ジントの修技館時代    作:いち領民

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ジントの修技館時代 第15話

再び、ジントとダリシュの学生寮の部屋

 

「ジント、一つ質問していいか?」そう言いながらもダリシュもディアーホの頭をなでながら遊んでいる。

 

「なんだい、ダリシュ」

 

「ジントは結局、誰と付き合う気なのか?委員長、ユーリル、それとも両方とも?僕はジントが望むなら誰でもいいけどね。」親友のジントの恋愛に興味を持つダリシュ

 

「何をいうんだい。ダリシュ、僕はどっちとも今は付き合う気はないよ。ましてや両方なんてするわけないじゃないか。まったく、君らアーヴの考えって浮気とか不倫とか二股とそういう倫理観はないのかな。」ダリシュの思いがけない質問に動揺するジント

 

「ジント、地上人だって、複数の異性とつきあうことってあるだろう。どっかの星系の結婚制度だって、ハーレムとかいうものもあるし、複数でも本人達が幸せなら別にいいと思うけどね。もっとも、ユーリルも委員長も独占欲は強そうだしな。そういうことにはならない可能性は高いね。二人が会ったら、確実に修羅場になりそうだな。」もう傍観者に成り下がるダリシュ

 

「地上的感覚からいえば一般的に“一夫一妻制”なんだよ。1人だけに愛し、その人と死ぬまで一緒に時を過ごす、ってのが、一般的なんだよ。今の僕にはラフィールがいる。僕はラフィールの半分しか生きられない。だから僕が死んだ時は別の人と付き合えばいい。今は…」

 

「一般的ね・・・。君がとても一般的な地上人とは思えないけどね。それに、王女殿下には気持ちを確かめたのか?」アーヴらしく核心つく質問をするダリシュ

 

「えーっと、そ・それは聞いていないよ。残念ながら聞く勇気がなくてね。」困った表情をするジント

 

「ジントが気持ちを確かめられない気持ちはわかるよ。君は心のどこかで地上人と生まれながらのアーヴの関係について壁を感じている・・・。それがなくならいないうちは怖くて聞けないんだ。王女殿下の気持ちを。まぁ、それは、今後、君が殿下と一緒の艦にのって、その壁を乗り越えればいいさ。」ジントの心は手に取るようにわかるダリシュ

 

「まったく・・・。ダリシュ、君は鈍いと思っていたけど、鋭いところもあるんだね。でも、ありがとう。ラフィールと一緒の艦に乗ってからそのことは時間をかけて、考えるよ。」あいまいな笑顔で頬をかくジント

 

「さてと、ディアーホも気持ちよさそうに眠ったし、ジント、そろそろ寝るか。そういえば、来週の訓練競技会(体育祭みたいなもの)は、ジントは何に参加するのか?確か、全員強制参加で飛翔科修技館の訓練生とも合同でやるみたいだから、ユーリルも来ると思う。委員長とはちあわないように祈るしかないかな。」二人がはちあう状況を浮かべて悪戯っ子の笑みをするダリシュ

 

「まさか、そんなことならないと思うよ。訓練生だって、たくさんいるし、あまり好ましい状況とはいえないからなあ。とにかく、明日も朝から訓練だし、早く寝るよ。ダリシュ」とにかく、そんな最悪な状況を否定するジント

 

「わかったよ。おやすみ。ジント」

同時刻、委員長の部屋・・。

『恋の禁じ手』に再び目を通す委員長。

「藁人形、五円玉催眠術・・・。うーん姑息な手段ばかりね。」

資料を投げ捨て、ベッドに倒れこむ。

「なにかいい手段はないかしら・・・。うんっ?!」

散乱したの資料一つにに目が止まる。

『恋愛の王道』と書かれた書物に手を伸ばす。何気なく目を通してみる。

と、「恋はインパクト!」というページに出くわす。

『其の三十一、イベントを活用せよ!』

「イベント・・そういえば、来週訓練競技会があるわね・・。」

『其の三十三、男は手料理に弱い!!』

「手料理・・そ、そうか!訓練競技会の時にジント君にお弁当を作っていけ!ということね!」

俄然燃える委員長。

「恋はインパクトよっ!!」

 

・・委員長の夜はふけていく・・・。

次の日の夜・飛翔科修技館・学生寮・ユーリルの部屋

 

「うーん、ジントと兄さんの部屋に行くことはあの一件以来、兄さんに1ヶ月禁止されているわ。どうしよう?会えないとますますジントに会いたくなるわ。まぁ、今は、恋敵である王女殿下の情報でも集めますか?」

 

そういって、紋章院の思考結晶にアクセスしてそこの『アブアル・ネイ=ドゥベルク・パリューニュ子爵・ラフィール殿下資料集』という項目を選択して、その中の今まで集めた情報をなんとなく眺めるユーリル

 

 

すると、ある項目に目がいった。

 

王女殿下の得意料理・・・なし。殿下は料理をしたことは一度もありません。

 

「こ、これは、使えるわ。殿下は料理ができないけど、私はできるわ。しかも、地上世界出身者の味の好みも多少わかるしね。私が手料理を食べさせれば、彼の心を射止めるかもしれない。しかも、殿下は、この分野に関してはまったく、私には歯が立たない。よし、いけるわ。」と一人、分析するユーリル

 

そして、今後のスケジュールを確認すると、主計科修技生と飛翔科修技生との合同の訓練競技会が来週行われることがわかった。

 

「うん、来週のこの行事ならジントに会えるわ。このとき、昼食は私の手作り料理で彼の心を手に入れるわ。」ユーリルも手料理に燃えるのだった。

・・・それから弁当作りの準備に余念がない二人。

「料理は食材がすべて!」

と、今が旬の最高の食材を集める委員長。

「例えば卵焼きを作っても、作る人が違えば味も違う!要は料理人の技量!」

と、料理教室に通うユーリル。

 

やがて決戦前夜となる。

 

「人事は尽くしたわっ!あとは・・隠し味に愛情ね!」

 

「彼、気に入ってくれるかしら・・・。いいえ、きっと大丈夫だよ!」

 

不安と期待。それぞれの想いをお弁当に込める。

 

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