ジントの修技館時代    作:いち領民

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ジントの修技館時代 第22話

一方、ユーリルとハーデスは、それを昆虫サイズの小型カメラで状況を確認していた。

 

「やはり、情報局の連中は、失敗したか。まぁ、当然か。あんな正攻法でいっても、ダリシュに勝てるわけがないしな。我々『青の牙』全員がかかっても、まともにやったら、勝ち目がないというのにな。なぁ、ユーリル」息子の恐ろしさを再び、実感するハーデス

「なぁ?って同情を誘ってどうするの!?まぁ、当然だけどね。と、いう事は何か策があるのかしらね?」

ハーデスはニヤリと笑い。

 

「確かに無敵を誇るダリシュだが、さすがに“二喬”だけは倒せないでいる。帝国の危機の時のみ現れる極秘の『闇の狩人』を派遣した。この2人なら止められるはずだよ、ユーリル」

と自身気に話すハーデス。

 

「えー。まさか、あの二人が…。でも、どうして、こんな私達の個人的な作戦に参加するの?いくら、父さんからの古い付き合いとはいえ、あの二人が動くとは思えないわ。」驚くユーリル

 

「まぁ、それは、ユーリルにも秘密だ。蛇の道は蛇だとでも行っておこう。もうすぐ、ダリシュに接触するはずだ。」

そのときは、自信満々のハーデスだった。

 

その頃、ダリシュとジントは主計修技館の軌道施設の宇宙港へ向かっていた。

 

「ダリシュ、さっきは、本当に大丈夫だったの?突然、君が僕から一定の距離を離れたら、凝集光銃が雨のように君に襲いかかったみたいだけど………」心配するジント

 

「ジント、大丈夫だ。それより、急ぐか…。うん?これは、困ったことになった“二喬”の登場か…。ジント、しばらく別行動でいく。」ダリシュの空識覚は100ウェスダージュの遠方の二人を捉えた。

 

「え…。そうなの?でも、君と離れると逃げるのなんて無理だと思うけど。」不安になるジント

 

「あくまでも、一時的処置さ。君には、この特殊な移動壇に乗ってもらい。それで、ヘルマスター専用特殊戦闘艦『影船』1番艦ラシェールまで、いってもらう。」

 

そういって、何も無い空間を指差すダリシュ

 

「え…移動壇、そんなものないけど」疑問を抱くジント

 

ダリシュが見ない空間に操作をすると、円柱状物体がとつぜん、何も無い空間に現れて、そこが開くと中には、移動壇があった。

 

「これは、迷彩機能がついている特殊なものなんだ。アーヴの空識覚もだませる代物でね。これで、しばらくは、ごまかせるだろう。とにかく、行き先はすでに入力済みだからディアーホと一緒に頼むよ。それに、強力な護衛もつけとくよ」

 

そういって、ダリシュはジントをそこへ押しこむと端末を操作して、ジントから離れた。

 

その様子をユーリルとハーデスは、小型カメラで捉えており、二人ともほくそ笑んだ。

 

「ユーリル、二人が離れた。まぁ、“二喬”が相手なら、当然、ハイド伯爵閣下は足手まといになる。しかも、まきこまれて、怪我でもされたら、ダリシュはもっと、困るから。あいつは、優しいからな。」彼の性格を利用してわざと、二人をダリシュに見つけやすいようにしたハーデス

 

「そうね。兄さん、悪いけど、これで邪魔するのがいないわ。父さん、待機していた前マスターの方々に捕縛命令を出して。」

 

すでにダリシュがジントから離れたことにより、完全に勝利を確信するユーリル

 

「そうだな。『ジャスティス』以下、ハイド伯爵閣下を捕縛しろ。現在、特殊迷彩移動壇を使っているから、7方向から囲むように捜索せよ。まぁ、君らなら、見逃すこともないと思うが、二人が別れた1番、最後のポイントの情報を教える。それと、ラシェールがこの近くにあるはずだ。それをたどれば、待ち伏せも楽だろう。」久々に息子をだしぬけると満足するハーデス

 

一方、ダリシュはすでに“二喬”の二人の前に立っていた。

 

「大喬さん、小喬さん、お久しぶりです。ところで、どうしたのですか?お二人とも、なんだか、ものすごい闘気をだしていますけど?」銃はかまえず、いつものようにのんびりと話すダリシュ

 

「あなたを止める役目をハーデスからいわれてね。それともう一つあるわ。ハイド伯爵閣下の身柄を渡してくれないかしら。」扇子を構えながら言う大喬

 

「そうですか、でも、残念ながら伯爵閣下は、ここにはいません。すでにラシェールの元へ送りました。それに、僕がここにきたのは、闘うためではなく、交渉するためです。二人とまともに戦っていたら、勝てるわけ無いですからね。」穏やかに微笑むダリシュ

 

「そうなの?でも、私達がハーデスを裏切ると思う?」興味深くダリシュを眺める小喬

 

「あなた方は、父の部下でありません。あくまでも、契約上でここに来たのでしょう。しかも、役目はハイド伯爵閣下確保より、僕を止めて、時間稼ぎをするのが役目。もうすでに、契約は、事実上履行しているのでは?ここから、僕と交渉していただけないですか?」あくまでも交渉による解決を図るダリシュ

 

 

「ふーん…。そうね。あなたの言うとおり、私達は止めるのが役目、別にその手段はとわれていないわ。いいでしょう。ダリシュ君と交渉することによって、時間も稼げるしね。」なぜか、顔を赤くしながら話す大喬

 

「まぁ、姉さんがそういうなら仕方ないわ。」小喬もダリシュの提案を受け入れた。

 

「では、立ち話も悪いですし、あそこの食堂へ行きましょう。当然のごとく、僕がおごりますけどね。」

 

三人とも近くの食堂へ入った。

 

「ねぇ、ダリシュ君、そんなにのんびりしていていいの?私が口出すことじゃないけど、別働隊がハイド伯爵閣下を捕縛しに言っていると思うけど。」ソイ・アーサを片手に尋ねる小喬

 

「うん、大丈夫ですよ。しばらくは、もつでしょう。それより、交渉を進めましょう。大喬さん、あなたに依頼したいことは、委員長側、つまり、カシュナンシュ大提督の方をとめてもらいたいのです。報酬は…」

そういって、耳元へつぶやくダリシュ

 

「…・わかった。必ずよ。小喬、私はダリシュ君と契約をすませるわ。」顔を赤くしながら満面の笑みを浮かべる大喬

 

「それで、私には何を依頼するの?ダリシュ君。」興味深げにダリシュを見る小喬

 

「小喬さんは、達観していてください。でも、あなたも人が悪いですね。あなたでしょう。カシュナンシュ大提督をたきつけたのわ。これで、僕も苦労が増えたのですから」そういいながらも楽しそうに言うダリシュ

 

「あら、わかっていたのね。さすが、ダリシュ君ね。私が委員長の母親ということを。まぁ、今回みたいな戦闘時以外の普段の生活はカラーコンタクトとメガネをしているけどね。いわば、仮の姿というわけだけど、だから、あのとき、家に来たとき娘達と一緒に旅行にいたの。」

にっこり微笑む小喬

 

「でも、私は悔しいわ。なんで、妹の娘がダリシュ君に惚れたと知ったとき、あんな小娘より私のほうが絶対、美人なのに。」不満そうな大喬

 

「大喬さん、小喬さん二人ともアーヴの中でも1番美しいですよ。でも、それが即恋愛の対象とはならないです。特に僕にとってわね。父によく言われていたのです『美しい薔薇には刺がある』といっていて、その教育のたまものですよ。」穏やかに微笑むダリシュ

 

「ハーデスの影響…・。まったく、私達にふられたからって、そんな教育して、もうむかついた。小喬、私は絶対ダリシュ君につくいいわね。あなたはどうする?」完全にダリシュにつく大喬

 

「そうね。私も達観しているわ。面白そうですし、エールがどんな手段を考えているか興味もあるしね。じゃぁ、ダリシュ君、頑張ってね。」そういって、小喬は去っていった。

 

「ダリシュ君、報酬を忘れないでよ。私との熱い一夜を」顔を赤くしながら去っていく大喬

 

「さてと、こちらは、片付いた。向こうの様子はどうかな?」

一人つぶやき、考えるダリシュだった。

 

 

一方、ジントはディアーホを抱えながら、不安だった。周りの外の様子は見えるけど、まったく、こちらの存在を気付かず移動壇は、第7埠頭へ人や物を感知してよけながら向かっていった。

 

「ディアーホ、僕達どうなるのだろ?なんだかとんでもない状況になったみたいだ。大人しく二人のアリレームを食べていた方がよかったのかもしれないな。情報局と『青の牙』が僕を狙っているなんて……。そんな人間、この銀河に僕しかいないのだろうな。」

一人になってますます不安になるジント

 

「にゃーん」甘えるように泣くディアーホ

 

「やっぱり、ディアーホにいっても、しょうがないか。それにしても、僕達どうなるのだろ?」

 

ジントは、ただ、移動壇につかまり、状況が流れていくのを待つだけだった。

そして、ジントの見えない移動壇を巡って、壮絶な闘いが各地で起きていた。ダリシュの言っていた強力な護衛と前ヘルマスター達の戦いだった。

 

「前クリューヴマスターのファウスト・ウェフ=フーレア・セーラね。初めまして、ダリシュ君の命令によりあなたを止るわ。」金髪で紺碧色の瞳をした白いワンピースを身につけた16~18歳くらいの見た目は地上人の少女は言った。

 

「あなた何者?見かけない顔ね…。あなた…人間ではないわね。」地上人の少女の本性をすばやく見ぬくセーラ

 

「私の名前はミカエル。よろしくね。かつて、機械兵士といわれていたのよ。オリハルコン製のね。」さわやかに笑うミカエル

 

「オリハルコン製の…・。例の事変のときのものを再利用したの?ダリシュ君が」驚くセーラ

 

「そうなの。緊急時に私達がダリシュ君の命令でうごけるように思考結晶をすげ代えたの。私はダリシュ君がつくった擬似思考結晶生命体『ヘヴィ・ベル』の一部でもあるの。」満面の笑みをするミカエル

 

「(………なんてやっかいなものを用意するのよ。ヘルマスターは。)」オリハルコン製ではないが、特別製の剣を構えるセーラ

 

「セーラさん、安心して。ダリシュ君は今回の戦いでは、絶対死人はださせないつもりなの。だから、私の役目はあなたを止めるだけ。殺す気はまったくないわ。それに私達は対マスター専用エンジェルといわれているわ。ああ、エンジェルというのは、私達のことまぁ、総称するとアークエンジェルというけどね。」

 

こうして、二人の激闘は始まった。

しかし、命令が徹底するためか、ミカエルは、セーラの剣技をかわしたり、うけとめたりするだけで、攻撃をいっさいしようとしなかった。だた、逃げようとすると、その先を回って、構えるということを繰り返した。

 

「(…・なるほど、対マスター専用という意味がわかったわ。私の剣技を読みきっているだけでなく、そこに的確な防御をする。おまけにオリハルコン製の体。いやらしいわね)」唇をかみ締めるセーラ

 

この状況は他の6人の元マスター達もウリエル、ガブリエル、ラファエル、ラグエル、サラカエル、レミエルによって、行動を阻害されていた。

どのアークエンジェルもすべて、動きを止めることを目的として、致命傷をおわせる攻撃はしなかった。

 

その戦況を見ながら、ハーデスは、ダリシュとの会話を思い出していた。

 

ハーデスの回想

 

「父さん、ここにあるオリハルコンはすべて、僕の管理にまかせてくれないですか?これだけ大量にあると、また、どこかで悪用されないとも限らないですから。」

 

「そうだな。この『サタン事変』で見つかったオリハルコン。確かに敵に使われるとやっかいだ。ダリシュにまかせるよ。好きなように処分していいぞ。私も今回のことで色々と忙しい。そこまで、手が回らない。お前に任せれば、安心できるから」息子の申し出を嬉しく思うハーデスだった。

 

「父さん、ありがとう。大丈夫。損はさせないから」

 

……………………………………………………………

「まさか、こんな戦力があるとはな。油断した。く…。ニ喬はどうした?ユーリル何か聞いていないか?『ジャスティス』達を援護しなくてはならなくなった」完全に動揺するハーデス

 

「え、さっき連絡があって。契約破棄を伝えられたのよ。ミイラとりがミイラになったみたい…。とにかく、ジント確保を優先するわ。お父さん、もう時間がないから、二人で行きましょう」状況の変化についにユーリルもいてもたってもいられなくなった。

 

「わかった。まったく、息子の優秀さには、あきれるよ。本当に。」最後は愚痴っぽくなり、ジント捜索に行くハーデスだった。

 

「小喬だけどね、情報局の連中は混乱しているわ。逃げるなら今よ」

と、小喬が連絡をとる。

 

「有難う。(思考結晶を乗っ取れるのは今は小喬ただ1人)」

ダリシュは情報局が混乱したその隙をついてラシェールに乗り込んだ。

 

出航し、しばらくして巡察艦が2隻現れる。しかし、二隻はお互いに鼻ずらを向け、電磁投射砲を撃つ。直撃すれすれで自爆。

 

「小喬さん……まさか思考結晶にハッキングするとは。下手をすれば禁固刑になるというのに。大喬さんの足止めも助かった。敵に回さなくてよかったよ…本当」

と、溜息混じりに呟く。ジントはその隣でディアーホと遊んでいる。

 

「さてと、あとは、帝宮までいけば大丈夫ね。ダリシュ君」とある場所から連絡を取る大喬

 

すると、突然、帝宮の進路上に4個分艦隊が現れた。

 

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