那須玲20歳
熊谷友子20歳
恋人の部屋のドアをノックすると、中から「どうぞ」という声が聞こえてくる。
「玲さん、来たよ」
そう言って修が部屋に入ると、中には二人の女性がいた。
「いらっしゃい、修」
恋人である玲はベッドの上で体を起こし、笑みを浮かべながら修を迎える。
「ここで会うのは久しぶりだね、三雲」
「どうも、熊谷先輩」
熊谷は座ったまま背中越しに修に挨拶する。
「それじゃ、あたしはそろそろ帰るよ」
「え? もう少しゆっくりしてけばいいのに」
修が来た途端、荷物を持って立ち上がる熊谷に玲が思わず声をかける。
「何言ってんの。流石に恋人同士の時間を邪魔するほど、あたしは無粋じゃないわよ。じゃあね」
そう言うと熊谷はそのまま部屋を出ていった。
「タイミング悪かったですかね?」
「ううん。多分くまちゃんなりに私達の気を使ってくれたんだと思う」
「…そうですね」
修と玲が恋人同士になって1年以上経っているが、二人きりで過ごしてきた時間はそう多いわけではない。
二人とも防衛任務もあれば、玲は大学、修は高校と学業もある。二人きりで過ごせる時間が週に一度あれば多い方だ。
「玲さんがこの前見たいって言ってた映画借りてきましたよ」
「ありがとう。じゃあ二人で見ようかしら」
修は慣れた手つきでDVDをレコーダーにセットした後、ベッドの近くに座る。
「修」
「え?」
振り返ると玲がベッドの端に座っており、自分の隣を手でポンポンと叩いている。
その意図に気付いた修が玲の隣に腰を掛けると、玲は微笑みながら修に寄り添う。
「ありがとう」
「いえ、ボクも嬉しいですから」
「良かった」
二人揃って顔を赤くしながら笑い合う。
そしてリモコンの再生ボタンを押すと映画が始まる。
修が借りてきた映画は恋愛小説が原作の純愛モノで、公開された当初は若いカップルを中心にヒットした映画だ。
途中、気持ちが昂ぶった玲が修と腕を組んで更に密着させる。
映画が終わった後も二人は暫くそのまま寄り添ったまま幸せそうな顔をしていた。
「それじゃあ、ボクもそろそろ帰りますね」
修は玲から離れると片づけを始める。
「どうして?」
「いや、そろそろ玲さんのご両親も帰ってくる時間ですし…」
修の言葉に玲は言い忘れていたことを思い出した。
「そういえば言ってなかったけど、今日は二人とも帰ってこないの」
「え?」
「修さえよければ、泊まって欲しいんだけど…、ダメかしら?」
甘えるように言う玲に修は息を呑むと、優しく微笑む。
「分かりました。じゃあ、お言葉に甘えて泊まらせてもらいます」
「うん。ありがとう」
二人の時間はまだ終わらない。
那須さんを甘えさせてみましたが、いかがでしたか?