不思議な錬金術師と物語師   作:水甲

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今回は前の後書きに書いたようにあるキャラが登場予定です。その前にまだ出ていないあの人の登場です


第9話 黄昏からの来訪者

いつもの休日、僕はふっとあることを思い出した。

 

「そういえば今日は……行ってみるかな」

 

『むっ、何かあるのか?』

 

「あぁ、教会でいつもやってるお祈りをしに……」

 

『お前がそういうことをするのは意外だな』

 

「あんまり行かなくって……たまにはって」

 

『ふむ、行って来い』

 

さすがにディンはついてこないか。まぁ別にいいか。

 

 

 

 

 

僕が教会につくとそこにはモニカとソフィーが着ていた。ソフィーがいるのはちょっと意外かも

 

「あら、アラヤが自主的に来るなんて珍しいわね」

 

「普段だったら忘れてたんだけど、今日に限ってふっと思い出してね。ソフィーは毎週?」

 

「えっと、あたしは……」

 

「ソフィーは私が誘ったのよ。誘わないと来ないんだから」

 

「あはは、だって色々と忙しくって……」

 

何だかソフィーらしいな。

 

3人で集まってそんなことを話してると教会のシスターであるパメラさんが嬉しそうにこっちにやってきた。

 

「あら~ソフィーちゃんにアラヤちゃんいらっしゃい」

 

「お久しぶりです。パメラさん」

 

「久しぶり、パメラ」

 

「オスカーちゃんももう中にはいってるわよ」

 

オスカーが来てるのはかなり意外だな。いつもどっかに行って植物と話してると思ったのに……ソフィーより珍しいことか?

 

「何だかこうして幼なじみ全員が揃うのってかなり珍しいわね。季節外れの雪でも降るんじゃないのかしら?」

 

「いやいや、モニカ。雪じゃなくって矢でも降ってくるんじゃないのか?」

 

「何だか珍しく来たのにこんな扱いなんて……オスカー可哀想」

 

まぁ本人がいない所で行っているから別にいいだろうと思うけど。

 

しばらくして僕らは教会に入り、お祈りと聖歌を歌うことになった。相変わらずモニカは歌が上手いな。カフェで歌ってもいいのに……

 

 

 

 

 

 

 

お祈りを済ませてこれからどうするか四人で話していると、コルネリアが駆け寄った。

 

「ソフィー、アラヤ。それにモニカとオスカー」

 

「あれ?コルちゃんどうしたの?」

 

「コルネリアもお祈りに来てくれたの?」

 

「何だか本当に珍しいことがあるもんだな。アラヤがソフィーが来た以外にも」

 

「いや、オスカーが来た事自体珍しいからな」

 

「あの私のお店の向かいの……」

 

コルネリアの向かいの家って……ロジーさんのお店じゃ……何かあったのか?

 

「何だか大声が聞こえるの」

 

「どんなこと話してるかわかるかしら?」

 

モニカがコルネリアにそう聞くとコルネリアが必死に話していることを思い出しながら……

 

「ひどい、忘れちゃったんですか……とか」

 

ロジーさん、女性問題ですか?それだったら今後つきあい方考えることになりそうだけど………

 

「とりあえず行ってみよう」

 

ソフィーは何のことだか分かってないけど、行かないとコルネリアがずっと困り果ててしまう。

 

 

 

 

 

コルネリアを交えた五人でロジーさんのお店に入ると、困り果てるロジーさんに泣きじゃくる女の人がいた

 

「ロジーさんが女の人を泣かしてる!?」

 

「う~ん、コルネリアに悪いけど私達で何とかできるかな?」

 

「母ちゃんでも呼んでくるか?」

 

「そんなに重大なことなの?」

 

「かなり厄介だな。街に魔物が襲ってくる以上に……」

 

こういう女性関係は僕ら子供には手に負えないし……ホルストさんあたりが無難かな?

 

「ちがっ、お前たち誤解してるけどお前たちが思っていることとは全然違うからな!」

 

「いや、誰が見たって勘違いを……ん?」

 

「でも、女の人が泣いてるし……あれ?」

 

泣いてる女の人、何だか見覚えのある服着てる。ソフィーも気がついたっていうことは……

 

「なぁソフィー、いじったのか?」

 

「ううん、プラフタに禁止されちゃっていじってないよ」

 

「じゃあこっちのかな?」

 

「う~ん、どうだろう?」

 

いやいや、まさかね。そんなわけないよね

 

「何?二人は何か知ってるの?」

 

「もしかしてロジーさんが泣かしてる女の人と知り合いなのか?」

 

「知り合いならどうにかできるの?」

 

いや確証がないんだけど……とりあえず僕はその女の人に声をかけてみることに……

 

「あのもしかして……エスカさん?」

 

「えっ?あーーー!!アラヤくんにソフィーちゃん!?」

 

「やっぱりエスカさんだ!?」

 

やっぱり想っていたとおりだった。その人物は僕らが以前行ってきた黄昏の世界の錬金術師、エスカだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らは事情を知らないロジーさん達に説明をした。

 

「なるほどな。似たような世界に俺がいたっていうことか。それは悪いことをしたな」

 

「いえ、私も知ってる人がいたからつい……」

 

「それにしてもいつの間に二人してそんな世界に行ったのよ」

 

「二人っきりっていうわけじゃないよ。プラフタもディンさんも一緒に行ったんだから」

 

「まぁそこまで長い間いなくなったわけじゃなかったしな。それにしても……」

 

ちょっと気になったのはエスカさんが前にあった時よりちょっと大人っぽくなった気がする。もしかして前に言った時間の流れが違うということなのかな?

 

「あのエスカさん、僕らが帰ってからどれくらい経ったんですか?」

 

「えっ?丁度二年くらいかな?色々あったんだけどロジーさん、私達の世界のロジーさんと一緒にアトリエの掃除してたんだけど……」

 

何だかエスカさんがこっちに来た理由がもう分かった気がする。掃除の時にうっかり閉まっていた渡航機が作動したんだろうな……

 

「とりあえずはすぐに戻らないと……うっかり過ごし過ぎて……」

 

「エスカさん以外の人がおじいさんとかになってたりして……」

 

「そんな~」

 

とりあえず僕とソフィーの二人は急いでエスカさんを元の世界に戻すためにアトリエに戻るのであった。モニカやオスカー、コルネリアとは別れ、ロジーさんには改めて謝るのであった。


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