緋弾のアリア・隻眼の龍   作:楠葉遊鳥

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次回から新章に入ります。


平和なひと時

600便ハイジャック事件の翌日の早朝。アリアは頭部の怪我のため、しばらく入院する事になった。同じ場箇所を怪我した俺は母さんから「お前の場合こんな傷は縫うだけで充分だ!」との事で即退院した。話によるとアリアの額の傷跡は消えないらしい。

「麻酔無し…痛かった…」

傷を摩りながら、装備科の斑鳩先輩の元に向かっている。理由は理子に俺のスチェッキンを分解後にパーツと…トレンチナイフを紛失され、武偵校の生徒は学内での拳銃と刀剣の所持を義務ずけると言う校則を破っているため、急いで拳銃を入手しなければならない。

「ん〜銃は何にすっかなぁ」

今までスチェッキンを使っていたため、正直何を使うかまだ決めていない。

刀剣に付いては…

「あれ?政時お前いつの間にトレンチナイフから日本刀に変えたんだ?」

後から声をかけられ振り返ると、声の主は遠山キンジだった。

「あぁ…これな…」

鞘ベルトに差し込まれ俺の腰の横につけられた、日本刀の柄に手をそっと置く。

「コイツは名刀正宗っていうんだ」

「はぁ!?それ国宝で博物館に展示されてるんじゃ?」

「あれは偽物でこっちが本物だ」

「そんなすげー刀持ってんだよ?」

「これは元々俺の先祖、伊達政宗の刀だからな?親との約束で前使っていたトレンチナイフを破損紛失したら政宗を俺が受け継ぐ事になってたんだよ…」

俺の説明についてこれてないようで、口を開けたまま固まってしまっている。

「つまり…お前はあの伊達政宗の子孫なのか?…」

「そうだが?」

「ま…マジか…すげーなぁ…」

「んで、キンジはこんな早くにどうしたんだ?」

「武偵殺しの事で話があるからって綴に呼び出されて今は職員室の帰りだ」

「そっかお前も被害者だもんな」

近場にあった自販機で缶コーヒーを2つ購入して、1本をキンジにさしだす。

「サンキュー、なぁ政時…」

「ん?」

お互い缶コーヒーを呑みながら会話をする。

「武偵殺しの犯人って本当に理子…なのか?」

「…」

缶コーヒーを呑み、少し間を開けて答える。

「そうだ、理子が犯人だよ」

「そっか…」

「なぁキンジ?」

「ん?」

暗い会話を変えるため話題を変える。

「キンジの刀剣ってバタフライナイフだったよな?」

「これか?」

内ポケットから銀色の柄に収納されている、バタフライナイフを取り出した。

「ちょっと貸してくれないか?」

「あぁいいぞ」

キンジからバタフライナイフを受け取り、バタフライナイフアクションを始める。

「おお…すげー、俺より上手いな…」

バタフライナイフアクションを一通り終え、また刃を閉まった状態にしてキンジに返す。

「いいなバタフライナイフ!!」

「本当にお前変わってるよな…」

キンジばバタフライナイフを受け取ると、内ポケットに戻した。

「そうか?…っともうこんなに経ったのか」

不意に時計を見ると予定が遅れる程ではないが、長い間話をしてしまっていた。

「悪いなキンジ…疲れてるのに長話をしちまって」

「いいや、久々に平和なひと時を送れたよ」

「平和なひと時か…」

思い返すと最近は色々な事があり、こんな風に気を休めながら日常を過すと言うことが出来ていなかった。

「そういや…俺も久しぶりだなぁ…平和なひと時を…」

等と愚痴をこぼし、2人で笑い合う。

「さてキンジ、そろそろいくわ」

「あぁ、俺も教室いくわ」

『平和なひと時に乾杯!!』

お互い貴重な平和なひと時に缶コーヒーで乾杯し、中身を飲み干した缶をゴミ箱にすてキンジと別れ斑鳩先輩のいる売店に向かった。

 

 

「斑鳩先輩〜いますか?」

「ハイハイ〜いるよ」

ドアをノックすると、クリーム色の長い癖毛にリボン風のカチューシャをした小柄な女子生徒が出てきた。

「あっ政時くんおはよ!どうぞ座って、今日はどうしたの?」

「おはようございます、ちょっと銃を買おうかなと」

「あれスチェッキンは?」

「昨夜の事件で…」

「あぁ…じゃあまたスチェッキンにする?」

椅子に座ると、テーブルに銃のカタログが置かれた。

「いや、違う物にして二丁拳銃にしてみようかなと」

カタログのページを捲りめぼしい銃をさがす。

「二丁拳銃って神崎さんの影響?」

「違いますよ…二丁拳銃なら片方が壊れたりしてももう一丁あるんで戦い続けられるからですよ」

「なるほどね〜」

「ん〜」

ページを捲り続けカタログの真ん中当たりまで来ると、気になる銃を見つけた。

「ストライクガンかぁ…スパイク付きで格闘戦も出来て45口径で装弾数は12発と薬室に1発か」

「政時くんそれにするの?」

「はい」

「でも欠点があってね、銃口のスパイクが人の体とかに当たってたりするとスライドが撃鉄を押して撃てなくなるし、銃身が長くてホルスターから取りにくいんだよ」

「じゃあその欠点を先輩の力で!」

「もぉ…私だって忙しいだけど?」

腕を組み頬を膨らせ、機嫌が悪くなってしまった。

「後フルオートと3点バーストと付けて、P90も」

「ねぇ…政時くん…私忙しい…」

勝手に話を進め、ポケットから分厚い茶色い封筒をテーブルに置いた。

「銃の料金と先輩のケーキ代金ですよ」

「ゴクリ…ケ…ケーキ代…」

「数日はケーキが食べ放題ですよ」

買収しているような気分になるが、プルプル震え我慢している先輩が面白くなっている自分がいる。

「しょ…しょうがないな…ストライクガンは今日の放課後には出来るけど、P90は品切れ中だから数日かかっちゃうよ?」

「大丈夫です!解りましたじゃあ届いたら連絡下さい」

椅子から立ち上がりドアを開ける。

「わかった♪また何かあったら来てね!」

「失礼します」

軽くお辞儀をして銃の代金を差し引いき自分の手元に残るお金を数え、上機嫌な先輩のいる売店を後にした。

「前々から欲しかったP90も手に入るし良かった」

武装強盗人質事件の報酬を全て費やした訳だが、欲しい物が買えたから問題なしだ。

「んメール?」

教室に向かっていると、メールの受信音がなった。

「アリアからだ」

[政時へ、今日の放課後に大事な話があるから病院にきて]

と言う内容だった。

「…銃を取りに行った後でも大丈夫だな…何か…嫌な予感が…」

 

 




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