魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light 作:ライジングスカイ
「珍しいね、アインハルトさんから通信してくるなんて」
ヴィヴィオがアインハルトと通信で話していた
「昨日、シルヴィアさんの練習に付き合いました、もう大丈夫です」
アインハルトの言葉に目を見開いてから真剣な表情になるヴィヴィオ
「そっか、ありがとうアインハルトさん」
ヴィヴィオの言葉にアインハルトは黙って首を左右に振った
「私じゃありません、シルヴィアさんが覚悟を決めたのはフェイトさんのおかげです」
「フェイトママの?そういえばお昼までお休みだって言ってたような………」
首をかしげるヴィヴィオにアインハルトは昨日あったことを話し始めた
「そんなことが、こりゃフェイトママにお礼言わなきゃだ」
「そういえばヴィヴィオさん、来月の予定なんですが」
「ちゃんと調整してあるよ、大丈夫」
アインハルトの問いかけにガッツポーズで答えるヴィヴィオ
聖王教会の中庭で一人アップをしているシルヴィア
するとリオに連れられアルマも姿を現した
「今回はフル装備の試合形式、1ラウンド5分間」
ノーヴェの言葉とともにアルマとシルヴィアが愛機を構える
「ごめんねシルヴィア、事情はリオさんから聞いたの、私シルヴィアの気持ちを何もわかってなかった」
「ううん、私の方こそごめんねだし、ありがとうって言いたい、アルマのおかげで目が覚めたから」
たがいに愛機を構えながら笑顔で相手を見据える両者
「でも、この試合は負けないよ、勝ってリベンジ果たしちゃうから」
「ううん、勝つのは私、追加の白星もらっちゃうね」
そういいながら二人はバリアジャケットを構成する
アルマのバリアジャケットは全身を包むローブのような形状をしている
両手には水晶のついたグローブが装着されている
「お膳たてはいらなかったみたいだな」
いつの間にか仲直りしている二人を見てため息をこぼしながらつぶやくノーヴェ
「じゃ、二人とも準備はいいな」
二人が開始位置につくのを見たノーヴェは腕を伸ばし
「ファイト!」
試合開始を告げ腕を掲げた
試合開始と同時にアルマは得意の砲撃を放つ
だが飛行魔法ですばやく移動したシルヴィアは砲撃を交わすと腕を構える
「一点集中!ディバインバスター!」
「バーストフレイム!」
シルヴィアとアルマの砲撃魔法が激突し衝撃が周囲に伝わる
爆発を突き抜けアルマに接近したシルヴィアだが放った拳はアルマにガードされる
しかしそれさえも予想していたのかその体制のまま右足でけりを繰り出した
「リボルバースパイク!」
この攻撃が見事直撃してふらつくアルマだったがすぐに射撃魔法で反撃
シルヴィアが防御魔法で防いでる間に体勢を立て直した
「バーストシューター」
「ジェットシューター」
互いの放った射撃魔法が相殺しあう
「二人とも楽しそう」
それを見ていたオットーがつぶやく
「けど、シルヴィアはあんなハイペースで飛ばして大丈夫なのか?下手したらまた」
「大丈夫だ、スピカが頑張ってくれてる」
セインの言葉を遮るかのように答えたのはノーヴェだった
「どういう意味ですか?」
ノーヴェのその言葉の意味を真剣な表情で問いかけるディード
「あいつは、スピカはそのためのデバイスなんだ」
「バーストフレイム」
アルマの砲撃を防御魔法で防ぐシルヴィア
彼女の中ではスピカが必死に魔力を調整していた
「魔力運用補助?」
「シルヴィアは魔力量がとにかく大きい、あの年代じゃありえないぐらいにな」
ノーヴェは首をかしげるセインにわかるように説明を始めた
「資質としては前衛向き、魔力量が多く格闘型としてはバリバリのパワー型、だけど、あいつ一人じゃまだあの量の魔力は扱いきれねぇ」
それ故過去あのような出来事が起こったともいえる
大きすぎる魔力がリンカーコアや肉体に負担をかけていた
「たしかに、シルヴィアお嬢様ぐらいの魔力量だと中後衛型、立ち止まっての固定砲台というのが普通だ」
「けど資質は前衛向きなんだろ、資質と魔力量が
「では、スピリチュアル・ハートの機能というのは」
「シルヴィア一人ではできない大魔力の運用補助、魔力運用をスムーズに行うためのデバイス」
「それだけではありません」
ノーヴェの言葉に続けたのはセコンドとしてついていたアインハルトだった
「シルヴィアは戦いの中で強くなっていきます、時間がたつにつれ体が慣れて、魔力運用がスムーズになってくると………」
アインハルトの言葉を遮るように打撃音が響いた
シルヴィアの攻撃を受けたアルマがその場に座り込んでしまっている
「今………なにが」
「まだやれるよね、アルマ」
呆気にとられていたアルマだったがシルヴィアの言葉に立ち上がると気持ちを切り替えた
「今、シルヴィアのやつなにしたんだ」
「何もしていませんよ」
アインハルトの言葉に目を見開くノーヴェ
「何もしていないって………」
「シルヴィア自身の魔力運用とスピカによる運用補助、この二つがより強く引き出されると、通常より素早い魔力運用が可能になります」
アインハルトのその言葉でノーヴェ、オットー、ディード、リオは気づいたように目を見開いた
「そういうことか、どんなに優れた魔導師でも、攻撃と防御、打撃と射撃、切り替えの時にわずかな時間差が生まれる」
「ですが、スピリチュアル・ハートとシルヴィアお嬢様、二人の高速運用、それによって」
「その時間差は限りなくゼロになる」
「ちなみにアインハルトさん、全力だとどのくらいまで行った」
リオの問いかけにアインハルトは静かにほほ笑むと
「防御が間に合わず至近距離で砲撃をもらいました」
「アインハルトさん相手に!?あたしも砲撃めったに当てられないのに」
リオの驚愕の声とともにノーヴェは打ち合うシルヴィアとアルマを見た
「(アインハルトが防御できないほどの素早い攻撃、極めればかなり伸びてくる)」
考え込むノーヴェを見てセインが思わず吹き出す
「ん?なんだよ、何がおかしいんだ?」
「いや、ノーヴェすっかり指導者の顔になってたからさ、よく立ち直ったよ、あんたも、あの子も………」
そういってセインが見つめる先には接近戦に持ち込んでラッシュをかけるシルヴィアの姿
彼女が思い出していたのは以前シルヴィアが倒れた時
あの時のノーヴェの辛そうな顔は今でも覚えていた
ヴィヴィオはノーヴェが最初に教えた
そして、彼女が指導者の道を志すきっかけをくれた愛弟子だった
そんな愛弟子から預かった大事な子が自分の目の前で意識不明になった
ショックを受けたノーヴェは何日も部屋に閉じこもり、指導者をやめジムの経営に専念することさえ考えていた
だがシルヴィアは今も元気でノーヴェに師事しており
ノーヴェもまた、ヴィヴィオたちを教えていた頃の情熱を取り戻している
「あたしも見たくなったな、あの子たちがどこまで行くのか」
そんなセインのつぶやきが聞こえたのかオットーとディードが驚いた表情で彼女を見ていた
「双子、何その顔」
「いえ、姉さまがそんな風に」
「明日は雪でも降るのでしょうか」
オットーとディードの反応にショックを受けうなだれるセイン
「あたしだってお姉ちゃんだぞ、ノーヴェが落ち込んでた時だってすっげー心配したし、立ち直ってくれてうれしいなぁって思うのがそんなに変かよ」
わざと怒ったような態度をとるセイン
いつもと変わらぬその様子にオットーとディードは小さく笑う
疲れた様子でシルヴィアの攻撃を捌くアルマ
攻撃を仕掛けているシルヴィアもまた息を切らしていた
アルマがガードしながら後ろに吹っ飛ぶと同時にシルヴィアの動きも止まる
「ラウンド1終了!インターバル60秒だ」
ノーヴェの手に持ったデバイスから鳴り響く音
アルマとシルヴィアはそれと同時にその場に座り込んだ
「二人ともずいぶん疲れていますね」
「あのペースじゃな、スタミナとペース配分が今後の課題ってところか」
ディードの問いかけに答えるノーヴェ
実際息も絶え絶えでとても1ラウンド目とは思えぬ消耗量だ
「ティオ、お願いします」
「ソル」
アインハルトとリオが魔力供給を行いインターバルを終える
「ラウンド2」
ノーヴェの言葉と共に二人が構えた
「ファイト!」
開始早々アルマが射撃魔法でシルヴィアを狙う
飛行魔法で距離を詰めようとするシルヴィアに対しアルマは射撃魔法で応戦しながら距離を取ろうとしていた
「(今のシルヴィアに距離を詰めさせたらあっという間にやられる)」
「ジェットシューター」
「っ!?バーストシューター!」
シルヴィアの射撃魔法に応戦するアルマ
距離を詰められないよう連射を繰り返すアルマ
魔法弾が相殺した際発生した煙に紛れてシルヴィアの姿は見えないがそれでも連射をつづけるアルマ
「(当たっているかどうかもわからない、でも、私が勝つには撃ち続けるしかない)
だが次の瞬間、煙を突き破って表れたのは防御魔法を展開しながら飛ぶシルヴィアの姿
「並列処理!?いや………」
「ありがとう、スピカ」
防御魔法をスピカが展開
その状態のままシルヴィアは飛んでいた
「アクセル………」
「やっぱり、シルヴィアはすごいな」
「スマーッシュ!」
シルヴィアの攻撃が見事に決まり倒れ込むアルマ
「そこまで!」
ノーヴェの言葉とともにアインハルトとリオが二人に駆け寄った
練習を終えシャワーを浴びていたソネット
着替えて廊下を歩いてる最中、お菓子とお茶の乗ったカートを押すイクスに出会った
「それ、どうしたんですか?」
「シルヴィアたちに、試合直後で疲れているだろうから」
「そっか、今日うちで試合してたんだっけ、私も一緒に行っていいですか?」
「ええ」
イクスと共にシルヴィアたちのいる部屋にやってきたソネット
扉を開けて中を見てみると
「なんだか………二人とも楽しそう」
楽しそうに笑いながら今日の試合の話をするシルヴィアとアルマの姿
「はい、お茶とお菓子の配達ですよ」
「シルヴィア、アルマ、お疲れさま」
部屋に入ってきたソネットとイクスをシルヴィアたちは笑顔で出迎えるのだった