ジントの修技館時代    作:いち領民

33 / 35
ジントの修技館時代 第33話

その頃、ハーデスは病院にいた。

幸い小喬は一命を取り留めた。今は再生槽の中で眠り続けている。

そこにいたのはハーデスだけではなく、カシュナンシュ大提督と委員長がいた。

 

「それで、わが愛の様子はどうなんだね。ハーデス・・・。」

 

「ああ・・・、とりあえず大丈夫だといっていた。・・・もっとも・・・。」

暗い表情のままハーデス。

 

「・・・・・そうか・・・。」

カシュナンシュも大喬の死を聞いていた。

「あの時のわが愛の様子といったら、今思い出すだけも・・・。」そう言って苦々しい表情をしていた。

「・・・・・。」委員長もその表情は暗い。

 

「委員長。わが愛の様子を見てやってくれないか。私とハーデスは少し外へ出るから。」

そう言って委員長に気遣うカシュナンシュ。

 

「わかったわ・・。」と委員長。

 

二人は部屋を出た。

部屋には委員長と再生槽の中で眠っている小喬が残されていた。

 

「・・・・・。お母さん・・・。」とボソッと言う委員長。

 

「さて・・。カシュナンシュ・・。君が私と一緒に部屋を出たのも、ここに連れて来たのも、何か話があるのだろう。それも委員長に・・・いや、誰にも聞かれたくない話を。」

と、表情を硬くするハーデス。

「さすがだね、元ヘルマスター。その通りだよ・・・。」大げさに肩をすくめるカシュナンシュ。

 

二人がいる場所は部屋のすぐ近くにある非常階段だった。ここには誰も使っておらず、内緒話をするには最適な場所である。

 

「実は、君に話すべきかどうか迷っているんだ。私も詳しくは聞いていないから・・。」

と迷いを見せるカシュナンシュ。

 

「?・・どういう意味だ・・?」とその表情にいぶかしむハーデス。

だが、次の言葉にハーデスは完全に凍りついた。

時が凍りついたような沈黙

 

「・・・・・な、・・・何・・だと・・・。もう一度・・言ってくれ・・・。」

ようやく口に出来たのはこの言葉だった。

 

「・・・ああ・・。・・・〈サタン〉が復活した・・・。しかも、完全に・・・。」

カシュナンシュらしからぬ怯えを見せた。 

 

「ば・・・馬鹿な・・・。奴は・・・あの男は・・完全に滅びたはずだ・・・。それを一体どうやって・・。」

 

「私にもわからない・・。どうやって復活したでさえも・・・。だが・・、わかっているのは奴の狙いだけだという事には・・・。ぐっ・・!」

 

「・・教えてくれっ!!カシュナンシュッ!!・・奴の狙いって一体何だ!?」

ハーデスは劇昂し、カシュナンシュに詰め寄った。

 

「あ・・・ああ・・わかった・。だから離してくれ・・。苦しいから・・・っ!」

苦しそうに言うカシュナンシュ。

「あ・・ああ・・・。すまない・・。取り乱して・・。」

そう言って手を離すハーデス。

 

「それで、奴の目的は一体なんだ。」気を取り直してハーデス。

 

「ああ・・・・・。奴の狙いは・・・。」一呼吸をおいてカシュナンシュは次の言葉を言う。

「・・・・・ハイド伯爵閣下だ・・・・・。」動揺を抑えるように言った。

 

今度こそハーデスは完全に凍りついた。

その場は完全な沈黙に包まれた。

沈黙を破ったのは予想外な声だった。

 

「・・・パパ・・・。」と暗い表情まま委員長。

 

「・・・な・・・、い・・・委員長・・・き・聞いていたのか・・・。」

と動揺を隠せないカシュナンシュ。

 

「今の話・・、ジント君が狙われているって、本当なの・・・?」

 

二人は完全に動揺した。

最早ここまでいくと隠しようがなかった。

「・・・あ・・・ああ・・。」とだけ答えた。

 

「・・・・・そう・・・・。」と委員長は凄惨な笑みを浮かべた。

 

「・・・・・!!!・・・な・・・・!」

「だ・・・堕天使の嘲笑・・・・」

その笑みを見て二人は戦慄のあまり凍りついた。

 

『堕天使の嘲笑』

それは二喬を知る人間にとって恐怖の代名詞であった。

なぜなら、その笑みを向けられた人間にまっているのは凄惨かつ残忍な死だ。

 

そして、二人は確信した。

『やはり、二喬の血を継いでいる。』と

 

「い・・・委員長・・・。ま・・・まさか・・・、完全に本気を出すのか・・・?」

と怯えた様に言うカシュナンシュ。

 

「ええ。そうよ・・。だって・・私のジントに手を出すもの・・・。ましてや・・・殺すなんて・・絶対にさせるものですか・・。」

と『堕天使の嘲笑』のまま委員長。

 

「・・・・!!」

カシュナンシュは完全に言葉をなくした。

 

『・・・な・・・い・・今の彼女・・ダリシュと対峙した時の不囲気に似ている・・。』

ハーデスは完全に委員長に気圧されていた。そして、

『ユ・・・ユーリル・・お前はでもないものと恋敵をしているんだな・・。』

と付け加えた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。