友達以上、恋人くらい。
平和なひと時を過ごせた今日の放課後、俺は銃を取りにまた売店に向かった。
「先輩〜銃を取りにきました」
「あっ政時!待ってたよ」
ドアを開けアタッシュケースを持った斑鳩先輩が、ニコニコしながら出てきた。
「ほら!ちゃんとストライクガンの欠点を改良してフルオートと3点バーストも付けといたよ!」
「おお!…あれ?…」
自信満々な顔でアタッシュケースを開けるとそこには二丁の改造ストライクガンが入っていたが、俺が注文した以外にもグリップに改造がされていた。
「銃身を短くしてホルスターから取り出し易くなったし、撃鉄を内蔵型にして銃口が押し付けられてる状態でも撃てるようになってるよ!!政時くんの要望通りでしょ!」
エッヘンと揺れる胸をはる斑鳩先輩に、グリップの事を尋ねる。
「先輩このグリップに埋め込まれてるカメオは
何です?」
二丁のストライクガンのグリップには、カメオがうめこまれていた。グリップの左右で模様が異なっていて、左側には武偵のマークと右側には髪を2つに結った少女の彫刻画が施されている。
「神崎さんのお願いされて狙撃手のレキさんが持ってきたんだけど…駄目だったかな?」
「アリアが?」
「うん、私の奴隷の証…だって?嫌なら戻すよ?」
「奴隷…ねぇ…いえ、大丈夫ですよ」
(ま…全く…可愛い事してくれるよ…)
アタッシュケースからストライクガンを今日の為に用意した、ホルスターに入れていく。
「政時くん顔紅いけど大丈夫?」
「だ…大丈夫です…」
「そう?ならいいけど…そう言えば、もうすぐケルベロスを取りに行った花楓ちゃんも戻ってくるしお茶でも飲んでく?」
空港に置き忘れていたケルベロスを取りに行ってくれた皇先輩に、謝罪と感謝の気持ちで心が一杯になる。
「これからアリアに会いに行くんで気持ちだけ貰って起きます、皇先輩にケルベロスの事すいませんと伝えて下さい」
「伝えておくよ、私達は明日御見舞に行くから」
「アリアに伝えておきますね、じゃあ失礼します」
売店を後にし駐車場に向かった。
「流石に手ブラってのもな…」
駐車場に着きKATANA1100に跨りヘルメットを被りながら、見舞いの品を考える。
「ん〜ケーキか果物か…」
そんな事を考えバイクを走らせる。
「ケーキもいいが…プリンもなぁ…いや、御見舞と言ったらフルーツバスケット…いや花か?でももしかしたら退屈してるかも…」
とりあえず品物を直接見ながら検討する事にし、商店街にむかった。
「アリア〜入るぞ?」
「えぇどうぞ」
御見舞の品を悩みながら購入し、数十分後にようやく病院に着いた。
「な…何よ!?その荷物は?」
病室に入るやいなやアリアに驚かれる。
「いや…な?御見舞に何を持って行けばいいか解らなかったからな?つか起きてて大丈夫なのか?」
横にならずベッドを起こし背もたれにして座るアリアを心配しながら、テーブルに持ってきた品々を置いていく。
「念のために入院しているだけだから大丈夫よ、で何をそんなに持ってきたの?…」
「ケーキにプリンとフルーツバスケットと花と退屈凌ぎの本だ」
「あんたは一体どれだけの人数に御見舞する気なの?」
「結局決めらんなくてな…選択肢全部買ってきた、後皇先輩達は明日来るそうだ」
アリアの為にフルーツバスケットから林檎を取り出す。
「先輩方には何も要らないって言っときなさいよ?これ以上増えたら大変だからね」
ため息混じりに言いながら、プリンを取り食べ始める。
「伝えておくよ…」
入院中に御見舞にきた人が林檎を剥くと言うイメージがあるが、アリアはプリンを食べているためそっと元に戻す。
「そーいや奴隷の証、ありがとな」
「…」
アリアは顔を紅くして、カラになったプリンの容器をテーブルに置いた。
「ねぇ…政時…武偵殺しの一件が済んだら話したい事があるって言ったの…覚えてる?」
「あぁ覚えてるよ、バーに行く前に言ってたやつな」
そう言い、その場にあった椅子に座る。
「その事…何だけどね…政時はもう言ってくれたけど…私からはまだ言って無かったから…」
「お…おう…」
神妙な面持ちになった為、何故かこっちまで緊張してきた。
「あのね…政時…」
「な…何だよ」
「わた…私…の…私の…パートナーに…私のパートナーになって下さい!!」
「そ…そっちかぁ…」
(いや…告白かと思ったじゃないか…)
「政時…?」
「いや…何でもない…これからよろしくな!!」
「後ね…私…政時の事が…す…す…好き…なの…」
「へ?」
突然の言葉にマヌケな声が出てしまった。
「えっと…俺もアリアのことは好きだぞ?」
「違うの…私は友達とかじゃなくて…政時を男性として好き…って意味…」
「お…おぉ…」
期待はしていたが、本当に告白されるとは思ってもみなかった。今だに頭が回らないが、アリアの真剣な表情を見て返事をうやむやにしてはいけないと思い覚悟を決めた。
「なぁアリア…1つ聞いていいか?」
「え…えぇ」
「どうして俺を好きになってくれたんだ?」
「それは…ね…私が初めて…男の人に…護られたいって思ったから…武偵殺し…理子の狙いは私1人だけだったのに…政時は危険を承知で助けてくれた…私のせいで死にかけたのに…それでも助けてくれた…そう言いう優しくて勇敢な政時が…好きになったの…」
(アリアは強い女の子だ。アリアを恐れてる武偵も多いが、昨日の雷を怖がる姿や孤独を悲しむ姿は普通の1人の少女だった。俺は…俺はそんなアリアを…俺は…)
アリアに近づき布団を握る手に自分の手を重ね、ベッドに肩膝を乗せアリアと目線が合うと無言で返事の代わりにキスをした。
「んん!?…んッ…」
唇が重なり合うとアリアの体が小さく震えていたが、俺を受け入れてくれたらしく震えが収まっていく。
まだ数秒しか経っていないがお互いキスに不慣れな為息苦しくなりどちらかではなく、双方同時に唇をはなした。
「ま…政時って以外と強引ね…」
「強引強欲だからアリアを独占しちまうかもな?」
「…もぅ…でも2回もキ…キスして大丈夫なの?」
「大丈夫ってなにが?」
「だ…だって…キスしたら…赤ちゃん出来るってお父様が言ってから!!」
「は?…あのな?キスで子供は出来ないからな?」
「え!?そうなの?」
「当たり前だ!そんなの信じるのは小学生くらいだぞ?」
「そ…そうだったのね…」
「ハハハッそうだよ…んでこの事で俺を呼んだのか?」
お腹を抱えながらメールの内容の件を聞くと、アリアは少しムッとした顔で口を開いた。
「も…もう一つ話があるわよッ!そんなに笑わなくていいじゃない!!」
「悪ぃな…つい可笑しくて…んでもう一つの話って何だ?」
「全く…もう一つ話って言うのわね、明日1年3人の身体検査の引率を任せられていたんだけど…まだ入院しなきゃだから政時に私の代わりにやって欲しいのよ?」
「それ女子生徒だろ大丈夫なのか?」
するとアリアは腕を組、自信満々な笑顔を浮かべる。
「その点は問題ないわ!先生には既に許可は得ているわ!だから後は政時の許可さえ貰えれば大丈夫よ」
「そっか解ったよ、任せてくれ」
「ありがとう!因みにそのうちの1人は私の戦妹見習いがいるからよろしくね!」
「はいよ…」
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