魔法少女リリカルなのは ~響き渡るは紅の音色~   作:Granteed

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第十三話 ~フェイト・始まりは出会いから~

 

「モカ、そんなに引っ張らないでよ!」

 

嬉しさ故か、自分の先を走っていく子犬を止めようと声をかける。しかしその静止にも子犬は耳を貸さず、数メートル先で響也を呼ぶように吠え続けた。

 

「はいはい」

 

歩く速度を少し早めて犬の下へと向かう。足元の犬の首にかかっているリードを再度掴むと、モカを横に従えて平日の昼下がりの街道を歩いていく。

 

「そういうとこ、お母さんにそっくりだね」

 

下に視線を向けてモカを見下ろす。子犬は首をかしげるような仕草と共に、つぶらな瞳をこちらに向けていた。

 

「だから、君のお母さん。ブルマンの事だよ」

 

元々モカは父の知り合いである名護とめぐみの結婚式の日に生まれたらしい。結果的にモカは無事に生まれてきたが、母親であるブルマンの方はそうはいかなかった。響也の祖父が生きていた時からマスターが経営するカフェのマスコット犬を務めていたらしいブルマンはモカを産んだ当時、20歳近かった。人間の物に換算して実に90を超える年齢だったブルマンはモカを産んでから年を重ねる程に元気を無くし、遂に響也が小学二年生へと上がった翌日、天へと召された。

 

「でも、もうちょっと落ち着いてもいいんじゃない?」

 

今、ブルマンはカフェの裏庭に立っている立派な墓の下で眠っている。母親の特徴だった白い毛並と可愛らしい瞳は立派に受け継がれ、その子供は響也の足元できゃんきゃんと嬉しそうに鳴いていた。

 

「ねえ、僕の話ちゃんと聞いてた?」

 

返事の代わりに一際大きく吠えると、ぐいぐいとリードを引っ張る。子供とは思えない程の力を出しているブルマンの視線の先には、常日頃響也が遊んでいる公園があった。

 

「はいはい、分かったよ。今行くから」

 

響也は直進せずに、交差点にある横断歩道へと足を向ける。それなりに車通りの多いこの区域で、横断歩道が無い場所を渡るのは危険だからだ。しかし、モカは人間のルールなど知った事では無いらしい。尻尾を千切れんばかりに振っていたモカは響也が向かおうとしていた横断歩道には向かわず、最短距離で公園へと行くべく目の前の車道を突っ切ろうと響也が握っていたリードを振り切って駆け出した。

 

「あ、ちょっとモカ!」

 

響也が制止の声を上げるが遅かった。響也の手から離れたリードを引きずって走るモカめがけて、丁度交差点を曲がったトラックがエンジン音を轟かせながら走行する。

 

「モカ!!」

 

先程とは種類の違う叫び声を上げながら、モカの下へと駆けるために足を踏み出す。しかし、子供である響也とトラックのスピードを比べたらどちらが早いか。その答えは火を見るよりも明らかだ。

 

「逃げて!!」

 

思わず片手を伸ばす。離れた場所にいるモカをその手で掴む様に。だが、物理的な距離を飛び越える様な力は響也には無い。ところが次の瞬間、響也の横を物凄い勢いで黄色い何かが通り過ぎて行った。

 

「え──」

 

その黄色い何かは響也の横を通り過ぎるとそのまま真っ直ぐ進み、モカにぶち当たる。謎の物体はモカを巻き込むとそのまま勢いを殺す事無く、反対側の歩道へと到達した。一秒後、響也の目の前をトラックが通過した後反対側の歩道にいたのは、一人の少女だった。

 

「あ……」

 

モカを抱いているのは自分と同じくらいの、喪服の様な黒いワンピースを着た少女だった。長い金色の髪の毛をワンピースと同じ色のリボンで二つに纏め、腕の中にいるモカを珍しい物でも見るかのような目で見つめている。抱かれているモカは窮地から脱した実感が無いのか、目をぱちくりさせて腕の中から少女の顔を見上げていた。

 

「あ、あの!!」

 

響也は車通りが少ないタイミングを見計らって、車道を一直線に横切る。少女に駆け寄って礼の言葉を述べようとした所で、その腕に滲んでいる赤い色が目についた。

 

「け、怪我してるの!?」

 

「……」

 

「ごめんなさい!は、早く洗わないと……」

 

「別に、これくらい──」

 

「こ、こっち!!」

 

少女の言葉を遮って、その片手を握る。一目散に公園に入ると、少女を連れて公園の端にある水道へと向かった。

 

「ごめんなさい。少し沁みるかもしれないけど」

 

片手で蛇口を捻り、掴んだ腕をその下に宛がう。流れ始めた水は少女の腕を伝ってぽたぽたと周囲に拡散していった。モカは少女の両腕から抜け出して、自分の恩人にじゃれついている。しばらく傷がついている部分を水に当てて洗った後、響也は手近のベンチに少女を座らせた。

 

「これで……よしっと」

 

自分のポケットからハンカチを取り出すと、急いで腕に巻きつける。三角折りにしたハンカチで患部を覆うと、響也はそこで一息ついた。

 

「……」

 

「……あ、ご、ごめんなさい!」

 

何も喋らない事を不快の意思の表れだと思ったのか、響也は慌てて掴んでいた腕を離した。座らせた少女の隣に自分も腰を下ろして、じゃれついていたモカを両手で抱き上げる。

 

「あ、あの……」

 

「……何?」

 

見つめられている事を不思議に思ったのか、今度は少女の方から口を開いた。その腕の中にいるモカも黙り込んでしまった親友の顔めがけて舌を伸ばす。響也は数秒間少女を見つめた後、口を開いた。

 

「静かで……けど、それだけじゃない。これ……悲しい?」

 

「何言ってるの?」

 

「あ……ご、ごめんなさい!!その、君の音、珍しい音だったから……」

 

「珍しい?」

 

「そ、それより!モカを助けてくれてありがとう。ほら、モカもお礼言って」

 

モカは腕の間から出ると、少女と響也の間にちょこんと座る。少女の匂いを数度嗅いだ後、脇にだらんと垂れ下がっている少女の手をぺろりと舐めた。途端、少女の体がびくりと震える。

 

「あ、ごめん!犬、苦手なの……?」

 

「この世界で初めて見たから……慣れてないだけ」

 

「そ、そうなんだ」

 

モカは手を舐めるのに飽きたのか、少女の膝に飛び乗って体を丸めた。喉を鳴らしながら心地良さそうに体を横たえるモカの横で、響也がそれを止めようと手を伸ばす。

 

「だ、ダメだよモカ!そんな事しちゃ!」

 

少女は少しだけ目を見開いた後、伸びてきた響也の手を押し留めた。その手を自分の膝の上で丸まっているモカの上に乗せる。

 

「大丈夫」

 

「あ、そ、そう……?」

 

「……」

 

「あ、あの、聞いていいかな?」

 

「何?」

 

「き、君の事、なんだけど──」

 

先程感じた物を言葉にする為、口を開ける。しかし次の瞬間、響也の口から飛び出てきたのは質問の言葉ではなく、戸惑いの声だった。

 

「この音……」

 

昨日聞いた物に似ている音が、遠い場所から聞こえる。音自体は昨日のそれより小さな物だ。しかし、小さいからと言って聞き間違えたりはしない。心の中で確信すると、勢い良く立ち上がった。唐突に立ち上がった響也の横で、モカを撫でていた少女の手が止まる。手が止まるのは響也が音を聞いたのと、同じタイミングだった。

 

「ごめんなさい。僕、行かなきゃ」

 

「何処に?」

 

「友達の所に」

 

「そう……」

 

興味が無いのか、少女はそれ以上問いかけの言葉を口にしなかった。一旦切れた言葉の流れを繋げようと響也が口を開こうとしたその時、ポケットに入っていた携帯電話が音と共に震えだす。間髪入れずに取り出した携帯電話を耳に当てると、電話の向こう側から聞こえてきたのは叔父の声だった。

 

『響也、出たぞ』

 

「叔父さん、僕が──」

 

『分かっている。場所は海鳴市北東部にある神社だ。既に近くにいた手勢を向かわせている。お前は今どこにいる?』

 

「モカと一緒に、いつもの公園」

 

『分かった。そこなら走った方が早い。モカと一緒に神社に行け。我々は援護に回る。いいか、気負うなよ』

 

そう言い残すと、太牙の声がぷつりと切れる。携帯電話をポケットに仕舞い込んだ響也は少女に向き直った。

 

「ごめんなさい。僕もう行かなきゃ。じゃあ、またね!!」

 

響也の意思を読み取ったのか、少女の膝から飛び降りたモカが駆け出す響也の横をひた走る。小さな足を一生懸命動かして街中を駆け抜けていく。

 

(急がなきゃ、もっと、もっと速く……!!)

 

自分だけに聞こえる音めがけて、ひたすら駆ける。だがしかし、そこは年相応と言うべきか。数分もしない内に響也の息は荒くなり、膝が震えだす。まともな息継ぎもしないまま走った結果、早くも響也の体は悲鳴を上げていた。

 

「はぁ、はぁ……着いた!」

 

「響也様!!」

 

神社へと続く石段の前で、数人の男が叫ぶ。黒いスーツに黒いサングラスを着用した、どこぞの映画から抜け出してきたような男達が響也を前にして姿勢を整えた。息を荒げながら響也は何とか男達の下に歩み寄る。

 

「ど、どうなってますか……?」

 

「昨夜と似た反応が数分前、この上の神社で確認されました。既に戦闘は始まっている様です。響也様のご学友が、戦っています」

 

「キバット様もこちらに急行している所です。なお、境内に一般人がいましたが我々の方で回収済みです」

 

「周囲は私達のチームで固めています。一般人はおろか、蟻の子一匹通しません」

 

「わ、分かりました。じゃあ、僕行きます。あと、モカをお願いします」

 

「了解しました。おい、お前とお前。ついて来い!」

 

「「はい!!」」

 

リーダーらしき男が二人を指名して、命令を下す。その時、響也の頭の上から声が降り注いだ。

 

「響也~!!」

 

「キバット!!」

 

空から降りてきたキバットが、響也の肩に停まる。神社の石段めがけて走る響也の後を、先程のリーダーと部下二名が追従する。左右を林に挟まれている石段を駆けあがりながら、響也が肩にいるキバットを掴んだ。

 

「行くよ!!」

 

「おっしゃあ!!」

 

肩の上でいそいそと動いて響也の首元に移動すると、キバットは牙を勢いよく突き立てた。不可思議のエネルギーがキバットから響也の体に流れ込み、血に宿る力を呼び覚ます。エネルギーは響也の体を満たした後、その顔に顕現する。

 

「王子と同時に我々も変身、戦闘に加勢するぞ!!」

 

「了解!」

 

「分かりました!!」

 

響也の後ろにいる男達の顔にも、模様が浮かび上がる。三者三様の模様であれど一つの共通点として挙げられるのは、全てがステンドグラスを連想させるような美しい柄だという事だ。

 

「変身!!」

 

腰に巻かれたベルトのバックル部分。そこに逆さ釣りになったキバットから音の波動が拡散する。それは響也の体に漣を起こして、幼い体を変質させた。体そのものが入れ替わるような不思議な感覚に浸りながら、その身に鎧を纏っていく。そして最後に一言、響也が吠えた

 

「ハアッ!!」

 

気合一閃、身に浮かぶ漣をかき消すかのように拳が横に振り抜かれた。その瞬間、響也の体を覆っていた灰色の膜が音を立てて打ち壊された。

 

「「「ウオオオッ!!」」」

 

後ろで轟く叫び声を背に受けながら、最後の数段を飛ばして神社の境内へと躍り出る。鳥居の真下にいた少女を飛び越えて丁度目の前に迫っていた化け物の鼻面に拳を繰り出した。

 

「このっ!!」

 

『グウウウッ!!』

 

突然の乱入者に驚いたのか、面を思い切り殴られた化け物が二、三歩後退する。土の地面にキバが降り立つのと、少女を囲むように三つの影が出現するのは同時だった。

 

「きゃあっ!?」

 

「な、何だこいつら!!」

 

少女とその肩にいるフェレットが怯えた声を上げる。それもそうだろう、彼女らの眼前にいるのは何処からどう見ても人に見えない、化け物の外見を持った生物なのだから。しかし、ステンドグラスを体中に張り付けたような彼らの体表が輝きだすと、そこに幾つもの顔のパーツが浮かび上がった。

 

『無事か!?』

 

『私達が来たからには、もう大丈夫だ!!』

 

『そうそう、王子もいますから!!』

 

「……え、え?」

 

「その子をお願い!!」

 

キバは戸惑いを露わにしているなのは達に一声かけると、そのまま目の前の化け物に吶喊する。犬を何倍にも大きくして、何十倍にも醜くした様な怪物がキバの前で大口を開ける。左右二対の瞳でキバを睨みつけると、大木の様な太い前足で殴りかかってきた。

 

「このっ!!」

 

フェイントも無しに放たれたその一撃は、キバにとって見切るのはそう難しい事では無い。あっさりと一撃を避けると更に前に出る。顔と顔が触れ合いそうな程詰まった距離で、キバは膝を繰り出した。

 

『グッ!?』

 

開けていた大口を強制的に閉じられた怪物は、慌ててバックステップで距離を取る。目の前の生物を危険な敵だとようやく認識したのか、獰猛な唸り声を上げた。刹那の瞬間、化物の四肢が一気に膨張する。

 

『ガアッ!!』

 

「くっ!?」

 

キバの目の前にいた敵の体が、陽炎の様に揺らめく。身の危険を感じた響也は咄嗟に、直感だけで防御の姿勢を取った。正面に構えた両腕に、一瞬遅れて衝撃が伝わる。重い一撃を受けて数メートル後退したキバは、腕の隙間から正面の敵を覗き込んだ。

 

「い、今の動き何!?」

 

「ちょ、何だよあのスピードは!反則過ぎるだろ!!」

 

キバの言葉にキバットが反応する。二人が喋っている間にも、敵は再び距離を取って同じ行動を繰り返す。

 

「こっち!!」

 

直前に感じた音を頼りに、両腕をクロスさせる。次の瞬間、先ほどと同じように両腕に衝撃がのしかかった。何度も何度も同じ行動を繰り返す敵に付き合う様に、キバも同じ行動を取ることしか出来なかった。敵が攻撃してキバが防御する。その流れを何度も繰り返して数回目、とうとうキバが耐え切れなくなり、地面に転がる。

 

「うあっ!!」

 

「王子!!」

 

「今行きます!!」

 

なのはの周囲を固めていたファンガイア達がキバに駆け寄る。突撃してきた敵を三人がかりで抑え込んだ隙を突いて、キバは後退した。その背中に、なのはの声が降りかかる。

 

「あの!」

 

「あ、何?」

 

「な、何で助けてくれるんですか!?」

 

ファンガイア達の制止を振り切った化け物が、再度キバに突撃しようと姿勢を整える。だがファンガイア達の連携がそれを阻み続けていた。ちらりとなのはに視線を向けてから、正面に顔を向けた。

 

「助けたいんだ、君を」

 

「私を……?」

 

「うん。だって、君は僕の──」

 

『ギャアッ!!』

 

「ぐあっ!!」

 

響也が二の句を継ごうとしたその時、ファンガイア達の包囲網が崩れて敵が響也となのはに躍り掛かる。なのはと敵の間に挟まる形で立ち塞がったキバは、腰を低く落として突撃に備えた。

 

「──友達だから」

 

なのはに聞こえないようにぽつりと漏らす。意識を前方に集中させてみれば、敵は既に戦闘態勢を整えていた。キバと同じく低く体を沈めると、勢いよく飛び上がる。

 

『ガウッ!!』

 

敵が空に跳躍する。体全体でキバを押さえつけようとしているのか、四本の爪先に生えている爪を見せびらかして落下を始めた。いくらキバでもあれ程の大きさの物体を真正面から受け止めきれる保証はない。しかも、背後にはなのはもいる現状で無茶は出来ない。思わずなのはを抱えて逃げようとしたその時、なのはの声と電子音声が同時に響く。

 

「レイジングハート!!」

 

『Protection』

 

桃色の壁が、キバの目の前に展開される。唐突に出現した防壁は怪物の身体を受け止めても尚、美しい輝きを放っていた。守りを突破する事を諦めたのか、壁に取り付いていた敵が後ろへと飛び退る。

 

「今の……」

 

「わ、私も戦います。それで、困ってる人が助けられるかもしれないから」

 

「……」

 

「今度は私が貴方を助けます。私の力なんてちっぽけな物かもしれないけど、それでも困ってる人を助けてあげたいから」

 

敵が離れた隙を突いて、こちらも態勢を整える。陣形を乱されたファンガイア達がキバとなのはの前に一丸となって構えた。三人に守られながら、キバとなのはが正対する。

 

「君も……僕と同じなんだね」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「多分。でも僕は、君ほどはっきりした目的も無いし、覚悟も無いんだ」

 

「わ、私もそんなの無いですよ。でも、守りたいんです」

 

「……じゃあ、一緒に守ろうか」

 

「はい!」

 

「王子!!」

 

その声音に揃って振り向いてみれば、現在進行形でファンガイア達と怪物が戦っている最中だった。三人で円を組み、その中心に怪物を抑え込んでいる。リーダー格の男がキバに背を向けながら、大声を発した。

 

「お話されるのも結構ですが、こちらはどうしますか!?」

 

「ご、ごめんなさい!今行きます!!」

 

再び戦場に舞い戻ろうとするキバだったが、その隣にいるなのはを見て足が止まる。杖を頑なに握りしめているなのはに、キバがゆっくりと語りかけた。

 

「……じゃあ、昨日と同じ方法で行こうか」

 

「それって……」

 

「僕が弱らせるから、とどめをお願い。後、何か気を付ける事とかある?」

 

「目の前の生物は生物がジュエルシードを取り込んで生まれています。取り込まれている生物を助ける為にも、まずは一定のダメージを与えて弱らせて下さい!」

 

昨晩の様に、なのはの肩にいるフェレットがキバにアドバイスを送る。こくりと頷いたキバは正面に向き直ると、目の前の敵を観察した。

 

「あのスピード……」

 

取り込んだ生物の力を増幅でもしているのか、ファンガイアでも追いつけない速度で立ち回る怪物はキバの目でも捉えるのが難しい。キバに変身している響也自身の力を使ってやっと太刀打ちできるレベルだ。しかしそれはあくまで今の状態のキバならば、という条件が付く。

 

「えっと、速いのは次狼さんだから……」

 

ベルトの左側に装着されている三色のホイッスル。その内、頭の部分が青色の物を抜き出す。そのままキバットの口へと差し込んでやると、大きく息を吸い込んだ。

 

「皆、離れてください!!」

 

「王子!?」

 

「僕がやります!!」

 

一瞬遅れてキバットの声と笛の音色が境内に響き渡る。それはここではない何処か遠くに向けられた叫びであり、従者を呼ぶ蒼の音色。太古より長い時間を生きてきた、気高き狼の力をその身に宿す覚悟の叫びだった。

 

「来て、次狼さん!!」

 

「ガルル、セイバー!!」

 

高い笛の音色と共に、一本角の狼が咆哮を上げる。

 

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