八咫鏡が見た13秒後では理子が逃走した後、2機のミサイルがこの飛行機を撃ち落とすと言うものだった。それを防ぐため大急ぎで操縦室に向かう途中で、アリアが気を失っていた間の説明をした。
「理子があのイ・ウーのメンバーだった何て…」
「あぁ…驚きだな…」
操縦室のドアを開けるとパイロットは床に倒れ気絶していて、操縦桿には理子が取り付けていた遠隔装置が設置されていた。
「アリア!パイロットを頼む!」
「わかったわ!!」
半ば強引だがリミットカットを使い、遠隔装置を引き剥がしコックピットに座り操縦桿を握った。
「アリア!何かに掴まれ!!」
2機のミサイルは目視できる距離まで来ていた。
「掴まったわ!」
「衝撃に備えろ!!んんッ…」
操縦桿を左に向け機体の向きを変える。例え回避は無理でも、当たりどころを変えるためだ。
そしてミサイルが左右のエンジンに当たり、爆破するが機体は無事だ。
「アリア大丈夫か!?」
「えぇ大丈夫よ」
アリアもコックピットに座り、ヘッドセットをつける。
「どんな状態なの?」
「墜落は免れたが…4機のうちの2機のエンジンがやられた」
「どのみち墜落はしそうね…」
「助かる努力をする時間があるだけましだよ」
「確かにそうね…で?何か助かる手段はあるの?飛行機の操縦経験は?」
「あるがセスナ機ぐらいだ、アリアは?」
「私も同じよ…こんなデカイ飛行機何て着陸の仕方すらわからないわ」
「落ち着けアリア」
混乱するアリアの頭を撫で落ち着かせる。
「…もう…からかわないでよ…馬鹿」
何故かアリアの顔が紅くなる。その表示にドキッとした。
「こ…こちら600便、羽田コントロール応答願います」
[こちら航空自衛隊関東方面指令部…600便か?]
無線に応答したのは何故か航空自衛隊だった。
「自衛隊?」
[そうだ、そちらは現在当指令部の管制に入っている…状況を知らせよ]
何故自衛隊なのか納得は行かないが、取敢ず命令に応じる。
「ハイジャック犯はパラシュートで逃走…乗客は無事だ、パイロットが負傷したため乗り合わせた武偵2名が操縦している…」
隣の窓を見ると、自衛隊のモノと思われる戦闘機が飛んでいる。
「俺は伊達政時、もう1人は神崎Hアリアだ」
[よくやった伊達政時武偵…次の指示をまて]
そう言い残し無線が切れる。
「ん〜?何で航空自衛隊に繋がった?…」
衛生電話を取り出しある番号にかけた。
「それは?」
「衛生電話だよ、皇先輩に持たされてるんだよ」
[もしもし政時くん!?飛行機はどんな状態かしら?]
数回のコールオンの後皇先輩の慌てる声が、電話越しにコックピットに響く。
「はい、エンジンは4機のうち2機は破壊されてます…今俺の状態はどのくらい漏れてますか?」
[今の所は貴方とアリアが東京上空で600便を飛ばしている、という事ね…]
どうやら航空自衛隊はこの便の事をいち早く察知したようで、そして皇先輩達は航空自衛隊の無線を傍受したのだ。
[今は情報網に急激なスクランブルが掛かってて皆解読に必死よ…多分航空自衛隊は何か企んでるわ…エンジンを2機も…政時くん燃料器は読める?]
「今240…235…どんどん減ってる」
[不味いわね…ダダ漏れてるわよ…]
「どのくらい飛行できますか?」
[日頃の行いが良ければ10分ね…]
「…10分か…」
[それで政時く…]
[こちら航空自衛隊関東方面指令部、600便応答せよ]
ノイズと共に皇先輩との通話が切れ、変わりに先程の無線で話した航空自衛隊員の声耳にが入ってきた。
[羽田滑走路は現在トラブルにより使用不能…現在地より右方向に旋回し太平洋上に針路をとれ、自衛隊機が安全確実に不時着できる場所まで誘導する]
「政時ここは取敢ず従いましょう」
アリアが旋回しようとするが操縦桿を握る手に俺のてを重ねる様にして、向きを戻した。
「政時?」
「…海の上に安全に着陸できる場所何てない…」
声を出すと繋がったままの衛生電話で航空自衛隊に筒抜けになってしまうため、無言で首を横に振る。そしてアリアの耳元に近づき小声ではなす。
「政時くん!わかってると思うけど海の上に安全確実に着陸できる場所何てないからね!!」
無線からノイズが聞こえたと思えば、斑鳩先輩声が聞こえてきた。
[何だ?…どうやって割り込んだ?]
[五月蝿いわね、黙りなさいッ]
今度は皇先輩の怒りに満ちた声だ。
[政時くん、神崎さん聞いて!航空自衛隊は政府から着陸失敗の場合のリスクを考え羽田、成田の着陸を認めず関東近海の太平洋上に不時着させて、もし600便が従わない場合は洋上でなの撃墜もやむなしと命令されてるのよ…滑走路のトラブルも勿論嘘、自衛隊は600便を見捨てたのよ]
「マジか…」
「げ…撃墜…」
[航空自衛隊関東方面指令部だったかしら?そこにいる武偵2名は私達の家族なの!貴方達の様に仲間を見捨てる様な事は武偵は絶対にしないのよ!!]
「家族…私も?…」
アリアが不安そうな顔でこちらを見つめる。
「そうだよ!アリアも俺達の家族だ!」
[私達武偵は強欲なのよ]
[だから!一般市民も家族もたすけたいの!!]
「皇先輩…斑鳩先輩…」
2人の先輩の言葉に圧倒され航空自衛隊の無線が切れる。
「皇先輩、この飛行機はどの位の距離があれば着陸できますか?」
[風向きにもよるけど…2000と60mは欲しいわね]
「ギリギリか…」
「ギリギリって?」
「学園島のメガフロートは南北2km東西500mで対角線上に降りれば2061mは稼げる」
[政時くん!?まさか?]
「安心してください斑鳩先輩、学園島に降りるわけじゃないですよ」
[じゃあ何処に?]
[空き地島のほうね?]
「正解です皇先輩」
[でも政時くん…あそこには何も無いのよ?この天候だと島の輪郭すら見えないわよ?]
「燃料の残量を考えるてとそこがベストなんで何とかします…」
[政時くん…]
[もう無茶ばっかり!!どうにでもなれだよ!!皆!ちょっと手伝って!!]
斑鳩先輩がやけくそ状態になったらしく、その場に居た皆で何かしてくれらしい。
[神崎さん…]
「は…はい!?」
突然名前を呼ばれ声が裏返る。
[病院の事をちゃんと謝りたいから…無事に帰ってきて…]
「わかりました!」
[フフッ空き地島の事は私達に任せて!]
「わかりました!頼みます」
それを最後に無線が切れ、操縦に集中する。
空き地島に近づくと共に車輪を出し高度を下げていくが、先輩の言う通り島の輪郭すら見えない。
「政時…」
「心配すんな!絶対に大丈夫だから、俺は絶対にお前を守る!」
するとアリアの手がすっと俺の手に重なる。
「政時アンタを…皆を信じるわ!!」
「アリア…ん?」
正面にあるであろう空き地島の両端に光の線が灯っていく。
[政時くんッ聞こえる!?]
「斑鳩先輩?」
再び無線から斑鳩先輩の声が聞こえてきた。
[あんまり帰りが遅いから装備科のおっきいライトや]
[車輌科のモーターボートで迎えにきたわよ!]
「斑鳩先輩…皇先輩…」
[だから無事に帰ってきてよね!!]
「武偵憲章1条仲間を信じ…」
「仲間を助ける!!」
ゆっくり機体を下げ家族の待つ場所に向かい降りた。地面に車輪が着くと衝撃で機体が揺れる。逆噴射を開始し後は止まってくれるのを待つ。少しづつ速度が落ち着いていくが、もう少しで滑走路が終わる。
「滑走路が…」
「大丈夫だよ!アリア」
その瞬間、ガシャンと大きな音をたて飛行機が止まった。
「え?…」
「風力発電の風車に主翼をぶち当てて止めたんだ」
「ふぅ…生きた心地がしなかったわ…」
救急艇のサイレンの音が近づいている。
「なぁアリア?」
「なに?」
「俺はお前のパートナーだからな…」
面と向かってこんな事を言うのが恥ずかしく、頬をポリポリ掻きながら伝える。
「私なんかで…いいの?…」
「ああ…」
「ありがとう…」
「ん?何か言ったか?」
アリアが何かを言ったらしいが良く聞き取れなかった。
「何でもないわよ!」
「この馬鹿息子がぁ!!」
「え?」
「あ”」
物語ならこのままエンディングを迎えそうな空気を、ある人物によってぶち壊された。
声のする方を見ると白衣を着た女性1人と救急隊員数人が立っていた。
「か…母さん!?しまった!?今日は勤務日…」
「政時のお母さん?」
「貴女がアリアちゃんね?おい野郎ども!!至急アリアちゃんを病院に連れていけ!」
『Yes‼︎マム』
「ちょっ?えぇ?」
「政時ッお前はここでオペだ!」
救急隊員?がアリアを運び出した後、母親の政子は鬼の様な顔で手術道具を取り出した。
「入院中にも関わらず無断で病室から抜け出し、母親の私に心配させた罰で麻酔は無しな?」
「え?あの…ちょっ…ぎゃぁぁぁ」
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