ヤンデレ系短編集。   作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!

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今回で色々回収。
珍しく救いが無い系を書いてみたけどどうだ?
個人的にはあまり好物じゃないんだが………
解説はあとがきにて。


終わらない終わり。【後編】

あれから3年ほど。

俺はあのあと前回とは違う世界に変えるべく様々な行動をした。

例えば結ヶ浜。アイツについては前回と同じ依頼が来ると予想し、将来の武器として身に付けていた調理によってフルボッコにして俺に抱いていただろう印象?を完全に破壊し、なおかつナチュラルに避けていた。

一応完全に露骨な失礼となることはしなかったが、前回での最後の1年の記憶はやけにハッキリと残っているので好感度が上昇しそうなイベントを悉く回避して結ヶ浜との交流を減らした。

例えば林間学校の件。

アレについては事前に林間学校の予定日に予約を外せないタイプの何かの予約を入れ、朝から出掛けるという方法で回避した。

あとは………そうだ、文化祭。

あれはかなり骨が折れた。主に俺の心的な意味において。

まずガラでも無いのに実行委員長に名乗り出て、その場のノリで挙げた数名をネガティブな論で論破、俺が苦手とする部分を雪ノ下に任せ、俺は書類整理と陽乃さんバスターを担当していた。

例えばOBの実行委員会への干渉の禁止とか。

そこについては事前に『OBによる干渉は予定外のロスを生む可能性が高く、更になんらかの部活への贔屓等もありえるため禁止とする』とだけ言って陽乃さんが使える抜け穴を塞いだ。

ちなみにそのルールについては『文化祭実行日に本校の生徒でない者』の実行委員会への参加、過度な干渉を禁ずる。とした。

過度な干渉ってのは最悪面倒な手段で絡んできた場合にこっちが言いがかりで排除するための方便だ。

その後、陽乃さんが参加を試みようとした部分は多々感じられたが、俺はあくまで冷静に『特別な事情が無い限り現生徒、教師以外の準備及び運営への参加を禁ずる』とした。

そして事情がある場合は事前に委員会へ書類を出せ、とも付け加えた。

これで陽乃さんのこっちサイドへの参加は完全に封じた訳だ。

これでも大幅に改編している訳だが、これでは飽き足らずもうひとおしと色々確認し、さらに平塚先生と雪ノ下に頼んで何故か空いていた時間の隙間を埋めるための余興代わりにやってもらうことに。

ついでにそれは俺も参加だ。言い出しっぺが参加しないのはダメだったらしい。

そしてそこになし崩し的に戸塚参加、そんで四人になったところで他と被らんように、さらに(俺がやったことだが)ヴォーカル担当になった戸塚のため多少演奏部分多目の曲を選曲した。

途中で陽乃さんが『私も混ぜてよ!』だとか曲選びに口を出してきたが露骨に無視し、あくまで俺の意思のみでその辺を決定した。

 

そんで、それ以降のところは普通の文化祭だから省くが、なんと陽乃さんの干渉を防いだだけなのにかなりマトモに回っていた。

と、いうか前回のがおかしかったんだ。ノリで委員長とか、OBが口出すとか。

それを無くしたらそらマトモになるよな。

と、言うわけで文化祭についてはかなり前回より上手いこと回っていた。ということでまとめよう。

 

………あぁ、そうだ。忘れていたが今回における文化祭のスローガンはここはどうでも良いと思っていたものの一応委員長として言わざるを得なかった俺の意見を適当に改造した方が楽なんじゃないかと思ったらしい奴が造った『~人~支え合ってるように見えて片方楽してる………勝ち上がれ!』になった。

恐らく、俺の意見の奴を『支え合うのでなく競い合え、勝ち上がって楽する方になりたいよな?』と、いう意味に捉えたものだと俺は思っている。

俺はだが。話が逸れた。

とりあえずここらで本題に戻るとしよう。

今回における俺は、割と全力を持って前回とは違うルートを辿るよう努力した。

ただまぁ、文化祭の事とかその他一部が陽乃返しを用意しておいたりするだけであっけなく変わるのはある意味凄かったがな。

今思えば前回は偶然が過ぎたんだろう。

たとえば戸塚が元々性別が女だったりするんじゃなくて男の娘だったとか。

ほら、だってさ、今回の世界では戸塚と仲良くなってたんだが、どうにも嫉妬心が強かったっぽくて、色々ヤバいことになりかけた事が多々あるんだ………で、その度に俺が必死になって止めてたんだが、今日等々犠牲者が出た。

雪ノ下だ。

何故雪ノ下が殺されたのかは分からない。

だが、雪ノ下が死んだ事をまるで知っていたかのようにしていたことからして、きっと犯人は戸塚なのだろう。

聞いた話によれば雪ノ下の体はズタズタになっていたらしいが………何故だ?

あぁ、俺がなんでここまで冷静に受け止められてるのかって?

いや、雪ノ下には悪いんだが………心のどこかに前回とは違う事が起きたということを喜んでしまっている自分が居るんだ。

やはり俺も自分本意の人間ということだろう。

前回の通りであればすでに死んでいたのに、ここまで生きてこられたのが怖くてどこかで怯えていたのかもしれない。

だから前回とは明らかに違うこのルートを喜んでるのかも。

吐き気がしてくるね。あまりのクズさに。

 

そんな自嘲をしていると、不意に携帯が鳴った。

戸塚からだ。それにしてもなんでメール?

まぁ、今はとにかく見てみるかね。雪ノ下が殺された理由も分かるかもしれんし。

俺はスマホのロックを解除すると、届いていたメールを読んだ。

『八幡へ

きっとこのメールの内容は分からないかもしれない。でも信じてくれると嬉しいよ。

こんなことは妄言だと思うかもしれないけど、雪乃ちゃんが死んだのは僕のせいじゃない。腹から食い破られたからなんだ。

それについて教えてあげたいところではあるんだけど、八幡が今どうなのかを確かめさせてもらうね。

陽乃さんに散々引っ掻き回された文化祭のときの実行委員長が隠れてた場所に会いに来て。』

 

………まるで、前回での文化祭について知ってるみたいな口ぶりだなおい………

戸塚は一体何を知っているんだ?

これは、きっと何かある。

もしかしたら戸塚も俺と同じようにループを体験しているのかもしれない。

俺は、いてもたっても居られずに家を飛び出した。

幸いにして今日は小町も若干遅くなるようだったから、俺を止める相手は誰もいなかった。

 

 

 

「あ、会いに来てくれたんだ。嬉しいよ、八幡」

 

戸塚は心底嬉しそうにそう言った。これだけを見ているとまるで事件を起こしたのが戸塚だと疑ってる俺が馬鹿馬鹿しくなる。

いや、そもそもあれは推測とこれまでの戸塚の反応、それだけを見て言っていた事だ。

だが………恐らく今から戸塚が言うことは間違いなく真実であろう、ということは分かる。

何せ戸塚俺と同じループを体験しているようだから、俺の性格を良く知っていることだろう。

生半可な嘘を言っても俺は多分見破る、と。

人に嘘を吐かれまくっていつの間にか身に付いた真偽判定力がここで役に立つなんてな。

「それじゃ、何から話そっか?ループの事?それとも、雪ノ下さんがああやって死んだ理由?」

 

「…ループからで頼む」

 

俺がそう答えると、戸塚はスラスラと話し出した。

自分はすでに100はくだらないループを繰り返していること。

そのループにおいて学んだ事は、どう足掻いても同じ日に………そう、俺が前回死んだあの日の数日後、突然死んでいる事。

そして、死ぬ直前まで起きていると見えたのは、突然破壊された家屋と襲い来る怪物。

事前に家を出て帰らなかった事もあっが、それはそれで出先で死ぬ。

ならばループをいっそ楽しんでしまえと思い始めてから出会ったのが俺。

出会ったのは本当にたまたまだったらしい。その時は何回か覚えて居ないらしいが、自分の性別は何故か男だったと言う。

で、そこで一度奉仕部に入ったらしいのだが………そこで何故自分が死んだか気付いたようだ。

雪ノ下が体内に怪物を飼っていたらしい。しかも無意識の内に。

それに気付いたのはたまたまだったらしいが、そのあとすぐ殺されたのでどうなったかは分からないと。

 

つまるところ、俺が前回死んだ理由はただの事故でなく、雪ノ下の中に居た怪物が腹を食い破って外に出て暴れたかららしい。

なんて迷惑な怪物だろうか。暴れるなら遥か遠くの星でやってもらいたい物だ。

「というか、どっちも説明してないか?」

 

「そうだね、無意識にやってたよ」

 

はぁ…なんだろうか、今の戸塚を見てると微妙に力が抜けてくる。

同類って物を初めて見付けたからか?「でもさ、僕も不思議に思ってたんだ。なんでか八幡と関わるようになってから、ループすることになるまでの間隔が長くなってるんだよね」

 

ほう。そりゃ興味深いな。

俺が雪ノ下に関わっていて、雪ノ下に関わる俺と関係していたからルートが変わったとかじゃないのか?

思ったままに言ってみる。

「うん、まぁそうだろうね。でもさ…広い世界で、たまたま出来事の核心に当たる誰かに会えて、しかもその人が一緒の思い出を持ってくれるなんて…良いと思わない?」

 

そう言って、戸塚は俺に近付いてくる。

何をするつもりだろうか。

俺は反射的に離れようとするが、体が動かない。

「あ、八幡、今なんで動けない?って思ったでしょ。それはね、あらかじめここにすこーし動きを鈍くする薬の混ざったお香を焚いておいたからなんだ。だってほら…逃げられたら、確実に殺せないでしょ?」

 

不味い………凶器を取り出しやがった!

このままじゃ殺される。

なんとかして体を動かそうとしてもほとんど動けないし、その間にも戸塚が近付いて来ている。

「でもさ、安心して?死んでもどうせまた新しくループするだけだから………ね?」

 

戸塚は、取り出した凶器を動けない俺の心臓へ突き刺すと、満面の笑みで最期に俺にこう言った。

「愛してるよ。また次のループで会おう」

 

何が…愛してる……だ………

 

 

 

 

 

そしてまた、何年もの月日が過ぎる。

その間に何回死んだだろうか、何回ループしただろうか。

俺はそれでも、ループを抜け出せないでいた。

いっそ狂ってしまった方が楽なのかもしれない。いや、楽だろう。

なにせ狂ってしまえば後は同じ運命を持つ“彼女”とただ幸せに過ごしているだけで良い。

どうせここは抜け出せない。俺達に未来はない。

そう分かっていたとしても俺はループを辞めるための方法を探し続けてしまうのだ。

それしかもう、生きている意味を探せないから。

 

嗚呼、また人生が終わる。

 

 

 

 

 

また何年も何年も時間だけが過ぎた。

彼女はもうとっくのとうに限界を迎えて、何もかも記憶を失ってしまった。

あぁ、これで俺は一人ぼっちだ。

昔からボッチなのは慣れてたが、やはり100を越える年数を一緒にいた誰かか居なくなるのは寂しいとしか言えない。

もう、さっさとループを終わらせる方法が見付かってくれないだろうか。

俺はそれだけを願って日々を浪費していく。

 

嗚呼、そしてまた人生は崩れ去る。

 

 

 

 

 

そしてまた、途方も無い時間が過ぎていった。

出来るだけ記憶するようにしていたループ回数も100を越えてからは記憶してない。

もしかしたらあと何十回かループすれば俺も彼女のように記憶を失うかもしれない。

そうしたらきっと幸せだろう。

こんな辛い現実から目を背けて下らない人生を謳歌出来るのだから。

もう何百回目になるかも分からない死が俺を迎えた。

 

だが、次のループで嬉しい事が発覚した。

彼女がまたループの記憶を残せるようになったのだ。

良かった。本当に良かった。

だが、そう思う一方でこうも思っていた。

彼女にまた、この辛い地獄を味合わせて良いのか、と。

その時はまだ、あまりに長かった完全な孤独のせいで脳が麻痺していて行動には移せなかった。

 

そして、俺は何百回目かの高校生活に入った。

ここでまた、長らく入って居なかった奉仕部に入ることにした。

もしかしたら彼女とまたここで会えるのかもと想ったのだ。

案の定、彼女は来た。

その笑顔は、俺に彼女を苦しませたくないと思わせてしまうには十分であった。

あぁ、そうか。

戸塚…あのときのお前もそうだったんだな。

本人はループ初めてだと思っているから、自分の死因もただの事故だと思っているために怪物に食い殺される恐怖を知らない。

確かに、そんな誰かを守りたいと思ってしまうのは当然の事だろう。

そして、このループにおいて食い殺される恐怖を知らずに居る方法は1つ。

 

………人に殺されることだけ、だ。

 




今回の元ネタ。
All you need is kill(おーるゆーにーどいずきる)(マンガ版準拠)
あらすじ
なんかやたらと強い地球の意思っぽい敵が来た⇒日本の作るパワードスーツしか対抗策ないよ!
とある部隊のキリヤくん、実戦にて死亡⇒ある女性に食堂の日本茶は無料って聞いたけどマジ?と死の間際でそんなことを聞かれる⇒ループ⇒先程の質問を覚えていたので女性に答えを伝える
のあと色々あんだけど大体そんな感じで。

ちなみに今回のは八幡と戸塚を入れ換えても良いパターンであり、つまりはお互いに抜けられないループでお互いに狂って忘れてループの記憶を覚え始めてと堂々巡りをしているということ。

雪ノ下が怪物飼ってたってのは八幡に死んでもらうための適当な理由。

あと、実はループから解放される方法は『二人とも死んでしまうこと』ネタバレ回避のため伏せるが元のやつにおけるループから解放されるための方法故に。

質問等あればどーぞ。
次回はお口直しにちょっとほのぼのしちゃいます。
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