リン・スーニュ=ロク・ハイド伯爵・ジントは久々に平穏な休日を過ごしていた。そこには、のんびりとしたディアーホがゴロゴロと甘えてきたので、ノドの下をさすりながら、ほのぼのとした雰囲気で彼に話しかけていた。
「ディアーホ、君には悩みが無いのかな。僕は、非常に今、難しい立場に立っているんだよ。二人のアーヴの美少女から惚れられている。二人とも美人だし、僕を想っている事はわかるのだが、僕はとてもそういう気持ちを持てないよ…と猫に言ってもわからないか。」今度は、指にじゃれつくディアーホを遊ばせるジント
「にゃーん、にゃーん」と気持ち良さそうな声を上げるディアーホ
そこへ、ジントのクリューノに手紙が着信していた。それは、ラフィールからだった。
「ジント、元気か?私は、いたって元気だ。突撃艦の次席翔士として、赴任しているが、星界軍は今、反抗作戦の準備段階で実戦は、もっと先になりそうだ。訓練している間はいいが、当直勤務で中途半端な休みがあってもすることはないな。ジントに手紙を吹きこむくらいだ。それで、これまで吹きこんだジントの手紙を見なおしたけど、そなたの話ふりを見ると、少しはアーヴ貴族として威厳が出るかと思ったけど、あまり変わりないな。まだ、しまりのない顔をしているのであろ。まぁ、会うのは、あと1年と数ヶ月後になりそうだけど、そなた、訓練の方はしっかりやっているのか。そのことが心配だ。とにかく頑張るがよい。ところで、手紙を見なおして、ふと思ったけど、そなたのルームメイトの恋はどうなったのだ?別にそのものの恋愛に興味があるわけではないぞ。ただ、ジントがルームメイトに対して協力するといったので、それが成功したかどうか聞きたいだけだ。話したくなかったら別にいいぞ。とにかく、落第はするなよ。私は待つ気はないからな。」
こうして、ラフィールの手紙は終わった。
「ふー、相変わらず、厳しいな。ラフィール。でも、僕は今のところ順調ですよ。毎回、それを説明しても、何回も確認するからな。僕のことがそんなに心配なのかな。それと、ダリシュのことに関してはどうしようかな。失敗どころか、とんでもない状況になっているからな。ラフィールがいったトラブルに巻き込まれるどころか、それ以上の問題になっている気がするよ。」ラフィールの手紙を見て一人ごちるジント
「にゃーん。にゃーん。」甘えた鳴き声をしてごちるジントの足に体をこすりつけるディアーホ
「ディアーホ、わかったよ。今日は君にとことん付き合うよ。」再び、ディアーホ相手にのんびりと遊ぶジント
ジントがディアーホと遊んでいるとそこへ、ダリシュが入ってきた。
「ジント、ディアーホ、ただいま。ちょっと、妹の用事に付き合っていてね。忘れじの広間まで彼女を送ってきた。」ダリシュ
「忘れじの広間?今日は誰かの命日だったのかい?そういえば、僕もアーヴの中でちょっとだけだと知っている人が亡くなった日だったな。」レクシュ艦長のこと思い出すジント
「そうか、たぶん、偶然だろうね。」といいながらも何か知っているそぶりをするダリシュ
忘れじの広間
レクシュ・ウェフ=ローベル・プラキアと書かれていた石柱の前にユーリルは立っていた。
「ジントに私を会わせてくれてありがとうございます。それと、私の半身の源になってくれたことも」そういい、石柱のプラキアの名をなぞるユーリル
そこへクリューヴ王殿下が現れた。
「おや、驚いた。私以外にプラキアの前にくるものがいるとは思わなかった。そなたは、何者であるのか?プラキアの一族のものか?」金色の瞳を持つ少女に話しかけるドゥビュース
「これは、クリューヴ王殿下、初めまして。私は、シュリル・ウェフ=キルヒム・ユーリルです。プラキア卿は、私の遺伝子提供者です。」アブリアルの王の前でも堂々とするユーリル
「ほう…。そなたが、もう一人の半身の源か。そなたのことは、以前、プラキアから聞いた。それにしても、そなたの見た目は我が麗しの娘よりプラキアに似ているな。まったく、私も人格が豊かになると考えて、出生の秘密を我が愛に与えたが、そなたの方がよっぽど、出生の秘密といえるものであろうな」彼女の秘密を知っているドゥビュース
「やはり、プラキア卿はクリューヴ王殿下に私のことを話しましたか。私の父親となるべきナシュータ・ボルジュ=メギド・ハイカールがクリューヴ王殿下に会う前にプラキア卿と恋愛して、私が受精卵になった。しかし、ハイカールはその直後に事故死して、それを彼の親友である今の父のシュリル・ウェフ・キルヒム=ハーデスがハイカールの遺言を聞いて、引き取った。その手続きが色々と問題があったために、10年以上遅れて私が人工子宮から生まれたことを知っているのですね。」クリューヴ王殿下にあえて、説明するユーリル
「そうだ。知っている。プラキアにこのことを告げられたとき、正直困った。まぁ、彼女もそなたが13歳のときプラキアに会いに来るまで知らなかったみたいだったからな。まったく、それを聞いたときは、本当に驚いたよ。とにかく、プラキアもここへそなたが来てくれたことを喜ぶだろう。」再び、プラキア卿の名が彫ってある石柱に触れるドゥビュース
「ええ、私も感謝しています。私の半分の源はプラキア卿ですから。クリューヴ王殿下、私はもうプラキア卿に言葉を伝えたので、ここを去ります。また、今度会う機会があったらよろしくお願いします。」ドゥビュースに敬礼して颯爽とさっていくユーリル
「そうか、わかった。では、また会う機会まで」ドゥビュース