ジントは、久々の休日を自分の部屋でディアーホを相手に退屈をしのいでいた。
「ディアーホ、だいぶ、大きくなったな。でも、あいかわらずのんびりしているね」とディアーホの喉をならしながら話しかけるジント
「にゃぁーお、ゴロゴロ~」ジントにじゃれるディアーホ
「でも、僕の話し相手としては、不足かな。最近、ダリシュはなんだか忙しいみたいだし、かといって、勉強する気もならないな。」
すると、寮部屋に一人の訪問者が来た。
「ハイド伯爵公子閣下、ここにいらっしゃいますか?」とインターホンをならすユーリル
「あ、はい。誰ですか?」
「ダリシュの妹のシュリル・ウェフ=キルヒム・ユーリルです。ハイド伯爵公子閣下と少し話がしたいと思ってきました。」
,「はい。どうぞ(なんで僕に用があるのだろう?・・ダリシュのことかな)」当惑するジント
「ハイド伯爵公子閣下、単刀直入に聞きます。兄の想人は誰なのですか?」ジントが出したスルグーに一口のんでから、意を決して言うユーリル
「えーっと…・。それについては、答えられないよ。ダリシュにとめられているんだ。それと、伯爵公子閣下はやめてくれないかな。やっぱり、その称号を言われると自分じゃない気がするから。」金色の瞳にじっと見詰められて緊張するジント
すると、ダリシュと同じように不思議そうにジントを見つめるユーリル
「そうですか、やはり、兄にとめられていましたのですか。では、無理に聞きません。それと、閣下の称号については、改める気はありません。これは、礼儀ですから。私は現在はいち士族ですし、五等勲爵士の身分では、伯爵公子閣下の身分には遠く及びません。それに、私は、来年、飛翔科の修技館をうけるつもりですが、今は、軍にも所属していないので、当然の振る舞いです。」宮廷序列の常識どおりに振舞うユーリル
「そうなのかい?何だか、その扱いに慣れてなくて…。でも、常識なんだから、仕方ないか。ところで、君は、これからどうするの?すぐ帰るの?ダリシュが来るまでもお茶の1杯くらいのんでくれよ(そういえば、ダリシュに彼女にあきらめさるようにとも頼まれていたな。とりあえず、努力はするかな)」ユーリルの説得工作のためにひきとめるジント
「わかりました。あの有名なハイド伯爵公子閣下の誘いを受けるなんて、名誉なことですから断るわけにはいけませんわ。」ちょっとした悪意をこめて大げさに言うユーリル
「それは、ダリシュの想人を教えてくれない報復かい?僕がその称号を迷惑がっていることを知っていて、そんな言い方をするなんて君も意地が悪いな。」あまりも大げさな振る舞いに反撃をするジント
「すいません。調子に乗りましたわ。私を誘うなんて意外でしたので、それで、理由は兄をあきらめるように説得工作でもするつもりでしょうか?」あっさり、ジントの考えを見ぬくユーリル
「えーっと…・。ダメだ。もっともらしい嘘は思えつけないよ。君の言うとおり、ダリシュに頼まれたんだ。これで、僕と話をする気はなくなったかい?」あっさり、降参するジント
「いいえ、そんなことはありませんわ。むしろ、ちょっと、話をしたいと思いました。」まぶしい笑顔で答えるユーリル
「それは、ありがたい。これで、努力をしたことはダリシュに認めてもらえそうだよ。これは、個人的な話だけど、どうして、ダリシュを好きになったのかい?アーヴの世界ではよくある話かもしれないけど、僕の地上的感覚だと禁断の恋というイメージがあるんだ」
ラフィールのときもそうだけど、ジントは自分が意外に大胆だなと思った。
「そうですか。では、兄を好きなったときの思い出を話します。最初に兄を意識したのは13歳のときでした…・」といって、表情豊かに長々と話すユーリル
「(なんだか、最初は、無視されたから、馬鹿にされたと思ったけど、話していると案外、素直でかわいい子だな。たぶん、ダリシュに夢中なんだね。恋する乙女というのはこんな感じなのか。)」
「あ、すいません。閣下。私ばかり話して…。でも、どうしてでしょう。ハイド伯爵公子閣下の前だとなんだか、自分の気持ちを素直に話せてしまいます。兄のこと関しては、まだあきらめることはできませんけど、少しは気持ちが落着きました。ありがとうございます。」素直に感謝するユーリル
「そうか、よかったよ。僕も君のさっきの話ぶりを聞いたら、あきらめるように説得する気持ちはなくなったよ。とりあえず、ダリシュには一応、努力したと言っておくよ。」
「そうですか、わかりました。それと…。もし、伯爵公子閣下がこの称号が嫌ならジントと呼んでいいですか?そのかわり、私はユーリルと呼んでください。」はねつけらたらどうしようとおそるおそる聞くユーリル。
「もちろん。いいよ。だから、その敬語調はやめてくれよ。(どうやら彼女の心境に変化があったのかな、まぁ、いいか。)」
「わかったわ。それでは、ジント、さっきの時間楽しかったわ。今後もここに来ると思うけど、そのときはよろしくね。」そういって、上機嫌でかえっていくユーリルだった。