ヤンデレ系短編集。   作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!

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どういう訳か三人称だぜ………しかも良く分からん終わり方してるぜ………
もうしばらく三人称はやらねぇ………しばらくな………
あ、ちなみに今回の折紙は一人称でまたいつか別ストーリーで書いてみます。


歪んだ精霊の5年越しの愛(デアラ、11巻verの折紙)

あるところに、五河士道と言う少年がいた。

彼はかつて○○と言う名を持っていたが、不幸な事故により命を失い、そして前世の記憶を保持したまま別の世界へと生まれ変わっていた。

いわゆる神様転生というヤツだ。

ただ、彼には何1つ特別な力も、特別な体質も、特別な経験も無いので、それはそれである意味特別だと言える物であったが。

そしてどこまでも凡人で、誇れることなど多少頭が良くて未来を少し知っていることくらいであった彼には、自分の持つ原作と言うアドバンテージを捨ててまで何かをするという事は出来なかった。

故に彼は16になった今、この世界が自分の知る原作と寸分の狂いなく進んでいると確信していた。

 

だが、彼は2つ、大きな勘違いをしていたのだ。

1つは…自分が何一つ特別な力を持っていないと思っていたこと。

そしてもう1つは………今現在、原作が寸分の狂いなく進んでいると思っていたことだ。

それはとても大きな勘違いであったが、それがあまりに大きすぎて彼は気付いていなかったのだ。

 

それが彼自身にとって最大最悪の出来事を引き起こすとは微塵も思っていなかった………

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

場所は変わり、ここは天宮市来禅町。

ここに彼…五河士道こと、○○は住んでいた。

今はすぐ近所にある来禅高校への通学中だ。しかもそれがしばらくぶりと言う事もあり、その間会えなかった友人と仲良さげにしている者たちも多々存在していた。

そんな中、彼は誰かと共に居る訳でもなければ、別に孤立している訳でも無いように歩いていた。

彼の持つ知識においてはここで一人で登校するのは少し間違っている気がしていたが、その程度の違いは話の大筋を変えるまでには至らないだろうと思い、無視していた。

まぁ、実際は去年は大抵共に登校していた友人が揃いも揃って原因不明の偏頭痛で『脳をフォークで抉られてる感じがする』とまで答えていたので割と凹んで居たりするのだが、今は関係無いので割愛する。

そんな具合で学校まで辿り着いた彼は、ふとこう感じていた。

『あれ?何かおかしくないか?』と。

だが、その原因が朝存在する筈だった鳶一折紙との会話であることを思い出すと、『まぁ、朝は原作と違うからな』と一人で納得するとすぐに忘れてしまった。

もしここで彼が、すでにこの世界は“原作”とはまったくの別物である。と正しく認識出来ていたのであれば…いや、ここで語ってしまうのは不粋であろう。

だが1つ言える事は“臭いものに蓋をして現実から目を背けてばかりではいつかその反動がくる”と言うことだ。

 

ー教室にてー

 

(お、座席は原作通り左斜め後ろの角か…ただ、折紙が今日休みなのかどこにも見当たらないし、席がまったく違う場所になっちまってるっぽいのは気掛かりだな…)

 

五河士道こと○○は、自分が今座っている座席の位置が原作通りであることに何故だか分からないまま謎の安堵感を得ていた。

それもそうだろう。原作知識を持っていることくらいしか取り柄のない彼に取って、世界が原作と乖離してしまうのは唯一のアドバンテージを失ってしまうことになるからだ。

故に彼は気付かない。いや、気付こうとしない。

気付いてしまえば自分の唯一の武器を失うから。

自分のたった1つの長所が無くなるから。

そして、残酷にも時間は過ぎていく。

一時限目、二時限目、三時限目、四時限目と順調に過ぎて行き、帰宅時間になる。

「さて…琴里を迎えに行きますかね」

 

彼はわざとらしくそう言うと、席から素早く離れて学校の外、とあるレストランへと向かう。

その途中で警報が鳴り響いたが、数秒シェルターに向かうそぶりを見せてから携帯ですでに知っている妹の位置を確認すると、やはり原作通りの位置にいることを確認してから妹の携帯がそこにあると示されているレストランへと走り出す。

行ったところで妹が居ないのを知っているのに。だ。

「無事で居ろよ…琴里………!」

 

ご丁寧なことに台詞まで付いている。

そんなことを言わずとも妹は絶対に無事だと言うのに。

やはり、彼に取って原作とは、何物にも変えがたい大切なプライドなのである。

 

…そして、彼は数十秒ほどの疾走の末に携帯のGPSが示す位置にまでやってきた。

レストランに着いた彼は妹の名前を叫んで探す素振りを見せると、『携帯を落としただけか…?』などと呟き、そしてもと来た道を全力でダッシュし始めた。

やはり彼も死ぬのは怖いらしい。

だが………この時すでに決定されていたのだ。運命は。

○○が来た道を辿って走り始めて数秒としない内に、彼の後ろの空間にヒビが入って割れ、破壊が撒き散らされる。

それにより民家も、電信柱も、レストランも、ガソリンスタンドも、何もかもが消滅する。まるで消しゴムを掛けたかのように。

そして街の様々な物を消し去った空間震は、○○のすぐ後ろで止まり、辛うじて○○自身が空間震に当たってしまうことは無かった。

それを見て○○は本日何度目かになる安堵の表情を見せると、空間震の震源と思われる場所に一人の………“白い”少女が立っているのを認識した。

それを見て彼は強い驚愕に襲われる。

 

空間震の震源に少女が居たことにではない。その少女が、白い事にだ。

その少女を良く見ると、まだこの時期では人間であるはずの鳶一折紙以外の何者でもないのが確認出来る。

だが何故彼女がすでに精霊となっているのか?

そんな考えは、幸運にも…否、運悪くすぐに答えが出ることとなった。

「………オイオイ、まさかこういう展開かよ!」

 

○○は嘆き九割驚き一割の叫びを揚げると、再び全力で走り出す。

走る目的は明確だ。逃げるためである。

何からか?それは…彼がたまたまある少女達がどのあたりから登場するのかを考え、空から来るのでは無いかと思って見ていた空中から、8つ程の小さな飛翔する何か、からである。

「絶滅天使にゃ1年近くはえーっての!」

 

彼はそう叫びながらも逃げる。

彼の知る原作通りに妹達の組織に回収されるのを待ち望みながら。

だが考えてもみて欲しい。

相手は精霊、人知を越え、人類は魔法というファンタジーな力を持ってしてもまともに相対するのが難しい存在である。

そんな存在が持つ力から、普通の人間が逃げられるだろうか。答えは否だ。

それでも、彼は人間にしてはよく逃げた。それこそ世界記録を越える勢いで。

 

ただ、それであっても精霊からは逃げられなかったのだ。

彼の右足から鮮血が飛び散る。

追っていた何かの1つが足を貫いたのだ。

その痛みにより彼は転んでしまうが………それが不味かった。

8つほどの何かは、彼の四肢を上下から挟み込むと持ち上げ、何処かへと連れていこうとする。

無論彼は抵抗したが、そのサイズからはありえない程の力で固定されている上に、足を負傷していて満足に身動きが取れない。

故にその肉体は彼を持ち上げている何かの主…精霊が存在する場所へと連れて行かれてしまった。

「民間人!?というかなんで浮いて………」

 

その姿を見て、精霊と戦っていた少女達は驚きの声を上げる。

「ASTか…頼む!助けてくれ!あとコイツの欠片が円を作ったら絶対に逃げろ!」

 

それを見ると、○○は大声でこう叫び、とにかく生きる為に足掻こうとした。

だがこの時はこの台詞が駄目だった。

いや、それを彼の失敗としてしまうのは酷だろう。何せこれを言わなければ彼は“事故として処理すればいい”といった程度の扱いになっていただろうから。

現にASTと呼ばれた集団も彼の言った事から保護する価値を見出だし、助けようとしたのだ。

だが、そこに関しては精霊が一枚上手だった。

「【絶滅天使(メタトロン)】………【砲冠(アーティリフ)】!」

 

精霊が、彼がたった今警告した行動を始めたのだ。

そう、ASTも所詮人間、自分の命が惜しい。ゆえに彼女等はそれを見ると一目散に逃げ出したのだ。

このあと、彼女たちの活動記録にはこう刻まれるだろう。

『民間人一名が居たが、精霊の天使により死亡、なおこの件は不幸な事故により空間震に巻き込まれたものとして処理』と。

それを見た○○は、最後の望みとも言えたASTが逃げていった事に自らの人生の終わりを感じていた。

「フフ………やっと会えた………士道くん………」

 

だが、現実は最後の最後で彼に生きる事を強いた。

彼は自分が殺されると感じていたところを、過去にどこかで聞いたような、だが少し違うような印象を受ける声を聞き、そしてその中に好意的な物を感じたのだ。

「お前は………」

 

「うん、そう…5年ぶり、折紙だよ?覚えてる?」

 

精霊………折紙は、○○に対し久しぶりだと言うと、自らの天使で身体を拘束したまま強く抱き締めた。

「会いたかった…この5年間、ずっと探してた………それだけが、私をこの世界に呼び出してた………」

 

折紙は聞く物を魅了するような声でそう言った。

だが、○○は困惑の表情を浮かべていた。

それもそうだろう、彼には彼女との面識が無いのだから。彼が彼女について知っているのも、あくまで知識としてのみである。

だからこそ彼は思考を混乱させていた。

原作の通りなら折紙はこんな喋り方ではなかった、いや、この喋り方をするにはしていたがそれも特殊な状況下のものだったはず。だが何故………

だが、そんな風に何かに気付いてしまいかけていた彼の思考は、唐突に中断されることとなる。

 

「あ、でも士道くん?あのとき約束してくれてた筈なのに………ずっと来てくれなかったよね?ここに来たのだって私じゃなくて琴里ちゃんだっけ?まぁ妹を探してだし………」

 

折紙のその台詞に、彼は戦慄した。

折紙のいうことが真実であるならば、五年前………そう、彼の知る原作通り妹が精霊になり、そして火事が起きた日に自分が彼女と会っているということになったからだ。

だが、先程までの混乱から脱し、ほぼまっさらな状態となっていた彼の頭は、何故思い出せなかったのかをすぐに導き出した。

そう、原作通りであったが故の失態だ。

五年前の彼の記憶は、原作知識があることで忘れがちだが、封印されているのである。

もしその記憶の中に、折紙とのそれがあったとすれば………

 

「ねぇ、なんで?私とまた会ってくれる言ったよね?もしかして私より琴里ちゃんの方が大切だったりしたの?ねぇ、なんで?答えてよ、ねぇ!」

 

彼は、折紙の問い掛けに対して答えなければ殺されると思い、原作知識が役に立たなくなることを覚悟して折紙に記憶が封印されている事を伝えようとした。

だが、人間の身体とは案外脆い物である。

彼の身体は幸いにも大怪我を負おうと宿している力で回復出来るのだが、それは肉体だけの話………

脳が強烈に揺さぶられようものならいくら彼でも意識を失ってしまうのだ。

「あれ…?士道くん………?あぁ、もしかして嬉しすぎて気絶しちゃった?うん、きっとそうだよねそうだ…」

 

それを見た折紙は、独り言のようにそう言うと、自らの天使の欠片で○○を包み込み、そして体を少しずつ薄れさせていった。

いわゆる消失(ロスト)と呼ばれる、精霊が隣界へ戻るためのプロセスだ。

だが今回は、それに○○も巻き込まれていた。どうやら折紙の天使に包まれている物も同時に隣界へと消えて行くらしい。

 

そして、折紙と○○の姿は少しずつ希薄になっていき…ついには完全に掻き消えた。

 

 

 

ー隣界ー

 

微睡むような感覚の中、○○は目を覚ました。

そして、同時に驚愕した。

気絶して目が覚めたら別の世界に居るのだから当然だろう。

だが、それよりも彼を驚愕させるものが目の前に存在していた。

それは、全身を黒い霊装に包まれた折紙の存在である。

反転体、と呼ばれる姿であった。

その姿になった精霊が振るう力は強力無比であり、さらに反転体と通常の精霊は記憶が共有されない。

つまり、それは彼の命の危険を表していたのだ。

しかも、不幸な事にまるで眠っているように見えた折紙が突如目を覚ました事だ。

「ひっ………」

 

「あ、士道くん、おはよう。びっくりした?」

 

○○は、びっくりしたも何もない。と答えた。

すると、彼女はこんな返答をした。

「そうだよね…でも、別にここには士道くんを傷付けたりするものは何もないよ?ほら、だから安心して…」

 

 

 

 

 

「愛し合おう?」

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