魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light   作:ライジングスカイ

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wish:33 アルマVSノイチェ

救急車両にソネットが乗せられるなかイクスが中へ同伴する

意識の戻らないソネットに治癒魔法をかけるイクス

「つーわけで、あたしはこれから病院行くんだけど、車手配してもらったから、リカルダ選手も一緒に病院行く?腕診て貰わないといけないんでしょ?」

「えっと………」

「行って来い、シャンテさん、よろしゅう頼みます」

「任せて、それじゃ、入り口のところに車回してもらったから」

「はい………あの、ソネット選手のご両親って………」

「ああ、聞こえちゃったんだ………」

シャンテに付き添われるリカルダの背を見送るフーカとリンネ

「ソネットさん、結局一度も膝をつかなかったね」

「リカルダは膝がっくがくじゃったぞ、もっと鍛えたらな」

「程々にね、フーちゃん」

「リンネ、お前影で自分が鬼コーチと呼ばれとること知らんのか?」

「えっ!?ウソ………ちょ、フーちゃん冗談だよね」

「さあ、どうだか………お?ローザ選手?」

リンネをからかいながらスタジアムに戻ろうとするフーカ

ところが一緒にいたローザがなかなか歩き出さないのに気づき声をかけた

「すごい試合だった………私だってずっと努力を続けてきたのに………私にはあんなふうには………」

自分を卑下するローザ選手の頭にフーカが優しく手を置く

「ローザ選手、自分格闘技は好きか?」

「それはっ!………当り前じゃないですか」

「本当にそう言い切れるんか………今の質問の答えがわかるまで………もうしばらくリカのセコンドやっとれ」

 

先の試合の興奮も冷めやらぬ中ルーキー同士の注目カード、アルマとノイチェの試合が始まろうとしていた

「行くよ、ミナ」

「頑張ろう、ゲイルラッド」

それぞれ相棒に語り掛けながら試合開始の瞬間を待った

そしていまゴングが鳴った

「ゲイルラッド!」

リングを飛ばして先制攻撃を仕掛けるノイチェ

アルマは何とかかわすが続けざまに次のリングが向かってくる

「バーストシューター!」

迎撃してリングを跳ね飛ばすアルマ

しかしすでに次のリングが迫ってくる

何とか回避するとまた次のリングが

「弾いたリングがもう!?」

 

「魔力糸を一度短くして素早く復帰させたか」

「さっすがノイチェ!」

「あのノイチェのスタイル、よく考えられているがどちらのアイディアだ?」

「考えたのは二人でだけど、リングを投げるってアイディアをくれたのはミウラちゃんよ」

ザフィーラの問いかけにシャマルが答えるとミウラが照れくさそうに笑っていた

アイディアの元になっているのはシャマルのペンダルフォルムと見ていいだろう

リング状とはいえ剣なのでシグナムやミウラのような斬撃も可能

そして相手の攻撃にはヴィータやザフィーラ譲りの防御力で対応

格闘戦の心得もありノイチェの戦闘スタイルはバランスがいい

何より八神家のスタイルをすべて取り入れている

「ふっ……」

「もぉ、ザフィーラったら何笑ってるのよ」

 

「今日のノイチェはずいぶん攻めるな」

「アルマの一撃を警戒してるんだと思います、いくら防御に優れた結界魔導師と言ってもアルマレベルの砲撃はそう何度も受けれないですから」

先ほどからノイチェの連続攻撃に圧されてアルマは攻撃に移れない

ノイチェの砲撃封じはよく鍛えられている

 

「今日のために遠距離攻撃対策は叩き込んできました」

アギトを相手に対アルマを想定した練習を続けてきた

一定の距離を保って打たせないために連続攻撃を仕掛ける

 

「シューターがインファイター封じにやるスタイルとよぉ似とるね」

「ミウラさん選手だった頃にすごく苦戦したことがあるけど………その時の経験がもとになってるっぽいね」

「アルマちゃんはノイチェ想定した練習とかしてへんの?」

「多分やってないと思います………だって」

 

「(アルマさんの砲撃は確かにすごいけど………実戦経験が少なすぎる、おそらくここまで積んできた練習は、自身のスキルアップと基礎固め、特定の相手を想定した練習はまだ早い)」

ノイチェのリング攻撃を再び単発の射撃で弾き返すアルマ

その隙をついて攻撃するノイチェ

「(貰った!)」

だがアルマはすぐこの攻撃に反応してノイチェとの距離を詰めようとする

「なっ!クッ」

ノイチェはすぐさま魔力糸を引いて再攻撃を仕掛ける

その攻撃に対して見えていない状態のまま射撃で対抗し打ち落とすアルマ

「なっ!?どうやって………」

戸惑いながらももう一つのリングで攻撃を仕掛けようとするがこれも回避される

 

「確かに経験の足りないアルマに個人の対策を練ってる時間はなかった………けどね」

アルマをコーチしていたリオがしてやったりといった様子で笑っていた

「その分、いろんな状況を想定した練習は人一倍やってきたよ」

懐に飛び込んだアルマが砲撃の構えに入る

すかさずノイチェはシールドを張るがアルマの威力が上回りノイチェを大きく吹っ飛ばした

「ふぅ~」

攻撃が決まったことに安堵したのか大きく息を吐くアルマ

一方ノイチェはダメージは少ないものの火傷や熱傷といったクラッシュが複数発生していた

ちょうどここで第一ラウンド終了のブザーが鳴った

「あーっ、時間使いすぎたかぁ」

「心配しなくてもアルマならでかいの当たれば倒せるからな、もう一ラウンド使ってもいいくらいだ」

頭を抱えたリオに対してノーヴェは冷静だった

 

「ノイチェの手や糸の動きを注視してゲイルラッドのパターンを覚えましたね」

「前半あえてこちらの策に乗ったことでパターンを覚える時間を稼いだのか………」

ノイチェがアルマの反撃を警戒して撃たせない動きをしていた分アルマは学習に集中することが出来た

あえて策に乗ることでこちらの策にうまく乗せた形になる

「すごいですアルマさん………競技を始めたのは今年に入ってからなのに………」

ノイチェも嬉しそうに口元を緩めた

「その嬉しそうな顔、ノイチェってば選手時代の私に似てきた?」

肩を落としつつミウラもちょっぴり嬉しそうだった

「師弟というのはどうにも似てくるらしいな」

「えー?私が師匠に似てる部分なんてあります?」

「俺ではないがな、人をからかう時の仕草が年々シグナムに似て来てるぞ」

「言われてみればそうかもね」

「もぉ、シャマル先生まで………私そんな意地悪じゃありません」

「(シグナムさん、散々な言われようだ………)」

 

「ぁっくしゅ」

「どうしたシグナム?風邪?」

「いや、誰かに噂でもされたか………」

アギトと共に観客席でみていたシグナムが困った様子で肩を落とした

「そんなことより、ちょっと難しい展開なってきたんじゃない?」

「そうだな………ノイチェのスタイルを考えると守りに入りながら判定狙いにするところだが」

「あの砲撃の威力じゃ守りに入ったら勝ち目ないぜ」

「ああ。単純な威力なら私のファルケンとそう変わらないだろう」

「ひぇー、それマジ?」

シグナムの言葉を聞き青ざめるアギト

「しかも爆発という性質上効果範囲が広い、リングという限られた空間ではかなり有効だ、彼女が勝ち上がってこれているのもこの優位性があるからだろう」

解説を聞きながらアギトはじっとシグナムの方を見る

「ちなみに、射程や速度は私の方が上だからそこのところ勘違いするなよ」

「いや張り合うなよ子供相手に」

 

第二ラウンドが始まるとノイチェは距離を詰めるためアルマに向かっていった

「近接狙い!?」

「距離を潰して砲撃を打たせないようにするのが目的か」

 

続けざまにノイチェが繰り出す拳を何とか避けているアルマ

「(拳が速い………ノイチェさん、インファイトも巧いんだ)」

距離を取ろうと下がるアルマだがすぐにノイチェが詰めて追撃する

 

「師匠二人がバリバリのインファイターだから」

ヴィヴィオの言葉にシルヴィアとジークは彼女を見た

「ミウちゃんはともかくとして………シャマル先生は遠距離支援型とちがうん?」

「シャマル先生じゃなくて、ザフィーラの方ですね、たしかにノイチェちゃんの直接の師匠はシャマル先生ですけど………」

セコンドサイドでじっと腕を組んで見守るザフィーラを見るヴィヴィオ

「ノイチェちゃんのスタイルはどっちかっていうとザフィーラに近いと思います」

「ザフィーラさんってどういう戦い方するの?」

「うちも聞きたい、あんまり前線でぇへんから知らんのよ」

「ザフィーラの一番の強みは強靭な防御力、あの体格だからパワー寄りと勘違いする人は多いですけど」

主や守るべきもののため自ら盾となってすべてを撥ね退ける強靭な防御力

すべてを受け止め好機を逃さず捕らえて倒す“待ち”のスタイル

「ザフィーラが本気で守りに入ったら崩すの大変ですよ、私現役時代に一度だけ立ち合ったことあるんだけど全然崩せなく………」

「言われてみればやね、ノイチェちゃんもとにかく堅いのがウリや、近接型はリングに阻まれて近づけず、中距離以上は強固なシールドに阻まれて届かず、しかも二刀流やから攻撃と防御を同時に………ん?」

「ジークさんどうしたんですか?」

「二刀流………剣を重ねて………あ、せやけど」

一人でぶつぶつと考え始めるジークの様子にヴィヴィオとシルヴィアは首をかしげる

 

リングを構えて攻め込むノイチェ

アルマはその攻撃を紙一重でかわし続ける

「(ノイチェさんのリングは距離があるほど効果的な武器、接近戦なら………)」

風を纏って飛来するリングは距離に比例してスピードが乗って伸びてくる

「(フィニッシュブローの風牙一閃は振りの大きい大技、この距離なら使ってこないはず)」

だが次の瞬間魔力の刃がアルマの頬を掠めた

「どんな距離でも………風が私を守ってくれる」

ノイチェのゲイルラッドから魔力刃が伸びていた

 

「やっぱり近接用の形態があったんやな」

「ここにきて隠し玉って………ノイチェちゃんバリエーション多すぎでしょ」

「アルマにも魔力球を振り回す技があるけど………距離が近すぎて使えない」

アルマの魔力球は近づいてくる相手に有効な手段だが現在の至近距離ではかえって動きを阻害してしまう

 

「行きますよ、風牙双刃!」

ノイチェの攻撃がアルマに迫る

回避が間に合わず閃刃がアルマを切り裂いた


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