魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light   作:ライジングスカイ

20 / 34
wish:20 悩めるオットー

教会騎士団

カリム・グラシアを筆頭とした聖王教会の保有戦力

彼らは教会に勤めながら有事においてそれぞれの力を生かし戦っていく

日々の鍛錬の積み重ねと日常の中で育まれた絆

これはそんな騎士団のある一日のお話

「おはようオットー」

朝の見回りのため早起きしたオットー

中庭にやってくるとリオが一人木刀の素振りをしているところだった

「早いですね」

「まあね、アルマのコーチをしながら自分の鍛錬もしなきゃいけないし」

アルマ・ラフェスタはリオがコーチしているナカジマジムの少女

砲撃と格闘技を組み合わせたシューティングアーツに近い独自の戦法をとる

オットーも先日、リミッターをかけたハンデ戦ではあるが手合わせをした

まだまだ粗削りではあるが今後が楽しみではあった

彼女たちの目指すインターミドルまではまだ時間がある

オットー自身、彼女たちがどこまでいけるか内心期待していた

そしてこの聖王教会にもインターミドルを目指す少女が一人

「おはようございます」

「おはよう、ソネット」

ソネット・フランソン

元々はフォルクムの鉱山地帯で家族と暮らしていたが

数年前の事故で家族と死別、行き場をなくしていたところを聖王教会に引き取られた少女だ

彼女もまたインターミドルを目指している

「みんな早いねぇ」

「シャンテもだろう?」

あくび交じりにやってきたシャンテに問いかけるオットーだったが

「あたしはソネットにたたき起こされたの」

むくれながらも自身の剣を取り出すシャンテ

今でも少しひねくれた所はあるがシャンテはシスターの仕事も競技選手の仕事も頑張っている

何より後進の育成に余念がない

起こされたことに文句を言いながらも、シャンテは練習で一切手を抜くことはない

 

「失礼します」

見回りを終えたオットーはティーカップを持って騎士カリムの執務室に来ていた

「あらオットー、見回りお疲れさま」

「いえ、あ、こちら今朝のモーニングティーです」

「ありがとう、今日もみんな張り切ってるわね」

「あ、すいませんうるさくて」

オットーは最初気付かなかったが中庭で練習してるソネットたち

打ち合いでぶつかる音がここまで響いていた

「止めますか?」

「フフッ、大丈夫よ、と言いたいけど、もうすぐ朝ごはんだからみんなを呼んできてほしいわ」

「かしこまりました」

慣れた手つきで例をするとオットーは中庭へ向かった

 

リオとディードが打ち合っているとオットーが止めに入った

「今朝はここまでだ、朝ご飯に呼んできてほしいと騎士カリムが」

オットーの言葉にリオとディードは剣を待機状態に戻した

「オットーもたまには一緒にやろうよ」

「機会があったら、今は朝食が先です」

リオの誘いも淡白に断るオットー

「あれっ?シスターシャッハからだ」

そんな中シャンテは仕事で出ているシスターシャッハから通信が来ていることに首を傾げた

朝食を終えるとオットーはシャンテが騎士カリムと話し込んでいるのを見かけた

「で、幻術使いのあたしの出番なわけだけど」

「ソネットの練習相手、変わってもらうしかなさそうね」

「そうはいっても、ディードは午後から出張だし、リオもヴィヴィオに頼まれて無限書庫に調べものに行っちゃうし、となると後は………」

そう言って思案するシャンテがこちらに気付いて手を叩いた

「うん、オットーにお願いしよう」

 

ソネットのコーチを引き受けることとなってしまったオットー

どうすればいいかと思案していると

「オットー、何してるの?こんなところで」

「コロナお嬢様?教会に何かご用事が」

教導隊の白い制服に身を包んだコロナが声をかけた

「騎士団の実践教導、騎士カリムにお願いされてね」

笑いながらオットーの隣に座るコロナ

「何か悩んでいたみたいだけど」

コロナの問いかけに対しオットーは答えるべきか否か悩んだがしばらく考えて打ち明けることにした

「最近、自分がどうしたいのかわからないんです、ディードもシャンテも、自分のやりたいことを見つけて頑張っているのに、僕は………」

自分だけがあの頃と何も変わっていない

そんな自分が代役とはいえソネットのコーチをすることが出来るのか

オットーの悩みを聞いたコロナは黙って立ち上がるとブランゼルを取り出した

「ね、オットー、久々に練習付き合ってくれないかな?」

 

ゴライアスの攻撃を回避したオットー

ゴーレムの腕を纏って突っ込んでくるコロナに対してレイストームで壁を張りつつけん制する

コロナはそれを見て拳を地面に打ち付けた

砕いた破片がオットーに向かってくる

「レイ!」

オットーの手から放たれた光が広がっていき破片を打ち落としていく

ゴライアスとの同時攻撃でスキを突こうとするコロナだったが

「なんのっ」

タイミングを合わせて同時攻撃を回避

そのまま光でコロナを捕らえる

「ふぅ」

息を切らしながらコロナを見据えるオットー

「あーあ、負けちゃった」

悔しそうに肩を落とすコロナ

一方オットーはじっと自分の手を見つめていた

コロナは自分が教えていた頃よりずっと強くなっていた

だが、勝てた………

「(足踏みしているわけじゃなかったんだ)」

 

その日の午後

シャンテからもらったメニューをもとにオットーはソネットの練習を見ていた

「(ソネットの強くなりたいという気持ちは人一倍強い)」

そんなソネットの姿に自分が教えていた頃の幼いコロナの面影を感じる

「久々に燃えてきた………ソネット」

ワンセット終えて一息ついていたソネットに声をかけるオットー

 

「ただいま戻りました!」

ディードと共に出張に出ていたリオが帰ってくると疲れ切った様子のソネットの姿

「ソネット?大丈夫?」

「あんなオットー初めて見ました、結構厳しいんですね」

息を切らしながらリオの問いかけに答えるソネット

「まあ、オットーもコーチの経験あるわけだし、選手時代にコロナに教えてたのはオットーだし」

「え!?コロナ教導官に!?」

「あれ?言ってなかったっけ?」

困惑するソネットを見て首を傾げるリオ

「聞いてませんよ、ディードがシスターリオを教えていたことは聞きましたけど」

「まあ。オットーもコーチやるの凄い久しぶりだって言ってたし」

そんな二人の会話を聞いていたディードは静かにその場を離れた

 

キッチンで紅茶を入れていたオットーのもとにディードがやってくる

「ずいぶん熱心にやったみたいね」

「この前アルマお嬢様に手ひどくやられて、知らず知らずのうちに自信を無くしていたらしい、コロナお嬢様も随分立派になったよ」

「その様子だと元気出たみたいね」

そう言ってオットーの隣に立つディード

紅茶の香りに気付いて鼻をひくつかせる

「いい香り」

「ああ、今日のお茶はなかなかの出来だ、こっちも」

隣に置いたクッキーを一つ掴んで差し出すオットー

「味見してみて」

促されるままに一つ食べてみるディード

「おいしい」

「だろ」

「オットーが元気になってくれてよかった、私も心配だったから」

「それはそれは、ご迷惑おかけしました」

皮肉交じりに笑いながらクッキーを盛り付けて台車に乗せるオットー

上機嫌で台車を押していくオットーの背を見送りながら小さく笑うディード

 

早々と眠ってしまったソネットに毛布を掛けて部屋を出るシャンテ

丁度そこへオットーが通りかかった

「シャンテ………」

「ずいぶんかわいがってくれたみたいじゃん、疲れてさっさと寝ちゃったよ」

「少し気合を入れすぎちゃったかな」

そう言って自室へ戻っていくオットー

「しっかしまぁ」

「うわっ!セインそんなところから出てこないでよびっくりするから」

そばの壁からひょっこり顔を出したセインに驚くシャンテ

※セインは無機物に透過して自在に移動できる能力【ディープダイバー】を持っています

「人間変わろうと思えば変われるもんだ、ディードもだけどオットーもよく笑うようになったねぇ」

「そぉ?あたしは全然気づかないけど」

「二人の昔話をソネットにしたら驚くかな?」

悪戯っぽく笑うセインにあきれて肩を落とすシャンテ

「人の弟子で遊ばないでよ、まったくセインはいくつになっても」

「シャンテ、あんたシスターシャッハに似てきたね」

小言を言い始めたシャンテに項垂れながらそう呟くセインだった

 

翌朝も中庭で練習するシャンテやソネットたちの姿

「僕も混ぜてもらっていいかな」

そこへオットーもやってきた

レイを両手に装着してやる気満々だ

「いいよ、やろうか」

そう言って剣を構えようとするリオだったが

「ここは私が」

ディードがそれを制した

彼女の表情から何かを察したリオはソルフェージュを待機状態に戻す

「じゃ、私が審判やるよ!二人とも準備して」

互いに正面に向き合って相手を見据えた

それを確認したリオが笑顔で腕をまっすぐ伸ばした

「レディー………」

リオの言葉と共にオットーとディードがデバイスを構える

「ゴー!」

リオの合図と同時に突っ込んでいく二人

「レイストーム!」

「ツインブレイズ!」

「「セーットアーップ!」」

バリアジャケットを装着した二人が真っ向から激突した

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。