覚えは?」

 

「ここは……知ってる気がする」

 

俺は捨てられた村を歩いていくとまた頭の中に映像が浮かんだ。

 

村を破壊していく風、その中心に巨大な龍の姿……俺の手を握っているのは一人の少女だった。

 

『大丈夫だから……ここでお別れになるけど……またいつか会えるから……だから生き残って………』

 

映像が移り変わり、俺は両親とお爺ちゃんと一緒に荒野を歩いていた。

 

『お父さん、私達はもうここで……』

 

『ハルカを……お願いします』

 

『お父さん……お母さん……』

 

体中怪我だらけ両親を見つめながら、俺はお爺ちゃんと一緒に先へとすすむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ここは俺の故郷だったのか?」

 

「そう、そのとおりよ。ハルカ」

 

突然、声が聞こえ振り向くとそこにはリア姉がいた。たくさん言いたいことが有るのだけど、今は一番聞きたいことがあった。

 

「リア姉……思い出した記憶の中に、リア姉にそっくりな女の子がいたんだ……それって……」

 

「ハルカの思っているとおりよ。私とハルカは同じ村で育った幼馴染……そして私とフィリスちゃんは………血のつながった姉妹じゃないの」

 

 


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