こうして、ジント、ハーデス、ティアラ、ユーリルは紋章院が管理する地上世界の一つに降りることになった。
そして、ジントたちが宇宙港に向かう途中、ハーデスのクリューノがなった。
「父さん、僕だよ。戦の最前線なんだけど、敵が最終防衛権を突破した。幸いにも、大喬さんが全て破壊した。でも、多勢に無勢。助かる見込みは無いけど、入港させてやってくれ」
そして、入港してきた艦は爆散寸前で、しかも、その乗員全員息を引き取っており、大喬も死ぬ寸前だった。
「はぁ、はっぁ。ハ…デス、私…もう」
「大丈……」
「本当に大丈夫か……。わかるっでしょ?ゲホッゲホッ。肺が……潰され、呼吸もままならない。心臓も傷ついてる。お願い……本当に私を……想っているのなら……」
そこに居た全員が同じ言葉を想像した。
「私を殺して」
と。
「む、無理だ。私には撃てない」
とハーデス。
「アーヴの治療をもっても回復できない程の傷よ。一思いに殺してあげないと」
とユーリル。
「で、でも、もしかしたら助かるかもしれないじゃないか。助けてあげようよ」
とジント。
結局ハーデスは何も出来ず、銃を置き、彼女を抱きしめた。
「もし、あの世が存在するのならば、そこで貴方を待っているわ」
「ああ、待ちくたびれてしまうかもしれないがね」
大喬はその台詞を聞いてニッコリと微笑んだ。ハーデスは笑みを返凝集光銃の引き金を引いた。
彼女の遺体は小喬に引き渡し、予定どうり、地上に降り立った。
「訓練用の星とはいっても、自然が美しいなぁ。空気も美味しいし。ところで、どうしてこの星を訓練用にしたんですか?」
と、その疑問に答えたのはティアラだった。
「青の牙はどんな状況でも戦わなければならない。それは判りますね?密林というのは生き物です。戦場と同じ様に生きています。もし迷い込めば2度と出られない。もしそうなれば死ぬのを待つだけ。そこで、ここの訓練施設が必要なの。ここで絶対の地理感と、待ち伏せの危険性を学ぶのです」
と詳しく教えるティアラ。
「まぁ、ここは、『青の牙』だけではなく、他の紋章院の諜報員のメンバーもいるしな。地上世界出身のものも多くいる。とにかく、楽しもうか。」そういって、森の中にある別荘のような施設に案内するハーデス
「わかりました。ハーデスさん・・・その。大喬さんのことは・・・・お悔やみ申し上げます。」ジント
「ああ、なぜ、彼女がダリシュの任務に参加したかわからないが、こんな結果になるとはな。正直、ショックだよ。大人しくクリューヴ王家の護衛だけに専念しておれればよかったのに。」と寂しそうに言うハーデス
「父さん、兄さんが指揮していたのなら、素人の大喬さんを任務に参加させるはずないのにどうして?・・・そうか。わざわざ、陛下に頼んでまで、ついてきたのでしょうね。この前の誘拐事件の無くした信用を兄さんから取り戻すために、本当に無茶ね」唇をかみ締めなら言うユーリル
「これで、『闇の狩人』を引き継ぐのは、彼になるだろう。”二喬”の弟の趙雲・・・。小喬では姉が亡き後、精神的に続けるのは無理だろうし、『眠れる獅子』と呼ばれた彼が、今後その任務を継続するしかないだろう」憂鬱な表情をするハーデス
「父さん、もう大喬さんの話はやめましょう。私たちは、アーヴなんだから、生きていくことを考えて、この休暇を楽しみましょう。」ユーリル
こうして、ジント達が浮揚車がとまったところは、森林の奥にある湖の近くにある静かな雰囲気を漂わした別荘だった。
「さてと、ここに来るのも久しぶりね。さてと、せっかくだから泳ごうかしら?」ユーリルはそういって、部屋の奥に着替えに言った。
「ジント君は、泳げるかい?」とハーデスは聞いた。
「いや、そういうのは、マーティンにいたときに、わずかにプールにいっただけで、たぶん、忘れていると思います。」頬をかくジント
「じゃぁ、ユーリルに教わった方がいい。彼女は、なかなか上手いからな。そうだ、私のだけど、サイズは調整できるから、水着を渡しとくよ」とハーデスも水着を渡して、着替えに行った。
「ああ、そうそう。伯爵閣下。これをクリューノにかぶせて。これで、水にぬれても壊れないから」そういって、ティアラは透明の膜状のカバーをクリューノにつけた
「あのう、頭環はどうするのですか?」
「私達はつけておくわよ。水中でも大丈夫な汎用タイプですからね。さてと、私も着替えに行きます」
そして、着替えが終わり、湖に一足早くつかるジント。
「小鳥の囀りがのどかでいいですね、訓練用の惑星なのを忘れてしまいそうで」
「ええ、どうせなら『訓練用惑星』ではなくて『リゾート惑星』にすればよかったのに」
と、ユーリルが言う。たしかに、この惑星は、それほどな美しさがある。先に言った、どこでも同じ能力をだすのを仕事としているので、似たような惑星は、帝国中転々としている。
「その浮かない顔だと、まだ大喬のことを思っているのか?死んだ者は生き返らない。死んだ者の分まで生きるのが、残された者の使命だと、俺は思うがな(もっとも、閣下には死のインパクトが強すぎたか…?)」
と、ジントの表情を読み取り、なんとか宥めるように言うハーデス。
「それに、大喬の娘もいる。母を失った瞬間は号泣してしまう子だが、立ち直りがはやい。閣下はしらないかな。大喬が、私の遺伝子をもって作った、汝昂がいるだろ?彼女も、立派な戦力になる。もっとも、過ぎた事をクヨクヨと考えるのは、閣下の悪い癖だ」
と、話を続けた。
「せっかくこんな美しい場所に来たのですから、楽しくしませんと、身がもちませんよ。ユーリルは、まだ水着の選抜に時間をかけてますから、私が泳ぎ方をお教えします」
とティアラ。
「そうですね。でも、ダリシュやユーリルは、こんな厳しい現実の世界にいるとなると、ちょっと、考え込んでしまいます。」まだ、気分が落ち着かないジント
「そうだな。でも、ジント君、ダリシュやユーリルは君といるときは、本当に幸せそうだ。君ののんびりとした雰囲気が二人の中でこの厳しい状況を忘れさせてくれるんだ。癒してくれるんだよ。だから、いつまでも二人とは仲良くしてもらいたい。父親として頼みだ」ハーデス
「そうですか、わかりました。僕が役に立てるなら仲良くやっていこうと思います。」
しばらくすると、ユーリルが着替えを済ませて出てきた。真っ白いビキニだった。ちなみにティアラは黒いワンビースでハイレグ仕様でかなりの色気を出していた。
さすがに美少女と美女、しかも二人とも見事なまでに整ったプロポーションのユーリルとティアラを目の前にしてジントは、目のやり場に困っていた。
「この風景は今日で見納めかな」
と、ジントに向かって言う。
「え。あ、あの……」
さらに困るジント。
ジントは、照れながらもなんとか、ユーリルの指導によって、その日のうちに泳ぎをある程度もできるようになった。子供のころは泳ぐことができたので、思い出したというのが実際の感じだった。