魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light 作:ライジングスカイ
覚えているのは、抱きしめられた記憶
気がついた時には目の前にいて、戸惑う私を抱きしめてくれた
それから、一人に戸惑う私に優しくしてくれて
居場所のない私を迎え入れてくれて、サマーラも一緒に居れるようにしてくれて
「最初はびっくりしたけど」
「その羽はスピカが動かしてるんだね」
ヴィヴィオの問いかけに羽がバサバサと動く
「ってことは、飛ぶ時はスピカの力で飛ぶことになるのかな?」
ためしに少し浮いてみるシルヴィア、だが若干ふらついてしまう
「っとっと、結構難しい」
「少し練習してみようか、スピカの慣らしもしないといけないし」
そう言って立ち上がるヴィヴィオ
「サマーラも手伝ってくれないかな?」
「わかりました、準備しますね」
そう言ってサマーラは椅子から降りると支度をしに行った
「じゃ、いってきます」
「なのはママ、いってきます」
なのはに見送られ魔法の練習をするために出かけるヴィヴィオとシルヴィア、そしてサマーラ
「そっか、シルヴィア喜んでくれたんだ」
「うん、今はヴィヴィオと一緒に魔法の練習行ってるよ、シャーリーには感謝しないと」
黒い制服に身を包んだブロンドのロングヘアーの女性と通信で話すなのは
「もちろんフェイトちゃんにも感謝してるよ」
「私がシルヴィアにしてあげられることと言えばこのくらいだからね、シャーリーには私から伝えておく」
そう言って笑顔を見せるフェイト
「そう言えば、シルヴィアは大人モード使わないんだね、私はてっきり………」
「うーん、使わないっていうより使えないって言った方がいいかな、あの子の魔法資質は特殊だから」
フェイトの言葉にため息交じりにそう答えるなのは
「とっとっと」
サマーラに手を取ってもらいながら飛行練習をするシルヴィア
「しっかりスピカと息を合わせて、呼吸がバラバラだからふらついちゃうんだよ」
そんな彼女の様子を見て助言するヴィヴィオ
ヴィヴィオの助言で少しづつ慣れてきたシルヴィア
やがてサマーラの補助なしで飛べるようになると
「シルヴィア、せっかくだからほかにもいろいろ練習してみようか」
そういって構えるヴィヴィオ
「遠慮せず打ちこんでおいで、シルヴィアがここまで努力してきた成果を私に見せてよ」
ヴィヴィオのその言葉にシルヴィアは驚きながらも構えた
「(帰ったらアルマにもメールしよう、明日からの練習も、スピカと一緒に頑張るんだ)」
「シルヴィアも自分のデバイス持つようになったんだ」
ナカジマ家ではジム経営のため離れて暮らすノーヴェとの通信の真っ最中だった
「思い出すッスねぇ、ヴィヴィオが初めてクリスと出会ったころの話」
「あの頃はまだノーヴェは師匠と呼ばれるのを嫌がっていたな」
「チンク姉昔の話はよしてよ」
姉妹たちの会話を聞いて小さく笑う長女のギンガ
「あ、そうだ、明日の通信だけどあたしちょっと帰り遅くなるから」
ノーヴェのその言葉に彼女たちの父親であるゲンヤ・ナカジマは首を傾げた
「べつにそりゃかまわねえけど、珍しいじゃねえか、なんかあんのか?」
「業者の点検で練習の開始が遅れるんだよ、一応練習時間縮めるけどそれでもいつもより遅くなるかな、何人か送って帰んないといけないし」
それを聞いたチンクが何かに気付いたかのように彼女を見た
「もしかしてそっちじゃないのか?遅くなる理由というのは」
「あ………えっと、そう、なんだけど、しょうがないだろ、預かってる以上あたしにだって責任ってもんが」
「照れることないッスよぉ、ノーヴェ」
「ウェンディ、あんまりからかわないであげて」
面白そうにケラケラ笑うウェンディをディエチが宥める
シルヴィアが繰り出す攻撃を悉く防ぐヴィヴィオ
スピカの力で飛び上がり足を思いっきり振り下ろす
だがヴィヴィオはそれを受け止め体を使ってシルヴィアの体勢を崩させる
そのまま勢いをつけて蹴りを命中させるヴィヴィオ
吹っ飛んだシルヴィアを追いかけ追撃を仕掛ける
攻撃を受け落下したシルヴィアが何とか起き上がると目の前にはヴィヴィオの拳が
「ま、参りました」
両手をあげ降参の意を示すシルヴィアにヴィヴィオは呼吸を整えると
「もう時間も遅いしここまでにしよっか」
そういってクリスと分離するヴィヴィオ
「あーあ、結局一回もクリーンヒットとれなかった」
「でもシルヴィアだって頑張ってるよ、大丈夫」
スピカと分離しながらうなだれるシルヴィアを慰めるヴィヴィオ
「さ、帰って一緒にお風呂入ろう、久しぶりに髪洗ってあげる」
「そうだね、結構汗掻いちゃった」
そう言って笑いながら共に歩くヴィヴィオとシルヴィア
「ふぅ、まったくウェンディのやつは………っと」
風呂上りにタオルで髪を拭いていたノーヴェだったが愛用のデバイス、ジェットエッジが点滅してることに気付く
「久しぶりだねノーヴェちゃん、息災かい?」
通信してきたのはミカヤだった
「ミカヤちゃん、こんな時間にどうした?」
「ああ、ちょっとね………」
ノーヴェの問いかけにミカヤは真剣な面持ちで答えた
「最近あちこちで練習試合をしている強豪選手がいるっていうのは知ってるかい?」
「ああ、噂は聞いてるよ、どんな相手も一瞬で倒すってやつだろ、そいつがどうかした?」
「今日、ウチの道場に現れた」
ミカヤの言葉を聞いて真剣な表情になるノーヴェ
「どんなやつだった」
「強かったよ、本当に一瞬で、何をしたのか私にも見えなかった」
そういってミカヤは通信画面に顔写真を表示する
「こいつが………」
「どこのジムにも所属していないフリーの選手だといっていた、名前はミカゲ・スズキ」
ヴィヴィオと楽しそうに話しながら歩くシルヴィア
そんな彼女と今まさにすれ違った黒い髪の女性、ミカゲ
彼女はすれ違いざま何かに気付き振り返るが特に気にすることもなくそのまま立ち去った
家に戻るとサマーラがお風呂の準備をしている最中だったのでそれが終わるまでリビングで待つヴィヴィオとシルヴィア
待っている間ヴィヴィオはソファに座りメールをチェックしていた
「でね、ママのパンチはマシュマロみたいに柔らかいの」
「ヴィヴィオ、ノーダメージ設定うまくなったよね」
「先生がいいですから」
メールに目を通しながらなのはの言葉に胸を張ってそう答えるヴィヴィオ
ちなみにそうなってる理由は衝突の瞬間に拳にまとった魔力を緩衝材代わりにしているため
勿論実戦では使い物にならないが
「あ、リエラから資料来てる」
メールを開こうとするヴィヴィオだったが丁度その時サマーラがお風呂から出てきた
「なのはママ先に入る?」
「どうするヴィヴィオ?急ぎの用事ならそうする?」
「大丈夫、私明日もお休みだしいつでも見れるから、クリス、これ分けておいて」
ヴィヴィオの言葉に小さな手で敬礼するクリス
「さ、はいろっかシルヴィア」
「うん」
手を繋いで着替え抱えながらお風呂場に向かう二人
「クリスー、スピカー、洗濯物お願い、クリス、スピカにちゃんと教えてあげてね」
ヴィヴィオの声に二人(二匹?)も飛んでいく
ヴィヴィオに頭を洗ってもらうシルヴィア
「はいおしまい」
シャワーで流し終えると両手で必死に顔を拭くシルヴィア
「じゃ、今度はママを洗ってあげる」
「えー、シルヴィア出来るの」
「大丈夫、なのはママやサマーラと練習したから」
お風呂場から楽しそうな声が聞こえてくる中、なのはとサマーラはクリスとスピカに手伝ってもらいながら洗濯物を片づけていた
「ふぅ、これはヴィヴィオのっと」
ヴィヴィオが仕事で着ている執務官の黒い制服を畳み終えるとなのははじっとその制服をみつめた
「どうされたんですか?」
「ん?ああごめん、なんでもないの、ただ、ヴィヴィオも立派になったんだなぁって思って」
「ふふっ、その制服を洗うたびに同じことを申してますよ」
「あれっ!?そうだっけ」
「でも、気持ちはわかります」
そういってサマーラが持っていたのはシルヴィアが学院で着る制服
「あの頃はマスターが一緒にいるだけで幸せだったんです、それが今では、一緒にいれることももちろんうれしいです」
畳んだ制服を置いてなのはの隣に腰掛けるサマーラ
「ただ、あのころ見ることが出来なかったマスターの笑顔が、今の私にとって何よりの宝物です」
「本当によく笑うようになったよね、シルヴィアは」
サマーラの言葉にかつての事を思い浮かべるなのは
初めてシルヴィアがこの家にきた時、飛びついてきたなのはに驚いてヴィヴィオの後ろに隠れてしまった
それ以前も洗脳が解けた直後のシルヴィアはただただ周囲に怯えるばかりだった
だが
「怯えなくてもいいんだよ、私も最初は怖かった」
そう言ってヴィヴィオが怯えるシルヴィアを抱きしめる
「だけど、そんな私の思いを受け止めてくれた人がいたから、大好きだっていってくれた人がいたから」
自身の着ている局の制服に手をあてるヴィヴィオ
「こうして仕事をしながらみんなと笑いあってる、だから、貴方の思い、私が受け止めてあげたいの」
お湯につかるヴィヴィオとシルヴィア
ヴィヴィオがシルヴィアを抱きしめるとシルヴィアも彼女に身を預けるようにした
「ね、ママは明日お休みでしょう?」
「うん、どこか行きたいところあるの?」
ヴィヴィオの問いかけにシルヴィアは笑顔を見せる
羽ペンで書類を書いていた修道服姿の女性
「 You've Got Mail」
手元に置いていた八角形のデバイスの言葉に一度手を止めメールフォルダを開く
「失礼します、シスターリオ、お茶をお持ちしました」
「あ、ソネットちょうどよかった」
ソネットと呼ばれた修道服の少女はリオの言葉に首をかしげるが
「明日、シルヴィアがヴィヴィオと一緒に来てくれるって」
リオのその言葉にソネットの表情がパッと明るくなる
「それは楽しみですね」
そう言って手の中にあるプレートの通されたリングを見つめるソネット