魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light   作:ライジングスカイ

5 / 34
wish:5 フェイト・T・ハラオウン

騒然とする練習場

その中心でノーヴェが抱えるのは力なく倒れるシルヴィアの姿

「しっかりしろ!いったいどうしちまったんだよ!おい!シルヴィア!」

ノーヴェの流した涙がシルヴィアの頬を伝う

 

「あっ!」

驚き目を見開いたシルヴィアだったがいつもと同じ自室の天井を見てため息をこぼした

「また………あの夢か………」

自らがうなされていただけと知り頭を抱えるシルヴィア

「今日はアルマとの練習試合なのに………」

そうつぶやいて拳を握るシルヴィア、心配してスピカが寄るが

「大丈夫だよ、スピカ」

そういってスピカをなでるシルヴィア

「もう、あんなこと………」

 

「うわぁ」

リビングに降りたシルヴィアは用意された豪華な朝食に息をのんだ

「今日はアルマちゃんとの試合でしょ、精いっぱい頑張れるように」

「ありがとうなのはママ」

なのはの励みを受け笑顔で答えるシルヴィア

 

アラル港湾埠頭廃棄倉庫区画

アインハルトとともに先に待っていたシルヴィアに続いてアルマがリオの運転するバイクでやってきた

「ここは救助隊の訓練にも使われる場所だ、廃倉庫だし許可は取ってあるし多少派手にやっても大丈夫、シルヴィアと違ってアルマは魔法主体だからこういう場所じゃないとな、試合形式の一本勝負」

お互いが構えるのを確認したノーヴェは高く腕を上げる

「ファイト!」

開始の合図と同時に突っ込んでいくシルヴィア

だがそれを見た一同の表情が一変する

「アインハルトさん、あれって………」

「やはり………」

その場にいた全員がシルヴィアのしていることに気付いていた

「(どうしてなの………シルヴィア)」

対峙するアルマさえも、シルヴィアの拳を受け止め

彼女の連続攻撃を回避していく

「アルマさんもなかなかやりますね」

「確かに始めたばっかりにしてはできるほうだよ、でも………」

「シルヴィアの攻撃………あれじゃ当たるわけねぇ」

試合の様子をうかがうノーヴェの表情は険しかった

「そんな戦い方のためにあたしはいままで教えてきたんじゃねえぞ、シルヴィア」

 

アルマがシルヴィアのパンチを受け止める

「(私相手なんてこれでも十分って言いたいの………こんな魔力のほとんどこもってない拳で)」

そう、本来近代格闘においては拳などに魔力を込めて攻撃するのが主流

だがシルヴィアはいまそれをやっていない

無意識のうちにアルマはシルヴィアの拳を強く握りしめる

空いたもう片方の手に魔力が集まり炎となっていく

「バーストフレイム」

炎をまとった魔力弾が至近距離でシルヴィアに決まる

「そこまでっ!」

その場に倒れるシルヴィアを見たアルマは悲しげな表情のままその場を立ち去った

「あっ!アルマ待って!」

慌ててリオが追いかける

それを見たノーヴェはふらつくシルヴィアに目線を合わせるために屈んだ

「なんでアルマが怒ったかわかってるよな、お前の戦い方を見てアルマは手加減されたと思ったんだ」

「アルマさんは知らないんですよね、あの事」

アインハルトの問いかけに黙ってうなずくシルヴィア

「確かに、魔法を使いたくないお前の気持ちも分かるが、それじゃいつまでたっても強くなれねぇぞ」

 

「使いたくない?授業でシルヴィアが魔法を使ってるのを見たことありますよ」

アルマはリオとともに教会にいた

リオから話を聞いたアルマは驚いていた

「うん、授業位なら大丈夫なんだけど………去年の夏にさ、シルヴィア一度倒れてるんだよ」

 

心配そうな顔で病院に駆け込むヴィヴィオ

うずくまるノーヴェを宥めるアインハルト

病室の扉の前で待っていたなのはがヴィヴィオに駆け寄った

「練習中に使った魔法が原因、通常ならそんなことありえないはずだった」

 

座り込むシルヴィアにスピカが近寄る

「なんのためにそいつがいる、何のために今まで練習してきたかよく考えろ」

そういってノーヴェもその場を後にする

残されたシルヴィアは周りに聞こえないよう小さくため息をこぼすと立ち上がって埃をはたいた

「もっと強くならなきゃだね、頑張ろう、スピカ」

そんなシルヴィアを心配そうに見つめるアインハルト

「(どうするべきなのか………きっと彼女はわかっている………でも)」

ノーヴェもまた頭を抱えながら力任せに壁を叩いていた

 

「あの時はみんな大変だったよ、ヴィヴィオはシルヴィアが心配で泣き出すし会長も自分のせいだって、シルヴィアも自分のせいで周りに迷惑かけたって」

リオの言葉を聞いたアルマはうつむいていた

「それからは魔法はなのはさんやヴィヴィオが見ることになって、ジムだと基本のストライクアーツを重点的に習ってたんだ」

「私、シルヴィアのこと………何も知らなかったんだ」

涙を浮かべ自らのしたことを後悔するアルマだったが

「ねえ、なんであたしが教会にいるかって話したっけ?」

「えっ?突然どうしたんですか?」

リオの言葉に驚くアルマだったが気にせずリオは続ける

「ディードにはもうあったよね」

「え、ええ、髪の長いシスターさんですよね」

「あたしの選手時代のコーチなんだ、教会の仕事で忙しい合間を縫って私にいろいろ教えてくれてた、本当は時間作るのも大変なはずなのに、私に一生懸命教えてくれるディードに恩返しがしたくて、私はここに来た」

そういって自身の髪留めに触れるリオ

「これね、あたしを一人前の修道騎士として認めてくれた証にディードがくれたものなの」

「素敵なお話ですね………」

「ここにいるのはそういう人たちばかりですよ」

いつの間にかやってきていたオットーが言葉をつづける

「僕はこの場所が大好きだから、この場所でみんなと過ごす時間を守りたい、そんな思いで精進を続けているんです、レイと一緒にね」

「Zustimmung」

オットーの言葉に同意を示す彼の愛機、レイストーム

「あたしはそんなみんなの力になりたくて、ね、みんな目標があるから強くなれるの、アルマの目標は何?」

「私の………目標」

リオの言葉に自身の愛機を握りしめるアルマ

 

一方シルヴィアは自主練のためアインハルトと公園に向かっていた

「(会長から彼女の事は頼まれている………ここは私が何とかしないと)」

シルヴィアを元気づけよう、二人を何とか仲直りさせよう

そう考えを巡らせるアインハルトだったが

「(何も思いつかない)」

表情には出さないまま落ち込んでしまうアインハルト

「あれ?」

ふと、練習場に誰かいることに気付いたシルヴィアが歩みを止める

練習場に静かにたたずみ高密度の射撃弾を生成しているのは

「フェイトさん?………」

アインハルトのつぶやきが聞こえたらしくこちらに気付いたらしいフェイトが笑顔でこちらを見る

 

「たまたま時間が空いてね、試合が終わったらきっとシルヴィアはここに来ると思ったんだ」

「そうなんだ、ありがとう、フェイトママ」

この人はフェイトママ

と言っても私のママってわけじゃなくて

ママがそう呼んでるからうつっちゃって、私も気づけばこう呼んでる

小さいころから私にはいつも優しくしてくれて、暖かくて

だから私も、フェイトママをこう呼ぶことを疑問に思わなくなっていた

「所でフェイトママ、さっきのって新しい魔法?」

「え?ううん、前から使えるけど、でもどうして?」

「今まであんな魔法使ってるところみたことないから」

シルヴィアの言葉に納得したのか小さく笑うフェイト

「そうだね、シルヴィアには見せたことなかったね、あの魔法、発射に時間がかかるし魔力消費も大きいから普段はあまり使わないんだけど」

フェイトの言葉に首をかしげるシルヴィア

「でも、大切な人の教えてくれた魔法だから、時々こうやって感覚を確かめてるんだ」

そういって空を見上げるフェイト

「そっか………そうだよね………ありがとう、フェイトママ!」

フェイトの言葉に思うところがあったのかいきなり立ち上がるシルヴィア

 

「で、シルヴィアはどうしてるんだ?」

通信でアインハルトと話すノーヴェ

「もう一度、今度は全力でアルマさんと試合がしたいと」

「アルマの方も同じみたいでリオから連絡来てた、じゃあ時間は明日の放課後、場所は」

「あっ!」

急に焦った様子に代わるアインハルト

そして通信越しに聞こえる風を切る音

その様子から何かに気付くノーヴェ

「もしかして今連絡しちゃまずかったか?んじゃ詳しいことは後でメールする」

「すいません、そうしていただけますか?」

 

ノーヴェからの通信を切ると正面に向きなおるアインハルト

「さ、もう大丈夫ですよ」

「じゃ、もう一度全力で行きます!」

バリアジャケット姿のシルヴィアが掌に魔力を集める

「(いつの間にか私は恐れていたんだ、魔法を使うことで、またあの時みたいなことが起こるのを、それでママやノーヴェ会長が悲しむのを)」

シューターを発射すると同時に飛び出すシルヴィア

アインハルトがシューターをはじくと拳を突き上げアインハルトを攻撃する

この攻撃はアインハルトに受け止められたがすかさず体制を変え横回し蹴り

「(練習や授業以外で魔法を使わなくなって、忘れていた気持ち………フェイトママのおかげで思い出せた)」

攻撃を終えると飛行魔法で距離を取るシルヴィア

「(新しい魔法を使えるようになって、うれしかった気持ちを、魔法が大好きだって気持ちを)」

体制を整えアインハルトに向かっていくシルヴィア

「(もちろん無茶はよくない、でも、いつまでも怖がってたら、前に進めない)」

打撃とシューターを立て続けに放ちアインハルトを攻め立てるシルヴィア

やがてアインハルトが続けざまの攻撃を捌き切れず隙ができると

「(ごめんね、アルマ、今度は見せてあげるから)」

シルヴィアの手のひらには膨大な魔力が集まっていた

「(私の全力全開を!)」

シルヴィアの放った砲撃魔法がアインハルトを飲み込む

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。