リア姉と俺の村を滅ぼした原因である奴の封印を解くために、俺達は封印装置を破壊するための爆弾を作ることになったのだが………
「う~ん、どうにもうまくいかないな~」
フィリスがずっと悩んでいた。確かに普通の爆弾ならフィリスは普通に作れるのだが、封印の装置はかなり丈夫にできており、普通の爆弾じゃ破壊できない
「もっと強力な爆弾とかないのか?」
「ううん、それがね。レシピが有るんだけど、今の私じゃ作れないみたいなの」
作れないって……だとしたらどうすればいいんだ?
「あとは素材の特性をうまく引き出せれば……」
「だとしたら……フィリス。何のために……誰のためにって考えて作ってみたらどうだ?」
「何のために……誰のために……」
フィリスはしばらく考え込んだ。大丈夫だ。きっとフィリスならなんとかできるはずだから……
「さてと俺は……」
俺は師匠からもらった槍を見つめた。きっと次の戦いでこの槍が必要になる。俺の思いは……一体何なんだ?
「…………あれ?」
フィリスがいきなりキョロキョロとあたりを見渡し、俺の方を見た。
「どうしたんだ?」
「ハルカ、今、何か言った?」
「ん?何も?」
「あれ?」
何かあったのか?しばらくしてまたフィリスが辺りを見渡し始めた。
「やっぱり……誰かの声が聞こえる」
「声って、誰のだよ」
「わからない。分からないけど……もしかして」
フィリスはコンテナから一つの素材を取り出した。一体どうしたっていうんだ?
「この声、あなたからだったんだね」
「どうしたんだ?フィリス」
「うん、何だか私ね……素材の声が聞こえるようになったの」
「素材の声?」
素材って、錬金術の素材のことだよな。その声が聞こえるって一体どういうことなんだ?
「うん、ありがとう。やってみるね」
フィリスはいくつかの素材を取り、窯に混ぜ始めた。しばらくしてから完成したのはフラムだったが、何だかいつもよりすごい感じがしていた。
「フィリス……これって……」
「素材の声を聞いてね。私の思いに応えてくれた素材だけを使って作ってみたの。そしたら……」
「それって……めちゃくちゃすごいじゃないか。もしかしてソフィーさんが言っていたことって……」
「うん、このことだったかもしれない」
これで爆弾は完成した。あとは……封印されている奴を倒しに行くだけ。
「フィリス、頑張ろうな」
「うん」
俺とフィリスは手をつなぎ、テントの外へと出るのであった。
竜の巣と呼ばれる場所にたどり着き、フィリスは封印の装置を爆弾で破壊すると辺りを包み込んでいた砂嵐が止まった。
「ここにやつがいるんだね」
「あぁ、そうみたいだ」
「ソフィー先生たち……間に合うかな?」
「きっと来るって、信じよう」
俺がそういった瞬間、突然突風が吹き荒れ、空から一匹の人型の龍が姿を表した。
「こいつが……」
「えぇ、そうよ」
「な、何だか強そうだよ……」
「強そうでも……やるしかない」
次回あたりでフィリス編は最終回になります