魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light 作:ライジングスカイ
法務部を訪れたフェイトは要件を終え帰るため駐車場への道を歩いていた
「テスタロッサ」
その途中掛けられた声に振り返る
するとそこにはシグナムの姿があった
「シグナム、久しぶりです、シグナムも法務部に用事?」
「ああ、先日拘束した被疑者の報告にな、そちらは?」
「こっちも似たようなもので、異世界での案件なんですが、ミッドでの罪歴があったのでその関係に、今日はアギトは?」
「別件で地上本部にいる、それよりどうだ?久々に会ったことだしこの後昼食でも」
「いいですけど………珍しいですね、シグナムから誘ってくるなんて」
不思議そうに首を傾げるフェイトにシグナムは小さく笑った
「たまにはいいだろう、お互い積もる話もあるだろうしな」
シグナムに連れられやってきたのは意外にも普通の飲食店だった
以前は家族のためでないのならと食事に手を抜くことの多かったシグナムだがそこは改善されつつあるようだ
「それでテスタロッサ、どうなんだ?艦長という立場上苦労も多いだろう」
「ええ、まあ、でも、シャーリーがうまくやってくれていますから」
「名コンビは健在か、今は通信主任だったか?」
「とても助かっています、まあ、それでも忙しくて、なかなか帰れないんですけど」
フェイトが執務官をしていた頃の補佐官であるシャーリーことシャリオ・フィニーノ
思えば彼女ともずいぶん長い付き合いになる
「懐かしいな」
シグナムが突然そんなことを言うのでフェイトは首を傾げてしまう
「まだアースラにいた頃、こんなふうによくお前と一緒に居たなと思ってな」
「ああ、シグナムに模擬戦に付き合わされて」
「おいおい、お前も乗り気だったぞ」
そうして言い合ってるうちに互いに笑ってしまう二人
「テスタロッサ、まだ時間は大丈夫か」
「シグナムが言いたいことは何となくわかりますよ」
一通り笑い終えると二人はデバイスを取りだした
「まだ時間は大丈夫だな」
「ええ、この後はしばらくオフですし」
となればお互いやることは決まっていた
フェイトのザンバーと炎を纏ったレヴァンティンが激突する
「やるな、艦長になってなまったと思っていたが」
「まだまだ、負けるわけにはいきませんからっ!」
2人の激突はより激しさを増していった
「というわけで、かんぱーい!」
模擬戦の後はどういう流れかアギトとシャーリーも加えて4人で夕食
シャーリーの音頭で全員がコップを打ち付け合う
「そういえば、このメンバーだけっていうのは結構珍しいですよね?」
「あれ?そうだっけか?フェイトさんとは結構一緒になること多いと思ってたんだけど」
シャーリーの言葉にアギトは首を傾げながら食事に手を付ける
「そうだけど、大抵だれか他の人も一緒で、4人だけっていうのはそんなにないと思うな」
「そうだな、一番多いのはエリオとキャロか?」
「最近じゃ、カレルとリエラなんかも結構な頻度でいる気がします、あと………シスターシャッハ」
「ああっ、あったあった、思い出すね、昔一緒に食事した時、シスターシャッハ悪酔いしちゃって」
「お前たちも飲まされたんだったな、見事につぶされて」
当時を思い返して悪戯っぽく笑うシグナム
何を隠そう潰れた3人をタクシーに放り込んで送ったのは彼女である
「シグナムは昔から意地悪です、人の気にしてることをすぐほじくり返して」
そんな彼女を見てむくれるフェイトだがアギトは首を傾げていた
「ん~、うちじゃあそういうことあんまりないんだけど」
「そうなの?」
「うん、あ!でもシャマ姉の事はよくほじくり返してる!」
「私の扱いはその程度ってこと?」
酔っぱらっているのかアギトの言葉に凹んで項垂れるフェイト
「ん~、というよりシグナムが家族以外で打ち解けてる人っていうのがあまりいないかな?昔よりは愛想よくなってるとは思うけど」
「おいおい私はそんなに不愛想か?」
アギトの言葉に今度はシグナム本人が眉をしかめた
「あ、いや、元々不愛想なわけじゃないんだけど、どっちかっていうと不器用?」
「ぶっ、アギトお前な」
「けど、最近はよく笑うし、ほかの局員たちともよく話しててさ、昔より良くなったっていうか、もっと良くなったって感じ?」
憤慨して机をたたいたシグナムだったがアギトの言葉を最後まで聞いて照れくさそうに酒を仰いだ
「まったく、そうならそうと早く言え」
「いや、今のはシグナムが最後まで話を聞かないからだろ」
「ふふっ、確かに昔に比べると茶目っ気ついて丸くなった感じがします」
そんな二人の様子を見て今度はフェイトが笑う
「テスタロッサ、お前までそんなことを言うのか」
「あ!そういえば、フェイト執務官はどうなの最近、なあシャーリー?」
「わっ!私に振るんだ」
「こういうのは本人よりも身近な存在!で、そこんとこどうなの?」
「今日のアギトなんだかノリノリだなぁ、んー、艦長になってもその地位に甘えず、対等な立場で乗組員たちに接してるっていうのはあるかな?」
「昔から優しいからなぁ、フェイトさんは」
「あ、あと!部下の事達の訓練に付き合いつつ、実は自分が一番楽しんでたりとか」
「鈍ってない理由はそれか、あきれたやつだ」
「シグナムも似たようなもんだろ!あれ?」
アギトはフェイトが何も言わないことに気付きそちらを見た
「あらら、いつのまにか寝ちゃってるよ」
「まったく、どこか抜けているところも昔と変わらないな」
「そういうところも、フェイトさんの魅力の一つだと思うなぁ、フェイトさん元々真面目な方ですし、堅苦しいままだとなんだかとっつきにくいじゃないですか」
「だってさ、シグナム」
「なぜ私に言う」
「ん?」
気付くとフェイトは自宅のベッドで眠っていた
「起きたか?」
「ふぇ!?シグナム、なんで」
「酔ったままのお前をほうってはおけんだろ、今水を入れてくる」
「アギトは………」
「先に帰らせた、酔いはさめたか?」
「うん、ごめんね、シグナムも家族と一緒に居たかったよね」
フェイトの言葉に目を丸くしたシグナムはコップを置くと彼女の額にでこピンをした
「たっ」
「まったくお前というやつは、どこまでも真面目だな、安心しろ、元々今日は誰もいない、みんな帰ってくるのは夜遅くだ、急いで帰ったところで一人二人いるかいないかだ」
そう言ってシグナムは彼女にコップを差し出した
「大方疲れがたまっていたんだろう、たまには家族に顔を見せてやれ、お前の休暇が何日あるかは知らんがな」
そう言ってシグナムは立ち上がり鞄を持った
「フフッ、やっぱりシグナムは変わらないですね」
「そうか?むしろ変わった自覚の方が強いのだが?」
首を傾げるシグナムにフェイトは首を振った
「不器用だけど優しいところは、昔から変わらないです」
「(そんなに不器用か、私は………)」
ちょっと傷つきながらも小さく笑いながら帰っていくシグナムだった
翌朝、夜遅くに帰ってきてそのまま自室で寝てしまったはやては頭を掻きながらリビングへと向かう
「あら?なんかええ匂いやわ~」
リビングに向かうまではまだ寝ぼけていたはやてだが心地よい香りに目が覚めた
「おはようございます、主はやて」
「あれま、なんか珍しいのがおる、あ、おいしそうなフレンチトーストやわぁ、アギトおらんようやけどもしかしてシグナムが作ったん?」
「ええ、まあ、ほんの戯れです」
八神家でははやてやリイン達、最近ではシャマルが調理を行うことが多い
だが、普段料理をしないシグナムやヴィータも全くできないわけではない
なにせ良いお手本が身近にたくさんいるのだから
「なんかご機嫌さんやね、ええことあったんか?」
そう言って席に着くはやて
アギトとヴィータが起きてくるとやはりシグナムが朝食を用意したことに驚いていた
「なるほどねぇ、それであたしが呼ばれたわけか」
「うん、シグナムの話を聞いたら、久々にアルトセイムに行きたくなって」
助手席に人間形態のアルフを乗せながらミッドチルダの町を車で移動するフェイト
「もうずいぶん行ってないもんなぁ、なんだか懐かしいや」
「そう言えばアルフ、また大きくなったね、見た目15歳くらい?」
「あー、もう小さい体も余分な魔力使うだけになったからねぇ」
そう言って困ったように頭を掻くアルフ
「そのうち、あの頃と同じくらいまで伸びたりしてね」
「ん?なのはたちと会った頃かぁ、もう2~3年したらそのくらいなるかもね」
「そうだアルフ、今夜はなのは達と一緒なんだけど、久々に会っていかない?」
「いいねぇ、そういえばサマーラは元気にしてる?」
「うん、元気だよ、今日会うって言ったら、よろしく伝えてくれって」
「で、シグナム、ご機嫌さんの理由は何なん?」
朝食を終えレヴァンティンの整備をしていたシグナムの隣に座るはやて
「ん?すいません、顔に出ていましたか?」
「出てないけどわかるよ、家族の事やからな」
はやての言葉に小さく笑うシグナム
「話すほどの事でもないと思っていたのですが、ちょっとした家族サービスです、テスタロッサにそう話した手前、自分も何かしなければと思いまして」
「あー、フェイトちゃん最近忙しそうやったもんなぁ、家族サービスはええことや」
そう言ってはやてはシグナムに寄りかかる
「けどな、シグナムは無理せんでええねん、私は家族みんなが一緒に居てくれるだけでうれしいんよ」
その言葉に思い出した、エクリプス事件の最中重体となり目を覚ましたシグナムの下にははやての姿があった、表面上は冷静だったが
「ホンマは心配やったで、軽い皮肉も言ったけど、シグナムがおらんなったら思ったら」
「気づいていましたよ、家族ですから」
「あー!シグナムずりぃ!」
「っと、面倒なのに見つかりましたね」
ヴィータが憤慨しながらやってくるのを見て笑いあうシグナムとはやて
「「ただいまー」」
「フェイトちゃん!お帰り」
「フェイトママ、お帰りなさい」
その夜、アルトセイムから戻り高町家へやってきたフェイトとアルフをなのはとシルヴィアが出迎えた
「アルフさん!お久しぶりです」
「っ、サマーラ、さんはいらないって、アルフでいいよ」
「いえ、そんなわけには」
「はあっ、いい奴なんだけど、真面目すぎないか?」
同じ使い魔の先輩としてアルフを慕うサマーラの態度に肩を落とすアルフ
そんな二人を見てなのはとフェイト、そしてシルヴィアは笑いあっていた
夕食の後には本局にいるヴィヴィオからの通信も来ていた
なのはやシルヴィアと楽しそうに話す彼女たちの姿を見たフェイトはその様子を微笑ましく見守っていた
やがて彼女たちの催促を受けお話に加わることになるのだった