黒い玉の部屋~俺たちの戦いはこれからだ!~   作:たわば

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リハビリ中で更新遅めですが、よろしくお願いします。


#1 orz

ふひ。ふひひひひ。

 

 

どうしろってんだ、これ。ふひっ。死ぬ。マジで死ぬっ。

 

 

ヤバい。ヤバい。ヤバいって。死んじゃう。このままだと死ぬ。絶対死ぬ。100%。絶対。

 

 

むしろ死なない理由が見つからない。

 

 

誰が?俺に決まってるだろ?俺たちに決まってるだろ?

 

 

なのにこの部屋にいる連中はそろいもそろって緊張感が無い。事情を理解してない奴が大半とはいえ、暢気すぎだろ!今禿げそうなほどストレスがマッハな俺を見習え!

 

 

表情筋が死んでるみないに動かない顔をしてなければ、俺が焦ってることが伝わっただろう。でも今の俺は顔立ちはともかく、石で出来た像みたいに無表情だった。

 

 

でなきゃ、泣き喚いて泣き叫んで小便漏らすかひたすら現実逃避してただろう。

 

 

むしろ今からそうしたい。

 

 

でも出来ない。したら確実に死ぬ。それも、予想よりもスゲー速く。

 

 

………どうする?逃げることは不可能だ。仮に開放されたとしても、何も知らない状態で放り出されたらまたどっかで死ぬことになりそう。

 

 

いや、それ以前に目前に死が迫ってるんだからとりあえず生き残ってからの話か。でもさ。

 

 

戦わないと死。戦って生き残ってもいずれは死。生き残って開放されても高確率の死。

 

 

どうしろっつーんだよ!ここは雛見沢か?正解率1%ですか畜生!

 

 

何だよ!何でだよ!何で俺がこんな目に逢う!?

 

 

そんな悪いことしたか?アレか?ガキの頃近所の駄菓子屋で万引きしたのがマズかったか?

 

 

それかDVD延滞したからか?料金ちゃんと支払ったぞ!?

 

 

いや、違う。違う。落ち着け俺。冷静になれ。COOLになれない奴から死んでいく。ここは戦場だ。いや、ここ自体は違うかもしれんが、少なくともこれから向かう場所は戦場だ。

 

 

死にたくないから落ち着け。落ち着け。死にたくないから落ち着け………。

 

 

何回もそうやって念じてると、少し落ち着いてきたような気がしてきた。たぶん、まだ冷静とは程遠い精神状態なんだろうけど、それに自分で気づける程度にはなれたから多少は事態が好転したと思いたい。

 

 

そうして、ようやく再び『それ』を視界に入れることになった。

 

 

俺がここにいる原因であり、今焦ってる元凶でもある物体。

 

 

1メートルと少しくらいの直径の黒い真球形。見る者によっては『黒飴』だか『ブラックボール』なんて呼ぶかもしれない。

 

 

日本の家、というか世界中のどこの家でもミスマッチなそれが、今居る部屋のフローリングの床の上に置かれていた。

 

 

黒いカラーリングのバランスボールだということにしておきたいが、見た目が完全に金属質だから無理。

 

 

はい、どう見てもガンツです。死んだ人間が呼び寄せられて、妙ちきりんな武器で宇宙人と戦うっていう、字面だけならファンタジーあふれる漫画です。

 

 

ええ。毎回、宇宙人と戦う度に人死にが出てしかもそれが半端なくグロい死に方じゃなければ、俺もここまでうろたえたりしないんだけどね。

 

 

そりゃね。

 

 

俺だって子供の頃に前世の記憶が戻ったとき、なんで俺は漫画の世界にTENSEI!とかしなかったんだろ~な~とか阿呆丸出しの思考をしたことがあったさ。悲しいけど事実だし。そこは認める。

 

 

でもさ。

 

 

だからってコレは無いんじゃね?

 

 

モブや仲間キャラは言うには及ばず、主人公すら複数回死んだりする漫画だぞ!?

 

 

登場時最強キャラが、そのミッション中であっさり殺されたりするほどハードル高いんだぞ!?

 

 

名前有りキャラの死亡率はたぶん、ドラゴンボールとタメ張るくらい高いんだぞ!?

 

 

死ぬ。絶対。俺、人生またオワタ…………。

 

 

絶望的な未来予想図に、視界が曇ってきたような気分さえしてくる。

 

 

そんな俺を置き去りにしたまま、他の面子は何かを話してる。具体的には、無言でそれぞれ好きに過ごしてるのがスーツ組。普通の服を着てるのが、今回の新規メンバーか。勿論俺は新規メンバーの1人なんだが、精神的ショックのせいで輪に入れてない。

 

 

う~ん、スーツ組のメンバーのうちあの鬱陶しい長髪は和泉……だったか?そんで、見るからに中坊っぽいのは西か。

 

 

今回は『僕のパパはTVプロデューサー』をしないのか、冷笑を浮かべてこっちを見ている。「こいつらどんな死に方するんだろ」的なこと考えてるんだろ~な~。和泉はといえば、慣れた手つきで武器をチェックしている。その姿を見ていると、いずれジェノサイドをやらかす人間だということに納得せざるを得ない。

 

 

素晴らしい職場に素敵な同僚で俺はもうおなか一杯です。

 

 

玄野や加藤っぽい奴はいないみたいだから、今はマイナス~原作前あたりか?

 

 

とりあえず渋谷でジェノサイドがあった話とか聞いたことないけど。ま、漫画通りに話が進むかどうかもわからんけどさ。少なくとも、イレギュラーである俺がいるわけだし。

 

 

…すぐに死ぬ可能性のが高いことは考えないようにしよう。

 

 

てかスーツ組の連中、新規メンバーがおずおずと質問してるのを無視してる。

 

 

あれか。どうせ本当のこと言っても死にやすいんだし、星人を倒すための囮くらいになればいいか~的な考えか。

 

 

素晴らしく外道な考えだが、理解できなくもない。他人を助けるのはいいんだが、それで自分が死にかけるような真似は全くごめんだ。まあ、前世と合わせてもう2回も死んでるんだけどね、俺。

 

 

そう考えると死ぬことに対する耐性がつきそうなもんだが、相変わらずメンタルはチキンなままだ。

 

 

今回の死因になった飛び込み他殺(誤解)のせいで、しばらく電車を見るのもキツそうだし。

 

 

てか俺、今更だけど誰と間違われたんだろ?

 

 

丁度照明の光が弱いトコにいたせいで相手が女だったことくらいしか分からなかったけど、電車にタックルを食らう前、確かに「あ、間違えた」って聞いたしな~。

 

 

う~ん、考えても分からんが全身がバラバラになって絶命した衝撃は思い出せてきた……。

 

 

変われぬ弱さと変わらぬPTSD(心的外傷性ストレス障害)。俺は成長とか困難の克服には程遠い精神性しか持ってない。ゲームとか漫画の世界の主人公なんて夢のまた夢だろう。

 

 

ま、なりたくもないけどね!(敗北宣言)

 

 

そうこう考え事をしているうちに、ガンツから例の歌が聞こえ始めた。ノイズだかなんだかよく分からん雑音が混じってて鬱陶しい。そして黒い表面に浮かび上がる「てめーらを生き帰してやったんだから、俺の好きに使うわwww」という内容の、冷静に考えると正直絶叫したくなるメッセージ。

 

 

wは俺の脳内再生だが、とりあえず中の玉男をぶん殴りたい衝動にかられる。深呼吸をして落ち着くが、事態は一切好転しない。何この無理ゲー?

 

 

新規メンバーは不思議そうにガンツを見ていたが、急に両サイドが開いたせいでしゃがみこんでいた奴が後ろにひっくり返った。

 

 

それを見ていたスーツ組から失笑がもれるが、無視して自分のスーツボックスを探す。

 

 

………とりあえず、これか?『ザキヤマ(笑)』って書いてるけど。苗字から邦正の方かと思ってたが違ったようだ。どっちにしろ芸人縛りなのが鬱陶しいけど。

 

 

そのままボックスごと玄関前まで運び、慌てて着替える。多少は猶予があるかもしれんが、急ぐに越したことはないだろう。

 

 

このあたりで他の新規メンバーが急に行動し始めた俺のことを不思議に思って見に来たのか、後ろの方で小さな悲鳴があがったが無視。死んだり痛い思いするくらいなら、俺はストリーキングを選ぶ。

 

 

そしてそのままガンツの前まで戻ると、とりあえず銃器を3種キープすることにした。つまり、XガンとXショットガン、Yガン。多少かさばるかと思ったが、太ももにあるアタッチメントにXショットガンを装備すると、あまり行動の邪魔にもならない。

 

 

………とりあえず、これで出来る装備は全てしたか。

 

 

そう思ってため息をつくと、スーツ組は感心する目。新規メンバーは変人を見る目を俺に向けていた。

 

 

そういやそうか。普通、こんなスーツを躊躇無く着たりはしないもんな。

 

 

ちなみに刀を装備しないのは、使いこなせるとは思えないので。チキンハートには影から銃撃するのが似合ってるな。接近戦なんて無理無理。

 

 

基本的に遠距離からの狙撃→姿を消して移動→再び狙撃のループでやっていこう。

 

 

命がかかってる以上はローリスクハイリターンを目指さなきゃ!

 

 

「勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」 って闇の一族(笑)の天才も言ってるし。お言葉に甘えて長距離からのゴルゴ作戦でいこう。

 

 

そういえば、今回の星人はどんな奴なんだろ?と思ってようやくガンツを見ると、そこにはこんなことが書かれていた。

 

 

なまえ みらい星人

 

特徴 猫型ロボット 友達がたくさんいる

 

好きなもの ドラ焼き みーちゃん

 

口ぐせ 僕ドラ○もんです

 

 

…………………ええ~と、これってあの某国民的アニメのキャラか?

 

 

俺と同じくガンツを見ていた新規メンバーも困惑気味だ。だが、これも「こういう形をした別物」なんだろう。もしくは、何か厄介な能力を持ってるか。

 

 

でなけりゃ、毎回死人なんか出ないし。

 

 

そう考えると、自然と持ったままのXガンのグリップに力がこもるのを感じた。

 

 

死なない。俺は、絶対に死なない。生き残ってやる。何をしてでも。何を、犠牲にしても。

 

 

新規メンバーにアドバイスとかぶっちゃけ無理だしな。今なら、なんとなく重要なものっぽいから着てみたっていうただの『勘が鋭い奴』で済むけど、懇切丁寧に説明したりしたら、情報ソースを聞かれるのは間違いない。

 

 

当然そんなの無いし、変に事情通なトコ見せたりしたら下手すりゃ星人と思われてスーツ組にあぼんされて終わりだ。

 

 

その後で俺の死体を前に「やっぱ違ったか」の一言で済ませてくれるだろう。

 

 

このミッションの関係者は世紀末世界ばりに命の価格が安いのだ。値段は概ね『時価』だし。

 

 

ガンツミッションに参加してる奴は相対的に命の価値が暴落していくが、ここにいるスーツ組はさらにその中でも糞野郎が2人混じってる。

 

 

西のサイトにしたって見たこと無いから下手なことは言えんな。なにせ、作者がいるんだから。

 

 

そういうわけで新規メンバーには何も言わないことにした。誰だって自分が一番可愛い。俺だってそうだ。変人扱いされながら自分の命の危険があることなんてしたくない。

 

 

そうだ。そうだよな。考えてみりゃ俺別に正義の味方じゃねえし。性戯の味方にはなりたいけど。ふひひ。

 

 

…………ああ、こんなどうしようも無いことを考えたりするから、未だに恋人いないんだろうな。顔はフツメンのはずなのに。前世ブーストもあるはずなのに。環境は悪くないはずなのに。

 

 

転送が始まるまでそんなこと考えて、俺は落ち込んでた。

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