魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light   作:ライジングスカイ

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wish:25 インターミドル選考会

シルヴィアとアルマはこの日聖王教会へとやってきていた

中庭にやってくると既にリオとアインハルトが待っていた

「アインハルトさん!あれ!」

「ふふっ、もちろん来ていましたよ」

そう言ってアインハルトが懐から封筒を取り出す

待ちきれないといった様子のシルヴィアに笑いかけながら封筒を開けるアインハルト

「私もまだ見ていないんですが………ああ、ありました、シルヴィアは2組ですね、アルマさんは………」

「あったよ、7組、えっと………あっ、やっぱりというかなんというか、上位選手の名前もいくつかあるね、この分だと結構早い段階で当たりそうかな」

「うわぁ、大丈夫かな」

リオの言葉に委縮してしまうアルマ

「ねえねえ、私の所は?」

「ん?ん~、2組にも都市本戦出場経験者の名前はいくつか………ん?」

リストを眺めていたリオは一つの名前が目についた

 

一方ジムで他の教え子に発表していたノーヴェもリオと同じことが気になっていた

「ミカゲ・スズキ………シルヴィアと同じブロックになったか」

最近噂になっている無名選手と同じブロックで当たったシルヴィア

「苦しい戦いになるかもな」

 

「後は………ソネットが4組、このブロックには去年の都市本戦準優勝者の名前があるね」

「去年の準優勝者っていうと………」

シルヴィアの言葉にリオが頷く

「リカルダ・クライスラー、格闘戦もすごいけど、すごく強力な魔法も使う実力者だって聞いてる」

 

ソネットは一人練習をしていた

既にシャンテからインターミドルの組み合わせの事は聞いている

「リカルダ選手に勝てないと都市本戦へは進めない………」

そう呟いて勢いよく剣を振るうソネット

「勝って見せる………私には負けられない理由があるんだ」

 

そして始まった選考会

シルヴィアたちは集まった選手たちを見て目を輝かせていた

「すごい………この人たちみんなライバルになるんですよね」

「だな、どの選手も上を目指して、今日のために頑張ってきているはずだ」

ノーヴェの言葉にシルヴィアは満足げに笑う

「それは私だって同じ!頑張っちゃうから見ててください!」

 

選考会で先に順番が回ってきたのはアルマだった

デバイスの使用が出来ないので一度外してリオに預けている

対戦相手はステップを取りながら間合いを確かめているようだ

緊張した様子のアルマだったが深呼吸して真っ直ぐ相手を見据えた

「レディ………ファイト!」

合図と共に相手選手はアルマに向けて突っ込んでくる

だがアルマは落ち着いて相手を見ながら手をかざす

魔力球を出現させ掌の上にとどめている

陸戦試合で使ったものより小さいものの込められた魔力はそれに劣っていなかった

「はぁ………」

勢い良く腕を振るうとまるでハンマーのように相手選手の頬を魔力球が直撃する

アルマはそのまま突っ込むと鋭い回し蹴りを命中させた

相手選手はそのままダウンしてしまったようで終了のブザーが鳴り響く

 

「やったー!アルマすごーい」

ノーヴェやアインハルトと共にそれを見ていたシルヴィアが喜びの声を上げていると

「大したものだ、あれでストライクアーツを始めて間もないというから恐ろしいよ」

ミカヤがやってきていた

「ミカヤちゃん!直接会うのは久しぶりだな」

「そうだな、こうして話すのも例の通信以来か」

親しげに話す二人にアインハルトが歩み寄る

「それでミカヤさん、例の強豪選手、ここにきていると思うんですけど」

「ああ、私は直接会ったからね………ええっと、ああ、丁度これからの様だ」

そう言ってリングの一つを指さすミカヤ

確かにリングに上がるミカゲの姿がそこにはあった

「あの選手が」

 

対戦相手は身構えているがミカゲは全くの丸腰に見える

「レディ………ファイト!」

次の瞬間対戦相手は吹っ飛んでリング外に飛ばされていた

 

「なっ………一瞬で」

「何をやったのか私にも全く見えなかった、あの年で末恐ろしいよ」

ミカヤの言葉にシルヴィアも真剣な表情でミカゲを見ていたが

「わっ!?」

「ふふっ、だーれだ?なんてね」

突然視界を塞がれ驚いてしまう

視界をふさいでいた手をどかされるとすぐに振り返るシルヴィア

「こうして会うのは合宿以来ね」

「シャマル先生!お久しぶりです」

「あれ?シャマル先生がこっちいるのって珍しいな」

ノーヴェのその言葉になぜか胸を張るシャマル

「なんてったって私はノイチェのセコンドだもの、ついさっき選考会の試合が終わったところで………そう言えばシルヴィアは会ったことなかったわね、ノイチェ、ちょっといらっしゃい」

「はい」

シャマルに呼ばれこちらに歩み寄るノイチェ

「お初にお目にかかります、ノイチェ・アルシオーネです」

「ご丁寧にどうも、高町シルヴィアです」

丁寧にあいさつしてくるノイチェに対して丁寧に返すシルヴィア

すると突然どこからか轟音が鳴り響く

みると奥の方のリングでソネットが勝利したようだ

「ソネットも勝ったんだ………」

「ゼッケン315番、429番、Bリングへ」

「あ、呼ばれたっ」

シルヴィア(315番)は慌ててリングへと向かう

「っと、選考会はデバイス使えないんだった、アインハルトさん、スピカ預かっててください」

途中でそのことに気付き慌ててアインハルトにスピカを預ける

「ふふっ、元気すぎるのも考え物ですね」

「それだけ緊張してんだろ、お前だって初めてインターミドル出た時緊張して鼻ぶつけたじゃねえか」

ノーヴェに恥ずかしい過去をばらされそのまま赤面して俯くアインハルト

「ほら、いつまでもしょげてねえで行ってやれ」

「あっ、ハイ」

慌ててシルヴィアの待つリングへと向かうアインハルト

「さて、相手は………ってでかっ!?」

シルヴィアより頭二つ以上は大きい長身の選手が彼女を見据えていた

「あれ本当に19歳以下か?あたしとほとんど変わんねえじゃん」

 

「(背の高い人だと顎を狙うのは難しいかな………久々に思いっきり打ち込んじゃお)」

ステップを踏みながら相手を見据えるシルヴィア

「レディ………ファイト!」

試合の開始と同時にシルヴィアは翼を広げた

「セイクリッド・ウイング!」

スピカなしでの飛行は久しぶりだったが対戦相手に勢いよく突っ込んでいく

「このっ!」

勢い良く拳を振るう相手選手だがシルヴィアはその攻撃を難なくかわした

「空破断!」

掌で打ち込んだ攻撃で相手の体制を崩すシルヴィア

「からの………断空拳!」

一度着地してから力を込め体制の崩れた相手の腹部に勢いよく拳を打ち込む

そのまま相手選手は場外までふっ飛ばされた

「やったぁ!」

本来と異なるスタイルで快勝するシルヴィア

嬉しい気持ちを抑えられずその場で飛び上がった

「なかなか面白い子たちだね」

そんな彼女を観客席から見つめるのはショートカットの一見少年にも見える整った顔立ちの女性

その女性の姿に気付いた観客たちがざわついている

彼女こそ去年の都市本戦準優勝

リカルダ・クライスラー

「私のライバルとなるのはあの子か………」

彼女の見つめる先にはシルヴィア達に合流するソネットの姿が

 

「え?ノイチェさん予選7組なんですか?」

選考会の出番も終わりみんなでお昼を食べていた

「そうなんです、だからアルマさんとは予選で当たってしまいますね」

「あの………私負けませんから!」

「ふふっ、もちろん私だって負けるつもりはありません」

そんな様子を楽しそうに見ているシルヴィアの肩をアインハルトがつつく

「アルマさん、普段はおどおどしていますが意外と度胸はある方ですよね、選考会でも特に緊張した様子はありませんでしたし」

「そうですね、本人に自覚はないですけど結構大物っぽいです」

「おーい!」

そこへノーヴェがやってきた

「選考会の結果出たぞ、お前たち全員スーパーノービスクラスから」

「もちろんノイチェもよ」

そう言ってノイチェの頭をなでるシャマル

ノイチェは照れながらもうれしそうな様子だった

 

「そっか、シルヴィアたちもスーパーノービススタートなんだ」

その日の夜シルヴィアは今日の選考会の結果を嬉しそうに報告していた

「まだまだここから!目指すは都市本戦!そのためにもまずは初戦頑張らなきゃ」

そう言ってシルヴィアは組み合わせ票をヴィヴィオに見えるよう映し出した

「あれ?シルヴィアの初戦の相手って」

「そう、すっごく強い人なんだって、でも負けるわけにはいかないから、私がんばるよ」

シルヴィアのスーパーノービスクラスの対戦相手

そこには同じようにスーパーノービスクラスからスタートするミカゲ・スズキの名前があった

 

そして始まったインターミドル地区予選本番

シルヴィアたちはアルマの試合を観戦していた

「いっけー!アルマ―!」

「バースト………フレイムっ!」

アルマの炎熱砲撃が相手選手に直撃し残っていたライフを一気に削り取った

「勝った………」

「やったねアルマ!」

彼女の勝利に沸く観客席

未だ試合の余韻が残り立ち尽くしていたアルマにリオが飛びかかる

「次はノイチェさんの試合だね」

「相手も結構な強敵だぞ、都市本戦の出場経験はないけど、毎年結構いいところまで勝ち上がってる」

ノイチェの対戦相手である選手のデータを見ながらノーヴェが険しい表情を見せる

 

控室ではミウラとシャマルがイメージトレーニング中のノイチェを見守っていた

「そろそろ時間よ」

シャマルの言葉にノイチェは閉じていた目を開け両手に付けたブレスレット型のデバイスを見た

「行こうか、ゲイルラッド」

次の瞬間ノイチェの体は風に包まれた

風が消えるとシャマルのものによく似たバリアジャケットを身に纏うノイチェの姿が


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