三雲藍25歳
「ただいま」
修がリビングに入るとエプロン姿の藍が笑顔で迎える。
「おかえり修。ご飯出来てるわよ」
「ありがとう藍」
「今日はあなたの好きなクリームコロッケよ」
「ホント? 楽しみだなぁ」
夕食のおかずが好物だと知ると修は子どものように喜び、藍もまた微笑む。
夕食の席に着くと修は早速好物のクリームコロッケを一口食べる。
「うん! すごく美味しいよ!」
「良かった。あなたのお母さんに教えてもったんだけど、ちょっと不安だったの」
「いや、ホント美味しいよッ!」
「もう、分かったわよ」
修の素直な褒め言葉に藍は顔を赤くしながら笑う。
「そういえばあなた明日は一日休みだったわよね」
夕食を食べ終え、二人並んでソファで寛いでいる時、藍が修に話しかける。
「あぁ、午後から玉狛に少し顔を出しに行くつもりだよ。藍も一緒に行くか?」
「あのね、私は午後から取材が入ってるの。妻の仕事の予定くらい把握しときなさい」
藍はトリオン器官の成長が止まった頃に防衛隊員から事務方へと移り、広報担当として今もボーダーに所属している。
「そうだった。ごめん」
夫である修の落ち込む表情に藍は苦笑しながら話を続ける。
「もういいわ。それより昼間あなたのお母さんがいらしゃったわ」
「母さんが? 何か用事でもあったのか」
「近くに来たからついでに寄ったそうよ。少しお茶をしたらすぐ帰られたわ」
「そうか…」
「それでその、その時ちょっとお義母さんに言われちゃって」
「何を?」
顔を赤くしながら、珍しく言いよどむ藍を修は不思議そうに見詰める。
「えっと、その…。そのね、『孫の顔が見たい』って」
「な…!」
二人は結婚してまだ1年足らずだが、付き合っていた期間は相当長く、2、3年程前からは親や周囲に「いつ結婚するの?」「早く結婚しなさい」などと二人でいる日はほとんど毎日言われており、既に夫婦と見られていたほどだ。
「その…、修はどう思う?」
「それは、ボ、ボクだって好きな人との子どもは欲しいけど」
「本当?」
「もちろん、本当だよ」
「そう…」
藍の問いに修も顔を赤くしながら答える。
少しの間、二人が沈黙に包まれている時に藍が修の肩に寄り掛かり、指を絡めるように手を繋ぐ。
「ねぇ、久しぶりに一緒にお風呂入らない?」
「え? い、いいけど」
上目づかいで自分を見てくる藍に修は顔を更に赤くさせながら答える。
「それでその…」
「ん?」
藍は修の耳元まで寄ると、小声ながらも確実に聞こえる声で呟いた。
「今夜は寝かさないから」
「な…!」
木虎がかなり修にデレてますね(笑)
次は那須さんを予定してますが、いつになるかわかりません