魔法少女リリカルなのは Vivid Pure Light 作:ライジングスカイ
シルヴィアとアルマの試合から数日、あれ以来二人の仲はより深まっていた
この日も仲良くおしゃべりしながら下校している
「え?クッキーパーティ?」
「そう、聖王教会でやるんだけど、アルマも一緒にどうかと思って」
「私は大丈夫だけど、だれか保護者の人についてもらわないと」
アルマの心配そうな顔にシルヴィアは胸を叩いた
「そこは任せて、うちにぴったりな人いるから」
「え?シルヴィアの所ってみんな忙しいんじゃ………」
疑問符を浮かべ首をかしげるアルマ
そしてクッキーパーティ当日
シルヴィアの家に訪れたアルマをシルヴィアと髪の長い女性が出迎えた
「さ、行こうアルマ」
「えっと………こんな人いたっけ」
シルヴィアの隣にいるのはヴィヴィオでもなのはでもない
見覚えのない姿に首をかしげるアルマだったが
「あれ?会ったことあるよね、サマーラだよ」
「え!?だってサマーラって私たちよりちょっと小さい………え!?」
シルヴィアの言葉に驚いたアルマは彼女とサマーラを交互に見た
「じゃあ、そっちが本当の姿だったんだ」
「そ、普段は子供の姿で居てもらってるけど、必要なときはこうして元の姿で」
事情を聞いて苦笑するアルマ
「そういえば見せたことありませんでしたね」
そういって笑いかけるサマーラに見とれるアルマだったが
「あのね、サマーラこう見えて昔は」
「わー!マスターその話は内緒だって!」
「マスターって呼ばないでっていつも言ってるでしょ!」
「え!?マスター!?」
シルヴィアがアルマにこっそり耳打ちしようとしたのをきっかけに大混乱に陥った
聖王教会では入り口でリオが来客の応対をしていた
「あ!シルヴィア!いらっしゃ………い?」
シルヴィアたちはずいぶん疲れた様子でぐったりしていた
「何かあった………よね、なんでそんなに疲れてるの?」
「ちょっと………ここに来るまでにいろいろありまして」
リオの問いかけに代表してサマーラが答える
「じゃあ、先イクスのとこ寄っておきなよ」
イクスに疲労抜きの簡単な魔法をかけてもらうアルマ
先にかけてもらったシルヴィアとサマーラは軽く肩を鳴らしていた
「はい、おしまいです」
「ありがとうございます、イクスさん」
「どういたしまして」
アルマの肩を軽くたたきながら笑顔で答えるイクス
「それにしても、誰かが契約している守護獣だとは聞いていたけど、まさかシルヴィアだったなんてね」
ため息をこぼしながら彼女を見るアルマ
「大丈夫なの?高位の守護獣は維持大変だって聞くよ」
「うん、だから普段はあの姿なんだけど、実際維持するだけならあんまり………ほら、わたし魔力量だけはいっちょまえだし」
「でも実際持て余し気味なんですよね」
イクスの言葉に肩を落とすシルヴィア
「そうなんだよねぇ、魔力量が多くても扱いきれなきゃ」
「さ、そろそろ中庭でクッキーパーティが始まる時間です」
「あっ、本当だ!」
「それじゃあイクスさん、ありがとうございました」
中庭に向かっていくシルヴィアたちを手を振って見送るとイクスは自身の手を見つめた
この時代で目覚めてから得た癒しの魔法
自身の力を正しく使える喜びを感じて
「シルヴィアもいつか………」
ほかの参加者と共にクッキーづくりに勤しむシルヴィアたち
ふとアルマがあたりを見回していた
「どうしたのアルマ?」
「あ、ううん、聖王教会っていろんなシスターの人たちがいるけど、私たちと同じぐらいの年の子もいるんだなって」
アルマの疑問が聞こえたのか材料の箱を抱えたセインが箱を置いて彼女の隣にやってきた
「あれはシャンテの弟子連中だよ、シャンテはノーヴェと一緒で、子供たちに剣術や魔法を教えてるからさ、こないだあったソネットもその一人、半分ぐらいは近所から通ってる子たちかな」
セインの言葉に首をかしげるアルマ
「えっと、じゃあ残りの半分っていうのは………」
「いろいろあってうちに住み込んでる連中だ、悪いけどあたし忙しいから」
そういってほかの参加者を手伝うために急ぐセイン
アルマは気になったのかまだ首をかしげていた
「ソネットも普段ここで暮らしてるシスターの一人なんだ」
「そういえば今日は見かけませんね、ソネット」
サマーラの言葉にシルヴィアたちがあたりを見回す
そこいらに参加者の手伝いをしたり自ら調理するシスターの姿は見えるがソネットの姿は確かにない
「本当だ、どこ行ったんだろう?」
シルヴィアも首を傾げ始める
「ソネットなら居ませんよ」
そういって彼女たちの下へやってきたのは騎士団を統べる修道女、カリム・グラシアだった
「ごきげんよう、騎士カリム」
「フフッ、ごきげんよう、元気そうですね、シルヴィア、サマーラも」
「ご無沙汰しております、騎士カリム」
慣れた手つきであいさつを交わすシルヴィアたちに驚くアルマ
「え………シルヴィアたち騎士カリムと知り合いなの?」
「え?ああ、ここにはソネットに会いによく来るからさ」
「シルヴィアの交友関係はとても広いですから、いちいち驚いていたらきりがないですよ」
騎士カリムに耳打ちされ苦笑しながら肩を落とすアルマ
「それより、ソネットはどこに?」
ソネットがシスターシャッハとともに訪れていたのは荒野にある小さな町
その町の隅にひっそりと建つ墓標の前で彼女たちは祈りを捧げていた
「すいませんね、わざわざこんな辺境まで足を運んでいただいて」
そんな彼女たちに年老いた男性が声をかけた
「毎年足を運んで祈りをささげていただいて、村人たちもきっと喜んでいますよ」
「必要ならいつでも呼んでください、我々は町の復興にも力を入れていくつもりです」
「それはそれは………ソネット、お前さんはよき人たちに巡り合えたな」
男性の言葉にずっと祈りを捧げていたソネットが目を開け立ち上がった
「はい、きっと両親も、教会のみんなに感謝していると思います」
「災害孤児!?ソネットさんが?」
「ああ、二年ちょっと前の事なんだけど」
クッキーパーティのさなかシャンテから話を聞いて驚くアルマ
「古代遺失物の暴発に巻き込まれた町に行ったときに、あいつあたしらに殴りかかってきたんだ」
そう言って当時を懐かしむシャンテ
「あいつ、その事故で両親を亡くしてさ、あたしらがあったときもボロボロだったよ」
もっと早く来てくれていれば両親は助かったかもしれない
そんな思いから教会騎士団に歯向かったソネットを抑え、この場所に誘ったのがシャンテだった
「あたしがソネットの保護責任者で、後見人がシスターシャッハ、今でこそああだけどここに来たばっかりのころは荒れてたんだよあいつ」
「シャンテさんはどうしてソネットさんを?」
アルマの問いかけに首を傾げるシャンテ
「あー、似てたんだよ、昔のあたしに」
照れくさそうに頭を掻くシャンテ
「あたしもあんたらぐらいのころグレまくっててさ、シスターシャッハに拾ってもらったの」
やんちゃばかりだったシャンテだが自分に居場所をくれたことに関しては感謝していた
魔法戦競技を始めたのだって教会のみんなに恩返しをしたいがため
「だからかな、なんかあいつのことほっとけないんだ」
夕方になってソネットとシスターシャッハが教会に戻ってきた
「すっかり遅くなっちゃいましたね」
「向こうで泊まってもよかったんですよ、せっかく故郷に赴いたというのに」
シャッハの問いかけにソネットは首を横に振った
「シスターシャッハにはお仕事がありますし、私一人のために迷惑をかけるわけにはいきません」
「本当にまじめですね、ソネットは」
そういって小さく笑うシャッハ、ふと中庭から聞こえる音が気になったようだ
「この音は………」
ソネットが中庭にやってくるとシスター見習いたちに混ざってシルヴィアとアルマが練習をしていた
「シルヴィアにアルマさん!?どうして………」
「あなたの事を待っていたんですよ」
そういってサマーラがソネットの肩に手を置いた
「つらいことを思い出してしまっているかもしれないから、思いっきり練習してすっきりしてもらおうって」
サマーラのその言葉に目を見開いてソネットはシルヴィアたちを見る
「本当に優しいですね、シルヴィアたちは」
そういってソネットは剣を取り出し彼女たちに向かっていった
それを見たシャッハとサマーラは笑いあっていた
「ただいまぁ」
「おかえり~」
「お邪魔してます」
帰宅したシルヴィアとサマーラがリビングにやってくるとブロンドの女性の姿
「あれっ!?珍しい!ファビアさんがいる」
「めったにここには来ないんですけどね」
普段あまり訪れないファビアがいることに驚くシルヴィアとサマーラ
言い返せずむくれるファビアだったが彼女の周りの小悪魔たちは気にせずシルヴィアの周りに集まってくる
「あはっ、プチデビルスも久しぶり」
この人はママの補佐官で、時空管理局特別捜査官のファビア・クロゼルグさん
先史時代の技術を受け継いだ正統魔女で、ママとは昔色々あったそうで
立場的にはママの部下なんだけど、うまく協力し合ったり、お互いでそれぞれ別の事件に向かって言ったりと
上司と部下っていうより息の合ったコンビって言ったほうが近い感じ
ただファビアさんはプライベートだとどちらかといえばアインハルトさんと仲良しだから
1人だとうちには本当にたまにしか来ない
「ほら、そんな風に言わないの」
「あ!ママー!お帰り!」
「おかえりなさい、今週は確か………」
「うん、引き継ぎもやってきたししばらくお休み」
甘えてくるシルヴィアの頭をなでながらサマーラの問いかけに答えるヴィヴィオ
「ところで、もうすぐ前期試験のはずだけどシルヴィアはちゃんと勉強してる?」
ヴィヴィオの問いかけに固まるシルヴィアだったが
「大丈夫だよ、ちゃんと勉強してるもん」
「ならよし、無事試験が突破したら“あれ”が待ってるもんね」
元気よく答えたシルヴィアに対してウインクで答えるヴィヴィオだった