魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light   作:ライジングスカイ

26 / 34
wish:26 ノイチェ・アルシオーネ

インターミドルミッドチルダ中央地区予選スーパーノービスクラス第7組

この日注目のカード、初出場のノイチェと今回が4回目の出場となるローザの試合が始まろうとしていた

前丁場では毎年好成績を残しているローザが優勢だという声が多い

だがノイチェの潜在能力も確かであり選考会での様子を見ていたものの中にはノイチェの方が実力が上だという声もある

はたしてこの試合どちらが勝つのか

「悪いが負けるわけにはいかないんだ、君に勝って上に行かせてもらうよ」

「負けるわけにいかないのはこちらも同じです、できればあなたを傷つけたくない」

そう言って腰に装着したリング状の武器を手に取るノイチェ

「ですが、私に戦う力を、本当に大切なことを教えてくれたシャマル先生やミウラさんのためにも、私も負けるわけにはいかない」

両手にリング状の武器を持って構えるノイチェ

 

「ノイチェさんの武器、なんだか変わってるね」

「アームドデバイス、あの形状だと投擲武器だな、ローザ選手はバリバリの接近戦タイプ、あのデバイスを使いこなせるか否かが勝敗のカギになってくる」

ノーヴェはノイチェのデバイスが勝敗のカギになるとみていた

 

「レディ………ファイト!」

試合開始と同時にローザはノイチェに向かっていく

「行くよ、ゲイルラッド」

「Mir war bewusst」

ノイチェはゲイルラッドをローザに向かって投擲する

一方ローザは拳に魔力を纏って突っ込んできた

投げられたゲイルラッドを交わし接近しようと試みる

だがノイチェもそれは織り込み済み

魔力糸を使ってゲイルラッドを引き寄せ後ろからの命中を狙う

だがそれに気づいたローザはすぐさま伏せて背後から近づいたゲイルラッドを交わす

すると今度は正面からもう片方のゲイルラッドが飛んでくる

後ろに飛んで何とか回避したかに見えたローザだが僅かに鼻先を切られる

 

「何が起こったの!?」

「風だな、あのリングは魔力で引き起こされた風を纏ってる」

ローザが切られた理由がわからず困惑する一同だったがノーヴェはその理由がすぐさま分かったようだ

 

「(目に見えない風の刃、これでは近づくのは難しい………)」

接近を阻むノイチェの戦い方に唇をかむローザ

「ならこれで………あんまり得意じゃないけど牽制ぐらいなら………」

魔力弾でノイチェを狙うローザ

だがノイチェは手をかざすと魔力壁でその攻撃を容易く防いで見せた

更にゲイルラッドがローザに迫る

何とかこれを交わすローザ

「この戦い方………まさかあの子」

 

「へぇ、あの選手結界魔導師か」

観客席で見ていたリカルダも思わず声を漏らす

結界魔導師はその名の通り結界や捕縛などの補助系の魔法を専門的に扱う魔導師の事

インターミドル参加選手で結界魔導師がいること自体は何ら不思議ではない

事実過去の上位選手にも結界魔導師はいる

「武器を使ったリーチの長さと防御力を生かした中距離型ってところかな」

「リカルダさん」

誰かに声をかけられ振り返ったリカルダはそちらを見てほくそ笑む

「モニカ選手か」

そこにいた選手はモニカ・キャバリエ、リカルダと同じ組の上位選手だった

「あなたは別ブロックのはず、なぜそんなにこの試合を気にするのですか?」

「それは君もじゃないか」

リカルダもモニカもシード枠を獲得した上位選手

試合はエリートクラスから、スーパーノービスクラスの、ましてや別ブロックの試合などわざわざ見る必要などないはず

「ローザ選手、今年も気合入っていたからね」

「あの人は毎年惜しいところまで行くんですけどね、あと一歩が毎回届かない」

ローザのインターミドル出場歴は4回、いずれも地方予選で敗退している

「実力だけならすでに全国レベル、なのに未だに都市本戦にたどり着くことが出来ない、そんな彼女がどうしても気になってね」

「って、去年準決勝でボコボコにしたのあなたでしょ」

「あれ?そうだったっけ?」

頭を抱えながらのモニカの言葉に苦笑するリカルダ

 

「だったら!」

真正面からノイチェに向けて突っ込んでいくローザ

ノイチェは再びゲイルラッドを投擲して迎え撃つ

ローザの拳とぶつかり合うとはじかれこそしたものの彼女を押し返した

「くそっ、なんて魔力だ」

「いったはずです、負けられないのは私も同じ」

 

ノイチェは幼いころから優れた魔力資質を持っていた

両親も彼女が立派な魔導師になることを期待していた

だが彼女自身は戦うことが嫌いだった

自分の力で誰かを傷つけてしまうことが怖かった

それでも魔法へのあこがれがなかったわけではない

自分がどうしたいのかわからず悩むノイチェだったが

「あっ」

ふと浜辺の近くを歩いているとこのあたりで有名なジムの子供たちが砂浜でジョギングしている光景が目に入った

「あっ!」

すると子供たちの中の一人が転んでしまい足を抑えていた

どうやら擦りむいてしまった様子

「えっ」

そんな子供に歩み寄る人影が

「はい、もう大丈夫よ」

その女性は魔法でその子の傷を治療して優しく声をかけていた

「魔法ってあんなこともできるんだ」

それが彼女とシャマルの出会いだった

それから彼女は八神家道場に通い詰め、シャマルに師事した

傷つけることしかできないと思っていた魔法の力で誰かを助けることが出来ると教えてくれた

傷つけるのではなく、守るため、助けるための力を自分に授けてくれた

自分のやりたいことを気づかせてくれた

嬉しいことを伝えれば自分の事のように喜んでくれた

時にやさしく、時に厳しく、医術だけではなく、様々なことを教えてくれた

そんなシャマルのために戦うことを決めた

それが自分にできる精いっぱいの恩返しだから

 

とうとうノイチェの攻撃がローザを捕らえた

ゲイルラッドに切り裂かられ傷口を抑え蹲るローザ

「もうやめにしませんか、あなたをこれ以上傷つけたくない」

「誰が諦めるものか、絶対に都市本戦に勝ちあがるんだ………そのために、どんな辛い特訓にも耐えてきた」

毎年あと一歩のところで敗れ悔しい思いを繰り返してきたローザ

それでもいつか必ずたどり着けると信じて

苦しい思いをしてまで特訓を重ねた

幼い頃からずっと憧れた夢の舞台に立つため

何度敗れようと挫けず這い上がってきた

「絶対に都市本戦に行くんだ!今年こそ絶対に!勝つんだあぁ!」

拳に魔力を集め突っ込んでいくローザ

それを見てノイチェは静かに目を閉じた

「あなたの思いはわかりました、でも、私も負けたくないから」

ゲイルラッドを手に持ったまま構えるノイチェ

そのまま魔力をゲイルラッドに込めていく

「ごめんなさい」

両手を広げゲイルラッドを振り上げる

「風牙一閃」

振り下ろされたゲイルラッドから放たれた風が衝撃波となってリングを走り目の前に迫っていたローザ諸共リングを引き裂いた

 

「なんて切れ味だ」

余波が観客席まで届くほどの強力な一撃

衝撃波の勢いで空中に投げ出されたローザはそのままリングに落下

残っていたライフもごっそり持っていかれてしまった

「絶対に………都市本戦に………」

そこまで言って力尽き意識を手放すローザ

「試合終了―!ノイチェ選手!格上を相手に余裕の勝利です」

 

「ローザ選手、今年もダメだったか」

「相性の悪さもありましたからしょうがないですよ」

そう言って立ち去るモニカだったがリカルダは倒れたローザの事が気になっていた

「どうもほっとけないな………」

 

「すごい………ノイチェさん、無傷で勝っちゃった」

試合の結果を見て驚くアルマだったが

「ううん、さすがに無傷ってわけにはいかなかったみたい」

シルヴィアはそう言ってノイチェの方を見る

 

「っつ」

腹部を抑えふらつくノイチェ

最後の一瞬、ローザの攻撃はノイチェに届いていた

もし、こちらの反撃があとほんの僅かでも遅れていれば………

そこまで考えてノイチェは倒れたローザに歩み寄ろうとする

が、彼女に伸ばそうとした手を抑えられた

「だめよノイチェ」

シャマルだった、いつもの優しい笑顔のまま彼女に声をかける

「でも………」

「あなたは本当に優しい子ね、でも教えたはずよ、時としてその優しさが凶器になることだってあるって、今はそっとしてあげましょう」

シャマルの言葉に黙って俯くノイチェ

「どうしてもっていうなら………」

そう言ってシャマルはクラールヴィントを装着した手を彼女に見せる

「あの子の治療は私に任せて、あなたは手を出しちゃダメ、わかったわね」

「はい、すいませんでした、シャマル先生」

「いいのよ、すいませーん!」

ローザを運ぼうとしたスタッフに声をかけるシャマル

治療を手伝えないかかけあうため話す彼女の背中を見て小さく笑うノイチェ

「やっぱりシャマル先生は優しいね」

「Es ist wie Sie」

ノイチェの呟いた言葉にゲイルラッドが同意した

 

「さっ!次は私の番だ!」

そう言って立ち上がるシルヴィア

ミカゲに勝つことが出来れば先に勝ったアルマ、ノイチェに続きエリートクラスに出場できる

「がんばろうね!スピカ!」

シルヴィアの言葉に同意して頷くスピカ

「けど、何をしてくるかわからない相手なんだよ、大丈夫?」

ミカゲは選考会だけでなく、これまでのいかなる試合も一瞬で終わらせてきた

そのため彼女がどんな魔法を使うのか知る人物はいない

「大丈夫!そこのところはばっちりだから」

そう言って胸を張るシルヴィア

はたしてミカゲに勝利し、エリートクラスに出場することはできるのか

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。