魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light   作:ライジングスカイ

32 / 34
wish:32 大切な贈り物

次のラウンドを見据えながらソネットは過去に思いを馳せていた

イクスが回復をかけている中精神統一に専念している

「ここまでは順調じゃんか」

「いや、最後の方わざわざ反撃しにくいフィールド系で防御したってことはさっきのラウンドはたぶん捨ててる、こっからが本番だ」

回復を終え立ち上がったソネットの背中をシャンテが叩く

「勝って来い!ソネット!」

「はいっ!」

 

「とにかくあのスピードをどうにかせんと勝ち目はないぞ」

「大丈夫です、もう手は考えてあります」

「頑張ってね、リカルダ」

 

第2ラウンド開始早々雷を纏ったソネットが構える

真っすぐリカルダに向かっていくと思われたがすんでのところで距離を取った

ほぼ同時にソネットが立ち止まった場所に小さなくぼみが出来る

 

「あれは?」

「リカルダの重力発生魔法やね、たしかアースロック?とかそんな名前やったかな?」

ジークの言葉を聞いたシルヴィアは首を傾げた

「重力発生?バインドじゃなくて?」

「まあ、動きの速い相手捉えるならバインドがええんやろうけど、あれだけ速いと拘束しきる前に抜けられる、足を止めるんやったらこれで正解や、それでも避けてまうんはあの子の恐ろしいところやね」

 

「(範囲を限定して発動を早めたのにそれでも逃げられるか………)」

重力発生魔法を連発してソネットを捕らえようとするリカルダ

合間を縫ってソネットが攻撃を仕掛ける

「(パンツァー・ガイスト!)」

フィールド系防御を腕に纏ってソネットの振り下ろした剣を受け止めるリカルダ

そのまま追撃の回し蹴りもうまくガードしてカウンターを狙うがすでにソネットは離脱していた

 

「ん、今のガードええ感じや」

「リカルダ選手は格闘戦と魔法戦で戦い方がずいぶん違いますよね」

ソネットの攻撃をさばいたリカルダにジークが感嘆の声を漏らしているとヴィヴィオがジークに声をかけた

「せやね、格闘戦は基本を忠実に守って堅実な感じやけど、魔法戦やと重力発生系とかフィールド系とか珍しいもんが多い、さて、シルヴィアに問題や、なんでリカがそういう魔法をよぉ使うかわかるか?」

「え?えーっと………」

ソネットの攻撃をさばくリカルダの動きをよく観察するシルヴィア

しっかりと構えてガードしながら反撃の機会を伺うその姿勢は崩れない………

「ひょっとして………体幹?」

「正解や、理由はちょおシルヴィアにはまだ難しいか?ヴィヴィちゃんならわかるやろ」

「はい、リカルダ選手の一番の強みは優れた体幹による踏み込みの強さ、攻撃を受けても倒れにくく魔力量も多いからフィールド系との相性もいい」

「正解、せやったら重力発生系は?今の話聞いてわかるか?」

「えっと………倒れにくくて姿勢を保ってられる………つまり、重力発生系の範囲の中でも踏ん張ることが出来る?」

「正解や、格闘戦と同じように打ち合いの強さを生かすためにこの選択をしとるんやね」

 

重力発生系をかいくぐって攻撃を仕掛けるソネット

リカルダがその攻撃を確実に捌いていく

「一見ソネットが攻め込んどるようにみえるが」

「リカルダはソネット選手の動きを先読みして魔法を仕掛けてる、立て続けの拘束でどんどん動ける範囲が限定されていってる」

「つまり………守ってるように見えて、攻めとるのはリカルダの方じゃ」

 

「まずい展開だね」

「なんでさ、ソネットガンガン攻めていけてるし」

「いえ、そろそろ捕まってしまいます」

イクスの言葉と共に攻撃を仕掛けたソネットの姿勢が崩される

「そんな!?どうして………」

「ばらまかれた重力魔法が邪魔でもう逃げ道がないんだ」

 

「本当はどれか一つにかかって欲しかったけど、結局全部避けられてしまったね」

「くっ」

「これで………」

ソネットの腕をつかんだリカルダはそのまま投げ技の要領で地面にたたきつけた

 

「ちょ!今の落ち方………」

「シールドは抜いてないから大丈夫や、クラッシュは避けれんやろうけどな」

頭からたたきつけられたソネットの体はかすかに震えて見えた

「(脳震盪狙いか………リカルダはそういう乱暴な手ぇ嫌いやったと思うけど………)」

 

クラッシュの影響で視界のふらつくソネットは何とか目の前のリカルダを見据えようとする

「おいおい、投げ技一発喰らっただけなのにずいぶんな大ダメージじゃんか!」

「当然だよ、ソネットのスタイルは機動力重視、ほとんど攻撃とスピードに回す分装甲はないも同然、双剣術で多少防御は出来てもあんな直撃喰らったら………」

 

「(それでも私はこのスタイルで戦うしかないんだ………)」

シャンテと出会ったあの日………手当てを受けるシャンテのもとをソネットは訪れた

「すいません………大丈夫ですか?」

「おー、さっきの、もう落ち着いた?」

「はい………本当になんとお詫びしたら」

「気にすんなって、それにしてもすごい電撃だなぁ、昔試合で喰らったの思い出したわ」

「シャンテ、手当てに集中できないのでじっとしてください」

「おっと、ごめんごめん」

「知らなかった………私にあんな力が」

「ってことはあの変換資質は生まれつき?だとしたら、あんたの両親があんたに遺してくれた贈り物かもね」

「………」

「シャンテ!」

「はいはい、じっとしてろってんでしょ………」

イクスに咎められてシャンテは黙り込んでしまう

「はい、もういいですよ」

「イテッ、イクス、あたしけが人………」

「何か?」

「何でもない、おーこわ、あ、あんたさ、よかったらこのままあたしたちと一緒に来ない?えっと………」

「ソネットです!ソネット・フランソン」

 

教会でシャンテの指導の下双剣術を学ぶソネット

「でも、いいんでしょうか、私の電気の魔法を双剣術に組み入れたりして」

「まあ、教会流って聞いて堅苦しいイメージ持つ奴は結構多いけどさ、みんな結構自分の能力組み込んだりしてるよ、あたしもそうだし」

ソネットの頭に優しく手を置くシャンテ

「それにあんたの魔法は両親からの贈り物だろ、大事にしなきゃ」

 

「だから私は負けない………故郷のみんなに………空の上の両親に………私は大丈夫だって、笑ってみてもらうためにも!」

「!?」

ソネットの叫びが聞こえたリカルダは目を見開く

「光輪斬撃!」

ソネットが剣を振るうと雷のリングが高速で飛来してリカルダを襲う

「クッ(なんて鋭い攻撃だ………防御が遅れていたら)」

「終曲!」

「しまった!いつの間に!」

リカルダが攻撃を受け止める隙に飛び上がったソネットが大技の構えに入っていた

「くっ、間に合ってくれ!」

左腕の武装に力を込めるリカルダ

「雷神怒号剣」

全身に雷を纏い自らを巨大な剣としたソネットがリカルダ目がけて突っ込んでいく

「グランドクロス!」

武装を勢いよく地面にたたきつけると十字を刻むように地面から光が溢れた

「やばっ!ファンタズマ!」

「ウーラ!」

「スクーデリア!」

シャンテやフーカ達が慌ててデバイスを取り出す

二つの巨大な魔力の激突に会場全体が震えアラートが鳴り響く

 

「なんつーデカい激突や」

観客席まで衝突の勢いは届いておりシルヴィアはヴィヴィオとジークに守られている

「この激突で勝負が決まる………」

ヴィヴィオの言葉と共に両者の攻撃が消滅した

「どっちが勝ったの?」

「ここからじゃわからない………相殺したようにも見えるけど」

「消える前になんやデカい音したで、どっちかの攻撃決まったんとちゃうか?」

 

「おわっ!?」

吹っ飛んできた何かがセインを弾き倒してそのままスタジアムの壁に激突する

跡形もなく吹き飛んだリングの中心で膝をつきながら息を切らすリカルダの姿

「リカルダ選手があそこにいるってことは………」

 

「イクス大丈夫?」

「はい、ありがとうございます」

「あたしのことも守ってよ………じゃなくて!今あたしにぶつかってきたの………」

なんとか起き上がったセインが振り返るとボロボロの状態のソネットが壁にたたきつけられめり込んでいた

「ソネット………」

壁から剥がれ落ちたソネットが何とか着地して俯きながら剣を構える

「くっ!うっ」

何とか立ち上がろうとするリカルダだったが左腕を抑え蹲る

 

「リカルダの使ったグランドクロスは左腕に集めた膨大な魔力を一気に炸裂させる大技や、その分腕だけで支えなあかんから負担も大きい」

「そういえばリカルダ選手は去年の決勝、途中棄権しましたよね」

「うん………試合中に腕を痛めたんや、あれなかったら優勝や言われてたくらい………反動とダメージがでかいよ」

「なら!」

「うん………このまま続けたらあの娘が勝つ………続けられたらやけど」

「えっ?」

 

「まだ………」

「無理に立つな!また体壊すぞ」

ふらつくリカルダをフーカが飛びついて支える

「フーカさん………しかしまだ試合は………」

「もう終わっとる、よぉみろ………」

「あっ………」

最大魔法を破られグランドクロスの直撃を受けた時点でソネットの意識はすでになかった

今はもう気力だけで立っているような状態だ

「決まったー!勝者はリカルダ選手!ソネット選手もルーキーながら大健闘」

実況の声が響く中リカルダは茫然としていた

「それにしても………予選の間はグランドクロスは使うなと言うたじゃろ!」

フーカに耳元で怒鳴られあっけにとられるリカルダ

「まあ、今回は使わんかったら負けとった、発動もあと一瞬遅れたらヤバかった」

倒れそうになるリカルダを抱き寄せるフーカ

「よぉやった、説教の前に、病院行って来い」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。